明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(411)アメリカは80キロ圏内退避をも日本政府に提起していた!

2012年02月22日 23時30分00秒 | 明日に向けて(401)~(500)
守田です。(20120222 23:30)

なんでもアメリカのいいなりになる、私たちの情けない政府が、珍しくアメリカ
の勧告を無視していたことが明らかにされました。なにかといえば福島原発事故
直後の退避に関する勧告です。アメリカは昨年3月12日には、炉心損傷の可能
性ありとして、半径50マイル=80キロ圏内退避を提案したいたというのです。
いつもはアメリカに容易に屈する日本政府が、自らの対面を守る時だけは、勧告
をつっぱねた。・・・ため息がでます。

もちろん、なんでもアメリカに従えばいいなどとはまったく思いませんが、少な
くとも、このとき、この勧告を受け入れていれば、15日の高濃度の放射能の漏
出による被曝から多くの人々を救うことができたはずです。80キロ圏内の人々
が逃げ出していれば、どれだけこれからの惨劇が防げたかと思うととても残念な
思いがします。勧告を無視し、あたら住民を被曝させてしまった責任者は鋭く追
求され、妥当な処罰が与えられるべきです。

ところが政府や役人たちは、それを避けることにばかり頭を使っている。何が
なされているのかといえば被曝隠しです。100ミリシーベルト以下では、影響
がないなどと、原子力推進派の国際放射線防護委員会(ICRP)ですら認めていな
い見解を流布し、これ以内だったから健康被害は生じない=政府に責任はないと
いう見解を押し通そうとしているのです。

ただこの記事には、大きく欠けているものがあります。アメリカがこの80キロ
圏内退避勧告を、自国民に対して、その後も長く継続してきたことです。これが
解除されたのは、ようやくにして昨年の10月8日です。しかも「計画的避難区
域・特定避難推奨地点」を除くとされたほか、30キロ圏内において、妊婦・こ
ども・高齢者の居住禁止を続けることをこの時点で明示しています!その意味で、
日本政府はアメリカの勧告と判断を、その後も無視し続けて、いまも無視してい
るのです。

さらにこうした事実は、今後、再びどこかの原発で深刻な事態がおこったときに
必ずまた同じことが繰り返されることを暗示するものです。なにせ、判断を間違
えたことを認めていないのですから。昨年3月の事故対応のあやまりやまずさを
捉え返し、避難訓練に反映させる・・・ことなど何もしてないのですから。まさ
に私たちは、二度でも三度でも、政府に見殺しにされ、被曝を強制されかねませ
ん。この記事から読み取るべきことは、過去のことではなく、こうした今、私
たちの目の前にある危機です。

市民の側で事故への備えを強めていくこと、避難訓練を含めて可能な準備をして
いくことの重要性がますます浮かびあがっています。この事実をこそ、読み取っ
ておきましょう。

*********************

米当局 メルトダウン想定して対応
NHK NWESWEB 2月22日 19時30分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120222/k10013199921000.html

アメリカ原子力規制委員会は、東京電力福島第一原子力発電所の事故発生直後の委
員会内部のやり取りを記録した議事録を公表しました。この中では、アメリカ当局
が、事故発生から5日後には、最悪の事態を想定すると1号機から3号機までの3
つの原子炉がすべてメルトダウンする可能性もあるとして、日本政府が付近の住民
に出した避難・屋内退避指示よりも広い範囲の勧告を行うよう提起していたことが
分かりました。

アメリカ原子力規制委員会は、21日、東日本大震災が発生した去年3月11日か
ら10日間にわたる、委員会内部の電話などによる緊急会議のやり取りを記した
3000ページ以上にわたる議事録を公表しました。

それによりますと、事故発生から2日後のアメリカ東部時間12日には、福島第一
原発の敷地内の周辺でセシウムなどが検出されたことが分かったことから、少なく
とも原子炉内部で部分的な炉心損傷が起きている可能性があるなどとして、発電所
から半径50マイル=およそ80キロ圏内に避難勧告を出すべきはないかと、幹部
が原子力委員会に対して進言していたことが分かりました。

さらに、16日には、原子力規制委員会のヤツコ委員長が、最悪の事態を想定する
と、1号機から3号機までの3つの原子炉がすべてメルトダウンする可能性もある
と指摘し、また、ボーチャード事務局長が、「同じ事態がアメリカ国内で発生すれ
ば、原発から50マイル以内には避難勧告を出すのが妥当だと思われる」と述べて、
日本政府が福島第一原発の付近の住民に出した半径20キロ圏内の避難指示、20
キロから30キロ圏の屋内退避指示よりも広い範囲の勧告を行うよう、委員会に
提起していたことが分かりました。

今回、公表された議事録は、アメリカの規制当局が福島第一原発の事故を受けてど
のような初動対応を行ったかを示す資料だけに、関心を集めるものとみられます。

錯そうする情報

今回公開された議事録からは、事故直後の情報の錯そうぶりも伝わってきます。
3月16日の早い段階では、東京で対応に当たっている専門家チームのメンバーが、
「東京電力から、4号機の使用済み燃料プールに水が残っていないとの情報を得た」
として、とにかく注水を急ぐべきだとしています。しかし、ヤツコ委員長らが、
50マイル圏内の避難勧告を出すと決めたあと、同じ日の遅い時間になって、
「東京電力は、燃料プールに水が残っていないとは言っていない」という情報がも
たらされ、委員長が、正確な情報を改めてスタッフにただす様子もうかがえます。

専門家チームのカスト代表は、「東京電力が扱うには、あまりに問題が大きすぎる」
と漏らし、日本側との間で、情報が錯そうしていたことをうかがわせています。

議事録とは

公開された議事録は、原子力の安全規制を担当する原子力規制委員会が、アメリカ
として、東京電力福島第一原子力発電所の事故への対応を検討するために開いた電
話会議などの内容を記録したものです。議事録は、アメリカの情報公開法に基づい
て公開され、事故が発生した3月11日から20日までの10日分、合わせて
3200ページ余りに上ります。

議事録には、原子力規制委員会のトップであるヤツコ委員長と、日本に派遣されて
いた担当者などとの間で交わされたやり取りが詳細に記され、日本側から得られた
福島第一原発に関する情報などを基に、委員会が日本に滞在するアメリカ人の避難
などを検討していった様子がうかがえます。一方、議事録では、日本にいる担当者
と当時の北澤防衛大臣ら防衛省幹部とのやり取りを記した部分など一部が黒く塗り
つぶされ公開されていません。非公開の理由について、委員会側は、「外国からも
たらされた情報で機密に当たる」と説明しています。
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