明日に向けて

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明日に向けて(887)台風8号接近中!最大の警戒心をもって対応を!

2014年07月08日 21時00分00秒 | 明日に向けて(801)~(900)

守田です。(20140708 21:00)

非常に大型で、7月のものとしては過去最大の勢力とも言われる台風8号が日本列島に接近してきています。
共同通信が14時34分に配信した記事には次のように記されています。
「気象庁は沖縄本島地方と宮古島地方への暴風と波浪の特別警報を継続。新たに両地方に高潮の特別警報を、沖縄本島地方に大雨の特別警報を発表し、最大級の警戒を求めた。
宮古島市や宜野湾市など12市町村は、計約22万世帯の約53万人に避難勧告を出した。」

台風は今後九州に接近、その後本州を東に進み、広範囲に被害をもたらす可能性があります。
とくに懸念されているのが「記録的な大雨」です。ここ数年の傾向を見ると、1日で年間降水量の何割かにも匹敵するような雨が降ってしまう可能性があります。
そうなるとこれまでの経験では考えられなかった土砂崩れや、川の越流などの水害が起こってくる可能性があります。非常に危険です。
ぜひ各地で最大級の警戒態勢をとられてください。必要を感じたら、ただちに命を守る行動に移ってください。

これまで折に触れて繰り返してきましたが、災害時に避難を遅らせるのは「正常性バイアス」です。
事態の危機的悪化を認めない心理が働いてしまい、事態は「正常に戻っていく」ないし「正常である」というバイアス=偏見をかけてしまうことです。
今回の台風でも「自分のところまで被害はこないだろう」と思うことが一番危険です。
正常性バイアスのロックを解除するのは事前の避難訓練。図上訓練で良いので考えられる事態を想定し、難を逃れる手段を考えておいてほしいです。

台風情報については、たくさんのニュースが出ていますが、状況は刻々と変わっていくので、リアルタイムで状況をつかんで下さい。一つの例として以下のニュースをご紹介しておきます。

台風8号 九州や本州へ 記録的大雨も
tenki.jp 2014年7月8日 15時41分
http://www.tenki.jp/forecaster/diary/t_yoshida/2014/07/08/13281.html

ここにはこう記されています。
「特に警戒が必要なのが、九州南部や四国で、明日から木曜日にかけて多い所では総雨量が500~700ミリ以上の大雨となる恐れがあります。
これはめったにない雨で、記録的な大雨となる可能性があります。土砂災害や河川の増水・氾濫、道路の冠水に警戒が必要です。」

突風にも備えなければいけませんが、とにかく「記録的な大雨」が強く強調されています。この機会にぜひとも行って欲しいのは、それぞれの行政が出しているハザードマップを手に取り、浸水予想や避難所の場所の確認を行っておくことです。ネットからダウンロードできます。
山間部に近いところをはじめ、危険が予想されるところは、晴れている間に散歩などで現場観察を行い、避難が必要になった場合のシミュレーションを行ってください。その際、自宅から避難所の間に、増水した場合に危険になる側溝などないか、確認しておいてください。
昨年の伊豆大島の事例などから、台風が接近した場合、それぞれの行政が早めに避難勧告や指示を行う可能性がありますが、私たちの側も勧告が出てから避難所を探すのではなく、あらかじめ危険個所と避難場所を確認しておき、明るいうちに早めに避難を行うことが必要です。

一方でハザードマップを見る際にも注意が必要です。マップで浸水予想地区とされている地域の住民は、警戒心を高めることができますが、浸水が予想されない地域の住民の場合、「自分のところは大丈夫だ」と考えてしまい、警戒心を解いてしまう場合が多くかえって危険だからです。
2011年3月に東日本大震災を襲った大津波のときにも、釜石市でハザードマップで津波到達が想定されていた地域の人々が高い確率で避難ができたものの、約1000名にのぼった死者のほとんどが、津波の到達が想定されていなかった地域から出てしまったという悲しい実例があります。
災害対策においては「想定にとらわれてはならない」ことを強く頭に入れながら、ハザードマップを活用するようにしてください。「安心」するためでなく、災害に強い心の態勢を作るための事前準備として、行政が出している情報を活用してください。

