人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

シューベルト(マーラー編)「死と乙女(弦楽合奏版)」,ショスタコーヴィチ(バルシャイ編)「室内交響曲」を聴く~日下紗矢子+読響アンサンブル

2017年06月20日 07時50分51秒 | 日記

20日(火).わが家に来てから今日で993日目を迎え,6月17,18日に実施された新聞各社の世論調査(※)で,学校法人「加計学園」の獣医学部新設をめぐる問題を受け,安倍政権に逆風が吹いている状況が明確になったという記事を見て感想を述べるモコタロです

※報道各社の調査結果=( )内は5月の前回調査比.日経新聞はテレビ東京との合同調査.

               (支持率)        (不支持率)

        朝日新聞  41% (△6)     37% (+6)

        毎日新聞  36%(△10)     44% (+9)

        読売新聞  49%(△12)     41%(+13)

        日経新聞  49% (△7)     42% (+6)

  

     

      どの調査結果も納得できない 支持率はもっと低いはず そうでしょ 国民の皆さん!

  

                                        

 

昨日,夕食に「鶏のしぐれ煮」「生野菜とアボガドとタコのサラダ」「冷奴」「トマトとベーコンのスープ」を作りました   「鶏の~」は大根おろしを擦り過ぎたようです

 

     

 

                                           

 

昨夕,よみうり大手町ホールで読響アンサンブル第14回演奏会を聴きました   新年度第1回目のプログラムは①ショスタコーヴィチ(バルシャイ編)「室内交響曲」,②シューベルト(マーラー編)「死と乙女」(弦楽合奏版)です   ヴァイオリン独奏は読響特別客員コンサートマスターの日下紗矢子です

開演に先立って,プレトークがありました   ナビゲーターの読売新聞・鈴木美調さんがコンマスの日下紗矢子さんにインタビューします   インタビューによると,日下さんは3歳半からヴァイオリンを始められたとのことで,お姉さんがピアノを習っていて,あなたはヴァイオリンを,と言われたそうです   東京藝大卒業後,米国の南メソディスト大学大学院とフライブルク音楽大学に留学.2008年からベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団第1コンサートマスターを務めています   パガニーニ国際コンクール第2位,日本音楽コンクール第1位を受賞しています   13年4月に読響のコンマスに就任,17年4月から特別客員コンサートマスターを務めています

今回室内合奏を取り上げたのは,指揮者がいるとどうしても指揮者の意向どおりに演奏しなければならないが,指揮者なしなら思い通りに演奏できるし,楽員同士がコンタクトを取りながら音楽を作っていくことが出来,アンサンブル能力が磨かれるのが良いと思ったとのことです

また,立って演奏することについては,①身体が自由に動かせること,②立って演奏した方がコンタクトを取りやすいこと,を挙げていました   ナビゲーターの鈴木さんはかなりクラシック音楽の知識があるのでインタビューが上手で,無駄なく聞くべき要点を引き出していました

 

     

 

さて,本番です.1曲目はショスタコーヴィチ(バルシャイ編)「室内交響曲」です   これはショスタコーヴィチの「弦楽四重奏曲第3番」(1946年作)をヴィオラ奏者で指揮者だったルドルフ・バルシャイが56年に編曲したものです   この編曲版の特徴は弦楽合奏だけでなく管楽も加えた点にあります   第1楽章「アレグレット」,第2楽章「モデラート・コン・モート」,第3楽章「アレグロ・ノン・トロッポ」,第4楽章「アダージョ」,第5楽章「モデラート」の5楽章から成ります

コンマス(この場合はリーダーか)の日下紗矢子はじめ読響のメンバーが配置に着きます   首席クラスだけ紹介すれば第2ヴァイオリン=瀧村依里,ヴィオラ=鈴木康治,チェロ=富岡廉太郎(契約団員),オーボエ=蠣崎耕三といったメンバーです

この曲は軽妙な第1楽章から始まりますが,第3楽章に至るといかにもショスタコーヴィチらしいグロデスクなスケルツォになり,第4楽章に移ると一転,悲痛なアダージョが続きます   この楽章の中盤で,ヴァイオリン(2),ヴィオラ,チェロ,コントラバスの首席だけによる五重奏が奏でられますが,この演奏が室内楽の極みといった素晴らしい演奏でした   また,蠣崎耕三のオーボエとファゴットの岩佐雅美の演奏は特筆に値します

オリジナルの弦楽四重奏曲として聴いても楽しめる曲ですが,菅楽器を加えたシンフォニックな演奏も色彩感が溢れて素晴らしいと思いました   読響の楽員一人一人の実力の高さを感じる演奏でした

 

     

 

会場全体の音響状況を確かめようと思い.休憩後,後部席がかなり空いていたので最後列近くの席に移動して聴きました

プログラム後半はシューベルト(マーラー編)「死と乙女」(弦楽合奏版)です   この曲はシューベルトの弦楽四重奏曲第14番「死と乙女」(1824年作)をグスタフ・マーラーが1894年に弦楽合奏用に編曲したものです   弦楽四重奏曲はヴァイオリン2,ヴィオラ,チェロという編成ですが,弦楽合奏用に編曲する際はコントラバスを追加する”約束事”があるため,この楽器が加わります   この曲は第1楽章「アレグロ」,第2楽章「アンダンテ・コン・モート」,第3楽章「スケルツォ」,第4楽章「プレスト」の4つの楽章から成ります

日下紗矢子の合図で第1楽章に入ります   ベートーヴェンの第5番「運命交響曲」の冒頭を思わせる衝撃的な幕開けの総奏に圧倒されます   弦楽四重奏曲として聴いている時とは迫力が違います   第2楽章でも首席クラスだけによるアンサンブルがありますが,これも1曲目のショスタコーヴィチと同様素晴らしい演奏でした   第3楽章「スケルツォ」の迫力はどうでしょう   これぞシューベルトのスケルツォだ,という演奏です   そして第4楽章「プレスト」で一気に駆け抜けます

コンサートが終わり拍手の中,コンミスの日下紗矢子が首席奏者一人一人にハグを求めましたが,男性陣は恥ずかしそうにしながらも,絶好のチャンスを逃すものかという貪欲な表情が見て取れました.役得です 羨ましいこと限りなしです

このコンサートでは,予想通りと言うか,実力者揃いの読響メンバーによる緻密なアンサンブルが聴けました

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欧州の音楽評論家のレベルは?~「ぶらあぼ」から / 柚月裕子著「パレートの誤算」を読む~社会福祉の闇に迫る渾身の小説

2017年06月19日 07時54分40秒 | 日記

19日(月).最初に訂正をいたします  昨日のブログで読売日響のコンサート評を書いた中で,チェロの富岡廉太郎氏を東京シティ・フィルの客員首席奏者と書きましたが,ブログネーム=ともさんから,同氏は昨年度で同フィルとの契約が切れ,4月から読響の首席チェロ奏者(契約団員)となった旨のご指摘がありました.読響6月号のプログラムにもその旨の記載がありました

また,同じブログの中で,フルート奏者が日本人でなかったことについて,指揮者のシモーネ・ヤングが連れてきたのかも知れない旨を書きましたが,ブログネーム=ままははさんから,読響の新人だというご指摘があり,プログラムで確認したところ契約団員フリスト・ドブリノブ氏(首席フルート,6月14日~)であることが分かりました

ご指摘いただいた ともさん,ままははさん にあらためてお礼を申し上げ,以上の通り訂正させていただきます

ということで,わが家に来てから今日で992日目を迎え,静岡県の伊豆半島沖で17日午前1時半頃,米海軍横須賀基地に配備されているイージス駆逐艦フイッツジェラルド(8315トン,全長154m)と,フィリピン船籍のコンテナ貨物船ACX CRYSTAL(2万9060トン,全長222.6m)が衝突し,イージス艦は右舷の真ん中付近を大きく損傷したというニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

       北朝鮮のミサイル攻撃を心配する前に コンテナ船に気を付けてないと危なくね?

