9日(日)。私は30年以上 朝日、日経を定期購読していますが、毎週土曜朝刊に掲載される読書欄を楽しみにしています 昨日の朝日には①ライアンダ・リン・ハウプト著「モーツアルトのムクドリ 天才を支えたさえずり」(青土社 2160円)と②片山杜秀著「ベートーヴェンを聴けば世界史がわかる」(文春新書 864円)が取り上げられていました
①「モーツアルトのムクドリ 天才を支えたさえずり」は音楽家・エッセイスト寺尾紗穂さんが評を書いています 著者ライアンダ・リン・ハウプトは米国在住のネイチャーライターで、都市部の鳥をテーマに複数の著作があるとのことです
評によると「ピアノ協奏曲第17番ト長調はペットのムクドリの歌を聞いてモーツアルトが作り上げた、という俗説がある。彼はこの鳥の死に際して丁重に埋葬し、追悼文を残している
しかし、実は曲の完成後にムクドリが購入されているというのが事実で、そのことを経由して著者の推理は進む
」と書かれています
面白そうで興味がありますが、基本的に私は文庫・新書派なので、置き場所に困る単行本で値の張る本(2160円)には躊躇を覚えます
ブックオフで探すことになりそうです
②片山杜秀著「ベートーヴェンを聴けば世界史がわかる」は、「『神の秩序』を表すグレゴリオ聖歌から、市民層が台頭する時代に新たな音楽を生み出したベートーヴェン、大都市の文化を『根無し草』と批判し『民族』を見い出した”グローバリズム批判の元祖”ワーグナー、そして20世紀音楽まで、クラシックの歴史をひもとく」と紹介されています。この本は購入すると思います
日経では、かげはら史帆著「ベートーヴェン捏造」(柏書房 1700円)が紹介されています それによると、「聴覚を失ったベートーヴェンが筆談に使った『会話帳』と称されるノートが138冊残されている。それについて、1977年の学会で、『ベートーヴェンの死後、故意に言葉が書き足されている形跡を発見した』と発表された
捏造したのはアントン・シンドラーという男だった。晩年、秘書として仕え、大部の伝記の著者としても知られる。本書は彼の視点を借りて、このような行為に手を染めた理由を探るノンフィクションである」と紹介されています
面白そうで興味がありますが、基本的に私は・・・以下同文
ということで、わが家に来てから今日で1528日目を迎え、トランプ米大統領が7日、ティラーソン前国務長官を「必要とされる知能を持っていなかった。とてつもないバカだったが、すぐに(政権から)追い出すことが出来なかった」と侮辱するツイートをした というニュースを見て感想を述べるモコタロです
そもそも誰が任命したのか? 現政権の閣僚も辞めたらこうして罵倒されるんだろ
昨日、王子駅前の北とぴあ さくらホールで「北区第九演奏会」を聴きました プログラムは①モーツアルト「交響曲第9番ハ長調K.73」、②ベートーヴェン「交響曲第9番ニ短調”合唱付き”」です
演奏は管弦楽=東京フィルハーモニー交響楽団、指揮=飯森範親、②のソプラノ独唱=盛田麻央 、メゾソプラノ=相田麻純、テノール=与儀巧、バリトン=加来徹、合唱=北区第九合唱団です
この公演は毎年開催されているようで、恒例になっているせいか、4ページのプログラムは出演者のプロフィールと合唱団員全員の名前で埋め尽くされ、曲目解説が一切ありません 多くの人が知っている「第九」は良いとしても、モーツアルトの「第9番」はどれだけの人が知っている、あるいは聴いたことがあるでしょうか
相当のモーツアルティアン以外は、ライブ・CDを問わず一度も聴いたことのない人がほとんどではないかと想像します
せめて楽章構成くらいは載せておいた方が親切だと思います
自席は2階B列30番、B列と言っても最前列で、右ブロック左通路側です 1階席はかなり埋っているようですが、2階席は半分くらい空きがあります
オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつもの東フィルの編成です コンマスをはじめ、見たことのない奏者が多いので、新国立オペラ「ファルスタッフ」とは別動隊だろうか、と思ったりしました
なにしろ、東京フィルは2つのオケが合併して出来た日本一の楽員数(132名)を誇るオーケストラですから、同じ時間帯に別の会場でコンサートを開くことさえ可能です
1曲目はモーツアルト「交響曲第9番ハ長調K.73」です この曲はウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-1791)が1769年頃、つまり彼が13歳の頃にザルツブルクで作曲したと看做されています
自筆譜の表紙に「1769年」と父レオポルドの筆跡と思われる数字が書き込まれているのがその根拠になっています
