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明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(42)福島原発の現状をどう見るか(後藤政志さん談)

2011年04月14日 17時30分00秒 | 明日に向けて4月1日~30日
守田です。(20110414 17:30)

本日のお昼頃、国会で院内集会が行われ、後藤政志さんが、福島原発の
現状に関しての説明をされました。社民党の福島瑞穂さんなど、議員さんも
参加していました。

いつもながら、後藤さんのお話は、彼の技術者魂とでも言うべきものが、切々と
伝わってくるもので、大変、胸を打たれます。技術者魂とは、技術をもって、
人々の幸せに貢献しようとする心だと僕には思えます。

原子力の体系は、そうした技術者魂と殺してしまうものだと思います。
後藤さんは全身で、それに抗議しておられるようにも思えました。

非常に示唆的な内容だったので、ノートテークをしましたが、話された内容の
全文の書き起こしてはなく、守田による要約的なまとめを行っています。
また最後の方で急ぎ足で説明された部分を、省略してあります。

この重厚な内容を、解説的なまとめとともに、みなさんにお届けしたいのですが、
今、どうしてもこれ以上、時間をとれないので、まとめは数時間後に行う
ことととして、先に後藤さんの話された内容をお届けします。

今回も、あくまで後藤さんが話されたそのままの言葉ではなく、守田が
聞き取り、ポイントをまとめていることに注意してください。
引用などで使われる場合は、原子力資料情報室のページから
中継録画にアクセスし、確認をされるようにお願いします。または
守田が聞き取った内容と明記してください。なお小見出しも、読みやすく
するために、守田がつけてあります。

以下、後藤さんのお話の要約をお伝えします。

********************************

福島原発の現状をどう見るか
後藤政志さん 4月14日院内集会にて


国際的評価について
格納容器に放射能が閉じ込められれば大事故ではなかった。漏れ出て
しまったことに一番の問題がある。

現在はチェルノブイリの1割とか言われているが、海や地下水に出ている
ものは測られていないので、正確さはない。だんだんより大きい数値に
訂正される可能性がある。


福島原発の概要
福島原発はGEが開発した。1号機が一番古く、2号機から5号機までが
次世代(改良型)、6号機はその次の世代で、1号から5号までは格納容器の
型式がマーク1型、6号機がマーク2型になっている。

電気出力は1号機が460MWe。熱量の三分の一しか電気に変えられない
ので熱量としてはその3倍ある。2号機から5号機は784MWe、6号機が
1100MWeの電気出力がある。

原子炉圧力容器の最大圧力が、1号機から4号機が8.24MPa、5号機、
6号機が8.62MPaになってる。ほぼ82気圧から86気圧ぐらい。
格納容器の最大圧力が、1号機は0.43MPa、2号機から5号機が0.38MPa、
6号機が0.28MPaで、1号機では約4.3気圧である。

格納容器の最高温度が1号機から5号機まで138度。6号機はドライウェル
部分が171度、サブレッションチェンバーが105度となっている。

非常用ディーゼル発電機があり、外部電源を喪失したときのために
それぞれに2台設置されている。6号機だけは3台ある。


事故の概要と再臨界阻止のためのホウ酸水投入
事故時、地震によって、送電線が切れて、外部電源を失い、津波によって
非常用ディーゼル発電機が止まって、全電源喪失事態に陥った。
このため全ての電源ポンプも止まったが、1号機だけ非常用の復水ポンプが
作動し、8時間ほど回っていた。

より細かく見ると、1号機では地震により、運転が止まった。核分裂反応は
止まったが、崩壊熱が発生し続けている。しかし交流電源を喪失し、注水
機能を喪失した。

そのため12日に原子炉格納容器の圧力が異常上昇し、ベントを開始した。
その直後に、水素爆発が起こった。
その後、炉心に海水とホウ酸の注入を開始。

内部はぐちゃぐちゃになっている。その場合、燃料と燃料の間に水が
入ると、再臨界を起こす可能性がある。それだけは絶対に起こしてはならない。
それでホウ酸水を入れている。

今ではこう言ってもそれほど非難はこないだろう。当初は再臨界などというと
怒られた、お前、そんなことは言うなと。しかしそんなことはない。原子力では
こんなことは常識だ。水素が出て爆発する可能性がある、溶融物が出てきたら、
水蒸気爆発が起こりうる、再臨界を起こしたら最悪だ、これが3原則だ。

普通の設計条件ではなく、それをはるかに超えるシビアアクシデントを研究
している人間は、常識としてそうしたことを考える。
そのためホウ酸水と注入しているのであって、それをしながら再臨界がない
などというのは詭弁だ。絶対に起こしてはならないから入れている。

だったらそう認識しなければならない。そのためにホウ酸を入れていることを
説明しなければならない。それがないために、人々の意識は海に出て行って
いる放射能に注がれている。それも大変なことだが、それは末端なのだ。

出てくるのは格納容器からだ。そこが破られてしまった。破られて一旦、
環境に出たものは回収できない。だからやむを得ないというのは事実だ。
しかしこれはもう原子力プラントとしての破たんだ。

止めることには成功した。しかし冷やすことに失敗している。閉じ込めること
にも失敗した。この時点でプラントとして破たんしてしまったのだ。

それは初日で分かった。これはもう破たんしたと思った。ところがそうした
ことが何ら発表されない。それで私は独自に発表を行った。

それが爆発的に行くと、チェルノブイリのようにより遠くに行くことになるが、
ともあれ現状でも漏れていることは事実なのだ。


保安院のデータによる事故の分析
保安院がまとめたデータを解析すると一定の推測ができる。
水素爆発が起こった。これの原因解明が必要だが、これは建屋を破壊して、
原子炉格納容器への影響は少なかったようだ。幸いだと言える。

ECCS(非常冷却装置)が動いたら、1時間に千トンの水を入れられるので
あっという間に冷える。しかしこれが動かないので、消火系から水を入れて
いるが、これは1時間から2トンから10数トンしかない。数十分の一から
百分の一で入れているから冷えない。

原子炉が冷えないと、その温度は格納容器にいく。そうなると格納容器が
壊れないようにベントしなければならない。そのため圧力と温度の双方が
問題になる。

これは明日終わるとか、明後日終わるとかの問題ではなく、月単位以上、
かかる問題としてある。

同じく3月の31日までの原子炉のデータを見てみる。しかし初めから、原子炉の
圧力が運転時の10分の1になったものから発表されている。それはなぜかが
問題になる。

原子力の水位のデータが出ている。1.5メートル以上露出していることが
明らかになっている。スリーマイル島事故よりもひどい状況で、非常に深刻だ。
私はむしろよく今日まで来ているなと思っている。途中で破局的な事故に
なることを、何度も心配した。

今は破局に向かっているということはなくなってきているのだろうとは思う。
しかし油断を許すような状態ではけしてない。なぜかというと、熱源がそのまま
ある。今も非常に少ない水を入れている。それがとまってしまったらすぐに
危機になる。

今はもともとプラントにある設備で冷やしているのではない。それが全部
ダメになって、外から非常用のポンプを持ってきたりしている。それを理解
しないと、まったく今の事態をとらえることはできない。非常に深刻だ。
そのため何をおいても冷却に努力しているはずだ。他を捨ててもやらなくては
ならない。

しかしそれが他の問題も作る。原子炉の側に気をとられているうちに、
燃料プールが干上がってきたりする。そこにも燃料がある。
そこでまた問題が起こりえる。


1号機に十分な水が入っていない可能性
再度、1号機を見ていく。
ここには「隔離時復水器」というものがついていて起動した。これは古いもので
1号機にのみある。8時間は動いたがそれで止まった。その後、どんどん
悪くなった。そのため緊急で水を入れる経路を作って、細々と入れている。

しかし原子炉の水位低下が起こり、炉心が露出し、過熱して被覆のジルコニウム
が溶け、水と反応して水素が発生した。
おそらく格納容器の上部に水素がたまり、圧力でフランジがおしあげられて
水素が出たと私は考えているが、これは仮説に近い。

今日、一番、お話したいのは次の心配だ。これは私だけの意見ではなくて、
他の技術者の方の意見を聞いて考えたものだ。
なぜこんなに長い時間、1号機だけ冷えないのか。

炉心を水漬にする必要があるのだが、どのように水が入ってくるのかというと、
いったん外側から水が入ると、すぐに炉心に入らない。それで再循環
ポンプという経路を通って入るという回路を経る。

その途中で漏れてしまっていると、ほとんど炉心にこなくなってしまう。
そのため水を入れていて、冷却できていると思いたいが、実は水が
届いていない可能性がある。あるいは炉心の中のある部分までしか入ら
なくなっている。このことが懸念される。

水素爆発については、小さなことでもありうる。地震が来て、金属がすれて
火花が散ると着火しうる。そのため火種はどこにでもある。
そうなると問題は水素の濃度ということになる。


ベントに見られた矛盾
1号機について、原子炉の配管には高圧系と低圧系がある。このため
高圧用のポンプもある。それ以外に低圧系がある。それの組み合わせが
非常用の冷却系だが、それが全部だめだった。

それで格納容器の圧力があがったので、ベントした。しかしこれは本来
あってはならず、設計上もつけてはいけない毒ガスが出るバルブだ。
当時は過酷事故などないと考えてこうしたものはつけなかった。

しかしスリーマイル島事故があり、過酷事故を考えるようになった。しかし
それは確率的に非常に小さいことでほとんどありえないことだと考えられた。
そしてほとんどありえないことのためにと、半端な弁がつけられた。

ヨーロッパでは発想が違う。毒ガスを出す弁になるので、非常に重厚な
フィルターがここについている。大変、大きく特殊なものがついている。
日本は建前で進んだ。「起きるかもしれないけれど、そんなことは考えなくて
いい」とした。そのため国や安全委員会はフィルターをつけることを、
電力会社に義務づけていない。

民間が自主的に、シビアアクシデントに備えるようにとなっている。
法的義務を化していない。しかし毒ガスを出すのは嫌だろう。とても
民間の判断でできることではない。それで民間の決定でやるのか、
政府の判断でやるのかというやりとりがあった。
過酷事故対策全体がこうした構造になっている。


4号機プールについて
4号機の経過をみていく。
運転してなかった。その使用済み燃料プールの温度が84度になり、
爆発が起こり、3階で火災が発生した。
ここがまた90度になったと言われている。
これも非常に危機的な問題だ。

プールの水位が低下すると、燃料棒が損傷し、放射能が出てくる。
長期冷却ができない状態にある。

燃料集合体の数を見てみると、炉心に1号機は400体、2号機は548体、3号機も
548体ある。4号機は炉心にはないが、プールを見てみると、1号機292体、
2号機587体、3号機514体に対して、4号機は1331体もある。
もの凄い本数で、もの凄い熱量がある。

そこに水を入れているが、センサーが壊れていて、水位がよく分からない。
その状態で水を入れているが、水温があがっていく。これは非常にゆゆしき
ことだ。

事故の本質は、はじめにどれだけ危険率があるかにかかっている。もともと
危険なものがどれだけあるかだ。その点ではチェルノブイリよりも、日本の方が
はるかに危険だ。持っている危険物の量がめちゃくちゃに多いからだ。
それが破局的な爆発にいたっていなくて、まだ漏れが少ないというのが現状だ。

そうした危険なものを、技術でコントロールできることを前提にしている。しかし
「想定外」を口にするような人たちがやっていることは私は絶対に信じては
いけないと思う。想定外などありえてはいけないのだ。


繰り返され、隠されてきた制御棒関連事故
現状を再度、とらえ返してみる。
原子炉の冷却に失敗した。現状では非常に少ない水量で冷却をおこなっている。
これでは完全に冷やせないが、止めるとメルトダウンしてしまうので、続ける
以外に選択がない。

原子力は安全だということが崩壊している。
今回は、止めることはできた。しかしこれまで制御棒の事故はなんども
起こっており、地震で制御棒が必ず入るとは言えない。

同時に運転が止まった状態は、非常時への対応がとれない状態でもある。
止まっている原発は安全なのではなく、例えば燃料交換で原子炉の蓋が
あいていればもっとも危険な状態にあり、そのような状態で地震などに
襲われれば極めて深刻な事態になりうる。その意味で、止まっている原発が
安全なのではけしてない。

1999年6月18日に志賀原発で、制御棒の3本が脱落し、臨界が起こった事故が
あった。こうした制御棒が入らない、脱落するという事故は非常に多い。
これが私が原子力の安全性を最終的に否定した要因だ。

しかし技術者たちはここを認めない。設計者仲間と討論した時に、私が
この点での事故の可能性を指摘すると、そんなことはありえない。ここだけは
もの凄く丁寧に作っているので、そんな事故は起こらないという反応しか
かえてこなかった。何度もそうした話をした。私もそうだと思いたかった。

ところがもの凄い回数の、挿入時の失敗や、脱落事故が重ねられていたことが
長い間隠されていて、かなり後になって発表された。このときに私はもう
ダメだと思った。

ところがみなさん、これをあまり心配されていない。これは私は最悪だと思った。
こんなことをおいておいたまま、原子力などよくやるなというのが私の認識だった。
それに加えて次のことがある。


確率的にごく低いからといって、事故の可能性を容認してはならない
止めるに続いて冷やす、閉じ込めるが安全原則として言われてるがこれも
失敗した。2号機、3号機の原子炉圧力は、大気と同じになっている。密閉性が
明らかにない。

どこかが溶けているのか、壊れているのか分からないが、普通では原子炉
圧力容器に穴が開いているのは、尋常ではない事態だ。
しかも格納容器まで損傷している。放射能が5重の壁と突破して出てきている。
格納機能が全部突破されている。

これは津波のせいだなどとは言えない。理屈で言えること、物理的に想定
できることは、事故では起こりうるのだ。実際に起こりうることは起こると考えて
対策を立てるのが、安全上の原則だが、原子力を進めている人たちの
考えで信じがたいことは、起こりうるけれど、確率的に低いからいいといって
簡単に切ってしまうことだ。

確率が小さいからといって、切っていいレベルではないと私は思う。
原子力をまだ進めるという人と、私のように止めるべきだというものとの
違いはここだと思う。確率的にあることを無視してもいいと考えるか、無視しては
いけないと考えるかの違いだ。私はそのように認識している。

私はこの考えを押し付けるつもりはない。どちらがいいのか、みなさんで判断して
欲しい。ただし覚悟していただきたいのは、今の事故は最悪ではないかもしれない
ということだ。もしかしたら、この事故の中では最善の状態で被害を止めて
いるのかもしれない。

最悪では東京まで深刻な被害がいくかもしれない。そうしたシーケンスを認識
しないとまったく勘違いしてしまう。
地震一つ見ても、今回の余震ですら女川で、設定条件を超える揺れがきて
しまっている。ふざけるんじゃないといいたい。日本で地震のないところなどない。
本当にそのことを考えてほしい。そうでないと日本は壊滅する。だから
考えて欲しい。心からそう思っている。それが一番、大切だと思う。


格納容器の修理は不可能、そこに危機の本質がある
タービン建屋に汚染水がたまっている問題がある。これもどこから出ているかが
分からないことに最大の問題がある。分かっていれば、そこを止めれば問題は
終わる。しかしそれが分からない。だから対処療法で、水を移すことなどやって
いる。やらなければならない状態にある。

もうひとつ批判すると、これだけここに何万トンも汚染水があるのが分かっている
のだから、船を持ってくることが考えられるはずだ。私はもともと、「船屋」だが、
船は人間が持っている技術の中で、もっともしっかりしている閉じ込め機能を
持っているものの一つだ。水が漏れたら沈没するからだ。

だから緊急に水を貯める必要があるならば、船を持ってきて、そこにいれれば
いいのだ。ところがメガフロートを持ってくる間に「低レベル」を捨ててしまった。
なぜか。こんなのは国際問題になるのが当たり前だ。責任問題だ。

高レベルものの方がリスクが高いから、低レベルのものを捨てたというと
そうだと見えるかもしれないが、そんなことは分かり切っていたことだ。だから
船の手配云々が言われていたのだ。なぜそれをやらなかったのか。ここは
問題だ。

格納容器について、どこから漏れているか分からなくなっているが、格納容器の
周りは厚いコンクリートで覆われているので、外から見ることはできない。
運転を止めて中から見るしかないが、今はそんなことは絶対にできない。
だから格納容器が漏れている場所は発見できず、修理ができないというのが
結論だ。これが原子力が危険なことの一つの根拠だ。

スリーマイル島事故のときも、中がどうなっているかいろいろと論争があった。
実際には、原子炉の底が抜けかかっていた。今回も、どこまでいくか、非常に
危機的な状態だ。しかも2号炉はすでに格納容器が損傷している。

ちなみにこれがどうなっているかが分かるのは10年後で、それからさらに
10年かけて、どうしてそうなったのかが調べられるだろう。
原子力はそんなことをずっとやっている。


以下略

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明日に向けて(41)レベル7に原発大国(ロシア・フランス)が危機感

2011年04月14日 09時30分00秒 | 明日に向けて4月1日~30日
守田です。(20110414 09:30)

日本政府による福島第一原発事故評価のレベル7への引き上げに対して
海外、とくにロシアやフランスから、過剰評価だという声が上がっています。
この事実を価値判断抜きに報じているマスコミが多いの中で、毎日新聞は
その背景に、「国際的な原発推進路線の「後退」への危機感の強さが
読み取れる」として、的確な記事を掲載しています。

