守田です。(20110324 23:55)
ロイター通信をチェックしていて重要な記事を発見しました。
表題は「福島原発の放射性物質、チェルノブイリを下回る」となっていますが、
うまく内容を伝えていません。そうではなくて、すでに福島原発から
放出された放射能が、チェルノブイリの2割から5割になっているという記事です。
これは事故後、3日間から4日間を調査した、オーストリア気象地球力学
中央研究所の見解です。一方で、フランスの放射線防御原子力安全
研究所は、1割だとの試算を出しています。
これらを総合すると、すでに福島原発からは、チェルノブイリの1割から5割の
放射能が出ていることになります。しかも事故後4日間でです。
ゆっくりとしたチェルノブイリ級事故が進行しています・・・・・。
幸いにというべきか、放射能の多くは、太平洋上をただよっているようです。
それが太平洋上の島々の汚染につながらないこと、他の大陸まで動いて
いかないことを祈るばかりです。海洋汚染が、できるだけ軽微にすむことも
祈りたいですが、ともあれ、海洋上に放射能が流れたために、国内では、
まだチェルノブイリのような被害の実感はほとんどありません。
しかしある意味で私たちの実感がない中で、地球の汚染というレベルでは
確かにこの事故は、チェルノブイリ級にどんどん近付いていっているのだと
思います。この事態の重みを受け止めることが必要です。すでに私たちは、
チェルノブイリ級事故をゆっくりと経験している可能性が高いです。
もちろん、炉心が破断してしまい、より大規模に汚染が広がってしまう危機も
まったく去っていませんが、このままこうした状態、つまり断続的に放射能が
出続ける状態が、長期にわたって続く可能性もあり、今と同じような、ないしは
もう少し危機感が深まるぐらいのレベルで、いつしかチェルノブイリをも
越えてしまう必要があります。
にもかかわらず、テレビ番組はほとんど通常の状態に戻りました。春の選抜
高校野球も開催され、バラエティ番組も復活しています。それが悪いといい
たいのではなくて、いつか歴史上、人々は今、私たちが過ごしているこの
時間帯を、奇妙な数十日、ないし数週間とでも呼ぶようになるのではないで
しょうか。
ゆっくりと大規模な放射能汚染が広がる最中にありながら、その中でたんたんと、
日常生活が営まれている。しかも旧ソ連とは違い、建前であろうとなんであろうと
民主主義がうたわれ、情報機器が発達し、人々がいつでもお望みの情報を
集められる状況の中にあってです。
・・・いやいや、そのように慨嘆してはいけませんね。
そうではなくて、私たちは覚醒する必要があるのだと思います。危機はゆっくりと
進行している、ゆっくりとチェルノブイリ級事故が進んでいる。それは止められる
かどうか分からないけれど、いずれにせよ私たちには、チェルノブイリのときより
時間がある。対処できるゆとりがあるのです。その間にいろいろな英知を集める
必要がある。
重要なのは、放射能汚染とどう立ち向かうのかです。汚染がどんどん深刻化
している事態を見据えて、可能な限りの避難を進めることです。そのための
目安となるものをお伝えしてきましたが、次の見解も非常に参考になります。
「柏崎刈羽原発の閉鎖を訴える科学者・技術者の会」のものですのでご覧
下さい。
「福島原発震災」をどう見るか―――私たちの見解
http://kk-heisa.com/data/2011-03-23_kkkenkai.pdf
さらに太平洋上に広範囲に広がった放射能が、いつしか南風によって運ばれて
くることももはや可能性としては否定できません。そのとき汚染地域がどうなるか、
誰にも予想はつかないと思います。
チェルノブイリの経験でいっても、汚染はスポット型になるでしょう。つまり原発
から均一に汚染が進んでいくのではなく、たまたま放射能を多く含んだ雲が、
雨を降らした地域が集中的に汚染されます。
高濃度の地域では居住ができなくなるかもしれませんが、ボーダーラインの地域
では、私たちはある意味で放射能との共存を考えざるを得ない面も出てくると
思います。