 

                                           

 

クラシック音楽無料情報誌「ぶらあぼ」で連載中のコラム「気分はカプリッチョ」が7月号で「欧州の音楽評論家のレベルは?」という興味深いテーマを取り上げていました  筆者の城所孝吉さんは1970年生まれ,90年代からドイツを拠点に音楽評論家として活躍された経歴の持ち主です  彼の持論を超訳すると

「ヨーロッパの音楽批評のレベルは決して高くない.ジャーナリストの政治的な手腕は非常に優れているが,音楽自体についての知識は比較的貧困だと感じる  日本の批評家や聴衆の方がずっと高水準だと思う  日本人批評家が演奏会やCDを批評する場合,作品を隅から隅まで知り尽くしていると考えて まず間違いない.重要曲ならば,大抵の人がCDを聴き続け,様々な解釈の違いも含めて,水準以上の理解を持っているからだ  同様のことは,聴衆にも当てはまる.日本のファンは,好きな曲ならば録音を聴いて究めるという人が多い.ところが,ヨーロッパ,あるいはドイツの批評家は,そこまで作品を知らない  特にシンフォニーについての知識はあまり高くない.なぜそれが分かるかというと,彼らの文章に作品へのこだわりが感じられないからだ.例えばブルックナーの場合,版の問題が批評で話題になることはまずない.本当に好きならば「第8番はハース版でやってほしい」等の意見が出てくるはずが出てこない  なぜ作品理解が浅いかというと,彼らが原則的にライヴ志向だからだ.ドイツなどでは比較的安い料金で一流の公演を聴くことができる  それゆえ,録音をなめるように聴かなくても,十分に満足できる環境が整っているのだ.特に音楽評論家になるような人は,学生の頃からライヴを追いかけるので,CDを聴き込むステップが抜け落ちてしまう.結果的にあまり”勉強”しないまま,次に『第8番』のライヴで聴ける機会がやってきてしまうことになる   要するに彼らは恵まれすぎなのだ.ヨーロッパの批評家の書くこと,とりわけ演奏の評価については,われわれが特にありがたがる必要はないように思う

なるほど,と思いました  その一方で,ヨーロッパ諸国とは違い,日本ではコンサートのチケット代が高すぎるので,なかなかライヴ志向になりにくい環境にあると思いました  私の場合はお金の問題に加えて時間の制約の問題もありました.若い頃,特に働きながら家事も育児もこなさなければならなかった時期は,なかなかコンサートに行く暇がありませんでした  したがって いつでも聴けるCDの鑑賞が中心になっていました  その結果がLPレコード2000枚(500枚手放したので現在は1500枚),CD4000枚に積み上がり,現在も増え続けているわけです

 

     

 

                                           

 

柚月裕子著「パレートの誤算」(祥伝社文庫)を読み終わりました   柚月裕子は1968年岩手県生まれ.2008年「臨床真理」で第7回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞しデビュー,13年「検事の本懐」で第15回大藪春彦賞を受賞しています

 

     

 

牧野聡美は大学で社会福祉を学び,専門の資格を持っているが,臨時職員として市役所で配属されたのは社会福祉課の生活保護担当だった   生活保護者にはケガや病気で働くことが出来ない人もいれば,お金が入るとパチンコ屋通いをする者もいる.ケースワーカーは生活実態の異なる受給者たち一人一人に,事情に応じた対応を図らなければならない   ある日,職務に熱心なベテランケースワーカーの山川が,訪問先のアパートで起きた火災の焼け跡から撲殺死体として発見される   牧野聡美は彼の後を継ぎ,生活保護受給者を訪問し支援をすることになる.聡美は需給者たちを訪ねるうちに山川がヤクザとつながりがあったのではないかと疑いを抱くようになる   疑問を解くべく同僚の小野寺とともに調査を始めるが,知り過ぎた彼女に危険が迫っていた

この作品の標題「パレートの誤算」ですが,パレートというのは1848年生まれの経済学者・社会学者ヴィルフレド・パレートという人の名前です   本分の中で「パレートの法則」として紹介されているのは,「イタリアの経済学者が発見した統計モデル」で,「80対20の法則とも呼ばれている法則で,ある分野における全体の約8割を,全体の一部である約2割の要素が生み出しているという理論」「社会経済だったら,全体の2割程度の高額所得者が社会全体の8割の所得を占めるとか,マーケティングだったら,2割の商品が8割の売り上げをあげる」というものです

この理論を勝手に解釈すると,その2割以外は不必要な存在だと早合点する人も出てきて「社会的弱者は切り捨てる」という理論につながりやすいのですが,この小説の終盤で聡美が,安易な弱者無用論に傾きがちな風潮に異を唱える学生の論文に共感を覚えたように,決して8割の人を切り捨ててよいわけではないのです   「残り8割もそれなりに役立っている」・・・これが「パレートの誤算」の意味でしょう

この小説では,生活保護者の実生活や,不正受給の実態など,貧困ビジネスをめぐる現況にも警鐘を鳴らしています   社会福祉に目を向ける啓発書としてお薦めします

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シモーネ・ヤング+ラドゥロヴィチ+読売日響でブルッフ「ヴァイオリン協奏曲第1番」,ブラームス「交響曲第2番」他を聴く / 読響会員継続特典CDを2枚ゲット

2017年06月18日 09時20分02秒 | 日記

18日(日).昨日午前,住んでいるマンションの管理組合定期総会があり,出席しました   ちょうど1年前に理事長を降り現執行部に引き継いだのですが,時の流れは速いものです   今期事業報告・収支決算,次期事業計画・予算等の定例議題のほか,今回は「給水方式変更・共用給水縦管更新工事実施の件」が議題に上がっていました  これは現在の高架水槽が耐用年数(約20年)を超過して劣化が進んでいるので,受水槽を交換するか,受水槽を使用しない直接給水方式へ変更するか選択しなければならないが,受水槽・高架水槽メンテナンス費用の削減や,長期修繕積立の削減等のメリットを勘案し,直接増圧給水方式を取ることとしたい,という提案です   3千数百万円も費用がかかる重要議題なのに,誰も質問や意見を言いません   いつもは総会で鋭い質問や意見を出す人が欠席だったので,このままではまずいのではないか と思い私一人が手を挙げて質問をし意見を言いました.他の議題でも同様でした.どこの総会もそうなのでしょうか? 高い管理費を払っているのだから,少しでも不明な点があれば手を挙げるべきだと思います

ということで,わが家に来てから今日で991日目を迎え,小池東京都知事が築地市場を豊洲市場に移転する方針を固め,週明けにもその方向性を表明するというニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

      市場を築地から豊洲へ移転するって史上最大の決断だ 私情を抜きにそう思う

 

                                              

 

昨日,池袋の東京芸術劇場コンサートホールで,読売日響第198回マチネーシリーズ・コンサートを聴きました  5月19日の定期演奏会がN響定期と重なったため振り替えたものです  プログラムは①ワーグナー:歌劇「さまよえるオランダ人」序曲,②ブルッフ「ヴァイオリン協奏曲第1番ト短調」,③ブラームス「交響曲第2番ニ長調」です   ②のヴァイオリン独奏はネマニャ・ラドゥロヴィチ,指揮はシモーネ・ヤングです

 

     

 

自席は1階O列32番,右ブロック右から2つ目です.会場はほぼ満席状態です   読響のマチネー・シリーズは人気があるようです

オケのメンバーが入場し配置に着きます.オケは左から第1ヴァイオリン,ヴィオラ,チェロ,第2ヴァイオリン,その後ろにコントラバスという対向配置をとります   コンマスは特別客員コンマスの日下紗矢子です.その隣はコンマスの小森谷巧,右にヴィオラ首席の鈴木康治,柳瀬省太が並び,チェロを見ると東京シティ・フィルの客員首席奏者・富岡廉太郎がスタンバイしています   そして第2ヴァイオリン首席は言うまでもなく瀧村依里です

オーストラリア・シドニー出身のシモーネ・ヤングが登場し,指揮台に上がります   シモーネ・ヤングは1961年生まれ,2005年から15年までハンブルク国立歌劇場の総裁とハンブルク・フィルの音楽総監督を務めた実力派女性指揮者です

