人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

桜庭一樹選「スペシャル・ブレンド・ミステリー 謎007」を読む

2013年01月15日 06時59分14秒 | 日記

15日(火)。昨日は一日中雪だったので、家でメンデルスゾーンの室内楽を聴きながらミステリーを読んで過ごしました 降り止まない雪を見ながら思ったのは、時の流れの速さです。たまたま、昨日の朝日「天声人語」冒頭に次の行(くだり)がありました

「年を重ねると、月日の流れがどんどん速くなる。楽しい時が駆け足なのは常としても、退屈な時間まで大股である 物の本によれば”心の時計”のせいらしい。子どもには未知の行事や出来事が次々と訪れ、心の時は細かく刻まれる。だから時間がゆっくり進むように感じる 大人になると胸躍るイベントが減り、加齢で代謝も鈍り、心の時計は緩慢になる。つまり実際の時の流れを速く感じる、というわけだ」

なるほどである。まだ聴いたことのないコンサートや観たことのない映画は”未知の出来事”でしょうから、心の時は細かく刻まれ時間がゆっくり進むように感じると思うのですが、そんな”非日常”を日常的に生きていると、心の時計は緩慢になって時の流れを速く感じるのでしょうか そういうことより、私の場合は”楽しい時が駆け足で過ぎる”ということと、”加齢で代謝も鈍り”という方が当たっているように思います。加齢から華麗へ”華麗なる転身”を遂げたいと思う今日この頃です

 

  閑話休題  

 

雪とはいえ、買い物には行かなくてはならないので、新雪を踏んで近くのコープへ出かけました 小銭がなかったので1万円札を出すと、お札が機械を通らず戻ってきてしまいます レジの女性が「お客さん、すいません、目が黒くなっているので機械を通らないんだと思います」と言って、あらためてお札を見せてくれました

 

          

 

確かに福沢諭吉の左目が独眼竜正宗になっています 幸いもう1枚1万円札を持っていたので支払いは無事に済ませました。それにしても、こういうイタズラは感心しません 子どもがこういうイタズラをやった時、親は「めっ」と言って叱ります。よいこの皆さんはマネをしないようにしましょうね

 

  も一度、閑話休題  

 

桜庭一樹選「スペシャル・ブレンド・ミステリー 謎007」(講談社文庫)を読み終わりました 日本推理小説家協会が年に一度、短編ミステリのベスト集を刊行しており、今回、桜庭一樹が編者になって70年代、80年代、90年代に刊行されたベスト集の中から7つの短編を選んだものです。なお、007というのは7回目の選集を意味しています

小泉喜美子「洋服ダンスの奥の暗闇」は、イラストレーターの女性が選んだ新居には、巨大で立派な洋服ダンスが備えつけられてるのに格安の物件でした なぜなのか。その奥に、前の住人の秘密が隠されていました。闇の怖さを感じさせる小説です

戸板泰二「グリーン車の子供」は、老歌舞伎役者が新幹線で東京に向かう途中、隣に無口な女の子が座ったのですが、その子は何故か通りすがりの男の子の玩具に興味を示したりします。さて、その子の正体は・・・・・?

赤江瀑「鳥を見た人」は、ある少年が今まで誰も見たことのない鳥を見たというので、野鳥の会の担当者が訪ねていきます。少年は本当に幻の鳥を見たのか

夏樹静子「宅配便の女」は、病院長の自宅に届いた大きな宅配便の中から出てきたのは腐乱した女性の死体でした 送り主とその妻との三角関係が浮かび上がりますが、いったい彼女は誰に殺されたのか

陳舜臣「日本早春図」は、造り酒屋のドラム息子が実家の倉庫からこっそり持ち出した掛け軸を巡る物語です。ちょっと難しかった

栗本薫「伊集院大介の失敗」は、アルバイトとして軽井沢の別荘の管理人を務めた大介が遭遇した密室殺人を巡るミステリーです。彼は何を失敗したのか

宮部みゆき「人質カノン」は、OLと少年と中年サラリーマンが、ある夜、コンビニで強盗に遭遇します それは犯人を他の者に見せかけた強盗でした。コンビニという客同士の関係性が薄い場所あるいは空間に対する著者の考えに同感します。宮部みゆきは長編でも短編でも冴えています

70年代、80年代、90年代と書かれた時代が分かれているので、その時々の時代背景が書き込まれていて興味深いものがあります ミステリーも時代とともに生きているのだと思います

 

          

コメント
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