だからこそ、安全値や、どのぐらいの値でどのような被害が出るかの正しい
認識が必要です。そしてさまざまなメリット・デメリットを換算する中で、健康に
害が出ることも選択せざるを得ない面もあると思います。だとしたら、追い詰め
られて選択するよりも、能動的に選択したいものです。
そのときに私たちはどうするのか。健康生活に徹し、食生活において
化学物質などを極力排除して、免疫力を高めていくことが真っ先に浮かぶ
ことです。また野菜が汚染されるのだとしたら、綺麗に洗えば、その分だけ
放射性物質が落ちるとか、果物なら皮をむけば、落ちるとか、そうした
知識も身につけていく必要があります。
さらに放射能汚染はガンのリスクを高めるわけですから、ガンに対する
正しい知識を積み上げて行くことも重要です。幸い、昨今の医学の目覚ましい
進歩の中で、さまざまな抗がん治療法や治療薬が開発されています。
また私たちには、ガン患者の方たちのさまざまな闘病の経験もあります。
それらを総動員して、たとえ被曝したとしても、それと立ち向かっていくことは
できます。こうしたことに腹をくくり、その上で、少しでも被曝を軽減したい
ものです。被曝したらもうおしまいなのではなく、そこから先もたくさんの
ストーリーがあることを頭に入れながら、放射能を「正しく怖がる」知恵を
身につけて行きたいものです。
その際、専門家の方たちにお願いしたいのは、「ただちに健康に被害を
およばさない」という言い方は、もはや不安をあおるものでしかないので、
やめていただきたいということです。ただちにではなければ、いつから、
どれぐらいの被曝で、どのようなことが起こるのかを明確にすることが
大切です。
つまり「安全だ」ではなく、「これぐらいの危険がある」と事実が明確になった
方が、「それぐらいなら我慢をしよう」「いやそれでもいやだ」という自己判断、
自己選択が可能になるのです。
この点について、僕自身、これまでこの数値を編み出そうとずいぶん悩み、
もがいてきましたが、これは僕が個人で出すべき回答ではないという結論に
達しました。これは専門家集団を中心に、社会的に決するべきことだからです。
そしてそれまでは、一般人の許容範囲である年間1ミリベールとの被曝許容
量を順守すべきです。またそれが明らかに避けられない状態に立ち入ったにも
関わらず、自分がその場を立ち去れない場合は、一つの目安として、放射線
に関わる仕事をしている人の許容量が50ミリシーベルトであることを念頭に
おくとよいのではないでしょうか。つまりそこまでのリスクを自ら選択すると
いうことです。
にもかかわらず、年間1ミリシーベルトを超えてもただちに健康に影響は
ないとか、規制値を越えたものを食べても大丈夫だとかを繰り返していると、
そもそもの数値に対する信頼が崩壊してしまいます。むしろ規制値の根拠、
これこれこうだからつまりどれぐらいの危険性があるから、この規制がある
のだという点を打ちだし、その上で、リスクを承知でお使い下さいと言うべきです。
その場合、リスクが非常に低いなら、その数値こそをだすべきです。その方が
人々は安心し、風評被害も出にくくなるのではないでしょうか。
ともあれこの国の全体を見回すならば、もはやすべての人が、今回発生した
放射能の被曝をうけずに暮らすことは不可能です。だから私たちは、そうした
人々、とくに今、福島の方々をはじめ、原発周辺に残って、逃げられない人々を
置きざりにしないためにも、今ここで、みんなで放射能について勉強し、
知識を蓄え、それでもって社会的に、放射能の害と立ち向かっていく
必要があります。
その際に、放射線はときに私たちの味方にもなってきたことを忘れない
ようにしましょう。放射線の害は、私たちにガンのリスクをもたらしますが、
そのガンをたたくのにも、私たちは放射線を利用しています。また
レントゲンは、私たちにそのつど、リスクをもたらすのですが、今すぐに
治療しなければならない深刻な病巣の発見など、それを上回る
大きなメリットももたらしています。
まとめましょう。
現在、私たちは、ゆっくりすすむチェルノブイリ級事故のただ中にあります。
今後の行く末は今の段階では誰にも分かりませんが、少なくとも、事態は