1曲目のワーグナー:歌劇「さまよえるオランダ人」序曲は,ワーグナーの初期のオペラ(全3幕)の序曲です   管弦楽によって荒れ狂う海が描写されます   管楽器の咆哮,弦楽器のうねりが会場を満たします.ヤングは読響からダイナミックな演奏を引き出しワーグナーの力強さを表出します

2曲目はマックス・ブルッフの「ヴァイオリン協奏曲第1番ト短調」です   この曲は1866年に作曲されましたが,不評を買ったため,当時のヴァイオリニスト,ヨーゼフ・ヨアヒムの助言を得て改訂し68年に改訂初演されました   3つの楽章から成ります

指揮者と共にロングのアフロヘア,黒の上下,ロングブーツの”ロックスター”が登場します   彼こそ世界中で話題の中心にいるネマニャ・ラドゥロヴィチです   1985年セルビア共和国のベオグラード生まれ.ハノーファー国際コンクール優勝をはじめ,数々のコンクールに入賞しています   外見だけではないのです   私が初めて彼の演奏を聴いたのは数年前のラ・フォル・ジュルネ音楽祭でした.身体を大きく動かした情熱的な演奏が印象に残っています

ヤングのタクトで第1楽章「前奏曲」が開始されます   独奏ヴァイオリンがモノローグ風の演奏に続き,主要主題を情熱的に奏でます.ラドゥロヴィチは左から右へロングのアフロヘアをなびかせているので,左サイドの客席からは髪に隠れて顔が見えなかったと思います

第2楽章「アダージョ」では,ラドゥロヴィチは最弱音で丁寧に音楽を紡いでいきます   彼の場合は最弱音から最強音の幅が非常に広いと言えるでしょう

間を置くことなく続けられた第3楽章「アレグロ・エネルジーコ」では,メリハリのあるヤングのタクトに合わせて小気味の良いヴァイオリンが呼応します   ラドゥロヴィチは身体全体を使ってエネルギッシュに演奏します

満場の拍手とブラボーにラドゥロヴィチはパガニーニの「24の奇想曲」から超絶技巧曲を,唖然とするほどの超・超絶技巧であっけらかんと演奏し,会場の温度を2度上げました  その演奏と風貌から「パガニーニの再来か 」と思わせました.もう,すごいとしか言いようがありません   これがラドゥロヴィチだ とあらためて存在感を知らしめた演奏でした

 

     

 

休憩後はブラームス「交響曲第2番ニ長調」です   交響曲第1番は着想から完成まで20年あまりかかったのに対し,第2番は1877年6月からわずか4か月で完成させています   第1楽章「アレグロ・ノン・トロッポ」,第2楽章「アダージョ・ノン・トロッポ」,第3楽章「アレグレット・グラツィオーソ」,第4楽章「アレグロ・コン・スピーリト」の4つの楽章から成ります

第1楽章の冒頭,低弦によって「レード♯ーレ」の動機が演奏されますが,これはこの曲全体を支配する基本となる動機です   この曲はベートーヴェンの第6番「田園」に対して,ブラームスの「田園」と呼ばれることもあるように,大らかで穏やかな曲想が特徴です  フルートが良く歌っているな,と思って管楽セクションを見ると,演奏しているのは外国人です  「純国産」の読売日響のメンバーではありません.ひょっとするとシモーネ・ヤングがどこからか連れてきたのかもしれません.また,日橋辰朗のホルンが素晴らしい

プログラム冊子の曲目解説を見たら「葬送行進曲を思わせる第2楽章」という記述が目に入ってきました   こういう解説を見たのは初めてです.が,ヤング+読響の演奏で第2楽章を聴いたら,確かに葬送行進曲のように聴こえました   ニ長調のこの曲にも暗い一面があるのだな,とあらためて思いました

第3楽章ではチェロのピッツィカートに乗ってオーボエが主旋律を奏でますが,首席の蠣崎耕三の演奏は聴きごたえがありました

第4楽章に移ると,明るく推進力に満ちた曲想が奏でられます   この楽章では,ヤングはかなりテンポを動かし,聴かせどころはゆっくりと演奏させ,強く印象付けました

全体的に管打楽器も弦楽器も良く鳴っていました   読響初登場のシモーネ・ヤングはテンポ感よくドイツ系音楽を指揮し,聴衆から熱狂的な賞賛を受けました

 

     

 

                                           

 

読響会員継続特典CDをもらってきました  私の場合は「定期演奏会」と「読響アンサンブル」の会員なので2枚です.ちょうど2種類あるので1枚ずつもらいました

1枚は常任指揮者シルヴァン・カンブルラン指揮によるシューベルト「交響曲第8番”ザ・グレイト”」(2016年10月10日,横浜みなとみらいホールで収録)です

 

     

     

 

もう1枚は首席客員指揮者コルネリウス・マイスター指揮によるブラームス「交響曲第2番ニ長調」(2016年7月18日,横浜みなとみらいホールで収録)です

 

     

     

 

在京オケは定期会員継続のため経営努力が欠かせませんね   定期会員としては嬉しいプレゼントですが,個人的には置き場所に困っています

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相場英雄著「リバース」を読む~福島の復興事業を食い物にする企業・団体への怒りが充溢した作品

2017年06月17日 07時45分33秒 | 日記

17日(土).昨日は娘が仕事休みだったので,家族で夕食をとりました   食後,去年の私の誕生日に娘が買ってくれたウィスキーを子供たちと飲みながら,テレビでセ・パ交流戦「阪神 対 楽天」戦を観戦しました   モコタロも応援しました

 

     

      4対2で勝ちました  タイガーズ 金本監督 101勝おめでとうございます

 

ということで,わが家に来てから今日で990日目を迎え,「加計学園」の国家戦略特区への獣医学部新設について,特区を担当する山本幸三・地方創生相が16日,内閣府が文科省に対し「『総理のご意向』『官邸の最高レベルが言っている』などと発言した認識はない」とする調査結果を発表したが,「発言はあったのだと思う」とした文科省の15日の再調査結果と食い違っている というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

             

       「内閣府」は「内隠す」やってんじゃないの? どう考えたって忖度やってるよね

 

                                           

 

昨日,夕食に「生姜焼き」「生野菜サラダ」「冷奴」を作りました   「生姜焼き」は豚ロースを使うのですが,肉を短く切らない方が良かったのかな?と反省しました

 

     

 

                     

 

相場英雄著「リバース」(双葉文庫)を読み終わりました   相場英雄の本は,先日「トラップ」をご紹介したばかりですね   1967年新潟県生まれ.2005年「デフォルト(債務不履行)」で第2回ダイヤモンド経済小説賞を受賞しました   私が彼のファンになったのは狂牛病を扱った「震える牛」がきっかけです

 

       

 

警視庁捜査二課の第三知能犯捜査係が解体され,刑事の西澤は目白署に配属された  そこで万引き犯の話を聞くなかで詐欺事件の手がかりをつかむ  西澤は捜査を進めるうち,原子力発電所の廃炉作業をめぐり,米仏の巨大企業と日本の総合商社,そして省資源開発庁が絡んだ巨大な陰謀が隠されていることを掴む 西澤は同僚たちとともに闇の陰謀を明るみに出すべく立ち向かう

この本を読んでいて強く感じるのは,3.11東日本大震災の被災地・福島を思いやる気持ちです  それと,復興にかこつけて官庁を利用して金儲けしようとする企業・団体への怒りです  その2つがこの小説を読む読者を前のめりにさせる原動力になっています

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シベリウス「ヴァイオリン協奏曲ニ短調」(Vn:堀内星良)他を聴く~東京藝大モーニング・コンサート

2017年06月16日 08時03分28秒 | 日記

16日(金).わが家に来てから今日で989日目を迎え,いわゆる「加計学園」問題について松野文科相が15日,ないと言っていた文書が再調査で見つかり,さらに加計学園の獣医学部新設の事業者選定の要件について,萩生田内閣府官房副長官が内閣府に対し,実質的に加計学園しか応募できなくなる要件を指示したとされるメールと文書を公表した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