またより具体的に、ロシア国営企業が進めつつあるトルコやブルガリアでの
原発建設に、事故を受けた批判の声が高まりつつありことが、4月3日配信の
記事で、指摘されています。

2本とも世界の流れを的確につかんでいると思われます。どうかお読みください。
なお、2本目の記事の中にドイツのことが書いてありますが、ドイツではフクシマの
事故を受けて、古い原発7基を暫定的に運転中止にしています。迅速な
態度だと思います。

対して日本政府は、「想定外」を連発しながら、浜岡原発など、今回のような
地震などまったく想定しないで建設し、運転してきた危険な原発のうちの
ただの一つも自発的に止めようとしていません。
その後の余震ですら電源喪失が起こったり、想定を超えた揺れがおこったり
している(女川原発で)にもかかわらずです。

政府の政策転換を早急に迫っていくことが問われていると思います。

*********************************

<福島第1原発>レベル7で国際的な推進路線に冷や水も
毎日新聞 4月13日(水)20時43分配信

 【ウィーン樋口直樹】福島第1原発事故の国際評価尺度(INES)が史上最悪
の旧ソ連チェルノブイリ原発事故と同じ「レベル7」に引き上げられたことを受け、
国際原子力機関(IAEA)は、チェルノブイリとの違いを強調するなど警戒感を
あらわにした。ロシアやフランスなど原発大国からは日本の「過剰評価だ」と
指摘する声も相次いだ。背景には、国際的な原発推進路線の「後退」への
危機感の強さが読み取れる。

 「原子力の平和利用」の旗振り役であるIAEAは、福島原発事故を「大きな
挑戦」(天野之弥事務局長)と受け止めている。

 天野氏はウィーンで開催中の原子力安全条約検討会合の冒頭、福島原発
事故にもかかわらず「原子力への関心の背後にある基本的な要因は変わら
ない」と指摘。国際的なエネルギー需要の拡大や気候変動、不安定な化石
燃料価格への対策として原子力の有用性を訴えた。

 一方、IAEAには「原子力安全策の確保、向上」という重要な使命も課されて
いる。このため、天野氏は「原子力の安全性に関する世界の懸念を深刻に
とらえなければならない」とも強調、加盟国などに、国際的な安全基準の
順守や透明性の確保を訴えている。

 原発推進と安全確保の両立を図るIAEAだけに、福島原発事故への評価
には慎重にならざるを得ない。

 フローリー事務次長は12日の記者会見で、日本の「レベル7」への引き
上げには理解を示しつつ「福島原発事故とチェルノブイリ事故はまったく
違う」と何度も力説。レベル引き上げに伴う過剰な警戒をいさめる格好になった。

 IAEAによると、新たに原発計画を検討している加盟国は昨年末時点で
60カ国以上。既に原発計画を実施している29カ国のほぼすべてが、計画
継続を予定していたという。

 86年のチェルノブイリ事故から25年。「原子力ルネサンス」の到来が
叫ばれていただけに、原発先進国の日本で起きた福島原発事故の評価は、
今後の国際的な原発政策の流れにも大きな影響を及ぼすことになる。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110413-00000131-mai-int
東日本大震災:原発に揺さぶられる国々 アメリカ/トルコ/ブルガリア/ドイツ
毎日新聞 2011年4月3日 東京朝刊

 東日本大震災で被災した東京電力福島第1原発の事故は、各国の原発政策
にも影響し、内政や外交を揺るがしている。

 ◆アメリカ
 ◇安全性に高まる疑念
 原発推進政策を掲げる米国では、「我が国の原発は安全」と強調する政府
に疑念の声が高まり始めた。先月29日の上院委員会で「原発の予備電源を
強化すべきだ」などの意見が出たほか、ABCテレビ(電子版)は07~11年の
過去4年間に56件の安全基準違反があったと報じている。

 この日の上院エネルギー天然資源委員会で、非営利組織「憂慮する科学者
同盟」の核技術者が証言。米国内の原発104基のうち93基が4時間と
短時間の予備電池しか備えていないことを指摘し、「(東京電力福島第1原発
事故からの)教訓を踏まえ、停電に対処する時間を確保するため十分な
容量の予備電池が必要だ」と訴えた。

 福島第1原発では、津波で予備電源が作動せず原子炉が過熱、爆発事故
につながった。

 原発への規制が守られずにいた事例も新たに判明し、ABCテレビによると、
アラバマ州の原発では09年6月、緊急時用ディーゼル発電機が長期間、
運転不能の状態になっていた。地震時の安全装置が18年間水漏れし
続けていたり、核燃料と備品を紛失したり、契約職員が防護区域内で大麻を
使用していたずさんな原発もあった。

 原子力規制委員会は「違反を発見すれば継続して監視している」として
いるが、ABCテレビは「配水管の腐食や冷却トラブルなどが繰り返し
起きている」と指摘した。【ロサンゼルス吉富裕倫】

 ◆トルコ
 ◇隣国が再考求め、外交問題に発展
 福島第1原発の事故後も地震国のトルコは自国初の原発立地計画を予定
通り進めると表明。しかし、欧州連合(EU、27カ国)加盟国で隣国のギリシャと
キプロスが「再考」を強く求め、外交戦に発展している。EU加盟を目指すトルコ
にとり、新たな障害となりかねない事態だ。

 トルコは初の原発を地中海沿岸のメルシンに計画。ロシア国営企業が近く
建設を始める。2カ所目は黒海沿岸シノップに予定し、東京電力・東芝の
企業連合と交渉中だ。

 ギリシャのパプリアス大統領は先月18日、「地震多発地帯に原発を建てる
トルコの意図は正気とは思えない」と発言し、EUの介入を求める意向を
明らかにした。

 一方、トルコのユルドゥズ・エネルギー天然資源相は、アテネとメルシン間の
距離などを根拠に安全性を強調したが、欧州の一員を自負してきたトルコに
とっては皮肉な発言となった。

 キプロスのパスハリーデス商工相も21日、「深刻な懸念」をEUに伝えた。
ギリシャの諸島とキプロスは海をはさみ、メルシンからそれぞれ約600キロと
約200キロ。EU首脳会議は25日、EU共通の原発安全基準を設定すること
などで合意し、トルコの対応に注目が集まっている。【エルサレム花岡洋二】

 ◆ブルガリア
 ◇防護服着用し、反対デモ行進
 ブルガリアの首都ソフィアで先月30日、北部ベレネで計画されている原発
建設に反対する市民約300人が、防護服を着用した姿でデモ行進した。
AFP通信が伝えた。参加者は「原発をやめろ」などと書かれたプラカードを
掲げ、建設中止を訴えた。

 ブルガリア政府は08年、ロシアの原発建設会社アトムストロイエクスポルトと
契約を結び、ドナウ川沿いのベレネにブルガリアで2番目となる原発設置を
決めた。しかし建設費用を巡るロシア側との対立や、出資企業だった
ドイツRWE社の撤退などで建設事業が中断。そこに東日本大震災が起きた。

 ブルガリアのトライコフ・エネルギー相は福島第1原発の事故後も、ロシア側と
建設に向けた協議を続ける意向を示している。【篠田航一】

 ◆ドイツ
 ◇停止命令に電力企業が提訴
 大震災後にメルケル政権が原発7基を3カ月間暫定停止したことに対し、
一部の電力企業が1日、暫定停止は違法だとして国を相手取った訴訟を
起こした。反原発機運が高まるドイツでは、地元メディアが勝訴の可能性を
報じており、メルケル政権は国民世論だけでなく、電力業界をも巻き込んだ
新たな政策見直しを迫られている。

 提訴したのは、国内で原発を運営する4電力企業の一つ、RWE社。
メルケル首相の暫定停止命令は、新たな原発の危険性が明らかになった
場合、政府は原発の運転停止命令を出す権限を持つというもの。訴状で
RWE社は「ドイツの原発は十分な安全性を満たしている」と命令の根拠が
不当だとしている。

 一方で野党や一部与党は、暫定停止でなく、無期限停止にすべきだと
政権への圧力を強めている。

 3月27日のバーデン・ビュルテンベルク州選挙では緑の党が躍進し、
同党出身の州首相が初めて誕生する見通しになったが、メルケル首相は
翌28日、一部原発の無期限停止を求めた野党の要求を拒否。だが、
同様の要求は与党からも噴出した。

 メルケル政権は、6月中旬の停止期限切れに向け、昨年秋に法制化した
原発利用延長を続行するか、一部の原発を完全停止するかの激しい攻防に
さらされるのは間違いない。【ベルリン小谷守彦】
http://mainichi.jp/select/jiken/archive/news/2011/04/03/20110403ddm007030145000c.html
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明日に向けて(40)被災地に自転車が届いた!!

2011年04月13日 09時40分00秒 | 明日に向けて4月1日~30日
守田です。(20110413 09:40)

被災地に自転車を届けるプロジェクトが順調に進んでいます。
まずは第一弾の110台が岩手県の被災地に届いたそうです!拍手です!