すぐには収まらず、まだまだ放射能漏れが続く可能性が極めて高いです。
またより大規模な事故が起こる可能性も依然、あり続けます。
こうした中で可能ならば、原発からできるだけ離れることが賢明ですが、ここに
距離を設けるのは難しい。フランスなどは自国民を本州から撤退させています。
これに対して米軍は、80キロ圏内立ち入り禁止にしています。ただしここには
日本の中にたくさんの米軍基地を有しているアメリカと、そうではないフランスの
違いがあることも忘れてはなりません。
私たちの多くにとって、本州撤退は、現実性を帯びた選択肢ではありません。
また政府や行政が組織的に動いていない今の状態では、私たちはそれぞれの
経済状態や、避難場所の確保などによって、可能な選択肢が決まってきます。
ですから、ここでは可能ならば、避難した方が良いと言う結論しかでませんが、
いずれにせよ、自らの結論を能動的に選択したいものです。
次に重要なのは、放射能に関する知恵を深めることです。それが何よりも、
放射能から身を守ることにつながります。僕自身、専門家に学びながら、
目安となる数値を出していきますが、しかしただそれを教えてほしいと受動的に
なるのは危険です。すでに多くの錯綜した見解が出ているからです。しかも
科学的に言えば、答えを一つに絞りきれない側面もあります。論争や調査の
過程にあるものも多いからです。だから自分で、この数値を信頼しようと、
決断していく必要があります。そのために知恵を獲得していきましょう。
この際、友人で尊敬する科学者の方からいただいたアドバイスを紹介したいと
思います。科学の世界では何事もあり得ないとはいいきれないということです。
例えば、原発が大事故に発展する可能性もそうですし、今から最も理想的に
瞬く間に終息していく可能性もそうです。だから科学的に正しいことを言おうと
すればするだけ、ものは言いにくくなる面もあります。
こうした中で、信用しない方がよい一つの基準は、断言された言説だと言うこと
です。絶対に大事故は起こらない、絶対に大事故に発展する、こうした断言は
科学的ではないということです。だからこそ、科学は、最終的な判断を、私たち
自身がすることを問うてもいるとも思います。
これらに踏まえて、迫りくる放射能汚染の拡大に対して、能動的な構えを
作りだしていきましょう。また大事故に発展した場合の、精神的構えをも
作りだしていきましょう。どんなところからでも、何かをできる可能性があります。
そのことを見据え、私たちのポテンシャルをあげて、この未曾有の難問に
みんなで立ち向かい続けましょう!
以上に踏まえて、情報発信を続けます。
*********************
福島原発の放射性物質、チェルノブイリを下回る=オーストリアの研究所
オーストリア気象地球力学中央研究所は23日、
福島第1原発の事故後3─4日間に放出されたヨウ素131とセシウム137の量が、
旧ソ連チェルノブイリ原発の事故後
10日間の放出量の約20─50%に相当するとの試算を明らかにした。
日米の測定結果を基に算出した。
同研究所によると、事故後3─4日間のヨウ素131の放出量は、
チェルノブイリ原発の事故後10日間の放出量の約20%。
セシウム137の放出量は、同約50%に達する可能性があるという。
フランスの放射線防御原子力安全研究所(IRSN)は22日、
福島原発の事故で漏えいした放射性物質の量は
チェルノブイリ事故の約10%との見解を示している。
チェルノブイリの事故では原子炉が爆発したが、
福島原発の事故では放射性物質が比較的ゆっくりと漏えいしている。
一方で、放射性物質が陸上に拡散したチェルノブイリとは異なり、
福島原発の事故では放射性物質の多くが太平洋上に飛散しており、両事故の比較は難しい。
2011年 03月 24日 11:21 JST
[ウィーン/オスロ 23日 ロイター]
http://jp.reuters.com/article/domesticJPNews/idJPJAPAN-20221320110324?rpc=122
ロイター通信をチェックしていて重要な記事を発見しました。