      時間が経つほど新しい事実が出てくる  国会の会期を延長して徹底究明が必要だ

 

                                        

 

昨日,夕食に「手羽元の甘辛さっぱり煮」「生野菜とツナのサラダ」「冷奴」を作りました  「手羽元~」は初挑戦ですが,美味しく出来ました

 

     

 

                                              

 

昨日,上野の東京藝大奏楽堂で「第5回藝大モーニング・コンサート」を聴きました  プログラムは①村上りの「marchen」,②シベリウス「ヴァイオリン協奏曲ニ短調」です  ②のヴァイオリン独奏は堀内星良,指揮は広上淳一です

 

     

 

全席自由です.1階13列12番,左ブロック右通路席を押さえました   オケは左から第1ヴァイオリン,第2ヴァイオリン,チェロ,ヴィオラ,その後ろにコントラバスという編成です

開演に当たり,1曲目の「Marchen」の作曲者,藝大4年生の村上りのさんから曲について説明がありました  題名のMarchen(メルヒェン)は「おとぎ話」のことで,作曲に当たっては単なる「お話」ではなく「歩く」という動きを入れたということです

ソフトバンク会長の孫正義さんが・・・失礼しました,指揮者の広上淳一氏が登場,演奏に入ります  曲は,旅人が風が吹きすさぶ中を歩く様子や,威勢よく歩く様子などが頭に浮かびましたが,曲の中盤では,ストラヴィンスキーの「春の祭典」ばりのバーバリズムが聴けたりして,変化に富んだ面白い曲でした   広上氏は時々指揮台の上で飛び上がっていました  プログラムには演奏時間約10分と書かれていましたが,明らかに15分は超えていました

 

     

 

2曲目はシベリウス「ヴァイオリン協奏曲ニ短調」です   演奏するのは藝大4年生の堀内星良さんです.濃紺を基調とする白の花模様を配した鮮やかな衣装で登場します

この曲は,1903年にヘルシンキで作曲され,作曲者自身の指揮で初演されましたが,2年後に改訂されR,シュトラウスの指揮で演奏されました   シベリウス唯一の協奏曲です.第1楽章「アレグロ・モデラート」,第2楽章「アダージョ・ディ・モルト」,第3楽章「アレグロ・マ・ノン・トロッポ」の3つの楽章から成ります

第1楽章が低弦を中心とする哀愁漂う旋律で開始され,独奏ヴァイオリンが静かに入ってきます   北欧の冷たい空気を感じさせるような澄んだ音が会場を満たします   オケだけの演奏部分になると俄然 広上氏のタクトが大きく動きます  この人は身体は小柄ですが,出てくる音楽はダイナミックです  中盤のカデンツァでは堀内星良さんの技巧が光ります  当初ヴァイオリニストを目指したシベリウスの技巧的な難曲を鮮やかにクリアした聴きごたえのある素晴らしい演奏でした

第2楽章は冒頭クラリネットの優しいメロディーが流れますが,素晴らしい音色です   堀内さんは感情を込めて抒情性豊かに演奏します

第3楽章はティンパニの心地よいリズムにのって独奏ヴァイオリンが活気のある演奏を展開します   この楽章では堀内さんのリズム感の良さが目立ちました   広上+藝大フィルは小気味の良いメリハリのある演奏でソリストを支えました

今回のモーニングコンサートも将来が楽しみなヴァイオリニストの演奏が楽しめました

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佐藤優著「牙を研け」を読む~ビジネスパーソン向けの勉強術 / 「オーケストラは楽器ではなく人間の集まり」~上岡敏之氏語る

2017年06月15日 08時04分43秒 | 日記

15日(木).昨日,朝方まで降っていた小雨が上がったので,急に思い立って埼玉県S市の菩提寺に墓参りに行ってきました  西武新宿線S駅の駅ビル内にある花屋さんで花を買ってお墓に行くと,花立て,線香立てなどお墓全体が綺麗になっていました  妹夫婦がやってくれたのだと思います  当方は東京に出て30年以上になりますが,両親亡きあと地元で実家とお墓を守ってくれている妹夫婦には頭が上がりません.有難いことです   お墓の周りにはハルシャギク(別名ジャノメソウ)がそこかしこで花を咲かせていました

 

     

 

花の顔と名前がいつも一致しないので,数年前に買った下の本で調べました

 

     

 

ということで,わが家に来てから今日で988日目を迎え,犯罪を計画段階から処罰できるようにする「共謀罪」の趣旨を含む組織的犯罪処罰法案について,自民,公明両党が14日,参院本会議での審議を打ち切り,15日未明に再開した参院本会議で「中間報告」を強行し直接採決して同法案が成立した というニュースを見て,与野党両者の立場を代弁するモコタロです

 

       

        与党「これで『加計学園問題』は会期中に幕引きだ 安倍一強態勢安泰だ!」

        野党「法案成立後に『加計学園』の再調査結果を公表するのはだまし討ちだ」

 

                                           

 

昨日,夕食に「豚の角煮」「生野菜とタコのサラダ」「水餃子スープ」「冷奴」を作りました  「豚の~」は初挑戦です・・・が,悪い癖でレシピを最後まで一読しないで料理を始め,下茹でから出来上がりまで2時間かかることが分かりました  そうは言うもののそんな流暢なこともやってられないので,下茹で30分,煮込み40分で作りましたが,十分美味しく出来ました

 

     

 

                                           

 

昨日の朝日夕刊の広告特集「Next Stage」で新日本フィル音楽監督の上岡敏之氏を取り上げていました  記事の筆者は匿名なので誰が書いたのか分かりませんが,次のように書いています

「個性あふれる指揮ぶりもさることながら,聴き手の固定観念を鮮やかに裏切る”上岡サウンド”は,実にスリリングで面白い  その音楽解釈はしばしば物議を醸し,かつて披露したブルックナー7番は『史上最長』と語り継がれる  『奇をてらったり恣意的な解釈をしたりしたことはありません.楽譜に虚心に向き合い,意味を考え,深く掘り下げていった結果です.定番の演奏スタイルかどうかは関係ない.作曲家の思いを丁寧に読み解き 現代に伝えること,それが彼らに対する敬意だと思っています』」

私はこれまで新日本フィル,読売日響,ドイツ・ヴッパータール市立歌劇場の来日公演等で何回となく上岡氏の指揮による演奏を聴いてきましたが,違和感を感じるほどのエクセントリックな演奏を聴いたことはありません  私が聴く能力がないのか,鈍感なのかは分かりませんが,ごく自然な流れを作っているように思っています

記事はさらに 上岡氏の次のような言葉を紹介しています

「オーケストラは”楽器”ではなく”人間”の集まりです  日時や会場,客席が発するオーラによって響きは変わるし,極限まで音楽を伝えようとすれば事故だって起こり得る.同じ演奏は二度とない,何が起こるか分からない  それが生身の人間が演奏する面白さだと思います

「同じ演奏は二度とない」その通りです  だからこそ,私はCDでなく生の演奏を聴きに行くのです

 

                                              

 

佐藤優著「牙を研け~会社を生き抜くための教養」(講談社現代新書)を読み終わりました  前回ご紹介した同氏の「悪魔の勉強術」が就活を控えた大学生向きの本だとすれば,この本はビジネスパーソン向けの勉強術を書いた本です  あらためて佐藤氏のプロフィールをご紹介すると,1960年東京生まれ.同志社大学大学院神学研究科修了後,外務省入省.主任分析官として対ロシア外交の分野で活躍しました

 

       

 

この本は,東京・大手町で2016年1月~3月に開かれた「社会人のための使える教養」(全5回),2016年8,9月に開かれた「ビジネスパーソンのための新書読書術」(全5回)をもとに,大幅に加筆・修正を施したものです

