明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(76)母乳調査・母子支援ネットワークからのメッセージを読む

2011年04月27日 17時00分00秒 | 明日に向けて4月1日~30日
守田です。(20110427 17:00)

昨日、同志社大学の授業に招かれ、原発に関しての話をしてきました。
福祉関係の授業で、受講生は女性の方が多かったのですが、話の初めの方で
母乳の汚染について触れると、学生さんたちがいちように、顔をさっと上にあげ
食い入るような目で話を聞いてくれました。女性だけでなく、男性のまなざし
にも熱いものがありました。学生さんたちの真剣な姿勢が嬉しかったです。


さて、その母乳汚染調査を行った「母乳調査・母子ネットワーク」から、報道
では調査内容について誤りがあり、誤解が生じているというメッセージが
出されています。この点をご紹介します。

ポイントとしては、この調査により、母乳の放射能汚染が国内で
初めて証明されたものの、調査は3月30日の時点でヨウ素の半減期を
考えると、水素爆発が起こるなどして、大量の放射能が出ていた時期の
汚染を十分反映したものにはなっていないという点です。

記者会見では、「政府が事故後、すぐに母乳の検査をしなかったことは
犯罪的で、ヨウ素が検出されないような時期になってから検査することは
許されない」とも語られたのですが、この辺がまったく記事に反映されま
せんでした。そのことをこのメッセージは告発しています。


僕も記事を紹介した時に、政府が調査を指示したことに触れて、こうした
ことで母子の安全が高まると良いと思うと書きましたが、確かにそうした
調査が仮に行われても、現時点での「安全」が強調されることにしか
なりません。

メッセージには、もっと早い時期、また飯館村など、汚染が高い地域での
検体を集められなかったことへの無念の思いも書かれていますが、その
悔しさには僕も共感する思いがあります。

かなりのひどい被ばくが、事故初期に起こってしまった・・・。
それが市民的に把握できなかったことをこの方たちは無念だと感じている。

僕自身も、あのときに、もっと力一杯、放射能から身を守ることを呼びかける
べきだったという思いがあります。チェルノブイリ事故の10分の1とも
言われる放射能が出ていた。そのときに、僕もまた非常にか細い声しか
だせていなかった。力及ばずして、残念です。

しかしそれを踏まえてなお、この調査は素晴らしいものだったと思います。
またメッセージは、政府に任せるのではなく、あくまで市民の側が自力で汚染を
把握していくべきことの重要性と、今後の努力を表明しており、僕も何らかの
形でこの調査を支えていきたいと思います。

どうか母乳汚染について胸を痛めている方に、以下のメッセージを
お伝えください。

***************************

母乳調査について、報道に誤りがあり、誤解が生じています。

 最初からの経緯を説明し、母乳調査の趣旨を説明したいと思います。
もし誰かに伝えられるならお願いします。

 母乳も放射能汚染する事は、チェルノブイリ後分かっていた事で、
私達は、母乳が調べられないことに危機感を持ちました。
(早い時期に民主党の議員にICRP2007年勧告の資料を付け、要請した
のですが・・・)

野菜、原乳、大気、水が調べられましたが母乳は検査されません。
野菜や原乳の中に飯館村などから数万ベクレルといった尋常ではない
高い数値があり、母乳で乳児には危険なレベルのものもあるのでは
ないかという心配をしました。しかもその時期から政府は日本産婦人科
学会の見解である「母乳は安全。飲ませた方が良い」との指導を繰り
返していたのです。

 そこで自分が取り扱っている牛乳の検査をするので、母乳も検査に
出す事にしました。とりあえず牛乳の産地である宮城、野菜で出荷停止の
出ている茨城県で、信頼関係のある生協に協力要請、福島県地元の反原発
のHPに掲載しました。周辺情況の調査も必要との考えからです。

 その結果、茨城の生協の方5名の内4名から放射性ヨウ素が検出され、
一番高かった方が36.3ベクレル/kgで、但し3月30日の検査ですので、
半減期を考えると水素爆発のあった3月15日頃はもっと高い数値だった
ことが想像されます。(食べた物による新たな内部被曝の可能性もあり
ますが・・・)

 母乳の放射能汚染が国内で初めて証明されたことになります。

 他のデータは、宮城県は全体的に汚染が少なく、福島県内で母乳を提供
してくださった方は、県内でも汚染の少ない地域であったり、3日目で
西日本に避難された方だったので不検出でした。残念ながら力不足で、
それ以上検体を集められませんでした。

 人づてに飯館村や葛尾村等々、汚染レベルの高い方に母乳の検査を
呼びかけようとし続けたのですが、それでなくても非情な厳しい情況に
置かれている方々にそういった事を伝えることができないと言う方ばかり
でした。メディアに取り上げられてから伝わるのではなく・・・とため
らったことで結果的に時期をずいぶん遅らせてしまいました。

 4月21日記者発表したのですが、すでに数値の低い場合は検出されない
時期となっています。会見では、河田さんが「政府が事故後すぐに母乳の
検査をしなかった事は犯罪的で、ヨウ素が検出されないような時期になる
となってから検査をすることは許されない」と発言したのです。

決してダメな政府を動かすためにやった検査でも会見でもありません。
 また、政府が大急ぎで本格的な調査などするはずがありません。

 たとえば、水道水の汚染に対し、乳児の粉ミルクを溶かないようにと
ペットボトルが配られましたが、母乳を飲ませているお母さん達も飲んでは
いけなかった事になり、政府の責任は重大です。

 母乳検査は一応取り上げられたので、問合せが殺到しましたが、東京や
埼玉、神奈川の方が多く、福島、茨城、千葉の方は受付けましたが、やはり
避難先で不自由な生活を強いられている、もっとも検査を必要とされている
所にはなかなか情報が届きません。(でもようやく少~し接点が出てきた?)
政府が動き出した?から市民の調査が役割を終えたのではありません。

 母乳調査はこれからです。チェルノブイリでも10年、15年経って子ども達
に白血病や甲状腺がんが現れました。将来万一何らかの病気になった時も
市民の手にデータを持っておくべきではないでしょうか?

 そして母乳検査の結果、支援が必要とされた場合でもすぐに動けるよう、
支援体制も整えるために「母乳調査・母子支援ネットワーク」を立ち上げ
ました。

 皆さんにいろいろ助けて頂きたいと思います。どうかよろしくお願いします。


母乳調査・母子支援ネットワーク
村上喜久子
携帯 090-6649-0311
支援カンパ 郵貯 12170-70089991
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