6日(火).昨日の「エリザベートコンクール 岡本侑也さんが2位」という新聞・テレビ報道にはビックリしました 4日のブログでご紹介した通り,彼が出演する8月28日(月)の読売日響「三大協奏曲」のチケットを取ったばかりだったからです
奇しくも彼が同コンクールの決勝で弾いたドヴォルザークの「チェロ協奏曲」を演奏するのも嬉しいところです
岡本さんはドイツ・バイエルン州で暮らしていた6歳の時にチェロを始め,ドイツ音楽協会の青少年音楽コンクール同州地域部門で1位になるなど,幼少時から頭角を現してきたそうです.東京藝大を中退し,現在ミュンヘン音楽大学に在学中です
なお,コンクールの優勝者はフランスのビクトール・ジュリアンラフェリエールさんとのこと 長い名前で覚えられませんが,ビクトールってビクトリーから派生した単語でしょうか? そうだとすれば,優勝者に相応しい名前ですね
もっともその名声を維持していくのは大変だと思いますが
ということで,わが家に来てから今日で979日目を迎え,安倍首相の友人が理事長を務める加計学園の獣医学部新設問題をめぐり,松野博一文部科学相が5日午前の衆院決算行政監視委員会で,内閣府から「官邸の最高レベルが言っている」などと伝えられた文書を共有するために文部科学省内で送られたとされるメールの写しについて,送受信欄に名前のあった10人全員が実在することを認めたが,野党が求める再調査については拒否した というニュースを見て感想を述べるモコタロです
「官邸の最高レベル」が真実を言わないばかりに周囲の人間が忖度・忖度・損得
朝日,毎日,読売はこの問題について共通の世論調査を実施し 結果を公表すべし
昨日,夕食に「カレーライス」と「生野菜とタコのサラダ」を作りました いつものようにジャガイモとニンジンは皮付きのままなので煮崩れしていません
昨夕,東京オペラシティコンサートホールでタリス・スコラーズのコンサートを聴きました 「エリザベス1世時代の英国国教会音楽と『モンテヴェルディ生誕450年記念』」と題したこのコンサートでは,いわゆるルネサンス時代に活躍した作曲家の合唱曲が歌われます
バロック以前の音楽は私の守備範囲外ですが,今回は,当ブログ読者Nさんからチケットをいただき,聴くチャンスに恵まれました
自席は1階6列20番,センターブロック右から2つ目です.Nさん,良い席を取りましたね 会場を見渡して「これほど多くの人が聴きにきているのか
」 と驚きました
バッハ・コレギウム・ジャパンの定期演奏会とほぼ同じくらいの入りだと思います
ステージに登場したのは指揮者でタリス・スコラーズの創設者ピーター・フィリップスと,ソプラノ4人,アルト2人(うち男性1),テノール2人,バス2人の計10人のメンバーです
1曲目はタリス(1505-1585)のミサ曲「おさな子われらに生まれ」です この曲は女王メアリ1世時代の1554年に作曲されたとみられる7声のミサ曲です
次に3曲続けてバード(1540-1623)の曲が歌われます 最初に1605年の「グラドゥアリア第1巻」に含まれる4声のモテトゥス「アヴェ・ヴェルム・コルプス(めでたし,真実なる御体)」が,次いで,同じ「グラドゥリア第1巻」に含まれる5声のモテトゥス「義人らの魂は」が,最後に,1591年の「宗教声楽曲集第2巻」の冒頭に置かれた5声のモテトゥス「聖所にて至高なる主を賛美もて祝え」が歌われます
初めてアカペラ(無伴奏)で聴くルネサンス時代の声楽曲はとても新鮮で,透明感のあるコーラスで聴く古(いにしえ)の調べは現世の雑事を忘れさせ,まるで教会の聖堂で聴いているような錯覚に陥ります バッハ以降の音楽しか馴染みのない私にとっては「こういう世界もあったのか
」という感嘆の言葉しかありません
アカペラは楽器による伴奏がないので,声に不調があっても楽器が助けてくれるわけではありません.人間の生の声だけで歌の心を人の心に届けなければなりません.その意味では声楽の中でも一番厳しい条件下で歌うことになります
その点,タリス・スコラーズのメンバーは凄いです
10人ともプロ中のプロです.私が特にずば抜けて凄いと思ったのはソプラノのエイミー・ハワースとエロイズ・アーヴィング,テノールのサイモン・ウォール,そしてバスのロバート・マクドナルドです
休憩後の最初は,グレゴリオ・アレグリ(1582-1652)の「ミゼレーレ」です この曲は,教皇庁聖歌隊のために作曲された9声の作品です.ステージ上には男性3人と女性2人がスタンバイしますが,あとの5人はどうしたんだろうか?と思っているいるうちに歌が始まってしまいました
そのうち,後方から歌が聴こえてきたので振り返って見たら,2階席後方の右角で男性1人が,左角で男性1人+女性3人が歌っていました
この曲は20節から成りますが,ステージ上の第1合唱と後方の第2合唱とで分担して歌われます
1階席で聴いていると,かつて一世を風靡した「4チャンネル・ステレオ」効果が抜群でした
特に,後方からの歌は,ほとんど教会の天井から降ってくるような感じです
私はこの日のプログラムの中では,この曲を聴くのを楽しみにしていました モーツアルティアンなら誰もが知っている通り,アレグリの「ミゼレーレ」は,システィーナ礼拝堂以外では演奏できない 門外不出の秘曲として歌い継がれてきましたが,後に,初めてイタリアを訪問した14歳のモーツアルトが,教皇庁でこの曲を聴いた後,記憶だけを頼りにそれを楽譜に正確に記したというエピソードがあるのです
演奏時間にして13分程度の曲ですが,音符として再現するにはかなりの分量だと思います この曲を聴きながら,「モーツアルトは本当にこの曲を1度聴いただけで,後で間違うことなく音符で再現したんだろうか
やっぱり天才だ
」と深く感動しました.この曲の一部をいつかどこかで聴いたような覚えがあるのですが,ひょっとすると1984年製作の映画「アマデウス」を観たときに出てきたのだろうか? 思い出せません
いずれにしても,この曲が聴けただけでも,聴きにきた甲斐がありました
後半2曲目はモンテヴェルディ(1567-1643 )の「無伴奏による4声のミサ曲」です モンテヴェルディはルネサンス時代からバロック時代へと音楽が移り変わる転換期に活躍したイタリアの作曲家です
この曲は,彼の死後の1650年にヴェネツィアで出版された遺作集の一つ「4声のミサ曲並びに詩篇曲集」に含まれるミサ曲です
そして,最後の曲は1572年にヴェネツィアで出版されたパレストリーナ(1525-1594)の「モテトゥス集第2巻」に含まれる「しもべらよ,主をたたえよ」です
以上の2曲でも透明感のあるコーラスが会場いっぱいに響き渡り,宗教的な雰囲気を醸し出していました
プログラム全体を通して感じたのは,メンバー全員がハイレベルの実力の持ち主で,指揮のピーター・フィリップスの統率力が優れているということです
会場いっぱいの拍手とブラボーに応え,「モンテヴェルディ生誕450年を記念して」と解説のうえ,モンテヴェルディの「カンターテ・ドミノ」を,それでも鳴りやまない熱狂的な拍手にトレンテスの曲を歌い,いっそう大きな拍手を受けました
初めて聴いたルネッサンス時代のアカペラ・コンサートでしたが,予想外の収穫でした 今回,普段聴く機会のないジャンルの音楽を聴くチャンスを与えてくださったNさんに あらためてお礼を申し上げます