人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ジャンニ・スキッキのアリアが流れる~周防正行監督「終(つい)の信託」を観る

2013年01月01日 07時08分04秒 | 日記

2013年1月1日(火・元日)。皆さま、新年明けましておめでとうございます 今年もtoraブログをよろしくお願いいたします

 

          

 

年の初めに当たり、年間目標を設定しました。クラシック・コンサート、映画、読書の3本立てです。

①コンサート = 年160回(昨年実績158回)

②映  画  = 年65本(昨年実績62本)

③読  書  = 年75冊(昨年実績73冊)

1年間の成果は12月31日にご報告します。

 

  閑話休題  

 

池袋の新文芸坐で周防正行監督・脚本映画「終(つい)の信託」を観ました

折井綾乃(草刈民代)は東大卒の呼吸器科内科の優秀な医師ですが、不倫関係にあった同僚の医師・高井(浅井忠信)に裏切られ深く心に傷付きます 失意のあまり睡眠薬による自殺未遂事件を起こします。そんな中、重度のぜんそくで入退院を繰り返している江木泰三の優しさに接して心が癒されます。いつしか心を通い合わせるようになる二人ですが、江木の症状は悪化の一途を辿ります。経済的にも肉体的にも妻に負担をかけたくない江木は、もしもの時は延命治療をせずに楽に死なせてほしいと綾乃に懇願します それから2か月、散歩中、心肺停止状態に陥った江木を前にして綾乃は、江木から受けた”最後の信託”を果たすべきかどうか葛藤します。そして遂にある決断を実行に移しますが、それが殺人罪に問われます

さて、この映画の中で重要な役割を果たすクラシック音楽が1曲だけ使われています 綾乃が自殺未遂を起こした後、江木は1枚のCDを彼女に渡します。「私はオペラが大好きなのですが、このCDの6曲目のアリアがすごくいいんですよ。是非聴いてみてください」と。この時、私はなぜか「ジャンニ・スキッキの”私のお父さん”に違いない」と思いました。あらかじめチラシやプログラムを読んでいたわけではありません。なぜか、これしかないと思いました プッチーニのオペラ「ジャンニ・スキッキ」の中でスキッキの娘ラウレッタが歌うアリアです

綾乃は自室でそのアリアを聴いて号泣します アリアは次のような歌詞から成っています。

おお、私の大好きなお父さん

私、とってもあの方が好きなの

これから2人でポルタ・ロッサの町へ指環を買いに行かせてください

ええ、ええ、どうしても行きますわ!

もし、お許しがなかったら

私たち、ヴェッキオ橋に行き

アルノ河に身を投げる決心です

ほんとに心から愛しているのよ!

ああ、生命をかけて!

だからお父さん、どうか、お願い!

綾乃からCDを貸したお礼を言われ、江木はこのオペラは実は悲劇ではなく喜劇なのだ、ということを綾乃に伝えます。その時、彼女は愛する者に裏切られ自殺未遂まで起こしているわけですが、「本人は”悲劇”だと思っていることが、傍から見れば実は”喜劇”に過ぎない」ということを江木から指摘されたと告白します 悲劇のアリアだと思っていたら、実は喜劇のアリアだった、という曲は他にもあるかもしれませんね

この映画は「Shall We ダンス?」の周防正行監督、草刈民代、役所広司の3人が再び顔を合わせた愛と生命を巡るドラマです。愛とはなにか? 人間の尊厳とは何か? 深く心に残る映画です

 

          

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする