明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて( 31 )放射線被ばくから身を守ろう

2011年04月09日 16時30分00秒 | 明日に向けて4月1日~30日
守田です(20110409 16:30)

みなさま。福島第一原発1号機から3号機で、窒素注入により、放射能を
含んだ大量の水蒸気が大気中に放出される可能性があることを考えて、
放射線被ばくから身を守る方法をまとめたいと思います。
なお以下の文章を、避難所などでも使えるようにと仮定して書いてみます。


放射線被ばくから身をまもろう

みなさま。
福島第一原発では、懸命の復旧作業が続けられていますが、残念ながら
まだ危険な状態が続いてます。とくにこのところ、原子炉を収めている
原子炉格納容器の中に水素がたまり、水素爆発が起こってしまう危険性が
生まれています。

このため窒素という気体を注入して、爆発を未然におさえる努力が進められて
いるのですが、このため、原子炉格納容器内に入っている放射能を含んだ
水蒸気が外に押し出されてくる可能性があります。今後、数日内に、たくさんの
放射能が流れ出してしまうことが心配されています。

窒素注入は、1号機に対して行われていますが、続けて数日かけて2号機、
3号機にも行われる予定です。2号機、3号機の中には、1号機よりもより
たくさんの放射能を含んだ水蒸気が充満していると考えられており、これも
出てくるかもしれません。

その場合、気候次第で、みなさんがおられる地域にも、放射能が流れてくる
かもしれませんので、ここで放射能から身を守る方法を、まとめてみたいと
思います。


放射能・放射線とは何か。被ばくはどのように起こるのか。

放射能とは、放射線を発する能力のことです。この能力を持ったものを
放射性物質といいます。放射線には主なものにアルファー線、ベーター線、
ガンマー線、中性子線などがあります。私たちの身体を細胞や傷つけて、
健康被害をもたらしたり、ガンや遺伝的な悪影響をもたらすことがあります。

放射線は、出ているところからの距離の2乗に反比例して、威力が減って
いきます。距離が2倍になれば、威力は4分の1に、4倍になれば16分の1に
なります。このため、放射線源からできるだけ離れるた方が
害が少なくなります。

反対に放射線源に近づけば近づくだけ威力が増します。距離が半分に
なれば威力は4倍になり、4分の1になれば16倍になります。放射線を
出すものが身体の中に入ってしまうと、距離がごく小さくなるため、少ない
量で、より大きな害がもたらされることになります。

このため、被ばくは、外部被ばくと内部被ばくに分けて考えられます。
外部被ばくは外から飛んできた放射線にあたること、内部被ばくは、
呼吸や飲食などを通じて、体の中に放射性物質を取り込んでしまい、
そこで被ばくする場合を指します。


放射能はどのように運ばれてくるか

放射性物質は気体になっている場合もあれば、微粒子になっている
場合もありますが、空気中のチリなどにくっついて、風で運ばれることが
多いです。雲にもくっつき、雨が降ると、水滴と一緒に、たくさんの放射性
物質が地上に落ちてきます。水の中にも入り込んでいきます。

このため、原発からの距離がそのまま汚染の度合いに重なるわけでは
ありません。汚染は風で放射能が運ばれていく地域に広がり、とくに雨が
降ったところで強くなります。このためより原発に近くても、雨雲が
通り過ぎたところの方が汚染が低い場合もあります。

原発から放射能が大気中に出てきた時は、天気に注意する必要があります。
何より大事なのは風向きです。自分のいるところが風下に入っている場合は、
放射能を含んだ風や雲の接近に要注意です。これは各地の放射線モニタ
リングポストの値などから推測することができます。

雨が降った後は、水の流れに沿って放射性物質が集まりやすくなります。
このため浄水場などにこれらの水が流れ込むと、急に濃度が高くなります。
放射性物質はものにもくっつきます。そのものが移動することで、運ばれる
こともあります。


放射線被ばくをさけるために

放射能が風に乗って近づいて来る可能性がある場合はどうしたらいいので
しょうか。今の場合、窒素注入で押し出されたものが流れてくる可能性が
考えられるので、慌てずに準備を整えて対処することができます。まずは
天候をよく調べましょう。

その上で、放射能が流れて来ている場合には、可能な限り、外出を控え、
部屋の中にいるようにすると良いです。換気扇やエアコンなども使わず、
家の密閉性を高めましょう。隙間風が吹きこむ場合には、テープなどで
とめておくと良いです。

外出が必要な時は、必ずマスクを着用してください。キメの細かいものほど
いいです。また目や擦り傷、切り傷などからも体内に入らないように注意します。
花粉症やインフルエンザウィルス対策と同様の習慣を励行することです。
帰宅したら、手洗い、うがい、着替えをこまめに心がけましょう。

また身体もすっぽりと包むようにしてください。髪の毛も覆うと良いです。
ビニール合羽で身体を覆い、使い捨てるのが理想ですが、合羽の上から
ビニール袋をもう一重かぶり、使い捨てるのも一つの手です。雨には特に
注意してください。降り始めが濃度が高いです。足元や靴にも気をつけてください。


避難所ではどうしたらいいのか

避難所でも、より被ばくをさけるいろいろな工夫を重ねることができます。
まず大切なのは、放射能を含んだチリが舞っている時は、外での
活動を控えることです。とくに注意したいのは食べ物の分配です。
屋内で行えるための準備を進めてください。

避難所はどうしてもたくさんの人が常時、出入りしていますので、密閉性を
高めることはできませんが、入り口のカーテンを二重にするなどすれば、
外気が入りにくくなります。また靴の泥なども良く落とすように工夫し、
外から持ち込まれるものを少なくしましょう。

とくに雨には要注意。このため外で活動するときには、合羽ですっぽり身体を
覆うか、ビニール袋を使い、目だけ穴をあけて合羽がわりにするといいです。
これらを出入り口におき、誰もが使えるようにしましょう。タオルも用意し、
濡れた人をふいてあげましょう。

また避難所ではみなさん、疲れがたまっているので、あまり神経質に
被ばくだけを避けようとすると、お互いの気持ちのズレが生じてしまい
かねません。この点にも注意して、それぞれに可能な工夫を重ねて
みなさんで被ばくを避けるようにしてください。


放射能はどれぐらいから危険なのか

被ばくを有効に避けるためには、一方で、放射能がどれぐらいから、
どれだけの危険性があるのかを知っておくことも大切です。私たちの周り
には、自然界から発している放射線もあり、私たちには抵抗力もあると
考えられています。その意味で怖がりすぎるとかえってマイナスです。

被ばくを避ける目安になるのは、国が定めている私たち一般人が
浴びる許容線量があげられます。これは1年間に1ミリシーベルトです。
シーベルトは、いろいろな放射線が人間の身体に及ぼす影響を概算した
ものです。

1ミリシーベルトを浴びると、長年経ってからガンになる確率が10万人に
5人の割合で生じます。(10万人に20人という説もある)。この確率は、
浴びる放射線総量が高まるにつれて上がっていきます。そのため
1ミリシーンベルト以上、浴びないようにしなさいと法律が定めています。

こうしたガンになる確率が低い値から生じることが、「にわかに健康に
被害はない」というアイマイな言葉を生む根拠になっています。にわかでは
なく、長年たったら被害がでる可能性があるのです。しかしそれは1ミリ
シーベルトで10万人に5人と低い割合から始まります。


放射線被ばくの影響には年齢と個人差が

ただし、この値は成人の平均値であり、乳児や子どもはもっと低い
値から影響が出ると考えられています。どれぐらいの違いを見込むか
意見が分かれていますが、大人の10分の1から3分の1ぐらいの幅で、
乳児への影響が見積もられると考えられています。

またお酒に強い人と弱い人がいるのと同じように、放射線に対しても
感受性の強い人と弱い人がいることも考えておく必要があります。
これらから年間1ミリシーベルトを許容値にすることには、合理性が
あります。より影響を受けやすい人も守れる確率が高いからです。

テレビやマスコミで流れている放射線への対処の情報には、この個人差
が無視されているものが多いです。100ミリシーベルト以下では健康に
害がないという記述すらありますが、まったく間違っています。わずかでも
害が生じるのが放射線で、浴びないにこしたことはありません。