ぜひ報告の中にあるブログの1から8までの記事をご覧ください。
自転車を満載したトラックの写真から、各地で自転車を受け取った方々の
笑顔がみれます。見ていてこちらも嬉しくなってしまいます・・・。

次の呼びかけがあれば、またここでお知らせしますので、
協力いただけるみなさま、ぜひお願いします!

**************************

京都OHANAプロジェクト第一弾でお世話になっている皆様

先日の自転車プロジェクトではお世話になり、ありがとうございました。
現地アドバイザーまた物資の運搬でご協力頂いている
バイオディーゼルアドベンチャーの山田周生さんのブログに自転車配布の
模様を掲載頂いています。
山田さんはバイオ燃料を使って旅の途中で被災され、そのまま現地で活動を
展開されご縁を頂きました。
http://space.rgr.jp/bio/2011/04/412-vol08.html
笑顔が嬉しいですね。
自転車はやはり必要とされていました。
笑顔のお手伝いを、京都のみんなですることができています。
被災地の状況について、相談に乗ってくださった方がいました。
自転車店が最も繁忙期の中、駆け付けてくれた方がいました。
人脈を次々と当たってくださった方がいました。
それに応えてくれた方がいました。
貴重な場所を提供してくださった方がいました。
ご自身にご縁のあるマスメディア媒体に呼び掛けて下さった方がいました。
報道への掲載を積極的にして下さった方がいました。
それを読み、自転車を持ってきて下さった100人にものぼる方がいました。
中にはご高齢の方が、自分で自転車を持ち込み「ご苦労様、バスで帰るね」
と言ってくれました。
・・・
沢山、沢山、
奇跡的なパスとシュートを見ることができました。
活動中ですが、まずは ありがとうございます!
山中さん明日戻ってくる予定です。
無事を祈っていてください。

京都OHANAプロジェクト
森拓哉

*************************
なお以下のブログからも「明日に向けて」を、バックナンバーを含めて
見ることができます。ご活用ください。
http://www.success-running.com/news/2011/03/post-66.html森拓哉さんの運営するサクセスランニングのサイトです!


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明日に向けて(39)気仙沼からの便り…その6 +高知から気仙沼へ

2011年04月13日 09時20分00秒 | 明日に向けて4月1日~30日
守田です。(20110413 09:20)

気仙沼アビスさんからの便りをお届けします。
またアビスさんに高知のKさんがお茶等々を送って下さいました。
どうもお茶の成分には、放射能を体内から追い出す効能が
あるようです・・・。
このメールも貼り付けておきます!

************************
気仙沼アビスさんから(20110413 07:00受信)

気象庁が、2週間ぐらいさかのぼって、
「入梅してました。」って、台詞は、
ここ何年かで、よく聞く台詞だけど、
「23日にさかのぼって、レベル7」。
危険度のレベルは上がったけど、
この国の政治のレベルは、大方の予想を裏切らず、
下がりましたね。
嘆く前に、笑っちゃいますよねぇ。
実は、この国の官僚は、非常に優秀で、
わざと後手後手に回ることを演じて、
国民を笑わせることに、全精力を注ぎ込み、
笑わせることによって、免疫力アップを促し、
この放射能による危機的状況を、
打破しようと目論んでいるのではないだろうか?
東大とか出た、選ばれたエリートが、
自ら後手後手に回るのだから、
かなり深いところに、その真意はあるはず。
官僚の大変なお仕事は、
もうすぐ完了。

笑点のネタにもならないようなくだらない話は、
さて置き、

地震、津波、火事、
挙句に、原発事故。
そんなことが目まぐるしく起き、
日常が吹っ飛んで、非日常が日常になった被災地。
災害特区は、まつり会場と、
不謹慎にも、奇妙な充実感に満たされた日々の中。
このクライシスも、起こるべくして起きたと、
解釈できるのは、
夢想家でオカルティックなことが好きだった俺は、
いろんな預言書にも目が引かれ続けてきた。
だからこの現状は、想定内なのです。
そんな発想の人たちがほかにもいました。
そして、偶然、偶然出会いました。
 
俺の家の下に、公園があり、
1週間ほど前、家に帰って来る途中、
公園に5張りほどのテント群。
どこかのまつり会場にたどり着いたような錯覚の中、
声をかけてみると、
東京近郊から来た、
在日クリスチャンのアメリカ人一行だった。
レンタカーの2トントラックに支援物資満載で、
なぜか、俺の家のそばにテントを張ることになったみたい。
話してるうちに、話が転がり、
次の日、小泉という気仙沼最南端の地域に、
一緒に出かけたことがきっかけとなり、
ここんとこ、行動をともにしてます。
そこに、仙台のせいちゃん、さおちゃんの、さおちゃんの
お姉さんに荷物を届けた事がきっかけになり、
そのお姉さんの家の近くの敷地で、
我ら、多国籍支援団は臨時の前線基地を、
日中限定で設営し、
支援物資の配布所を暫定設営するに至った。
で気づくと、そこにタイコを持ち込み、
気仙沼の地元レゲェーバンドの「ちょす」のドラマー、
ガラムマサヤと、近所の子供たちと一緒に、セッション。
災害特区に吹き始めたまつりの風は、
23日にさかのぼり、レベル7と公式発表。
昨夜、宮城大崎市より、レゲェーバンド
INDEADのボーカル、MATCH到着。
今日の支援行動作戦予定は、
最善基地に隣接する中学校のブラバンの、
部活帰りの生徒の折伏を最大の作戦目的とする。
尚、この作戦の最大目的は、
演芸を通して、テイタラクな大人の存在を認識させ、
対人関係の許容範囲を拡大化させることにある。
よって、私は、この任務をへたくそな歌を歌い、
恥かき自爆を持って、彼らの羞恥心という壁の破壊に、
非力なれど、一矢報いられればと望む次第であります。
作戦決行まで、あと、4時間20分。


**************************
続いて、高知のKさんからの、アビスさんへのメールです

アビスさん

はじめまして。守田さんから紹介いただきまして、荷物を送らせていただき
ますKです。明日、ヤマトで発送します。

荷物の内容は
■お茶(煎茶、茎茶、ティーバック煎茶、粉茶) たくさん
■ブラシ(洗浄済) 7個
■ネイルケアセット(未使用・爪切り入り) 1個
■保湿クリーム(未使用) 2個
■コーヒー 1箱
■インスタント味噌汁 7食分・カップ付
■リポビタンD 1箱
■色鉛筆 1セット
■栄養ドリンク 1本
■靴下(新品) たくさん
です。よろしくお願いします。

靴下は近所の知人から一緒に送ってくれと頼まれました。

それから、お茶はまた第二弾を発送予定です。まだ準備が整っていないが、
提供したいというところがあるためです。ちょっといつになるか、はっきりしない
のですが、多分来週中には送れると思います。もし第一便の分で多すぎる
ようならストップして他へ回すことも検討しますので、その場合はご連絡ください。
今回だけでも段ボール2箱になりました!

お茶に関しては、高知県下にいる私が直接知っている茶生産者の皆さん
にもご協力いただいています。私のも含め、賞味期限の過ぎているものも
ありますが、味は生産者のお墨付きで保証しますので大丈夫です。渡すときに
一言付け加えていただけると助かります。お手数かけてすみません。

本当かわかりませんが、お茶が内部被爆に効果があるという情報もありました。
茶含有成分のタンニンが重金属と結びついて体外に排出する効果があると
いうのです。とは言っても取り込んでしまった分の2割程度のようですが。
過去の実験でストロンチウムやセシウムで効果が認められたとのことです。
気分的に少し楽になる程度の情報ですが、多少でも皆さんの健康維持に
貢献できればと思います。

それでなくてもおいしいお茶で一息つくことは精神的にすごく良いと思って
います。栄養にはならないけれど、少しでもお役に立てればうれしいです。

では、また第二便を送るときにご連絡します。今後ともよろしくお願いします。

高知県の「土佐茶」生産者一同を代表して

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明日に向けて(38)3月23日にはレベル7と認識していたと安全委

2011年04月13日 08時20分00秒 | 明日に向けて4月1日~30日
守田です。(20110413 08:20)

事故評価レベル7をめぐる情報がさらに続々と報じられています。
ここでは二つの記事を扱います。

一つは、原子力安全委が、3月23日には、レベル7に相当する危険性が
あると認識していたのに、それを隠していたことを報じた共同通信の記事です。
ただし原子力安全委は、このことを開き直っています。

「代谷委員は記者会見で「尺度評価は保安院の役割だ。(安全委が評価
見直しを)勧告しなければならないとは考えない」とし、原子力安全委は関与
しないとの姿勢を強調。事故から1カ月経過してレベル7としたことも「遅くなった
とは思わない。われわれの事故への対応は変わらない」と述べ「レベル7へ
の格上げが遅れたのではないか」との批判に反論した。」

要するに、悪いのは保安院だと罪をなすりつけています。保安院と安全委と
団結して、現場労働者とともに事故の終息に全力を傾ける・・・などという
切実で誠実な気持ちがぜんぜんないことが、こうした発言から透けて見えて
来てしまいます。

大切なことは、こんな方たちが、私たちの明日の命運を握るデータを
握っているということです。そこに私たちの危険が存在している。
安全委は即刻、事故対策の中枢から立ち去り、データを心ある人々に
開示すべきです。


もうひとつ、紹介したいのは「専門家からは「国は事故を過小評価しようとして
きたのではないか」との批判の声も上がっている」という読売新聞の記事です。

「当時、すでにフランス原子力安全局は「6」、米民間機関「科学国際安全
保障研究所」も「6または7」との見解を示していたが、保安院は「健康に
かかわるものでない」として見直す姿勢は見せなかった。」

とも記事には書いてあります。
まったくその通りなのですが、少し待って欲しいと言いたい。
当時、こうした政府や保安院、安全委の見解を、広報と化して、無批判的に
人々に流布していたのは誰なのでしょうか。他ならぬ読売新聞は、その
重要な一翼だったのではないでしょうか。

政府への批判が強まると、自分たちの過去は何も振り返らずに、やにわに
批判者に回りだす。そうした己をとらえ返すことのできない姿勢にこそ、
今、読売新聞は、誠実な批判の目を向けねばならないのでしょうか。

結局、ここにあるのは、政府・保安院・安全委・マスコミが、互いに責任を
なすりつけ合っている姿でしかありません。
誰も、事故当時の大量の放射能漏れを、人々に伝えなかったことの責任を
とろうとはしていない。要するに誰も自分が悪いとは思ってないのです。
膨大な放射能が、無防備な人々に向かって、流れていったというのに・・・。

僕は事故当初から、こうした構造こそ、この国を支配しているものであり、
人々に対して、「逃げよ」という的確な情報は絶対に出てこない。だからこそ、
私たち自身が「逃げよ」という声を上げなければならないと直感して
この発信を続けてきました。

今、眼前で行われている責任のなすりつけ合いは、こうした直感が
本当に残念ながら、まったく正しかったことを証明してしまっています。
肝心なのは、だからこれからも確実に同じことが起こるということです。
そのことをこそ、私たちは見据えなければいけない。私たち自身の力で、
真実をつかみ取り、それを伝え合い、私たちの命を守っていかなければ
なりません。

情報解析と発信を続けます。

******************************

原子力安全委がレベル7相当認識 保安委に見直し求めず

 原子力安全委員会の代谷誠治委員は12日、経済産業省原子力安全・保安
院が福島第1原発事故の深刻度を国際評価尺度(INES)の暫定評価で
「レベル7」としたことについて、3月23日の時点でレベル7に相当する危険性が
あると認識していたが、これまでに暫定評価の見直しを保安院に求めなかった
ことを明らかにした。

 代谷委員は記者会見で「尺度評価は保安院の役割だ。(安全委が評価
見直しを)勧告しなければならないとは考えない」とし、原子力安全委は関与
しないとの姿勢を強調。事故から1カ月経過してレベル7としたことも「遅くなった
とは思わない。われわれの事故への対応は変わらない」と述べ「レベル7へ
の格上げが遅れたのではないか」との批判に反論した。

 3月23日には、放射性物質の放出量がレベル7の基準である数万テラ
ベクレルを超える10万テラベクレルに達する可能性を認識していたという。
早期にレベル7として市民に注意を促す必要性について代谷委員は
「いろいろな考え方がある」と述べるにとどめた。

 原子力安全委は、ヨウ素換算で63万テラベクレル(テラは1兆)の放射性
物質が放出されたと推定。4月5日ごろには同程度の値を推定していたが
「より精度を上げたかった」として公表を見送っていたという。
2011/04/12 22:08共同通信
http://www.47news.jp/CN/201104/CN2011041201001126.html

「国は事故を過小評価」専門家から批判の声も
4月12日(火)20時20分配信 読売新聞

 福島第一原子力発電所の事故の国による評価は、事故発生直後の「4」が
3月18日に「5」に、そして20日以上たった4月12日になって最悪の「7」に
変わった。

 専門家からは「国は事故を過小評価しようとしてきたのではないか」との
批判の声も上がっている。

 原子力安全委員会によると、外部に出た放射性物質の大半は、1~4号機
で水素爆発や火災などのトラブルが相次いでいた3月15日頃までに放出され
ていた。15~16日にかけ、放射性物質の放出総量が跳ね上がっており、
安全委は2号機の圧力抑制室が15日に損傷し、大量の放射性物質が放出
された結果と見ている。

 当時、すでにフランス原子力安全局は「6」、米民間機関「科学国際安全
保障研究所」も「6または7」との見解を示していたが、保安院は「健康に
かかわるものでない」として見直す姿勢は見せなかった。

しかし、18日には国際世論に押されるように「5」に変更した。保安院の西山
英彦審議官は「圧力や温度などが大きく変動し、評価が難しかった」と弁明。
その後は「6にするには早い」と繰り返してきた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110412-00000883-yom-sci
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明日に向けて(37)大気の放射能汚染だけでレベル7に引き上げ、海洋汚染は除外

2011年04月12日 21時30分00秒 | 明日に向けて4月1日~30日
守田です。(20110412 21:30)

先ほど、レベル7についての追加記事を流したところ、友人が日経新聞の
記事で、「推計量はいずれも大気中への放出量だ。海水への漏出なども
加えるとさらに放出量は上がる可能性がある」という記述があることを
知らせてくれました。

この点を踏まえて、先にお送りした、朝日新聞と読売新聞の記事を
精読したところ、そこにも大気中への放出という点が書かれていました。
この点を、僕はミスリーディングしていました。申し訳ありません。

ただこの発表が、極めてミスリーディングしやすいものであることも、事実
なのではないかと思えます。注意して読んでいても、ひっかけられてしまう。
保安院も原子力安全委員会も、チェルノブイリの1割だとか述べている
わけですが、何のことはない、海洋汚染も、タンクに移そうとしている
数万トンの汚染水も数えないままにそう述べているのです。

この汚染水はどれぐらいの放射能を含んでいるのでしょうか。
誰も正確な測定ができていないとは思いますが、僕は新聞に出ている
データから、大雑把に見積もって、180京ベクレルという値を出したことが
あります。(当初、あやまって1800京ベクレルと書きましたが後から0一つ
まちがえていたことに気づいて180京に修正しました)
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/14a329250333118eeca39113fe25b9b9
これが実態にどれほど近いか分かりませんが、少なくとも、タンクに移そうとして
いる汚染水の放射能の量は、数万ベクレルではおさまらないことは確実だと
思います。なのでこれを加えれば、チェルノブイリの1割などという値はすぐに
超えてしまいます。

にもかかわらず、保安院や原子力安全委員会は、どうしてこのような
言い方をするのでしょうか。ここまで来て、人を欺こうとしているのでしょうか。

僕は実は、今のこれらの人々に、それほど露骨に欺こうという意図はない
のかもしれないとも思います。むしろ「習い性」になっているのではないか。
常にあいまいで分かりにくい発言を繰り返し、相手がミスリーディングする
ような言い方を続けてきたので、ついついそういう言い方をしてしまうのでは
ないでしょうか。

しかしそれだけに、聞き手がひっかかってしまいやすい面がある。そうすると
こうした「原子力業界用語」に不慣れな人々、政府官僚や、記者なども
ひっかかってしまいやすい。そのことで、現場の混乱が増幅しているのでは
ないでしょうか。

いや当人たちも、桁外れの数字が次々と出て来て混乱している。しかし
昨日まで1リットルあたりいくらと発表してたものを、突然、1CCあたりいくら
と、注意の喚起すらせずに発表したりするので、自分たちでも混乱してしまう
面があるように思えます。実際に数値の桁を間違えたりしている。
こういう人々を中枢においた危機への対処は、ただそれだけで、危機を
増幅させているように僕には思えてます。

ともあれ、「最悪のレベル7」への引き上げは、海洋汚染を除外した上での
数字であること。原子力安全委員会が見積もった67万テラベクレルという
放射能漏れにプラスアルファして、海洋に流れ込んだもの、タンクに移そうと
している膨大な汚染物質があることを、私たちは、しっかりと見据えて
おきましょう。


