明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(2452)福島原発燃料デブリ取り出し作業延期問題の本質はそもそも取り出しなど不可能なこと見て見ぬふりをしていること!

2024年08月23日 23時00分00秒 | 明日に向けて(2401~2600)

守田です(20240823 23:00)

2021年から3年延期していた燃料デブリ取り出しがまた延期

22日に始められる予定だった、福島第一原発2号機の燃料デブリ取り出し作業が、トラブルによって直前で中断、延期されました。
計画では伸縮する細いパイプ状の取り出し装置を格納容器の横から差し込み、先端からデブリをつかむ器具をぶるさげて数グラムをつかむ予定でした。
しかし取り出し装置を押し込むためのパイプ5つの順番が間違っていることを直前に察知、作業の中断に至ったとされています。

また延期というのは、そもそも燃料デブリの取り出しは廃炉ロードマップで2021年に始められるとされていたからです。
しかし取り出し装置の不具合などによって3年余り延期されていたのですが、今回、またしても失敗。
これに対して国や福島県が、「初歩的なミスをするなどけしからん」と、東電に厳重抗議を行っています。


作業中止を報じるNHKニュースより


またも延期したことより取り出しなど不可能なことを見て見ぬふりをしていることが問題

しかし本当の問題は「初歩的なミス」をしたことにあるのでも、「延期を余儀なくされた」ことにあるのでもありません。
そうではなくて、そもそもデブリの除去など不可能なこと。放射線値があまりに高い上に対応できる技術もないのでできっこないのに、できるかのように偽っていることにあります。
そもそも今回、取り出そうとしたのはせいぜい3グラム。事故から13年半近く経っているのに、それしか目標にできない。

ではデブリはどれぐらいあるのかというと推定で880トンです。しかも1号機から3号機に分かれて存在していて、どのような状態になっているのかも把握できていない。
今回、3グラムをとってきて分析することで、デブリの実態を解明するといっていますが、880トンのうちの3グラムで何が分かると言うのでしょうか。分かるのはその3グラムかせいぜいその周辺のものだけ。
しかも繰り返しますが13年半かかって、耳かきいっぱいほどのデブリも捉まえられていないのです。それでどうしてあとの880トンを取り出せるのか。ちなみに政府と東電は廃炉を2051年までに終えるとしています。


燃料デブリ取り出しは2021年からとされ廃炉官僚は遅くても40年後(2051年)とされてきた 資源エネルギー庁のHPから 2017年掲載


小出さんが不可能を断言、推進派の沢田氏も「100年単位でかかるという見積もりも出ている」と発言

「デブリ取り出しは不可能」「廃炉できないなら『石棺』で封じ込めるしかない」と明確に発言している方がおられます。小出裕章さんです。AERAの2022年3月7日の記事で明言されています。

福島第一原発「デブリ取り出しは不可能」と専門家 廃炉できないなら「『石棺』で封じ込めるしかない」
https://dot.asahi.com/articles/-/41837?page=1


小出裕章さん AERAの記事から

実は原子力推進の立場に立つ御仁からも、デブリ取り出しについて「10年20年で終わらないのはもう明らか。100年単位でかかるのではないかという見積もりも出ている」という発言がでています。元東工大助教の澤田哲生氏です。テレ朝news2023年3月11日の記事です。

わずか1gの燃料デブリも取りだせない・・・福島第一原発 廃炉はいつ終わる
https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000291080.html


澤田氏も「100年単位でかかるのではないかという見積もりが出ている」と発言

さらにNHKも原発特設サイトで、福島原発事故から10年目に、廃炉作業は予定通りにはとても進まないのではとの「懸念」をちりばめた記事を発しています。2021年3月です。

原発事故10年 残り30年で廃炉の作業を終えることができるのか
https://www3.nhk.or.jp/news/special/nuclear-power-plant_fukushima/feature/article/article_09.html


NHKも繰り返し懸念を表明

「デブリ取り出しは不可能」と事実を事実としてきちんと言い切っているのは小出さんだけですが、しかし多くの方が「本当にできるのだろうか」「無理なのではないか」と発言している。ようするに多くの人々が「無理だ!」と分かっているのです。
にも関わらず多くの人が、はっきりと「不可能だ」と政府、東電に認めさせ、方向転換させる努力を行わず、見て見ぬふりをしている。これが良くない!これが危険なのです。

続く

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