またそのわずかな確率も人の感受性によって上下します。とくに
乳幼児や子ども、そして妊婦さんとお腹の赤ちゃんは、感受性が
高いので、最優先で守る必要があります。より年齢の高い方に
子ども、若い人たちのガードに回っていただきましょう。


放射能に前向きに立ち向かおう

同時に、放射線被ばくの害は、総量50ミリシーベルトぐらいまででは
長年経ってガンになる確率がだんだんに上がっていくものであるわけで、
被ばくしたら何もかも終わってしまうわけではけっしてないこと、
その意味で、恐れすぎないことも大事です。

ガンに対しては、医療の進歩によって、たくさんの治療法が開発されて
きていますし、ガン患者の方々の闘病記の積み上げもあります。
またガンにならないための方法も、たくさん提唱されています。
これらに学べば、けして確率が生じても怖いことはありません。

私たちの生活には、他にも危険な化学物質がたくさんあります。
農薬などを含めて、さまざまな物質が食品に取り込まれてもいます。
食生活を改め、健康生活を目指すことで、これら他のガンの因子を
取り除いていくことも、放射能に立ち向かうために有効です。

また実はガンの大きな因子は、ストレスです。このため周りの人々と
温かい絆をたもち、前向きな気持ちを作っていけば、この大きな
因子を取り除くことができます。その意味で、周りの人々と助け合って
生きて行くことそのものが、放射能汚染とのたたかいにもなります。


まとめます。
恐れからではなく、勇気をもって立ち向かう気持ちで、放射線被ばくに
対応していきましょう。そのために放射線がどのようなものかを
学び、どれぐらいからどのような危険が生じるのかを把握しましょう。
そしてみんなで助け合いながら、お互いを守っていきましょう。

とくに間近に迫っている窒素注入による高濃度の放射能の放出では
再び、野菜の汚染が高まったり、飲料水の制限がでたりする場合が
あります。ミネラルウォーターの需要も高まるので、子どもさんのおられる
家庭は、事前に買っておいて下さい。

あるいは少し前に、家のやかんやポットなどなどに水を満たしておくのも
良い手です。放射能は少しでも体内に入れないに越したことはないからです。
またそうした行為は、より大きな爆発などが起こり、たくさんの放射能に
襲われた時の予行演習にもなります。(そうした可能性もまだあります)

反対にどうしても安全な水が手に入らず、基準値を超した水しか手元に
入らなくなった場合、その水を飲まずに、脱水症状になる方が、赤ちゃんや
子どもさんにとって直接の危機であることも知っておいてください。被ばくを
恐れるために他のより大きいなリスクを背負わないようにしてしてください。


どうかみなさま。
強く逞しい気持ちで、放射能汚染と立ち向かってまいりましょう。


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3 コメント

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感謝 ()
2011-04-09 21:02:24
これからいろいろな人が生きるための本当に温かいアドバイスを感謝します。勇気と、一緒に生きる気持ちが大事なのですね。
返信する
海外まで意見を封殺できない (まわー)
2011-04-11 07:43:57
このような意見があります。

福島のメルトダウンが地下水に到達すれば、チェルノブイリより深刻

トム・バーネット博士


"Hawai'i News-" 2011年3月27日
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2011/03/post-c938.html


恐れるべきことと考えるべきことと、そして対処すべきことをわけつつ考えることが必要なのかもしれません。
また、TVがどれだけ表現を変えて報道しようとも、
小出氏の発言が2chなどを初め、あらゆるネット媒体で取り上げられたことを考えてみても、やはりこれまでのように、独占されたメディアを金で押さえる方法が破綻しつつあることをからも、もはや情報に関所を設けて遮断することも、それを都合良く変質させようとすることも難しくなっているのかも知れません
返信する
コメント、ありがとうございます。 (守田敏也)
2011-04-12 02:01:36
Kさん
コメントありがとうございます。そうですね。勇気と、一緒に生きる気持ち、ともに分け持っていきましょう!

まわーさん
コメントと情報をありがとうございます。
恐れるべきことと、かんがえるべきこと、対処すべきことを分けること、まさにその通りだと思います。

確かに情報はどんどん出て来ています。それだけに、何を恐れ、いかに考え、どのような対処に踏み込むのかが大事だと思います。

よければまたご意見をください。
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