*****************************

福島原発、最悪のレベル7 放射性物質を大量放出
2011/4/12 12:09 日本経済新聞

 経済産業省の原子力安全・保安院と国の原子力安全委員会は12日、東京
電力福島第1原子力発電所の事故を原発事故の深刻度を示す国際評価
「国際原子力事象評価尺度(INES)」で最悪の「レベル7」へ2段階引き上げた
と発表した。レベル7は、過去に旧ソ連で1986年に起き、史上最悪といわれる
チェルノブイリ原発事故しかない。東日本大震災で原発を安全に止められず、
1カ月たっても復旧に手間取っていることが、事故の重大さを際立たせている。
 評価尺度は原子力施設の損傷や外部に漏れ出た放射性物質の程度、被曝
(ひばく)被害の大きさなどをもとに決まる。

 保安院はこれまで福島第1原発1~3号機の事故をレベル5(所外へのリスク
を伴う事故)と暫定評価していた。

 安全委と保安院は福島第1原発1~3号機から大気中に放出された放射性
物質の量についてそれぞれ推計した。放射性ヨウ素131換算で、安全委は
大気中の観測結果から逆算して63万テラ(テラは1兆)ベクレル、保安院は
原子炉の状態から37万テラベクレルと推計した。特に2号機で圧力抑制室の
損傷が起きた3月15~16日に大量放出されたようだ。

 レベル7は放出量が数万テラベクレル以上とされており、これを1桁上回る
ことなどがレベルの引き上げにつながった。

 史上最悪とされるチェルノブイリ原発事故では520万テラベクレルとされ、
同じレベル7でも放出量は約1割であると保安院は説明している。ただ、
推計量はいずれも大気中への放出量だ。海水への漏出なども加えるとさらに
放出量は上がる可能性がある。

 国際評価尺度は、原発事故の深刻度を0~7の8段階に設定。過去の原発
事故では、レベル5に米で79年に起きたスリーマイル島原発事故がある。
99年のJCO東海事業所の臨界事故はレベル4だった。

 福島第1原発は事故発生から1カ月が過ぎた12日現在も原子炉の安定停止の
見通しが立たない状況。12日午前には福島第1原発の放射線量測定建屋で
発煙があり、消火した。低レベル汚染水の排水も遅れており、2号機などに
ある高濃度の放射性物質を含む汚染水の移送作業は進んでいない。
http://www.nikkei.com/news/headline/related-article/g=96958A9C93819595E3E0E2E2E08DE3E0E2E6E0E2E3E39F9FE2E2E2E2;bm=96958 A9C93819595E3E0E2E2EB8DE3E0E2E6E0E2E3E39C9C91E2E2E2
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明日に向けて(36)東電がレベル7、チェルノブイリ級を超えることも示唆

2011年04月12日 17時30分00秒 | 明日に向けて4月1日~30日
守田です。(20110411 17:30)

事故評価の「レベル7」への引き上げに関する続報です。
今日の午前中に保安院などによる記者会見が行われ、レベル7への
引き上げについての説明が行われました。

朝日新聞と読売新聞の報道記事を貼り付けておきますが、これによると、
3月11日から4月12日までの間に、保安院の推計で37万テラベクレル、
内閣府・原子力安全委員会の推計で63万テラベクレルの放射能が
放出されたとされています。チェルノブイリで放出された放射能は580万
テラベクレルとされており、その1割近くがフクシマから放出されたと言う
発表です。

まずここで指摘しておきたいのは、このような推計は、事故当初から、
多くの国際機関が行っていたことであり、けして真新しい報告ではないと
いうことです。むしろ世界で報道されたことを1カ月近くも経って、日本の
側で承認したに過ぎず、大変、不誠実な態度だと思います。

しかも保安院の発表は、原子力安全委員会の見積もりの半分近くと
なっています。ここでもまた事故を小さく見せようと言う動機が働いている
のではないかと思えます。これまでそのようなことを繰り返して
きたからです。これは原子力安全委員会についても言えることです。
両者ともに一月も沈黙していたからであり、この期に及んで、
放射能汚染は「チェルノブイリより少ない」と、少ないことばかりを
強調しています。

しかしこの発表には非常に重大な内容が欠けています。放出された
放射能(推定)の内訳が明らかにされていないことです。
国際社会を含めて、誰もが知りたいこと、知る必要性があることは、
一体、どれだけの量が、海洋を汚染したのか、また日本の大地を
汚染したのか、また風のって、はるかかなたへと「拡散」したのか
ではないでしょうか。

また放出が事故当初に集中したとされていることから、放出の中に、
今、タービン建屋からタンクに移されようとしている超「高濃度」汚染水が
含まれていいないのではないかということも疑われます。
この水は、海に流れ込みはしてないものの、原子炉格納容器の外に
こぼれて、すでに環境中に出てしまっているものです。これはきちんと
計上されているのでしょうか。

9日の朝日新聞では、海に流れ込んだ汚染水を4万テラベクレルと
推計していましたが、これらの把握は、今後の海の状態をウォッチしていく
上で、極めて重要な情報です。またこれを把握しないままに、海産物の安全を
宣言することのは、あまりに非科学的で、不誠実な態度です。

これらを含めて、放出された放射性物質が、一体どのような汚染を
もたらしているのか、その概算が明らかにされていないことに、この発表の
重大な問題があります。とても誠実な報告とは言えず、ただ、各国の
研究機関の発表の一部を追認しただけにすぎません。


さらに重要なことは、朝日新聞の記事の中に次のような記述があることです。
「東京電力原子力・立地本部の松本純一本部長代理は会見で「放出は
現在も完全に止まっておらず、放出量がチェルノブイリに迫ったり超えたりする
懸念もあると考えている」と話した。

数十万ベクレルの放射能をまき散らしておきながら、チェルノブイリより少ない
ことを強調する保安院と原子力安全委員会に対して、東電の松本氏は、
おそらく茫然とした思いの中ででしょうが、「放出量がチェルノブイリに迫ったり
超えたりする懸念がある」と、ある意味で、率直に語っています。

これは重大な内容で、もっと話を聞き出さなければいけないポイントです。
追求と言うより、話を丁寧に聞いて、なぜ、どのようにそう思うのかを
聞き取ってあげないといけない。

保安院等の数値が事実をかなり下回っているであろうことを考えても、
現段階では、まだチェルノブイリに達してないのかもしれない。だとしたら
なぜ「迫ったり、超えたりする懸念」を感じるのか。迫りくる危機をいかに
認識しているのか、そこにこそ、私たちにとって、今、最も重要な情報が
あるからです。

これに対して、記事は
「4月10日に非公開で開かれた安全委の臨時会で保安院の黒木慎一
審議官は「最悪の事態は今は脱した」と報告している」
とも紹介しています。

この記事の中には、東電と保安院の現状認識の大きな違いが表れている。
いったい、どちらが正しいのか。いや、多くの事実が分からない状態の中に
あることを考えるならば、それぞれがなぜそのように考えいるのかこそが
聞き出されなければならない。しかしこの重大な点がまたしても取材されて
いません。

東電と保安院と、原子力安全委員会の、それぞれに矛盾し、合い違った
データの発表を、そのまま広報しているのが、朝日新聞・読売新聞の
現状です。残念なことです。ここにも私たちの社会の危機の一端があります。


まとめます。
今回のレベル7への格上げ発表には、何ら新しい内容が含まれていません。
むしろこうした最も重要な事実を1か月も経ち、内容分析すら施さずに
発表しているのが、この国の原子力行政当局の姿勢であることが
分かります。

一方で、東電からは、「放出は現在も完全に止まっておらず、放出量が
チェルノブイリに迫ったり超えたりする懸念もあると考えている」という
非常に率直な見解も出されてきています。

ここから今、必要なのは、レベル論議よりも、迫りくる新たな放射能放出に
身構えることであることが分かります。もちろん、外に出されてしまった
数十万テラベクトルの放射能に身構えることも必要です。

僕は3月24日に、各国の研究所が、フクシマからすでにチェルノブイリの
数割に匹敵する放射能が漏れているという指摘をしていることを受けて、今の
私たちの現状を「ゆっくりとしたチェルノブイリの中を生きる」と表現しました。
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/d022696453752f699c0c2a544cab95c6
しかしもはや事態はそれとは全く違う様相の中に入りつつあります。
何より、非常に危険性の高い放射能漏れが断続的に続いている。しかも
依然、炉心の爆発などの破局的危機の可能性も続いている。さらに
人類初の大規模な海洋の放射能汚染も続いています。

私たちは今、「フクシマ・・・ゆっくりと、長く、大量に続く、放射能漏れ事故」の
中を生きています。
この中で、私たちには、能動的な生のいかなる可能性が残されているのか。
いかにすれば、私たちは、幸せを目指した生産的な歩みを進められるのか。
・・・情報とともに、そのことの考察を、僕は繰り返し発信していきたいと思います。
みなさまもどうか意見をお寄せ下さい。