第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「メヌエット」、第4楽章「ロンド:アレグロ・モルト」の4楽章から成ります
演奏を聴く限り、全体的にモーツアルトらしい明るく軽快な曲想です 飯森✕東フィルはメリハリを効かせて溌剌と演奏しました
飯森氏は昨年、音楽監督を務める山形交響楽団と「モーツアルト交響曲全集」のCDを出していることもあり、今回のプログラムにベートーヴェンの「第九」に合わせてモーツアルトの「第9番」を加えたのではないかと想像します
プログラム後半は、ベートーヴェン「交響曲第9番ニ短調”合唱付き”作品125」です この曲はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)が1822年から24年にかけて作曲し、1824年にウィーンのケルントナートーア劇場で初演された最後の交響曲です
第4楽章に声楽を加えたため「合唱付き交響曲」と呼ばれていますが、全人類の理想をうたった歌詞とともに、ベートーヴェンの芸術作品の到達点とも言うべき作品です
プロイセン王フリードリヒ・ヴィルヘルム3世に献呈されています
第1楽章「アレグロ・マ・ノン・トロッポ・ウン・ポコ・マエストーソ」、第2楽章「モルト・ヴィヴァ―チェ」、第3楽章「アダージョ・モルト・エ・カンタービレ~アンダンテ・マエストーソ」、第4楽章「プレスト~アレグロ・アッサイ」の4楽章から成ります
第1楽章から第3楽章まではオケだけがステージに上がり演奏します。ここまで聴いた範囲では、第3楽章が一番印象に残りました とくにホルンが素晴らしい演奏を展開し、第4楽章の「歓喜の嵐」の前の穏やかな世界をリードしていました
この第3楽章を良い気持ちで聴きながら昔 観た映画を思い出していました ファスビンダ―監督、ハンナ・シグラ主演によって1979年に公開された西ドイツ映画「マリア・ブラウンの結婚」です
映画のストーリーは「第二次世界大戦後期、混乱するベルリンでマリアとヘルマンは略式の結婚式を挙げる。しかし、半日と一夜を共に過ごした後、ヘルマンは戦場に向かってしまう。戦争が終わり、マリアは友人のベティと共にそれぞれの夫を探しに行く。ベティの夫ウィリーは無事に戻るが、ヘルマンは戦死したと告げられる
」というものです。この映画の中に、マリアが夫の名前を書いたカードを掲げながら駅のホームで帰還兵士を乗せた列車を待ち続けるシーンがあります。この時バックに流れていたのが第九の第3楽章「アダージョ~」でした
第3楽章が終われば、待望の第4楽章の「歓喜の歌」つまり「ヘルマンの帰還」が待っている
そうした期待に満ちた穏やかな音楽として第3楽章を選んだのだと思います
あの頃から、映画と音楽の関係に興味を抱くようになったように思います
コンサートに戻ります 第3楽章が終了後、まず男女混声「北区第九合唱団」の面々がオケの後方に並びます。全体で200人規模ですが、そのうち男声が40人で残りが女声です
この男女の割合は どこのアマチュア合唱団でも同じような傾向にあります
飯森氏は第4楽章の中盤で ソリスト4人をオケのセンター後方に招き入れました 有名な「晴れたる青空~」のメロディーがチェロとコントラバスで奏でられる一番良いところで、2階右後方から「ピロ~ン」という軽薄な音が聴こえました。ケータイの着信音です
ワン・フレーズで音が止んだのでまだ良かったのですが、本当に頭にきます
こういうやつは、よりによって最悪のタイミングで鳴らしますよね。二度と来るなと言っておきます
バッハ・コレギウム・ジャパンの合唱メンバーとしても名の知れた加来徹のバリトン独唱が会場に響き渡ります 彼を含めて4人のソリストは好調でした
合唱の途中で、合唱団の真ん中あたりで歌っていた男性の一人が気分が悪くなったのか、床にへたり込んでしまったようです 女性コーラスの一人が舞台を降りて係員を呼びに行き、係員2人を連れて戻り、係の男性が目立たないようにその男性のところまで行き、様子を見て しばらくはそのままで大丈夫と判断したのか、また舞台袖に戻りました
この間 演奏は続いていましたが、このアクシデントが演奏に支障をきたすことはありませんでした
自席が2階席の最前列だったので、ある程度の状況が把握できましたが、1階席だったら何が起こっているのか ほとんど分からなかったと思います
演奏中にも関わらず係員を呼びに行った女性コーラス員に拍手を送ります
こういう仲間と一緒にコーラスが出来る北区第九合唱団の皆さんは幸せです
今回のように、生のコンサートでは何が起こるか予想が出来ません それだけに、何かアクシデントが起こった時の主催者や会場スタッフの対応が常に問われることになります
その点、今回の関係者の迅速な対応は適切だったと思います
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