この本の内容はどんなものか,目次で見てみましょう

第1章「中間管理職のための仕事術~独断専行の研究」

第2章「ビジネスパーソンのための宗教入門~国際社会を動かす論理を体得する」

第3章「論理力を鍛える~論理的思考法の身につけ方」

第4章「教養としての地政学~国際ニュースの読み方」

第5章「貧困と資本主義~商品社会のカラクリ」

第6章「ビジネスパーソンのための日本近現代史~なぜ学びなおさなくてはならないのか」

第7章「武器としての数学~組織力を高めるために」

上記のうち第1章に出てくる「独断専行」という単語は馴染みのない言葉です  これは旧陸軍の中堅の将校を養成するためのマニュアル「作戦要務令」を貫く発想のことを指しています  上官は中間管理職に対し「うまくやれ」と言って中間管理職の独断専行を許すわけです.そして実際に「うまくやれ」れば,上官に認められる  したがって「うまくやる」人ほど出世するという仕組みになっていたのが旧陸軍だった.現代のサラリーマン社会でも同じようなことが行われていることは言うまでもありません

いま国会を賑わしている「森友学園問題」や「加計学園問題」をめぐる官僚たちの「忖度」を見るにつけ,「うまくやれ」という目に見えない圧力のもと,あるものをないと言ったりしている様子が窺えます

この本には外務官僚として活躍した著者の経験から得られた「生きるためのノウハウ」が披瀝されています.お薦めします

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METライブビューイングでR.シュトラウス「ばらの騎士」を観る~ルネ・フレミング&エリーナ・ガランチャ 現役最後の役柄を歌う

2017年06月14日 07時51分56秒 | 日記

14日(水).わが家に来てから今日で987日目を迎え,12日に上野動物園で5年ぶりにジャイアントパンダの赤ちゃんが生まれたというニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

       なんだパンダ言っても 人気があるよね 笹の葉以外に好きなのはなんだ? パンだ!

 

                                         

 

昨日,夕食に「鮭と白菜のミルクスープ」「生野菜とアボガド」のサラダを作りました   それと前日 電気釜一杯作って余った「すき焼き風炊き込みご飯」です 

 

     

 

                                        

 

昨日,新宿ピカデリーでMETライブビューイング,リヒャルト・シュトラウス「ばらの騎士」を観ました  これは今年5月13日に米ニューヨークのメトロポリタン歌劇場で上演されたオペラのライブ録画映像です   出演は,元帥夫人=ルネ・フレミング(ソプラノ),オクタヴィアン=エリーナ・ガランチャ(メゾソプラノ),オックス男爵=ギュンター・グロイスベック(バス),ゾフィー=エリン・モーリー(ソプラノ),イタリア人歌手=マシュー・ポレンザ―二(テノール),ファー二ナル=マーカス・ブリュック(バリトン),指揮=セバスティアン・ヴァイグレ,管弦楽・合唱=メトロポリタン歌劇場管弦楽団・合唱団,演出=ロバート・カーセンです

 

     

 

タイトルの「ばらの騎士」は,貴族の男性が婚約者に贈る「銀のばら」を届ける使者のことで,劇中ではオックス男爵の使者として婚約者ゾフィーに「銀のばら」を届ける青年貴族オクタヴィアンを指します  「銀のばら」を届ける習慣は台本作家ホーフマンスタールの創作です

今回のプロダクションは新演出によるもので,舞台をハプスブルク帝国末期の20世紀初頭の第一次世界大戦前に設定しています  第1幕冒頭からシンプルながらゴージャスな舞台が観衆を圧倒します

このオペラのストーリーをひと言で言えば,愛し合うオクタヴィアン(17歳という設定)と元帥夫人(32歳という設定)の前に,若いゾフィーが現れたことにより,時の流れの運命を感じた元帥夫人が若い恋人を手放すという物語です

開演に先立って,METのピーター・ゲルブ総裁が「今回の公演をもってルネ・フレミングとエリ―ナ・ガランチャは『ばらの騎士』を卒業します」と解説したのには驚きました  これについては,幕間のインタビューでフレミングは「元帥夫人の役柄はこれまで70回歌ってきました  最初の頃は役柄の年齢と実年齢が近かったのですが,だんだん離れてきました  今回は新演出ということもあって,ちょうど良い潮時かなと思いました.まだまだ歌えますが,下り坂の途中で止めるのでなく,頂点にあるときに止めた方が良いと思います  あとは若い人が引き継いで欲しいと思います」と語り,ガランチャは「オクタヴィアンは17歳という設定ですが,私はこの役を17年間歌ってきました  この役は動きも激しいので,そろそろ降りて,実年齢に近い役柄を歌いたいと思います」と語っています

さて,その主役の二人のうち元帥夫人を歌ったルネ・フレミングですが,華のあるこの役にピッタリで,まだまだシルキー・ヴォイス健在です  この人にはオーラがあり,第1幕フィナーレで,いつかはオクタヴィアンが自分の元を去っていくことを自覚しながら 後ろ姿でドアの向こう側に消えていくシーンは,思わずジーンときます  時間が経過するということがいかに残酷なことかを考えます

オクタヴィアンとマリアンデルの一人二役を歌ったエリーナ・ガランチャも,役柄にピッタリです  METにおける男装の麗人と言えるでしょう

今回初めて聴いて驚いたのはオックス男爵を歌ったギュンター・グロイスベックです  オックス男爵と言えば,かつての当たり役オットー・エーデルマンに代表される喜劇的な役柄が求められますが,今回の演出によるグロイスベック演じるオックスは,極めて強引で,精力的で,暴力的ですらあります  時代設定が第一次世界大戦前ということもあるのかもしれませんが,彼は強い個性を発揮しました

ゾフィーを歌ったエリン・モーリーはMETライブでは「ホフマン物語」のオランピアを歌って喝さいを浴びたソプラノですが,透明感のある高音が魅力です  第3幕終盤での元帥夫人,オクタヴィアンとの三重唱,その後のオクタヴィアンとの二重唱は感動のあまり涙が出てきました  とくに三重唱は,オクタヴィアンとゾフィーがお互いに愛を確かめ合う歌を喜びに満ちて歌う一方で,元帥夫人だけが若い恋人を失う哀しみを歌うという内容なので,聴く側としては元帥夫人の気持ちに肩入れして聴いてしまいます

最後に,第1幕を聴いていて思ったのは「このオペラはワーグナーのオペラにどこか似ている」ということです.ワーグナーの音楽はゆったりと流れるのに対し,リヒャルト・シュトラウスの「ばらの騎士」は音楽が速く流れるという違いはありますが,音楽が止まることなく延々と続く(ワーグナーで言えば「無限旋律」)ところは共通しているのではないか,と思いました  それにしても今回のセバスティアン・ヴァィグレの指揮による第1幕のテンポは,今まで聴いてきたどの演奏よりも速かったと思います

 

                                           

 

METライブビューイングの来シーズンのラインナップが発表されています  今秋からスタートしますが,取りあえず大好きなオペラ 第1作「ノルマ」に期待です

 

     

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篠原英和プロデュース「真の友情,ハイドンとモーツアルト」を聴く~新日本フィル室内楽シリーズ第109回演奏会

2017年06月13日 08時11分45秒 | 日記

13日(火).わが家に来てから今日で986日目を迎え,トランプ米大統領夫妻が,英国のエリザベス女王の招待で当初は年内に行われる予定だった国賓としての英国訪問について,「国民が大々的に反対するなら行きたくない」とメイ首相に伝えていたと英ガーディアン紙が報道した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

       トランプ大統領は歓迎されないだろうな  英国の首相は気がメイると言うだろうし

 

                                        

 

息子に「毎日,夕食の献立を考えるの大変なんだよね  何かリクエストある?」と聞くと,某スーパーのネット上のレシピを調べて,「これがいい」と言って画面に呼び出したのが「すき焼き風炊き込みご飯」でした   「よし,試しに作ってみるか」とチャレンジしたのが下の料理です 材料は牛肉,人参,ゴボウ,すき焼きの素,ご飯,水,温泉卵,万能ねぎ,いりごまです.言うまでもなく美味しく炊き上がりました

 

     

 

                                              