*******************************
福島原発事故、最悪「レベル7」 チェルノブイリ級に
2011年4月12日12時39分 朝日新聞
 福島第一原発の事故について、経済産業省原子力安全・保安院と原子力
安全委員会は、これまでに放出された放射性物質が大量かつ広範にわたる
として、国際的な事故評価尺度(INES)で「深刻な事故」とされるレベル7に
引き上げた。原子力史上最悪の1986年の旧ソ連チェルノブイリ原発事故に
匹敵する。放射性物質の外部への放出量は1けた小さいという。12日午前に
発表した。

 保安院は3月11日の事故直後、暫定評価でレベル4としていた。放射性
物質が原子力施設外に放出されるような事故はレベル4になり、それ以上は、
外部に放出された放射性物質の量でレベルが決まってくる。

 18日に79年の米スリーマイル島原発事故に匹敵するレベル5に引き上げた。
レベル5は放射性ヨウ素に換算して数百~数千テラベクレル(テラは1兆倍)の
放出が基準だ。その後、放出された放射性物質の総量を推定したところ、
放射性ヨウ素換算で37万~63万テラベクレルになった。INESの評価の
レベル7にあたる数万テラベクレル以上に相当した。福島第一原発では今でも
外部への放出は続いている。

 チェルノブイリ事故では爆発と火災が長引き、放射性物質が広範囲に広がり
世界的な汚染につながった。実際の放出量は520万テラベクレルとされている。
福島第一原発の事故での放出量はその1割程度だが重大な外部放出と
評価した。評価結果は国際原子力機関(IAEA)に報告した。

 福島第一原発では、原子炉格納容器の圧力を逃がすため放射性物質を含む
水蒸気を大気中に放出した。さらに地震後に冷却水が失われ核燃料が露出して
生じたとみられる水素によって、1、3号機では原子炉建屋が爆発して壊れた。

 2号機の格納容器につながる圧力抑制室付近でも爆発が起こったほか、
4号機の使用済み燃料貯蔵プールでの火災などが原因で放射性物質が大量に
放出されたと見られている。内閣府の広瀬研吉参与(原子力安全委担当)は
「3月15~16日に2号機の爆発で相当量の放出があった。現段階は少なく
なっていると思う」と話した。

 東京電力原子力・立地本部の松本純一本部長代理は会見で「放出は現在も
完全に止まっておらず、放出量がチェルノブイリに迫ったり超えたりする懸念も
あると考えている」と話した。

 ただ、原発周辺や敷地の放射線量の測定結果は3月15~21日に非常に
高い値を示していたものの、その後低下している。4月10日に非公開で
開かれた安全委の臨時会で保安院の黒木慎一審議官は「最悪の事態は
今は脱した」と報告している。(香取啓介、竹石涼子、小堀龍之)
http://www.asahi.com/national/update/0412/TKY201104120085.html
福島原発事故、最悪の「レベル7」に引き上げ
 経済産業省原子力安全・保安院は12日、東京電力福島第一原子力発電所
の事故について、原発事故の深刻度を示す「国際原子力事象評価尺度
(INES)」の暫定評価を、「レベル5」から最悪の「7」に引き上げると発表した。

 これまでに放出された放射性物質の量を、推定される原子炉の状態から
計算した結果、「7」の基準である「数万テラ・ベクレル以上(テラは1兆倍)」
に達した。「7」は0~7の8段階で上限の「深刻な事故」で、過去では
1986年に旧ソ連で起きたチェルノブイリ原発事故が唯一の例だ。

 保安院の発表によると、3月11日から4月12日午前11時までに大気中に
放出された放射性のヨウ素131とセシウム137の総量を、原子炉の状態から
推計したところ、ヨウ素の量に換算して37万テラ・ベクレルに達した。
内閣府原子力安全委員会も12日、周辺で測定された放射線量をもとに
推計したヨウ素とセシウムの大気への放出総量は、3月11日から4月5日まで
で63万テラ・ベクレル(ヨウ素換算)になると発表した。

 保安院の西山英彦審議官は「現時点までの放射性物質の放出量は、
チェルノブイリ事故に比べて
1割前後で、(被ばく量も少ない」と違いを強調した。安全委員会によると、
現在の放出量は、ピーク時の約1万分の1に落ちている。
(2011年4月12日12時20分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20110412-OYT1T00367.htm
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明日に向けて(35)福島原発事故はレベル7に相当と内閣府

2011年04月12日 08時30分00秒 | 明日に向けて4月1日~30日
守田です。(20110412 8:30)

内閣府原子力安全委員会が、昨日、福島第一原発事故は、国際的な尺度で
レベル7にあたるとの発表を行ったそうです。
根拠は、なんと事故後の数時間、1時間当たり最大1万テラベクレルの放射性
物質が数時間にわたって放出されていたからだそうです。

これを報じた毎日新聞の短い記事を貼り付けておきますが、この記事には
またしても、「だから、なんだったのか」という価値判断が抜けている。
一番、大切なことは、事故後に何万テラベクレルの放射能が出ていた
という事実より、その事実が事故直後に伝えられなかったことにあります。

これまで繰り返し指摘してきたことですが、事故の直後、周辺住民を逃がす
ための装置、スピーディーが作動した。数万ベクレルの放射能の発生に対し、
どこに逃げよ、どこには逃げるなという指示が示されたのです。しかし政府は
それを握りつぶした。握りつぶして数万ベクレルの放射能に人々を晒した。

重大な人道的罪だったのではないでしょうか。にもかかわらず、内閣府は、
この重大な事実に触れぬまま、1か月も経って、事故レベルの引き上げを
言い出している。1か月も経って、実はあのとき、チェルノブイリ事故とランク
が同じ、レベル7の放射能漏れがあったと述べている。謝罪の一言もなしにです。

このことから考えられるのは、今後の放射能漏れでも同じことが続きうるという
ことです。実際、今まさに、窒素注入による、放射能を含んだ水蒸気が漏れ
出しているのに、政府から何の警戒も呼びかけられていません。マスコミも
価値判断なしに、水蒸気が漏れていることを報じているのみです。

私たちは、私たちの力で、私たちの命を守らなければなりません。私たちは、
私たちの知恵で、福島の人々、原発により近い人々の、安全を守らなければ
なりません。どうか原発のお近くの人々に、窒素注入による、放射能漏れが
始まっていること、再び危険が迫っていることをお伝えください。

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東日本大震災:福島第1原発事故 政府、レベル7検討
毎日新聞 2011年4月12日 東京朝刊

 内閣府の原子力安全委員会は11日、福島第1原発事故について、発生当初
から数時間、1時間当たり最大1万テラベクレル(ベクレルは放射能の強さ。
テラベクレルは1兆ベクレル)の放射性物質を放出していたとの見解を示した。
現在は1時間当たり1テラベクレルほどまで落ちているとみている。

 数万テラベクレルは原発事故の深刻度を示す国際原子力事象評価尺度
(INES)の最も深刻なレベル7にあたる。今回の事故は数時間の放出で
レベル7に相当するため、現在レベル5としている政府は、引き上げの検討に
入った。過去に発生したレベル7の事故には86年のチェルノブイリ原発事故が
ある。

 INESは、程度の低い方から、レベル0~7の8段階に分類している。スリー
マイル島原発事故(79年、米国)はレベル5、茨城県東海村で起きたJCO
臨界事故(99年)はレベル4とされている。
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110412ddm001040087000c.html
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明日に向けて( 34 )70ミリシーベルトで多発性骨髄腫に・・・

2011年04月11日 17時30分00秒 | 明日に向けて4月1日~30日
守田です。(20110411 17:30)

このところ不穏な動きを感じています。
「放射能は怖くないキャンペーン」とでもいうべきものが強まってきているからです。
新聞やマスコミで、放射能は思ったより怖くないという言説が繰り返され、
100ミリシーベルト以内の被ばくは安全だと言うとんでもない言説までが
大きく新聞に掲載されています。

もちろんこれは間違いです。繰り返し述べてきたように、私たちの国の法律で
定められている年間被ばく許容量は1ミリシーベルトです。これとても安全な
値ではなく、10万人に5人~40人がガンを発病する値です。放射線被ばくに
安全な値はないのです。

にもかかわらずなぜ「安全」が繰り返されるのか。すでに福島原発1号機から、
放射能を含んだ水蒸気が漏れ出している事実を考える時、今後、不可避的に
起こる放射能汚染の高まりに備えるのではなく、放射能汚染への不安や怒りの
高まりにこそ備えているのではないかと思えてなりません。

そう思うのは、政府が、初期の段階で、深刻なメルトダウンの危機が起こって
いながら、人々にそれを伝えなかったからです。しかも大量の放射能が漏れだし、
スピーディーが作動して、人々に逃げ道を示していたのに、そのデータが
握りつぶされてしまった。

今、同じようなことが起こりつつあるのではないでしょうか。大量の放射能の
大気放出が迫っている中で、放射能は安全だ、過敏になってはいけないという
キャンペーンが行われているのではないか。そして人々が、無防備なままに
放射能汚染にさらされようとしているのではないか。