表題は「福島原発の放射性物質、チェルノブイリを下回る」となっていますが、
うまく内容を伝えていません。そうではなくて、すでに福島原発から
放出された放射能が、チェルノブイリの2割から5割になっているという記事です。
これは事故後、3日間から4日間を調査した、オーストリア気象地球力学
中央研究所の見解です。一方で、フランスの放射線防御原子力安全
研究所は、1割だとの試算を出しています。
これらを総合すると、すでに福島原発からは、チェルノブイリの1割から5割の
放射能が出ていることになります。しかも事故後4日間でです。
ゆっくりとしたチェルノブイリ級事故が進行しています・・・・・。
幸いにというべきか、放射能の多くは、太平洋上をただよっているようです。
それが太平洋上の島々の汚染につながらないこと、他の大陸まで動いて
いかないことを祈るばかりです。海洋汚染が、できるだけ軽微にすむことも
祈りたいですが、ともあれ、海洋上に放射能が流れたために、国内では、
まだチェルノブイリのような被害の実感はほとんどありません。
しかしある意味で私たちの実感がない中で、地球の汚染というレベルでは
確かにこの事故は、チェルノブイリ級にどんどん近付いていっているのだと
思います。この事態の重みを受け止めることが必要です。すでに私たちは、
チェルノブイリ級事故をゆっくりと経験している可能性が高いです。
もちろん、炉心が破断してしまい、より大規模に汚染が広がってしまう危機も
まったく去っていませんが、このままこうした状態、つまり断続的に放射能が
出続ける状態が、長期にわたって続く可能性もあり、今と同じような、ないしは
もう少し危機感が深まるぐらいのレベルで、いつしかチェルノブイリをも
越えてしまう必要があります。
にもかかわらず、テレビ番組はほとんど通常の状態に戻りました。春の選抜
高校野球も開催され、バラエティ番組も復活しています。それが悪いといい
たいのではなくて、いつか歴史上、人々は今、私たちが過ごしているこの
時間帯を、奇妙な数十日、ないし数週間とでも呼ぶようになるのではないで
しょうか。
ゆっくりと大規模な放射能汚染が広がる最中にありながら、その中でたんたんと、
日常生活が営まれている。しかも旧ソ連とは違い、建前であろうとなんであろうと
民主主義がうたわれ、情報機器が発達し、人々がいつでもお望みの情報を
集められる状況の中にあってです。
・・・いやいや、そのように慨嘆してはいけませんね。
そうではなくて、私たちは覚醒する必要があるのだと思います。危機はゆっくりと
進行している、ゆっくりとチェルノブイリ級事故が進んでいる。それは止められる
かどうか分からないけれど、いずれにせよ私たちには、チェルノブイリのときより
時間がある。対処できるゆとりがあるのです。その間にいろいろな英知を集める
必要がある。
重要なのは、放射能汚染とどう立ち向かうのかです。汚染がどんどん深刻化
している事態を見据えて、可能な限りの避難を進めることです。そのための
目安となるものをお伝えしてきましたが、次の見解も非常に参考になります。
「柏崎刈羽原発の閉鎖を訴える科学者・技術者の会」のものですのでご覧
下さい。
「福島原発震災」をどう見るか―――私たちの見解
http://kk-heisa.com/data/2011-03-23_kkkenkai.pdf
さらに太平洋上に広範囲に広がった放射能が、いつしか南風によって運ばれて
くることももはや可能性としては否定できません。そのとき汚染地域がどうなるか、
誰にも予想はつかないと思います。
チェルノブイリの経験でいっても、汚染はスポット型になるでしょう。つまり原発
から均一に汚染が進んでいくのではなく、たまたま放射能を多く含んだ雲が、
雨を降らした地域が集中的に汚染されます。
高濃度の地域では居住ができなくなるかもしれませんが、ボーダーラインの地域
では、私たちはある意味で放射能との共存を考えざるを得ない面も出てくると
思います。
だからこそ、安全値や、どのぐらいの値でどのような被害が出るかの正しい
認識が必要です。そしてさまざまなメリット・デメリットを換算する中で、健康に
