人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

METライブビューイングでR.シュトラウス「ばらの騎士」を観る~ルネ・フレミング&エリーナ・ガランチャ 現役最後の役柄を歌う

2017年06月14日 07時51分56秒 | 日記

14日(水).わが家に来てから今日で987日目を迎え,12日に上野動物園で5年ぶりにジャイアントパンダの赤ちゃんが生まれたというニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

       なんだパンダ言っても 人気があるよね 笹の葉以外に好きなのはなんだ? パンだ!

 

                                         

 

昨日,夕食に「鮭と白菜のミルクスープ」「生野菜とアボガド」のサラダを作りました   それと前日 電気釜一杯作って余った「すき焼き風炊き込みご飯」です 

 

     

 

                                        

 

昨日,新宿ピカデリーでMETライブビューイング,リヒャルト・シュトラウス「ばらの騎士」を観ました  これは今年5月13日に米ニューヨークのメトロポリタン歌劇場で上演されたオペラのライブ録画映像です   出演は,元帥夫人=ルネ・フレミング(ソプラノ),オクタヴィアン=エリーナ・ガランチャ(メゾソプラノ),オックス男爵=ギュンター・グロイスベック(バス),ゾフィー=エリン・モーリー(ソプラノ),イタリア人歌手=マシュー・ポレンザ―二(テノール),ファー二ナル=マーカス・ブリュック(バリトン),指揮=セバスティアン・ヴァイグレ,管弦楽・合唱=メトロポリタン歌劇場管弦楽団・合唱団,演出=ロバート・カーセンです

 

     

 

タイトルの「ばらの騎士」は,貴族の男性が婚約者に贈る「銀のばら」を届ける使者のことで,劇中ではオックス男爵の使者として婚約者ゾフィーに「銀のばら」を届ける青年貴族オクタヴィアンを指します  「銀のばら」を届ける習慣は台本作家ホーフマンスタールの創作です

今回のプロダクションは新演出によるもので,舞台をハプスブルク帝国末期の20世紀初頭の第一次世界大戦前に設定しています  第1幕冒頭からシンプルながらゴージャスな舞台が観衆を圧倒します

このオペラのストーリーをひと言で言えば,愛し合うオクタヴィアン(17歳という設定)と元帥夫人(32歳という設定)の前に,若いゾフィーが現れたことにより,時の流れの運命を感じた元帥夫人が若い恋人を手放すという物語です

開演に先立って,METのピーター・ゲルブ総裁が「今回の公演をもってルネ・フレミングとエリ―ナ・ガランチャは『ばらの騎士』を卒業します」と解説したのには驚きました  これについては,幕間のインタビューでフレミングは「元帥夫人の役柄はこれまで70回歌ってきました  最初の頃は役柄の年齢と実年齢が近かったのですが,だんだん離れてきました  今回は新演出ということもあって,ちょうど良い潮時かなと思いました.まだまだ歌えますが,下り坂の途中で止めるのでなく,頂点にあるときに止めた方が良いと思います  あとは若い人が引き継いで欲しいと思います」と語り,ガランチャは「オクタヴィアンは17歳という設定ですが,私はこの役を17年間歌ってきました  この役は動きも激しいので,そろそろ降りて,実年齢に近い役柄を歌いたいと思います」と語っています

さて,その主役の二人のうち元帥夫人を歌ったルネ・フレミングですが,華のあるこの役にピッタリで,まだまだシルキー・ヴォイス健在です  この人にはオーラがあり,第1幕フィナーレで,いつかはオクタヴィアンが自分の元を去っていくことを自覚しながら 後ろ姿でドアの向こう側に消えていくシーンは,思わずジーンときます  時間が経過するということがいかに残酷なことかを考えます

オクタヴィアンとマリアンデルの一人二役を歌ったエリーナ・ガランチャも,役柄にピッタリです  METにおける男装の麗人と言えるでしょう

今回初めて聴いて驚いたのはオックス男爵を歌ったギュンター・グロイスベックです  オックス男爵と言えば,かつての当たり役オットー・エーデルマンに代表される喜劇的な役柄が求められますが,今回の演出によるグロイスベック演じるオックスは,極めて強引で,精力的で,暴力的ですらあります  時代設定が第一次世界大戦前ということもあるのかもしれませんが,彼は強い個性を発揮しました

ゾフィーを歌ったエリン・モーリーはMETライブでは「ホフマン物語」のオランピアを歌って喝さいを浴びたソプラノですが,透明感のある高音が魅力です  第3幕終盤での元帥夫人,オクタヴィアンとの三重唱,その後のオクタヴィアンとの二重唱は感動のあまり涙が出てきました  とくに三重唱は,オクタヴィアンとゾフィーがお互いに愛を確かめ合う歌を喜びに満ちて歌う一方で,元帥夫人だけが若い恋人を失う哀しみを歌うという内容なので,聴く側としては元帥夫人の気持ちに肩入れして聴いてしまいます

最後に,第1幕を聴いていて思ったのは「このオペラはワーグナーのオペラにどこか似ている」ということです.ワーグナーの音楽はゆったりと流れるのに対し,リヒャルト・シュトラウスの「ばらの騎士」は音楽が速く流れるという違いはありますが,音楽が止まることなく延々と続く(ワーグナーで言えば「無限旋律」)ところは共通しているのではないか,と思いました  それにしても今回のセバスティアン・ヴァィグレの指揮による第1幕のテンポは,今まで聴いてきたどの演奏よりも速かったと思います

 

                                           

 

METライブビューイングの来シーズンのラインナップが発表されています  今秋からスタートしますが,取りあえず大好きなオペラ 第1作「ノルマ」に期待です

 

     

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