 

昨日,すみだトリフォニー(小)ホールで新日本フィル室内楽シリーズ第109回「篠原英和プロデュース『真の友情,ハイドンとモーツアルト』」を聴きました  プログラムは①モーツアルト「ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲K.423」,②ハイドン「ピアノ三重奏曲第29(45)番」,③モーツアルト「弦楽四重奏曲第19番”不協和音”K.465」,④ハイドン「弦楽四重奏曲第83(68)番」です

出演は,ヴァイオリン=篠原英和,松崎千鶴,ヴィオラ=高橋正人,チェロ=多田麗王,ピアノ=出久根美由樹の皆さんです

 

     

 

自席は5列3番です.会場はかなり埋まっています  このシリーズで最高の入りではないでしょうか   間違いなく篠原人気の賜物でしょう

開演に先立って今回のプロデューサー篠原英和氏のプレトークがありました 開口一番,彼が語ったのは「グレン・グールド曰く『最も過小評価された最も偉大な音楽家,それはハイドン』」という言葉でした  篠原氏は,今回なぜハイドンとモーツアルトを取り上げたのかについて 立て板に水のごとく流暢に解説,親子ほどの年齢差にも関わらず ハイドンとモーツアルトが お互いに刺激し合いながら傑作を生み,古典音楽の頂点を極めたことを語りました  1年半ぶりの原稿なしのプレトークを15分きっかりに納め,「トークの天才ぶり」を改めて知らしめました  クラシック音楽の歴史を語らせて,彼以上の知識と それを語る能力を持ったキャラクターは他にいないでしょう

さて本番です.1曲目はモーツアルト「ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲K.423」です  この曲は1783年7月,モーツアルトがコンスタンツェを伴って生まれ故郷のザルツブルクに旅をしたときに,ミヒャエル・ハイドンのゴーストライターとして書いた曲だと言われています  3楽章から成りますが,親しみやすい曲想です.篠原氏のヴァイオリンと高橋正人氏のヴィオラによって演奏されましたが,最初の出番ということで多少上がった面があったかもしれませんが,名刺代わりの演奏を披露しました

次いで,篠原氏と彼の伴侶である出久根美由樹さんのピアノ,多田麗王氏のチェロによりハイドンの「ピアノ三重奏曲第29(45)番」が演奏されました  この曲も3つの楽章から成りますが,篠原氏のプレトークの解説によると,冒頭のジャーン という総奏は,当時ハイドンが赴任していたロンドンの聴衆に「これから曲が始まるぞ,耳を傾けて」という注意を促すために書いたとのことです  ハイドンらしい明るく軽快な曲ですが,とくに第3楽章に入ってからの出久根美由樹さんの溌剌とした演奏が印象的でした   素晴らしい夫婦協演でした

 

     

 

休憩後の1曲目はモーツアルト「弦楽四重奏曲第19番”不協和音”K.465」です  この曲はモーツアルトが師と仰ぐハイドンに捧げられた いわゆる「ハイドン・セット」6曲の最後の曲ですが,第1楽章冒頭の不穏な雰囲気の曲想から「不協和音」と呼ばれています  今でこそ,何の違和感もなく聴いていますが,当時の常識からは遠く外れた不協和音だったのでしょう

中高年男性3人に囲まれた紅一点の松崎千鶴さんは,淡いピンクが基調の 裾に花柄を配したエレガントな衣装での登場です  晴れやかな立ち姿に,「ジューンブライドの登場か」と思いました.大胆素敵です  定期演奏会では黒の衣装ですが,こういう室内楽の時は良いですね

さて,これまでの3曲の演奏を聴いてきて,プロデューサーの篠原氏は,この曲に山を持ってきたな,と思いました  4曲の中で一番力を入れて練習を重ねてきたのではないか,と勝手に想像します  4人の演奏家は,第1楽章冒頭から第4楽章「アレグロ・モルト」まで,第1ヴァイオリンの篠原氏のリードにより,チェロの多田麗王氏,第2ヴァイオリンの松崎千鶴さん,ヴィオラの高橋正人氏のしっかりしたサポートのもと,集中力を途切れさせることなく見事に弾き切りました

最後に,同じメンバーでハイドンの生涯最後の作品である「弦楽四重奏曲第83(68)番 作品103」の第2楽章「アンダンテ・グラツィオーソ」,第3楽章「メヌエット・マ・ノン・トロッポ/プレスト」を演奏しました  第1楽章と第4楽章を作曲できないままハイドンは息絶えたということです  初めて耳にするハイドン最後の曲でしたが,前の3曲ではサポートに徹してあまり目立たなかった第2ヴァイオリンの松崎千鶴さんの演奏が際立って素晴らしく思いました

満場の拍手に,4人はハイドンの弦楽四重奏曲第77番「皇帝」の第4楽章「フィナーレ/プレスト」を鮮やかに演奏,大きな拍手の中コンサートを締めくくりました

 

     

 

                                           

 

久しぶりにコンサート後の「ワンコイン・パーティー」に参加しました.500円でワイン,ジュースが飲み放題です  プロデューサーの篠原氏が開口一番「疲れました.明日は演奏がないので今宵は思いっきり飲みます」と宣言,大きな拍手を受けました  それはそうでしょう.1人でデュオ,トリオ,クァルテットをこなしたのですから.本当にお疲れさまでした

 

     

        「ハイドンとモーツアルトの共通点は 共に悪妻を持ったことです」

 

取り巻きに囲まれてなかなかこちらにやってこられませんでしたが,やっと解放されので,握手をしてご苦労をねぎらいました  松崎千鶴さんも挨拶したので写メしました

 

     

 

その後,ワイン4杯の勢いを借りて,他の人と歓談中の松崎さんのところに行って写真を撮らせていただきました  気さくな感じの美人でした

 

     

 

写真はいずれもノーフラッシュで撮影したため解像度がイマイチですが,被写体が素晴らしいのでお許しください

さて,松崎千鶴さんの演奏を最初に聴いたのは,彼女が新日本フィル入団の年(2015年)の5月25日に開かれた「楽団員プロデュース室内楽シリーズ第2回公演」に出演した時でした  松崎さん(1月入団),ヴィオラの脇屋冴子さん(2月入団),ヴァイオリンの古日山倫世さん(2013年入団)の3人が,コンマスのチェ氏から”新入団員”として紹介され,メンデルスゾーンの「弦楽八重奏曲」他を演奏しました  私は,当時のブログに「この3人はこれから応援していこうと思う」と書いています

松崎さんは東京都小平市の出身.桐朋学園大学卒業.中山朋子,江藤アンジェラ,故 江藤俊哉,原田幸一郎の各氏に師事.第4回江藤俊哉ヴァイオリンコンクールジュニア部門第2位,第12回日本モーツアルト音楽コンクール奨励賞を受賞しています

この室内楽シリーズをお聴きになっている方はよくご存じだと思いますが,松崎千鶴さんの出演回数が多いのではないかと思います  次回7月12日の公演にも出演します  思うに,それぞれの公演プロデューサーは,協演する演奏者としては誰でも良いという訳にはいかないはずで,まず第一に相応の実力があること,そして自ら主張をしながらも協調性があることが不可欠な条件ではないかと思います  その条件を備えた協演者として最も相応しいヴァイオリニストの一人として選ばれているのが松崎さんだと思います これからの一層の活躍を期待し,今後とも応援したいと思います

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アンジェラ・ヒューイット・ピアノリサイタル(9/14)のチケットを取る / 中川右介著「ロマン派の音楽家たち~恋と友情と革命の青春譜」を読む

2017年06月12日 07時58分49秒 | 日記

8日(水).昨日,電気掃除機で廊下を掃除している時,掃除機の柄が北京と,もとい,ペキンと折れてしまいました  数年前からガムテープでぐるぐる巻きにして使用していたのですが,もう限界のようです.調べてみたら8年近く使っていることが分かりました  お役御免ということで新しい掃除機を買うことにしました  娘に相談するとダイソンのコードレスがいいよと(普段 掃除をしたこともないのに)言うので,早速いつも家電製品を買っている池袋のBカメラに行き,お店の人の説明を聞いたうえで,ダイソンのコードレス掃除機V7と専用スタンドの配送を手配しました  午後には届き,古い掃除機は無料で引き取ってもらいました  今後少なくとも10年間は活躍して欲しいと思います

 

     

 

ということで,わが家に来てから今日で985日目を迎え,「森友学園問題」や「加計学園問題」の追及が続く今国会で,先に浮上した森友学園問題の審議で,政府が事実関係の確認を拒んだり事実と異なる説明をしたりしたため,少なくとも12時間が空費されたという朝日の記事を見て感想を述べるモコタロです

 

     

     加計学園問題では12時間じゃ済まないかも 官邸の見解を早めに鑑定しなきゃ!

