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明日に向けて(2105)岸田首相の「新しい資本主義」はまやかし。新自由主義を本当に止めることが問われている

2021年10月20日 11時00分00秒 | 明日に向けて(2101~2200)

守田です(20211020 11:00)

いまこそ「新自由主義」とななにか、「資本主義」とはなにかの考察を深めよう

総選挙を前に、いや総裁選の過程から岸田新首相が「新しい資本主義」というフレーズを使い出しました。所信表明でこう語りました。
「新自由主義的な政策については、富めるものと、富まざるものとの深刻な分断を生んだ、といった弊害が指摘されています。
世界では、健全な民主主義の中核である中間層を守り、気候変動などの地球規模の危機に備え、企業と政府が大胆な投資をしていく。そうした、新しい時代の資本主義経済を模索する動きが始まっています。」

なぜこれを言い出したのか。自ら述べているように、新自由主義のもとで経済的格差がどんどん開き、人々が苦しみにあえぐ中で、批判が高まっているからです。
では岸田首相は本気で新自由主義の克服を考えているでしょうか。どうみても真剣だとは思えません。そもそも「新自由主義とはなにか」をきちんと明らかにしていないし、それを強烈に推進してきた自公民政府の行いへの反省もないからです。
「変える必要がある」といいながら、それまでの問題点を掘り下げることも、責任の所在を問うこともしない。それで事態が変えられるはずなどありません。


「新しい資本主義」の実現目指す 就任後初の所信表明演説 TBS NEWS 20211008

新自由主義とは金儲け最優先の反道徳的な考え方

大事なのは新自由主義のどこがどう問題なのかを明らかにすること。このために今回はこれまで行ってきた講演の中から、この点について論じたものの切りだしを行うことにしました。
2019年2月23日に宇治市で市議会議員選挙に挑戦しようとしていた、佐々木まゆみさんが主催する井戸端カフェにお招きいただいて、話した時の動画の中からのピックアップです。(佐々木さんはその後、当選。市議として頑張っています)
講演全体のタイトルは「やさしい経済の話 社会的共通資本について」。今回はそこから「新自由主義とはなにか」について、創始者のミルトン・フリードマンの人となりを示す逸話を宇沢先生の話から紹介した部分を切り出しました。



この中で宇沢先生が、1965年にイギリスのポンドが切り下げられようとしていた時に、ミルトン・フリードマンが、「空売り」をしようとしていたことについて述べています。
動画の中で詳しく紹介しましたが、「空売り」とは元手を無しに、為替の差を利用して儲けを作りだす錬金術です。これを行うためにコンチネンタル・イリノイという銀行にいって英ポンド1万ポンドを借りだそうとしたのでした。
ところが「われわれは紳士だからそんなことをしない」と断られてしまいました。このことにフリードマンは激怒し、「資本主義のもとでは儲けられるときに儲けるのが紳士だ」と言い放ったそうです。

このように、もともとミルトン・フリードマンが広めた「新自由主義」とは、お金儲けを最優先し、そのためには社会的道徳や倫理観を壊すこともいとわない考え方です。
だから新自由主義に染まった社会ではモラル崩壊が起こり、社会的混乱が起きます。実は「紳士」だったはずのコンチネンタル・イリノイもその後、「投機的な儲け」に走って節度を失い、1985年に事実上、倒産してしまいました。
そんなインモラルなものを進めてきたのが、これまでの自民党公明党政権でした。真摯な反省がなければ転換などできようはずがありません。

なお動画全体についてもご紹介しておきます。
守田敏也講演「やさしい経済の話 社会的共通資本について」

続く

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