明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(2384)高浜原発3号機で再々度、蒸気発生器細管の損傷事故発生!高浜原発は廃炉にすべきだ

2023年10月22日 23時30分00秒 | 明日に向けて(2201~2400)

守田です(20231022 23:30) 

定期点検で損傷見つかるも今回も原因を特定できず

高浜原発でまたも蒸気発生器細管の損傷が見つかりました。9月から定期点検に入った3号機において、2本の細管の内側と外側の1カ所ずつが削れていたのです。
関西電力は「内側の傷は、加工の際にかかった力により、ひずみができたことが影響したとみられ、外側の傷は、配管の表面にできた鉄の酸化物で削れたとみられる」と発表しましたが「みられる」という点に原因が特定できてないことが現れています。
マスコミは「12月6日の再稼働が遅れる見通し」と報じていますが、事態はそんなに甘くない。

なぜなら蒸気発生器細管は、高浜など加圧水型原発のアキレス腱だからです。実際に1991年に美浜2号機の細管1本が破断し、一次冷却水が噴出して非常用炉心冷却装置(ECCS)が作動する大事故が起こりました。
このときはメルトダウン寸前で事態の悪化が止まりましたが、蒸気発生器の恐ろしい危険性が明らかになりました。
問題はこの細管の中を150気圧300度の熱湯が回っている点にあります。その周りに流れる二次冷却水に、細管の肉厚を介して熱を移して蒸気を発生させるのですが、ストレスに耐えられるものが作れておらず、繰り返し損傷してしまうのです。

高浜3号機は4号機とともに福島原発事故後に停止されたのち、2017年7月と6月に再稼働しましたが、その後の点検の度に損傷が見つかっています。連続7回も。しかも毎回原因を突き止めきれない。だから防止措置も施せず、繰り返しているのです。
より具体的には、損傷は2018年8月の3号機定期点検で1本が見つかったことを皮切りに、2019年9月4号機で5本、2020年1月3号機で2本、同年10月4号機で4本、2022年3月3号機で5本、6月4号機で12本と毎回、見つかっています。
そして2023年10月3号機で2本。破断すればメルトダウンを起こしかねない細管で毎回損傷を繰り返している。あまりに危険です。


高浜原発3号機 蒸気発生器の配管2本に傷 |NHK 福井県のニュース


しかも高浜3号機は対応区分引き下げを通告されている

高浜3号機はさらに原子力規制委員会により本年8月23日に「対応区分」引き下げの通告も受けています。
「対応区分」とは、2020年設けられた新制度によるもので、第一区分の「事業者による対応(事業者の自律的な改善が見込める)」から第五区分の「許容できないパフォーマンス(プラントの運転が許容されない状態)」に分かれています。
8月の通知は第二区分「規制機関による対応(事業者が行う安全活動に軽微な劣化がある状態)」への引き下げ。11月30日までに規制委による追加検査を受けねばなりません。

しかしなんとこの引き下げ理由には、この細管損傷が入っておらず、それ以外の理由だけで通告されているのです。以下の4点です。
「特定重大事故等対処設備の計装設備の一部部品の未装着」「原子炉水位計に信号を送る伝送器点検(フランジ部の水にじみ痕確認)のため水位計の機能停止」「通信衛星回線不具合による衛星電話(携帯)の使用不能」「蒸気発生器水位計の指示値低下」。
このため「事業者による対応」だけに任せられないとされ、追加検査を受けなければならなくなりましたが、その検査の前に、またも蒸気発生器細管損傷が起こったわけです。

さらに4号機では、2023年1月に制御棒が制御できずに落下し、原子炉が自動停止するトラブルも起こしています。制御棒は原発のアクセルとブレーキに相当しますからこれまた深刻です。
しかし関電はこの時も「核分裂反応を抑える制御棒を動かす装置で電気系統の異常が起きたことが原因と推定」としたまま、3月25日に再稼働してしまいました。
その後、制御棒に配置されたコイルのはんだ付け部分が外れたと特定されましたが、それがなぜ見過ごされてきたかは明らかにされていません。故障事故の捉え返しがないまま稼働が続いています。


高浜原発はすべて止めるべきだ-10月28日に京都市でお話します!

このように「より新しい」はずの高浜3,4号機で細管損傷が繰り返されています。その上3号機では「対応区分」引き下げにいたるトラブルを起こしており、4号機では制御棒が落下しました。
要するにこの原発は、欠陥部品=蒸気発生器の問題を克服できていないのです。その上にさまざまな経年劣化も重なり、次々とさまざまなトラブルが起きているのです。

高浜1、2号機もまた同じ欠陥部品=蒸気発生器を使用しています。より新しい3,4号機でこれほどにトラブルが繰り返されているのですから、1,2号機が安全などとはとても言えません。高浜原発はすべて止めなければいけない。
いや高浜だけではない。大飯、美浜、伊方、玄海、川内と、稼働している原発全てが欠陥部品=蒸気発生器を使用していてとても危険です。原発止めよ!の声を高めましょう。

これらの点を放射能汚染水海洋放出の問題などどともに、今後も訴え続けますが、10月28日に全印総連のお招きで京都市でお話しすることになりました。阪急西院駅そばのラボール京都4階第一会議室にて。午後1時45分から3時15分まで講演し、質疑応答が30分です。
ZOOMも設定されています。kyoto.zenin@gmail.com(全印総連)にお申し込み下さい。27日午後5時まで受け付けています。

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