実際に大雨が降りだした場合はどうしたら良いでしょうか。怖いのは「土石流」「地すべり」「がけ崩れ」ですが、これらにはそれぞれ次のような前兆があることがあります。
「土石流」の場合  
〇山鳴りがする。
〇急に川の流れがにごり流木が混じっている。
〇雨が降り続いてるのに川の水位が下がる。
〇腐った土のにおいがする。
「地すべり」の場合 
〇沢や井戸の水がにごる。
〇地面にひび割れができる。
〇斜面から水がふき出す。
○家や擁壁に亀裂が入る。
〇家や擁壁、樹木や電柱が傾く。
「がけ崩れ」の場合 
〇がけに割れ目が見える。
〇がけから水がふき出ている。
〇がけから小石がパラパラと落ちてくる。
〇がけから木の根等の切れる音がする。
このような兆候が見られた時には、行政からの指示がなくても、自主避難を行ってください。

ゲリラ豪雨についても、目安が語られるようになってきましたので、それを列挙します。
〇天気予報に「所によりにわか雨」「大気の状態が不安定」「大雨、落雷、突風、竜巻、雹(ひょう)」のキーワード。
〇防災気象情報で「大雨・洪水警報」「大雨・洪水特別警報」「周辺や川の上流で大雨」が語られる。
〇川の水かさが急に増えてきたり、濁ったり、木の葉や枝、ごみなどが大量に流れてくる。
〇雷鳴が聞こえたり雷光が見えたりする。
〇ヒヤッとした冷たい風が急に吹き出す。
〇大粒の雨や雹(ひょう)が降り出す。
〇黒い雲が広がり急に暗くなる。
豪雨の場合、近くの川からの洪水などが考えられます。この場合、「土石流」「地すべり」「がけ崩れ」などが考えられない地域では、2階以上に避難していれば安全を確保できる場合があります。この点も事前に確認を行っておいてください。

続いて避難行動に移る際の目安についても書いておきます。前提的に危機の察知においては自分の五感を大事にし、以下に書いたことに当てはまらなくても「避難したほうがいい」と感じたら行動した方がいいです。その上で目安を書きます。
〇市町が自主避難を呼びかけたら。
〇前触れと思われる現象(前兆現象)を発見したら。
〇近く(同じ市町内や隣接する市町)で土砂災害が発生したら。
〇これまでに経験したことのない雨を感じたら。

避難行動に移るにあたっての心得も書いておきます。
〇防災気象情報、防災避難情報に注意。
〇車で避難しない⇒ワイパーやブレーキが効かなくなる。アンダーパスに突っ込むと立ち往生。
〇浸水が40~50㎝になると外開きドアは開かない。歩行も困難。⇒早期自主避難が大切。
〇「遠くの避難所より、近くの2階」。(ただし家屋の流失の危険性がない場合)
〇避難するときは隣近所に声を掛け合う。
〇避難者同士それぞれロープをつかんで避難。
〇荷物は最小限にしできるだけ両手を開けて避難。
〇マンホールや側溝のフタが外れているとすごく危険。傘や棒などで前を探りながら進む。
〇避難時はヘルメット、手袋、雨具、長ズボン、長袖シャツで。懐中電灯も。
〇長靴は水が入ると動けなくなる。脱げにくい紐スニーカーなどで避難。
〇火の元、ガスの元栓、電気のブレーカーを閉じ、戸締まりして避難。
〇半地下・地下室には近寄らない。
〇川、側溝、橋、マンホールに近づかない(絶対に様子を見に行かない)

なおより詳しいことを知りたい方は、防災心理学の知見から優れた啓発を繰り返している「防災システム研究所」のホームページをご覧ください。僕もここから「正常性バイアス」のことなど、重要な点を学びました。

防災システム研究所
http://www.bo-sai.co.jp/index.html

またハザードマップの危険性の問題をはじめ、釜石市などでの実例に学びたい方は、群馬大学災害社会工学研究室のホームページをご覧ください。ここからも僕はさまざまなことを学びました。

群馬大学災害社会工学研究室(釜石市の例を述べているページを紹介)
http://dsel.ce.gunma-u.ac.jp/research/cont-302-4.html

気象庁も災害対策をホームページに載せています。ご参考ください。
http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/ame_chuui/ame_chuui_p1.html


今、私たちに問われているのは、災害に対する主体性、能動性です。命を守ることを誰かに委ねるのではなく、今できる最大限のことを行っていくことが問われているのです。
こうした観点は、すべての災害に対して適用できるもの。原子力災害から身を守ることにもつながっていきます。大事なのは事前にシミュレーションを重ねることです。

命を相互に守りあうためにも、万全の態勢で台風に向かいあいましょう。

(なお、今回の記事は昨年10月に台風28号接近時に書いた「明日に向けて(755)次の台風(27号)が迫ってきている!災害対策の強化を!」を必要において書き換えて作作成しました)

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