少なくとも政府は、これからの窒素封入で、放射能を大量に含んだ水蒸気が
漏れ出すこと、いやすでにそれが始まっていることを周辺住民に明らかに
すべきです。スピーディーを作動させ、その情報を公開すべきなのです。
しかし行われいるのは、放射能は安全だキャンペーンばかりです。

このことは同時に、被ばくによる損害賠償などに、政府が身構え出している
ことも含まれているように見えます。100ミリシーベルト以下では、安全だと
言う断言には、その値以下での病の発症に対して、因果関係を認めず、
被害認定もしない意志が見え隠れしています。

実際、原爆の被ばく者も、チェルノブイリの被ばく者も、多くが「因果関係が
認められない」として、被災者認定が受けられませんでした。水俣病でも
たくさんの被害者が切り捨てられ続けました。そのことで被害は実態よりも
小さく表現されてしまいました。

このように、これまで繰り返されてきたことが、「フクシマ」のその後にも
行われるのではないか、それがもう始まっているのではないかと僕には
思えます。

さらに福島原発の労働現場では、許容線量が100ミリシーベルトから250ミリ
シーベルトという非常に高い値にまでつりあげられています。また私たち
一般人の許容線量も、年間1ミリシーンベルトから20ミリシーンベルトに
変えることが検討されだしている。放射能が漏れれば漏れるだけ、規制が
緩和されつつあります。

この現実を前に、一体、どうしたらいいのだろう。何を伝えればいいの
だろう。そう焦りに駆られながら資料を探してるときに、非常に重要な記事を
見出すことができました。以下にタイトルとアドレスを紹介します。


多発性骨髄腫で労災請求 -原子力発電所での被曝が原因 
富岡労基署(福島県)(「関西労災職業病」2003年6月号より)
http://www.geocities.jp/koshc2000/accident/nagaorosai.html

これは福島第一原発2号機、3号機を含む、多数の原発で働いた経験のある
長尾光明さんによる労災請求を伝えた記事です。

長尾さんは1977年10月から1982年1月まで、原発の定期検査工事に
従事されました。そして定年8年後の1994年頃から、首の痛みが始まりだし、
1998年に頸椎骨折で手術を受けましたが、そのときに多発性骨髄種と
診断されました。

多発性骨髄腫は、骨髄の細胞の一種が腫瘍化するもので、ガンの一種です。
症状は人によって様々ですが、骨がもろくなり、骨折しやすくなるほか、非常に
苦しい病状を経る病です。しかも難治性で、いまだに完治した人がいません。

長尾さんも闘病されながら、労災認定を実現し、さらに東電を訴える訴訟を
起こされましたが、その最中の2007年に亡くなられています。
(その後、裁判所が訴えを却下。労災認定が下りながら、損害賠償が却下
された非常に珍しい例)

注目すべきことは、長尾さんの発病が、70ミリシーベルトの被ばくによって
起こっていることです。これは長尾さんの労働記録として記帳されたものです。
100ミリシーベルトに満たない被ばくで、多発性骨髄腫という深刻な病に
長尾さんはかかっている。

さらにこの記事には、白血病の労災認定が、5ミリシーンベルトの被ばくから
認められることが書いてあります。5ミリシーベルトで、白血病になる人が
いると認定されているわけです。これでどうして100ミリシーンベルトまでは
安全などと言えるのでしょうか。

さらに記事には、多発性骨髄腫の発病は、若い時の労働で被ばくした人よりも
45歳以上の労働で被ばくした方が発症率が高いことが記されています。
この点も重要です。

これまで僕自身、放射能に対しては若い人の方が危険性が高いことを
強調してきました。実際、放射性ヨウ素131による甲状腺ガン発生のリスクは
小さいほど高く、40歳以上で小さくなることが、医学的見地としても確認されて
います。しかしそれは多発性骨髄腫にはあてはまらないのです。


まとめます。
原発で働いていた長尾さんは、4年3カ月で70ミリシーベルトを被ばくして
多発性骨髄腫になり、発病から10数年で亡くなられました。
このことだけからでも、100ミリシーベルトまでの被ばくは安全だなどとは
とても言えないことが明らかです。

そもそも白血病の労災認定は5ミリシーベルトから認められているのです。
実際には、1ミリシーンベルト以下でも可能性が生じるわけで、この値でも
ある人々が切り捨ててられてしまいますが、少なくともそれからすると、
250ミリシーベルトまでの被ばくを認めた現在の原発サイトが、どれほど
過酷なものになっているかが見えてきます。

これらから、1人でも多くの人を被ばくから守るためには、被ばく者の
人権を守り続けることも意識しなければならないことが見えてきます。
そのために、私たちは今、放射能だけでなく、放射能は安全だキャンペーン
にも、立ち向かっていかなければならないと思います。


かつて私たちは、原発は安全だキャンペーンに包まれていました。
そのときも、原発震災がもっとも危険だという声は、政府によって、学者たちに
よってマスコミによって押しつぶされてきました。

しかしもうここでこの声をつぶされてしまうわけにはいきません。
これから長い時間を、この問題と向き合わざるをえなくなってしまった若い人たち、
子どもたち、そしてこれから生まれてくる未来の人々のためにも、私たちは
今、最大限の努力を払って、命を守っていく必要があります。

少々、長いものですが、紹介した記事をお読みください。
ここに紹介しきれなかった、重要な情報がたくさんつまっています。


なお多発性骨髄腫に関しては、再度、詳しく論じたいと思います。
他ならぬ僕の親友がこの病と闘病中だからです。それは僕が、1人でも多くの
人を被ばくから守りたいと思う動機の大きな柱になっています。
この友とともに、放射能に立ち向かい続けたいと僕は思うのです・・・。


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明日に向けて( 33 )1号機から蒸気と窒素が漏れ出した・・・

2011年04月11日 15時30分00秒 | 明日に向けて4月1日~30日
守田です。(20110411 15:30)

福島第一原発1号機で、シリアスな状態が発生しています。
一つは、9日より放射線量が急上昇したことです。炉心内で何らかの大きな変化が
あった可能性があります。しかしなぜかその後のデータが開示されていません。
センサーが壊れている可能性もあります。

一つのありうる事態として、再臨界が起こっているのではないかという指摘が、
京大原子炉実験所の小出さんなどから出されています。根拠として塩素が
中性子をとりこんで発生するクロル38が検出されていることが挙げられていますが、
一方で、これは東電の分析間違いによるデータではないかという指摘もあり、
真相がみえない状況です。

一方で、1号機には水素爆発を阻止するための窒素封入が行われていますが、
2.5気圧を目指して注入を行ってきたものの、1・95気圧以上、入れても入れても
圧力があがらない状態が続いていることが明らかになりました。漏れ出して
しまってるのです。

「1000立方メートル前後の蒸気や窒素が外部に漏れ出した」ことが、読売
新聞によって伝えられています。この蒸気には、原子炉格納容器内にあった
放射能を大量に含んでおり、大気への放射能漏れが進行していることが
明らかだと思います。

窒素封入は、水素爆発を抑えるために必要なものであり、今後も継続される
可能性が極めて高く、2号機、3号機と移る中で、今後、継続的な大気の
放射能汚染が行われる可能性が高くあります。

原発周辺におられる方、また仙台市をはじめ、原発100キロ周辺の方、さらに
その周りの方々に、この情報をお伝えください。

政府は、再び大量の放射能の大気への放出が行われようとしていることを
最後まで、アナウンスしないと思われます。そのため、これらの地域の
人々が無防備なままに放射能に襲われてしまう危険性が高いです。

避難できないまでも、せめて徹底的な、放射線被ばくからの防護対策を
とることを、可能な限りたくさんの方にお伝えください。


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窒素注入、圧力上がらず…放射性物質が漏出

 東京電力は11日、水素爆発を防ぐため窒素を注入している福島第一原子力
発電所1号機の格納容器で、圧力が1・95気圧から上昇しなくなり、放射性物質
を含む蒸気や窒素が外部に相当量漏れていると発表した。

 東電によれば、7日未明から毎時28立方メートルの窒素を注入している。
容器内の圧力は、7日の1・56気圧から9日の1・9気圧まで徐々に上昇が
続いたが、10日頃から圧力が1・95気圧のまま上がらなくなった。

 計算上は1000立方メートル前後の蒸気や窒素が外部に漏れ出したことに
なる。ただ、今のところ原発周辺の放射線量に大きな変化は見られない。

 1号機には、6日間で約6000立方メートルの窒素を注入し、1・5気圧を2・5
気圧にする予定だった。東電では「格納容器の密閉性が損なわれ、相当量が
漏れている」とみている。東電では、水素爆発を回避するため、当面、現在の
注入を継続、対応策を検討する。

(2011年4月11日13時37分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20110411-OYT1T00546.htm
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