明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(2257)映画『日本原 牛と人の大地』をご覧下さい!

2022年10月23日 13時30分00秒 | 明日に向けて(2201~2400)

守田です(20221023 13:30)

前回に続いて、今回も映画のご紹介をします。

各地で上映中 大阪は2回目の上映が10月22日から29日まで

今回もまず映画のサイトをご紹介します。
https://nihonbara-hidesan.com/

スケジュール一覧が載せられています。
関西では大阪で2回目の上映が昨日22日から29日までシアターセブンにて行われています。毎回11時55分から上映です。兵庫では元町映画館で近日公開です。

チラシの冒頭にこう書かれていて、僕はグッと引き寄せられてしまいました・・・。
「父が牛飼いになってもうすぐ50年になります。牛飼いになる前、父は医学部の学生でした。
父が医者ではなく、牛飼いになったのは、自衛隊とたたかうためでした。」


日本原に婿入りして

日本原(にほんばら)は岡山県北東部奈義町の農村。陸上自衛隊の演習場もあります。「父」と呼ばれているのは内藤秀之さん(ヒデさん)。岡山大学にいた1969年に、農家に婿入りして牛飼いとなり、自衛隊とたたかい続けてきました。
そのヒデさん一家を撮ったのがこの映画。なんというか、断固としていて、無骨だけれど、なんだかとても優しく、可愛らしく、ぶきっちょだけれど、真っすぐな芯を持って堂々と生きている、そんな人々の姿が描かれています。

「父」と語っているのは次男の陽さん。映画のナレーション担当です。高校生の時に虫を踏み殺してしまう不安から外に出られなくなったものの、家族の支えで今は農場で働いています。映画は陽さんに誘われて「山の牛乳」へと進んでいきます。
ヒデさんの牛から搾った低温殺菌牛乳で、配達担当も心に病を持った方たち。ある日、精神科医師の山本昌知さんとお連れ合いの芳子さんが来訪。牛乳がみんなに幸せを運んでいたことを語られました。僕も知っている尊敬する方で、観ていて震えました!


糟谷孝幸さんの想いを胸に

ヒデさんが「婿入り」を決めたのは、1969年11月の鮮烈な事件がきっかけ。当時、アメリカのベトナム侵略戦争を支援する佐藤首相が訪ベトしようとしていて、全国で学生たちが反対していました。西日本でも13日に大阪扇町公園に学生が集結。
運動を弾圧する警察機動隊と激しくぶつかりました。ヒデさんも同じ大学の糟谷孝幸さん(当時21歳)を誘って参加しましたが、糟谷さんは機動隊員にとり囲まれ、警棒で頭を滅多打ちにされ、翌日亡くなりました。虐殺でした。

ヒデさんは抗議を貫くとともに、糟谷さんの想いを引き継いで日本政府と闘い続けることを決意。大学を辞め、自衛隊演習に反対して通っていた日本原に向かいました。そこで入会地を守ってきた農家の娘の早苗さんと結婚。婿養子となったのです。
以降、ヒデさんは早苗さんと共に牛を飼いながら自衛隊演習場反対を貫いてきました。周りの家々がだんだんと代替地に移っていっても入会地で耕作し続け、いつしか唯一の畑を守るようになりました。映画はその姿を淡々と追っています。


糟谷さん虐殺を伝える岡山大学新聞


黒部監督もどこかぶきっちょ

この鮮烈な話を聞くと、さぞかし緊張感漂う映画ではないかと思うかもですが、そうではない。監督は黒部俊介さん。初めての映画作りだそうですが彼もどこかぶきっちょ。牛の出産シーンでカメラを回していて、牛に尻尾でビターンと叩かれたりしている。
黒部さんは、福島原発事故後に岡山に避難移住。大学で映画について学んだものの、「自分は向いてない」と映画の道をあきらめ、それまでは違う仕事をしていたのだそうです。ところが岡山に来て、ある時目覚めた。

福祉現場で、心に病を抱えた方たちと接しながら働いてたものの、上司のパワハラ体質に疲弊して退職。そんな時、2018年の岡山水害に遭遇し、友人宅の復旧に尽力している時に、「一度きりの人生、好きなことをしよう」と思い立ったのだそうです。
でも食べるための仕事をしなければいけないので食肉センターでアルバイトし、牛と関わっている時にヒデさんのことを知り、会いにいったら、偉そうにしない飾らない人だった。惚れ込んで通い出したそうです。家庭用の安価なビデオカメラを片手にです。


黒部俊介さん 映画HPより


揺るがない闘志を深い優しさが覆っている

そんな風にできたこの映画の芯にあるものは何でしょうか。「揺るがない闘志を覆う優しさ」なのではないかと僕には思えました。糟谷さんの話は鮮烈で、映画でもヒデさんが仲間たちと「糟谷孝幸50周年プロジェクト」を立ち上げたことが描かれています。
でも映画はとても優しい。なんというか「これぞ本物だよなあ」と僕には思えました。広島・長崎の惨劇を見つめるその先に出てくるのも優しさ、糟谷さんのことを胸に刻み続けるのも優しさ、僕にはそう思えるのです。

それはまた黒部さんだからこそ、撮れたのではないかとも思います。柔らかい素敵な感性によって。だから強くしなやかな優しさをまとったヒデさんたちのリアルを、そのままに捉えることができた。
みなさま。ぜひこの映画をご覧下さい!ヒデさんたちの思いに触れて下さい。きっと今のあなたにとっての、何かのヒントがつかめると思うのです。


ヒデさんと共に 京都での舞台挨拶の後に 20221016

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