とりがら時事放談『コラム新喜劇』

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羽田沖と尼崎

2005年04月26日 23時00分41秒 | 社会
1982年2月9日。日本航空DC8型機が羽田空港へ着陸する寸前に墜落した。操縦していた機長が飛行中にエンジンを逆噴射させたのが原因だった。
「機長!なにするんですか!」
と副操縦士が叫び声を発したとが新聞テレビで盛んに報道されて印象に残っている。
結局日航の機長は精神疾患を患っていて、それが高じて操縦中に信じられない衝動的な行動をとったいう結論に達した。
死者24名。100名以上の重軽傷者を出した。

昨日、JR宝塚線の大阪方面行きの快速電車が尼崎駅へアプローチしていくカーブの入り口で脱線転覆した。しかも死傷者が500名を越える大惨事となった。いったい何人の犠牲者が出ているのか、今現在も電車内に閉じこめられて救出されない人たちがいるだけにまったく分からない。

報道によると、脱線した電車は伊丹駅を1分30秒遅れで発車したということだが、その遅れの原因の一つが伊丹駅に停車するときオーバーランをしたというのだ。
伊丹駅のホームで止まりきれず7メートル行き過ぎて停止した。(実際は40メートルであったらしい)
運転していたのはキャリア11ヶ月の若葉マークの運転手。
この23歳の運転手は過去になんどか職務上の問題を起こし、処分されている経歴を持っていることが明らかになっている。
車掌勤務であったころ、勤務中に居眠りしているところを乗客に指摘され処分を受けたり、数カ月前にも大きなオーバーランを起こしてしまい処分されている。
今回も脱線を起こす直前の指令センターからの呼びかけにまったく応じなかったという。

これらの報道を整理すると、精神疾患を抱えていた運転手だったのではないかと思われてきたのだ。
そこで思い出したのが20年前の日航機事故というわけだ。

心身症。
当時はそう呼んでいた。

この事故をきっかけにパイロットのメンタルケアが重視されだした。
飛行機はパイロットが乗客の生命を握るリスクの高い乗り物だからだ。
鉄道にはそこまで意識が回らなかったのか、それとも回っていたが、見つけることが難しかったのか分からない。
制限速度70km/hのカーブに100km/h以上で突っ込んだのだから、やはり運転手に何かあったのだろう。
ともかく今回の事故での死者は現在74名。列車の中には生命反応のない十数名の乗客とみられる人たちが確認されている。

すくなくとも20年前の航空機事故は鉄道事業には活かされていなかったのが残念だ。