害が出ることも選択せざるを得ない面もあると思います。だとしたら、追い詰め
られて選択するよりも、能動的に選択したいものです。
そのときに私たちはどうするのか。健康生活に徹し、食生活において
化学物質などを極力排除して、免疫力を高めていくことが真っ先に浮かぶ
ことです。また野菜が汚染されるのだとしたら、綺麗に洗えば、その分だけ
放射性物質が落ちるとか、果物なら皮をむけば、落ちるとか、そうした
知識も身につけていく必要があります。
さらに放射能汚染はガンのリスクを高めるわけですから、ガンに対する
正しい知識を積み上げて行くことも重要です。幸い、昨今の医学の目覚ましい
進歩の中で、さまざまな抗がん治療法や治療薬が開発されています。
また私たちには、ガン患者の方たちのさまざまな闘病の経験もあります。
それらを総動員して、たとえ被曝したとしても、それと立ち向かっていくことは
できます。こうしたことに腹をくくり、その上で、少しでも被曝を軽減したい
ものです。被曝したらもうおしまいなのではなく、そこから先もたくさんの
ストーリーがあることを頭に入れながら、放射能を「正しく怖がる」知恵を
身につけて行きたいものです。
その際、専門家の方たちにお願いしたいのは、「ただちに健康に被害を
およばさない」という言い方は、もはや不安をあおるものでしかないので、
やめていただきたいということです。ただちにではなければ、いつから、
どれぐらいの被曝で、どのようなことが起こるのかを明確にすることが
大切です。
つまり「安全だ」ではなく、「これぐらいの危険がある」と事実が明確になった
方が、「それぐらいなら我慢をしよう」「いやそれでもいやだ」という自己判断、
自己選択が可能になるのです。
この点について、僕自身、これまでこの数値を編み出そうとずいぶん悩み、
もがいてきましたが、これは僕が個人で出すべき回答ではないという結論に
達しました。これは専門家集団を中心に、社会的に決するべきことだからです。
そしてそれまでは、一般人の許容範囲である年間1ミリベールとの被曝許容
量を順守すべきです。またそれが明らかに避けられない状態に立ち入ったにも
関わらず、自分がその場を立ち去れない場合は、一つの目安として、放射線
に関わる仕事をしている人の許容量が50ミリシーベルトであることを念頭に
おくとよいのではないでしょうか。つまりそこまでのリスクを自ら選択すると
いうことです。
にもかかわらず、年間1ミリシーベルトを超えてもただちに健康に影響は
ないとか、規制値を越えたものを食べても大丈夫だとかを繰り返していると、
そもそもの数値に対する信頼が崩壊してしまいます。むしろ規制値の根拠、
これこれこうだからつまりどれぐらいの危険性があるから、この規制がある
のだという点を打ちだし、その上で、リスクを承知でお使い下さいと言うべきです。
その場合、リスクが非常に低いなら、その数値こそをだすべきです。その方が
人々は安心し、風評被害も出にくくなるのではないでしょうか。
ともあれこの国の全体を見回すならば、もはやすべての人が、今回発生した
放射能の被曝をうけずに暮らすことは不可能です。だから私たちは、そうした
人々、とくに今、福島の方々をはじめ、原発周辺に残って、逃げられない人々を
置きざりにしないためにも、今ここで、みんなで放射能について勉強し、
知識を蓄え、それでもって社会的に、放射能の害と立ち向かっていく
必要があります。
その際に、放射線はときに私たちの味方にもなってきたことを忘れない
ようにしましょう。放射線の害は、私たちにガンのリスクをもたらしますが、
そのガンをたたくのにも、私たちは放射線を利用しています。また
レントゲンは、私たちにそのつど、リスクをもたらすのですが、今すぐに
治療しなければならない深刻な病巣の発見など、それを上回る
大きなメリットももたらしています。
まとめましょう。
現在、私たちは、ゆっくりすすむチェルノブイリ級事故のただ中にあります。
今後の行く末は今の段階では誰にも分かりませんが、少なくとも、事態は
すぐには収まらず、まだまだ放射能漏れが続く可能性が極めて高いです。