 

                                              

 

昨日,食器棚を整理していたら,奥の方からハイヒール形のボトル(350㎖)入りのスピリッツが出てきました

 

     

 

箱の表には「シンデレラの靴」と書かれており,裏側を見ると「パパゲーナ」「キウイ」「アルコール度数15%」「ナンネル/ザルツブルク」の表示がありました

 

     

 

これらの情報を整理すると,モーツアルトの生まれ故郷ザルツブルクの飲料メーカーで,モーツアルトの姉ナンネルの名前を冠した会社が製造したキウイを原料とするアルコール飲料で,モーツアルトのオペラ「魔笛」に出てくる「パパゲーナ」の名前を冠した シンデレラの靴の形をしたボトル入りのスピリッツのようです  いったい いつどこでどのように入手したのかまったく覚えていません  私がザルツブルクに旅行したのは1986年の4~5月でしたが,その時に買った覚えはありません.誰かからプレゼントされたのかも知れません 

ところで「ナンネル社」と言えば,当ブログの読者ゆえさんからウィーン旅行土産に頂いたヴァイオリンの形のボトル入りのリキュールも同社の製品だったことを思い出しました

 

     

 

「シンデレラの靴」を初めて栓を抜いて常温で飲んでみましたが,まだアルコール分が抜けておらず ほのかに甘いキウイとウォッカを混ぜたリキュールの味がしました  お腹を壊すといけないので少しで止めておきました  今度は冷やして飲んでみようと思います

 

                                        

 

アンジェラ・ヒューイットのピアノ・リサイタルのチケットを取りました  9月13日(水)午後7時から紀尾井ホールです.プログラムはJ.S.バッハ①パルティータ第1番,②パルティータ第2番,③ソナタ ニ短調,④パルティータ第4番です  本当は翌4日も聴きたいのですが,すでに予定が入っているので諦めました

 

      

     

 

                                          

 

中川右介著「ロマン派の音楽家たち~恋と友情と革命の青春譜」(ちくま新書)を読み終わりました  中川右介の本は「20世紀の10大ピアニスト」「怖いクラシック」「現代の名演奏家50」をご紹介してきました  1960年東京生まれ.早稲田大学第二文学部卒.出版社で編集長を務めた後,1993年にアルファベータ社を設立し「クラシックジャーナル」を創刊しました

 

     

 

著者が「はじめに」で述べているように,この本は1810年前後に相次いで生まれた大作曲家たちの「交友」に焦点をあてて小説風に描いたものです  その大作曲家とは次の5人です

〇フェリックス・メンデルスゾーン(1809-1847) 38歳で没.

〇フレデリック・ショパン    (1810-1849) 39歳で没.

〇ロベルト・シューマン     (1810-1856) 46歳で没.

〇フランツ・リスト       (1811-1886) 75歳で没.

〇リヒャルト・ワーグナー    (1813-1883) 70歳で没.

中川氏は,まず,彼らの前の時代の大作曲家,すなわちバッハ,ハイドン,モーツアルト,ベートーヴェン,シューベルトたちは,みな父親が音楽家で,生まれた時から父親に音楽を叩き込まれて育ったが,上記のロマン派の音楽たちの親はプロの音楽家ではなかった,と指摘します  メンデルスゾーンの父は銀行経営者,ショパンの父は高校のフランス語教師,シューマンの父は出版社経営者,リストの父はアマチュア音楽家ではあったが,職業は大貴族の使用人,ワーグナーの父は警察署の事務官だったということです

そして,かつて音楽家の社会的身分は低かったが,音楽家の地位を劇的に変えて社会から尊敬される偉大な存在にしたのはベートーヴェンだった  ロマン派の大作曲家たちが生まれたのは,ベートーヴェンが音楽を芸術へ高め,音楽家の地位も高めた頃だった  いわば彼らは「ベートーヴェン・チルドレン」だった,と述べます 

1828年から1841年までの14年間について,1年ごとにそれぞれの音楽家がどのような活動を行い,お互いにどのように交流をしていたかを事細かに紹介し,当時どのような作品を作曲していたかを洗い出します

一例を挙げれば,1832年が5人の作曲家たちの出会いの年だったことが分かります   この年の5人の交流と当時の年齢(誕生日での満年齢)は以下の通りでした

〇メンデルスゾーン(23歳)はパリでリストとショパンを知り合った.

〇ショパン(22歳)はパリでメンデルスゾーンとリストと知り合った.

〇シューマン(22歳)はライプツィヒでワーグナーと知り合った.

〇リスト(21歳)はパリでショパンとメンデルスゾーンと知り合った.

〇ワーグナー(19歳)はライプツィヒでシューマンと知り合った.

そして,この5人全員と直接会っているのがクララ・ヴィーク(13歳)だった.さらに,ベルリオーズ(29歳)もパリでリストと知り合い,ローマでメンデルスゾーンと知り合い,帰国してショパンと知り合っている

なお,この年(1832年)に作曲された作品は次の通りだった

〇メンデルスゾーン(23歳)

 序曲「フィンガルの洞窟」(決定稿)

 交響曲第3番「スコットランド」(1829-32,41-42)

 交響曲第4番「イタリア」(1830-33)

 無言歌集第1巻(1829-32)他

〇ショパン(22歳)

 エチュード第1番~第12番(1829-32),第13番~第24番(1832-36)

 ノクターン第4番~第6番(1830-33)

 マズルカ第10番~第13番(1832-33),第54番,第55番(1832)

 バラード第1番(1831-35)

 スケルツォ第1番(1831-32)他

〇シューマン(22歳)

 トッカータ(1829-32)

 クララ・ヴィークの主題による即興曲(1832-33)

 ピアノ・ソナタ第1番(1832-35)他

〇リスト(21歳)

 なし

〇ワーグナー(19歳)

 交響曲ハ長調

 歌劇「婚礼」の台本執筆(作曲は途中で断念)

こうして見ると,年齢の関係もありますが,いかにメンデルスゾーンとショパンが早熟の天才で,リストとワーグナーが出遅れていたかが分かります

この本は,5人の作曲家同士の詳細な交流が描かれているばかりでなく,クラシック音楽の演奏史に関わる論考もあり,参考になります  中川氏は次のように書いています

「その時代に生きている音楽家の新作を披露する場だった演奏会は,変容しようとしていた  過去の作品を『名曲』として繰り返し聴く場になっていく.その担い手がドイツではメンデルスゾーンでありクララ・ヴィークだった  欧州中を駆け回るリストも同じことを考えていた.彼らが友情のネットワークによってお互いの曲を演奏し合い,さらにバッハからベートーヴェンまでを古典と位置づけ,自分たちこそがその後継者であるとアピールすることで,彼ら以外の音楽は正統から外れていくことになる.こうして『音楽史』が生まれるのだ

この本の巻末に「参考文献」が掲載されていますが,「これだけ多くの本を読んで初めて この本が書けたのだな」と納得しました  この本に賭ける著者の熱意には頭が下がります.最近読んだ本の中で一番読み応えのある,私のような音楽素人にとっては とても勉強になる本でした   クラシック音楽を愛好する皆さんに自信を持ってお薦めします

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東京藝大「シアター・シンポジウム~光のパイプオルガンを~」を観て聴く~諏訪内晶子,林英哲出演/コンサートホールが充実:武蔵野音楽大学~朝日の記事から

2017年06月11日 09時12分19秒 | 日記

11日(日).わが家に来てから今日で984日目を迎え,「加計学園問題」で 文部科学省の内部から相次いで内部文書の存在を認める証言や資料が出てきていることには「官邸への霞が関の静かな反乱だ」との声が出ている という記事を見て感想を述べるモコタロです

 

     

                首相官邸が官僚の人事権を持っているのが安倍一強を許してきた大きな要因では?

 

                                           

 

昨日の朝日朝刊・第2東京面「こどもの未来へ  大学の挑戦」コーナーで武蔵野音楽大学が紹介されていました  記事を超訳すると

「武蔵野音大は今春,練馬区の江古田キャンパスを刷新した  新校舎のほかに,本格的なコンサートも可能な音楽ホールが計6つ  演奏環境を向上させ,本番さながらの緊張感を体感しながら音楽の感性を磨いてもらう狙いだ.オペラが上演できる1043席の『ベートーヴェンホール』も一新された  内装にタイルやガラスなどを組み合わせて理想的な音響を実現した『ブラームスホール』,リサイタルなど小規模な演奏会に最適な『モーツアルトホール』も新設した  さらに,大人数での練習も可能な3つのリハーサルホールも整備した   これまで埼玉県入間市の入間キャンパスで学んでいた学生も今春から江古田へ通うようになった

武蔵野音大は,ピアノ科卒の友人が2人いるので親近感があります  とうの昔に卒業したOB・OGとしては羨ましい環境整備でしょう  音楽大学も生き残りのためにハード面・ソフト面での設備投資が大変ですね

 

                                              

 

昨日,東京藝大奏楽堂で「シアター・シンポジウム~光のパイプオルガンを~」を聴きました  これは,東京藝大130周年記念と第5回国際音楽祭NIPPONとのタイアップ・イベントです  夢枕獏の書き下ろしによる台本をもとに,ヴァイオリンの諏訪内晶子,和太鼓の林英哲,サックスのMALTAら,日本を代表するアーティストが参加します

チラシを見ただけでは,シンポジウムをやるのか,何か演奏をするのか,どういうプログラムなのか,さっぱり分かりません  配布されたプログラムを見てやっとこの公演の概要が分かりました.プログラムは次のようになっています

〇バッハ「シャコンヌ ニ短調」(無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータBWB1004より)~ヴァイオリン=諏訪内晶子

〇シアター・シンポジウム

〇バッハ「2つのヴァイオリンのための協奏曲BWV1043」~ヴァイオリン=諏訪内晶子,澤和樹,弦楽合奏=東京藝大学生オケ

【 休 憩 】

〇ジャズ「Crispy-Crispy」~サックス=MALTA,ピアノ=三木成能,ドラム=ジーン・重村,ベース=熊谷望

〇シアター・シンポジウム

〇松下功「飛天遊」~和太鼓=林英哲,ヴァイオリン=諏訪内晶子,サックス=MALTA,オルガン=廣江理枝,管弦楽=東京藝大学生オケ,指揮=澤和樹

 

     

 

全自由席です.開場時間=4時半の5分前に会場に着いたらすでに長蛇の列ができていました  辛うじて1階25列24番,センターブロック右通路側を押さえました  かろうじて,と言うのは,全体の何割か(200席以上?)が「特別招待席」として関係者しか座れないようになっていたからです  常識的に考えて多すぎだと思います

会場が暗転し,2階正面のバルコニー席に真っ赤なステージ衣装のヴァイオリ二スト諏訪内晶子が登場,スポットライトを浴びてバッハの「無伴奏ヴァイオリンパルティータBWV1043」から「シャコンヌ」が演奏されました  緊張感に溢れる厳しい演奏でした

次いで,1階フロアに,この公演のタイトルとなった「光のパイプオルガンを」の物語を書いた夢枕獏が登場,「芸術家の道を志す一人の若者が,堕天使ルシフェルに導かれ,絶望と苦悩の世界へと旅を続ける」という物語を朗読します

次いで,藝大副楽長で作曲家の松下功氏が進行役となり,アートプロデューサ―の安田茂美氏,天文学者の吉井譲氏,音楽プロデューサーの北條哲男氏,演出家の西川信廣氏の5人によるシンポジウムが始まりました  4人はいずれも藝大の演奏藝術センターの客員教授という立場にいます.松下氏のフレンドリーな進行で,学生たちと接していて彼らにアドヴァイスすることは何か,といったことを聞き出していましたが,予想通りというか,マイクを通して聞こえる声が聞き取りにくいこともあり,それぞれが何を言わんとしているのかがいまいちよく把握できませんでした

5人が退場したところで,弦楽奏者20人とソリストの澤和樹学長,諏訪内晶子さんが登場,バッハ「2つのヴァイオリンのための協奏曲BWV1043」の演奏に移りました  演奏は軽快で素晴らしかったのですが,楽章が終わるごとに拍手が起こったのには閉口しました  どうやら会場の何割かの人は,この曲を聴くのが生まれて初めてのようでした  ただ考えようによっては,そういう人たちを音楽の世界に引き込んだと考えれば,今回の試みは成功なのではないか,と思ったりしました  ポジティブに考えた方がいいかも

 

     

 

休憩後は,最初にジャズの演奏がありました  「Crispy-Crispy」という曲をサックス=MALTA,ピアノ=三木成能,ドラム=ジーン・重村,ベース=熊谷望の4人でご機嫌に演奏しました  久しぶりにジャズを生演奏で聴きましたが,思わず「おねーさーん,ビール,ジョッキで」と叫びそうになりました  ジャズだから「マスター,ウィスキー,ダブルで」でしょうか  ジャズにはなぜかウィスキーが似合います.と言って,だれかが持ってきてくれるわけではありませんが

次いで,再び松下副楽長の進行で,諏訪内晶子,林英哲,夢枕獏,MALTAによるシアター・シンポジウムが始まりました  彼らも藝大演奏藝術センターの客員教授です.松下氏は,前と同様「若者たちにアドヴァイスを」と求めました.諏訪内さんは「若さにまかせて,失敗を恐れず頑張ってほしい」と言っていました.MALTA氏は「われわれの時は情報が少なかったので,あっちかこっちかしかなかったけれど,今は情報が多すぎて若い人達は選択に迷うことが多いのではないか」と言っていました.林英哲氏は「へこんでいても地球は物凄いスピードで回っている.明日は必ずやってくる  足を使え,腕を使え」と言っていました.話のやり取りの中で,諏訪内晶子さんは,桐朋学園に入る前に澤和樹氏にヴァイオリンを師事していたということが分かりました

最後に,澤和樹学長の指揮,林英哲の和太鼓,諏訪内晶子のヴァイオリン,MALTAのサックス,廣江理枝のパイプオルガン,東京藝大学生オケのバックによる演奏で,松下功副楽長作曲の「和太鼓協奏曲 飛天遊」が演奏されました

冒頭,林英哲の和太鼓による強打が会場を揺るがし,ついで諏訪内の鋭いヴァイオリンが入ってきて協演します  そしてオケが絡んで,サックスが加わり,パイプオルガンが会場を揺るがします.驚くべきは林英哲の太鼓のバチさばきです  盛り上がる筋肉がなければあれだけの迫力ある音は出せないだろう,と思うほど,力強い音が腹にずしんときます  その反面,大きな太鼓のど真ん中だけを叩くのではなく,円周近くを叩いた細かい音の再現も素晴らしく,まさに「和太鼓演奏による芸術」を感じました  この作品は2000年にベルリン・フィル・サマーコンサートで演奏され,好評を博したとのことですが,良く分かります  迫力満点の演奏に聴衆から大きな拍手とブラボーが寄せられました

今回のコンサートは,始まる前は「いったいどんなことになるのか?」と不安が先立っていましたが,終わってみると,初めての試みとしては大成功だったのではないかと思います  東京藝大にはこれからもこうした新しい試みをどんどんやって欲しいと思います

 

     

コメント
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