明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(1761)今こそ、社会的共通資本を考える!・・・今日(12月1日)はこの企画に参加します!(上)

2019年12月01日 10時00分00秒 | 明日に向けて(1701~1900)

守田です(20191201 10:00)

● 京都ダイアローグ vol.3 「今こそ、社会的共通資本を考える」

ご案内が遅くなって恐縮ですが、今日はこれからこの企画に参加します。12時30分より京都市中京区のmumokutekiホールにてです。
「社会的共通資本」とはわが師である今は亡き宇沢弘文さんが考えだされたもの。その社会的共通資本をめぐる語り合いですからとても楽しみです。 基本情報を貼り付けます。

京都ダイアローグ vol.3 「今こそ、社会的共通資本を考える」 https://www.facebook.com/events/1129690760560205/

日時:12月1日(日)12:30〜17:00
場所:mumokuteki ホール 〒604-8061 京都市中京区式部町261 ヒューマンフォーラムビル3F
参加費:2000円
定員:70名
予約サイト:https://00m.in/Foog3

予約なしの当日参加も可能ですのでぜひお越しください!


今日の参加者です!

● 「耳をすませば」から

宇沢さんの社会的共通資本の考え方を的確に紹介している動画があります。2014年に亡くなられた宇沢先生を追悼して編集されたNHKの番組です。
同じ時期に亡くなられた菅原文太さんとお二人を扱っているのですが、文太さんのパートも含めてとてもよくできていると思います。 ご紹介しますのでぜひご覧ください。宇沢さんのパートは約13分です。

NHK 耳をすませば 第3回
「信じる道を歩んで 未来へ伝えたい言葉」
宇沢弘文(経済学者)、菅原文太(俳優)
2014年12月31日放送
https://www.dailymotion.com/video/x2dtzl8

この番組がよくできていると思うのは宇沢さんにとって大事なものがたくさん踏まえられているからです。
宇沢さんの紹介の最初の映像に出てくるのは成田空港の前に立つ姿。宇沢さんは成田=三里塚闘争に深く共感され、政府の暴力的な建設を批判し農民と政府との対話を切り開くために尽力されたのでした。
またこの番組では宇沢さんはピンクっぽい服を着られていますが、これは旧制一高ラグビー部のユニフォームです。先生が愛着されていたものでした。

宇沢さんは若い時は医師を志しましたが、ある理由から断念し、旧制一高から東京大学数学科に進まれました。しかし戦後の社会的混乱を見て社会に役立つ仕事をしたい、医師が患者を直すように経済学者として社会を直そうと考えたのでした。
その後、1956年にアメリカのスタンフォード大学から招へいを受けて渡米。すぐに頭角を表して35歳でシカゴ大学の経済学教授になりました。
しかしアメリカがベトナム戦争に参戦しのめり込みだす中で、多くの経済学者が戦争に協力するようになったことをみて痛く失望。中でも「新自由主義の祖」と言われるミルトン・フリードマンと鋭く対立しアメリカでの研究を断念。帰国されました。

● 社会的共通資本に目覚める!

宇沢さんはちょうど日本の高度経済成長が始まる頃に渡米され、大きな経済発展が実現されたころに帰られました。
帰国する前は宇沢さんは経済指標からのみ日本を見ており、どれだけの豊さんが実現されているか期待を持っていたそうです。
ところが帰国した宇沢さんの前に広がっていたのは自動車の洪水の中にある東京であり、全国に蔓延する公害の渦でした。大変、ショックを受けた宇沢さんは全国の公害現場を歩かれました。

水俣について語られる宇沢さん。聞き手は原田正純さん

中でも最も大きかったのは水俣病との出会いでした。番組の中にも出てくる水俣病を最も手厚く診た医師である原田正純さんに誘われて胎児性水俣病患者さんの家を訪れたとき、宇沢さんは戸口の前に立って涙を流されたそうです。
宇沢さんが思われたのは「これは経済学者の責任だ」ということでした。後年、宇沢さんはよく「経済学者になって社会を直そうと思ったのだけどね、社会を悪くしていたのが経済学だったんだね」と繰り返しおっしゃられていました。
水俣の海はなぜあれほどまでに汚染されてしまったのか。宇沢さんが着目したのは近代経済学の「自由財」という考え方でした。

近代経済学はすべてのものが市場の中で誰かの所有物になっていることを前提としています。しかし現実には所有の定まってないものがたくさんある。それらを「自由財」とし誰もが自由に使え、勝手に汚してもかまわないものとしてしまったのです。
この考え方のもとに海に、大気に、廃棄物がどんどん出されてしまった。しかし海も空もそれがなければ人々が生きていけない大切なものです。しかも近代以前の時代はさまざまな掟のもとに大切に社会的に管理されてきたものが多い。
宇沢さんはこれらを「社会的共通資本」という概念で捉えることを考えだしたのでした。したがって宇沢さんはこうも言われていました。「水俣はね、僕ら社会的共通資本を考えるものにとっての聖地なんだね・・・」

長くなってきたのでとりあえずここまでで配信します!

続く


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 明日に向けて(1760)平和の道... | トップ | 明日に向けて(1762)今なぜ、... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

明日に向けて(1701~1900)」カテゴリの最新記事