またより大規模な事故が起こる可能性も依然、あり続けます。
こうした中で可能ならば、原発からできるだけ離れることが賢明ですが、ここに
距離を設けるのは難しい。フランスなどは自国民を本州から撤退させています。
これに対して米軍は、80キロ圏内立ち入り禁止にしています。ただしここには
日本の中にたくさんの米軍基地を有しているアメリカと、そうではないフランスの
違いがあることも忘れてはなりません。
私たちの多くにとって、本州撤退は、現実性を帯びた選択肢ではありません。
また政府や行政が組織的に動いていない今の状態では、私たちはそれぞれの
経済状態や、避難場所の確保などによって、可能な選択肢が決まってきます。
ですから、ここでは可能ならば、避難した方が良いと言う結論しかでませんが、
いずれにせよ、自らの結論を能動的に選択したいものです。
次に重要なのは、放射能に関する知恵を深めることです。それが何よりも、
放射能から身を守ることにつながります。僕自身、専門家に学びながら、
目安となる数値を出していきますが、しかしただそれを教えてほしいと受動的に
なるのは危険です。すでに多くの錯綜した見解が出ているからです。しかも
科学的に言えば、答えを一つに絞りきれない側面もあります。論争や調査の
過程にあるものも多いからです。だから自分で、この数値を信頼しようと、
決断していく必要があります。そのために知恵を獲得していきましょう。
この際、友人で尊敬する科学者の方からいただいたアドバイスを紹介したいと
思います。科学の世界では何事もあり得ないとはいいきれないということです。
例えば、原発が大事故に発展する可能性もそうですし、今から最も理想的に
瞬く間に終息していく可能性もそうです。だから科学的に正しいことを言おうと
すればするだけ、ものは言いにくくなる面もあります。
こうした中で、信用しない方がよい一つの基準は、断言された言説だと言うこと
です。絶対に大事故は起こらない、絶対に大事故に発展する、こうした断言は
科学的ではないということです。だからこそ、科学は、最終的な判断を、私たち
自身がすることを問うてもいるとも思います。
これらに踏まえて、迫りくる放射能汚染の拡大に対して、能動的な構えを
作りだしていきましょう。また大事故に発展した場合の、精神的構えをも
作りだしていきましょう。どんなところからでも、何かをできる可能性があります。
そのことを見据え、私たちのポテンシャルをあげて、この未曾有の難問に
みんなで立ち向かい続けましょう!
以上に踏まえて、情報発信を続けます。
*********************
福島原発の放射性物質、チェルノブイリを下回る=オーストリアの研究所
オーストリア気象地球力学中央研究所は23日、
福島第1原発の事故後3─4日間に放出されたヨウ素131とセシウム137の量が、
旧ソ連チェルノブイリ原発の事故後
10日間の放出量の約20─50%に相当するとの試算を明らかにした。
日米の測定結果を基に算出した。
同研究所によると、事故後3─4日間のヨウ素131の放出量は、
チェルノブイリ原発の事故後10日間の放出量の約20%。
セシウム137の放出量は、同約50%に達する可能性があるという。
フランスの放射線防御原子力安全研究所(IRSN)は22日、
福島原発の事故で漏えいした放射性物質の量は
チェルノブイリ事故の約10%との見解を示している。
チェルノブイリの事故では原子炉が爆発したが、
福島原発の事故では放射性物質が比較的ゆっくりと漏えいしている。
一方で、放射性物質が陸上に拡散したチェルノブイリとは異なり、
福島原発の事故では放射性物質の多くが太平洋上に飛散しており、両事故の比較は難しい。
2011年 03月 24日 11:21 JST
[ウィーン/オスロ 23日 ロイター]
http://jp.reuters.com/article/domesticJPNews/idJPJAPAN-20221320110324?rpc=122
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます