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明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(892)この状況に前例はない―パレスチナ、ラジ・スラーニ氏インタビューから考える!(上)

2014年07月17日 19時30分00秒 | 明日に向けて(801)~(900)

守田です。(20140717 19:30)

パレスチナが大変なことになっていますが、マスコミ報道では何かイスラエルとパレスチナ側のハマスなどが対等な戦争を行っているかのような書き方もしています。
とくにハマスが「ロケット弾」を撃つことと、イスラエルがF16からミサイルを撃ち込むことがどっちもどっちのように書かれてしまう場合も多い。しかし両者はあまりに大きな差があります。蟻とゾウほども違います。
この決定的な差異を踏まえないで「ロケット弾へも抗議を」という方もおられますが、僕はそれは違うと思います。それではイスラエルの行っている戦争犯罪が見えなくなってしまう。イスラエルはそれを狙ってもいます。

ではこの事態をどう捉えたらいいのか。まず大事なのは、イスラエルの暴力がどれほどすさまじいものであるかをパレスチナに生きる人々の目線から捉えていくことです。
しかもそれは長期化された封鎖の中で構造化されてきている。暗殺などが常態化されてもいるのです。今もハマスなど、パレスチナ側の武器をもって抵抗しようとしている人々は一様に暗殺の危機にさらされており、地下に潜行しているそうです。
ところがイスラエル軍は「それなら住民に恐怖を植えつけてやる」と称して、一般市民そのものを軍事的ターゲットにした攻撃を繰り返しているのです。まさしく非戦闘員の保護を無視した悪辣な戦争犯罪です。

私たちは、現場のリアリティを知らずに「ロケット弾」と「ミサイル」という単語を対比させてはならないと思うのです。まずは現地でどんなことが行われいてるかを知らなくてはいけない。
そのための文献を探していたところ、知人がパレスチナを取材してきたジャーナリスト、土井敏邦(どいとしくに)さんが、パレスチナに住まうラジ・スラーニさんにスカイプで緊急インタビューをした記事を送ってくれました。
それを読んで、これは今すぐ、できるだけたくさんの人とシェアする必要があると感じました。7月10日に行われたものです。

全体として、報道からは伝わってこないパレスチナの人々から見えるイスラエルの姿が彷彿としてくるのですが、僕が読んでいてとくに身体が慄然としたのは、今回の攻撃の特殊性を捉えた次のやりとりです。((下)に載せているもの)

***

(Q・2012年 のガザ攻撃と今回では何か違いがありますか)
空爆のレベルも質も違います。今回はF16、ドロン(無人飛行機)、アッパッチ・ヘリコプター、地対地ミサイル などあらゆる武器を用いています。
また標的もガザの指導者たちの大半の家を攻撃しています。すでに125軒のハマス指導者たちの家が破壊されました。ハマス指導者たちは誰もがその家を破壊され、さらに死傷者が出ています。
もちろん2012年のガザ攻撃もひどいものでした。しかし今回は住民を心底からの 恐怖に陥らせています。前回はイスラエルも一般市民の被害を避けようと注意を払っているようでした。
しかし今回は誰もが この攻撃から自由にはなれないのです。自分の家に留まっていたとしても、比較的静かな地区に住んでいても、家が空爆の衝撃で揺れるのです。家の天井が自分の頭上に崩れ落ちるのではと感じるほどです。非常に危険な状況です。
この状況は前例はありません。こんな事態に直面したことがありません。

***

ガザにはこれまでも本当にひどい殺人戦闘が行われてきており、僕の心の中にもなんとなく「またイスラエルの戦争犯罪が繰り返されている」という感じもあったのですが、今回、ラジ・スラーニさんはこう語っている。
「この状況は前例はありません。こんな事態に直面したことがありません。」他ではこうも言っています。「私は今60歳ですが、こんなことは私の人生の中で一度も経験したことがありません。」
・・・イスラエルの暴力に繰り返しさらされてきたパレスチナ住人が「前例がない」事態が起こっていると言っているのです。本当にとんでもないことが起こっているし、もっと恐ろしいことに向かっているのかもしれない。
なんというか、今まで以上に、必死になってイスラエルの殺人行為を世界中で批判しぬかないと、もっと膨大な死者が発生してしまうのではないかという恐ろしい予感すら湧いてきます。
だからこそ、事態の悪化を食い止めるために、まずはこうしたパレスチナの側の実感を私たちがシェアすることが大切です。そのためについ一週間前に行われたこのインタビュー記事をお読み下さい。
ちなみにインタビューが行われた7月10日時点での死者数は87人。16日で225人に拡大してしまっています・・・。

土井敏邦さんとはどんな方なのかも記しておきます。まずはご自身のページをご紹介しておきます。
http://doi-toshikuni.net/j/index.html

ここを見ると、そもそもラジ・スラー二さんとは、土井さんが実行委員長になって、この7月に日本にお招きしようとしていた方であることが分かります。しかしエジプト・ガザ国境の封鎖でラジさんが出国できず断念されています。
また土井さんが、福島県飯舘村に入って映画を作ったりされてきたこと、他にも素晴らしいドキュメンタリーを作ってきたことが分かります。

土井敏邦さんのウキペディアでの紹介も示しておきます。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%9F%E4%BA%95%E6%95%8F%E9%82%A6

「1985年以来、断続的に延べ5年以上、イスラエルとその占領地(パレスチナ)の難民キャンプや村に滞在して取材を続けている」とありますが、次のような仕事も紹介されています。
「1994年から1998年まで韓国の元慰安婦たちの現状を追い、NHKのETV特集「『分かち合い(ナヌム)の家』のハルモニたち」、NHK・BS特集「戦争・心の傷の記憶」で元慰安婦、姜徳景の半生を描いたドキュメンタリーを制作。」
全体として、世界のさまざまな地域に赴き、素晴らしい取材を重ねてきた方だと感じました。

僕自身はあらゆる暴力に反対なので、パレスチナ側からの「ロケット弾」の発射もやめて欲しいとも思っています。「何百倍返しされるやん」とかも思います。
しかし繰り返しますが、そう単純に指摘することは、パレスチナの側とイスラエルの側が対等にやりあっているような歪められた文脈の中では、イスラエルの戦争犯罪をものすごく軽く扱うことにしかつながらないと思います。
ラジ・スラーニさんは「ロケット弾発射の意義」も論じています。一つは誇りの問題です。そして誇りに支えられた屈しない決意性が、イスラエルの攻撃の意図を砕くという解釈です。今、読み取るべきは、パレスチナの側にこうした思いもあるのだということです。
同時に、イスラエルの白昼堂々行われてきた殺人攻撃の繰り返しを止められていない世界の側にいる僕に、パレスチナ側の抵抗を批判する資格があるのかという点も考えなくてはいけないと思います。

それではも僕は「ロケット弾」の使用を止めて欲しいと思いますし、すべての人が暴力の行使からも解放されて欲しいと心から思います。
でもそれを語ったら「だったら先に、あのイスラエルの戦争犯罪の繰り返しを止めろよ」と言われるでしょう。それには「おっしゃる通りです」と返すしかないし、行動で応えるしかないです。
そしてその上で「イスラエルの戦争犯罪を食い止めるために頑張るので、あなたの側も、例え正義の暴力であっても、それを使うことを止めることを考えてください」と言うべきなのでしょう。というか僕はそう言いたいです。
ともあれ今はイスラエルの暴力を止めるために本当に奮闘しないといけない。攻撃がもっとひどい形に拡大することを避けるために、世界中の正義と平和を愛する人々と連携した行動を重ねたいです。

ぜひみなさん、以下のインタビュー記事をお読み下さい!

*****

「子どもたちの眼に羞恥ではなく、“誇り”をみたい」
―ラジ・スラーニ氏・インタビュー (7月10日)―(上)
土井敏邦

(Q・今のガザの状況を教えてください)
この新たな「戦争」は、3人のユダヤ人入植者が誘拐され殺されたことのきっかですが、イスラエルは事件があったヨルダン川西岸のヘブロン市だけではなく、西岸全体またガザまで攻撃の対象としたのです。
西岸では大量にハマスの指導者たちを逮捕し、ヘブロン市とその周辺の村々に外出禁止令を敷き、家を一軒一軒捜査し始めました。
また住民の家々を急襲し、住民を脅迫し侮辱し、ハマスの指導者たちの家屋を破壊しました。さらに以前ガザで誘拐されたイスラエル兵(シャリート)との捕虜交換で釈放された元政治犯のパレスチナ人を再び逮捕しました。
その数は数百人に及びます。イスラエル軍はパレスチナ自治政府の治安警察も無視して、少しでも不審だと思ったら、たとえ自治政府の人間でも射殺します。彼らはフリーハンドなのです。

3人のイスラエル人少年の誘拐・殺害後はイスラエルの中に怒りが渦巻き、パレスチナ人少年が犠牲になりました。モハマド・アブクデール(16歳) です。それがまた西岸で怒りと暴力の新たな波を引き起こしたのです。
また同時に、西岸の事件とはまったく 関係のないガザ地区でも、イスラエルは繰り返し、ハマスの指導者たちを暗殺すると脅迫しました。それも公にです。そしてイスラエルの世論は復讐を要求したのです。

イスラエルは10日前(6月30日)からF16やドロン(無人飛行機)、アパッチ・ヘリコプターなどによってガザの攻撃を開始しました。いわゆる「クリーンな爆撃」と彼らは言います。
それはガザ南端のラファから北端のベイトハヌンまで空爆し、個々人を標的して住民を殺すことはせず、ただ住民の間に恐怖心を植えつけるというのです。そしてガザ全体には安全圏はないと感じさせるようというのです。

しかしこの「戦争」の最初に、イスラエル軍は6人のハマス武装メンバーを殺害しました。つまりもはや「クリーン」ではないのです。ハマスはそれを受け入れることができません。イスラエルは自らの宣言を破ったのです。
それでパレスチナ人側は報復しています。つまりイスラエルが挑発し、この「戦争」は始まったのです。
それがこの「戦争」の引き金なので す。イスラエルは当初から、ハマスが反撃を開始することを望んでいました。それに応戦し降伏させようと考えていたのです。
その空爆のやり方は、気が狂ったように猛烈に激しい爆撃です。ガザ全体を爆撃し、標的にした者は確実に殺害し、破壊する。イスラエルは新たな作戦を作り上げ、12時間の間に24人を殺害し、220人を負傷させました。
また85軒の家を破壊しました。その作戦は、 例えば私、ラジ・スラーニがハマスがイスラム聖戦のリーダーであったとすれば、私がそこにいようといまいと、私の家を爆撃するのです。F16によってです。
ガザ中部のハンユニスのアブ・カワレ一家がその一例です。5人の子どもを含む7人を殺害し、28人を負傷させました。
ベイトハヌンのハマッド一家も同様に、近所の男性がコーヒーを飲んでいて、傍にハマッドの妻と母親がその部屋にいました。そのとき空爆され、孫たちを含め6人が死亡したのです。

イスラエル軍は住民、家族を破壊し抹殺しようとしています。破壊とテロです。軍事的な攻撃目標などないのです。これまで犠牲者の中にハマスやイスラム聖戦のメンバーは6人から多くても10人ほどです。
他の犠牲者は一般市民で、その数は今のところ87人です。その数は時間ごとに増えています。武装組織のメンバーたちの大半が地下にもぐって表には出てきません。
だからイスラエル軍は彼らの家、農園、インフラを狙って攻撃するのです。そこに人がいようがいまいが構わないのです。
住民の殺戮と負傷によって、住民に恐怖を植え付けようとしています。それが、200万人が暮らすこの360平方キロの広さしかない狭いガザ地区で起こっているのです。
ここは世界でも最も人口密度の高い地域です。イスラエルにはF16やアパッチ・ヘリコプターがあり武装艦船を持っています。それを用いて24時間、砲爆撃を繰り返しているのです。
それだけでは満足せず、ある地域では地対地ミサイルまで用いています。誰も満足に眠ることができません。夜に動くものは、車でもモーターバイクでもすべて爆撃されます。即座に、です。
夜の間、ガザをマヒ状態にしようとしています。日中でもガザでは普通の車を使うことが困難です。私は今60歳ですが、こんなことは私の人生の中で一度も経験したことがありません。

この「戦争」、爆撃の前からガザ地区はとても特殊な状況に置かれていました。これまで2度もイスラエルの激しい攻撃にさらされ、多くの建物は再建されてはいません。
また封鎖によって、ガザは経済的にも社会的にも窒息状態に置かれています。その封鎖の影響はあらゆるところに及んでいます。
ハマスとファタハの連立政府が成立したばかりですが、ヨルダン川西岸から新たな政府要人がガザへ来て業務を引き継ぐこともできません。ガザ地区は非常にひどい状況下にあるのです。

現在、イスラエル軍の地上侵攻についての噂が大きくなっています。イスラエルには大きな政治的な意見の分裂があります。ネタニヤフは気が狂っているかのようです。
もしイスラエル軍がガザ地区に侵攻してきたら、多くのイスラエル兵が殺されます。今は空爆によって、ガザはまさに 「象が侵入した庭」のような状況です。しかしイスラエル軍がガザに侵攻したら、何千人という兵士が殺されます。
一方、ガザ住民は少なくとも1万から1万5千人が殺されることが推定されます。イスラエル軍はガザに侵入すると流砂の蟻地獄のような状況になります。
だからイスラエルの軍や 諜報部門は侵攻を望んでいないのですが、政府が圧力を加えています。しかもまったく仲介者がいません。
ハマスはエジプト政権に、「我われはあなた方と話をしたくない。あなた方はイスラエルの側に立っていて、我われはあなた方を信用しない」 と言っている。
そのハマスの指導層の大半は地下に隠れています。彼らが表に出てくれば、即座に暗殺されるでしょう。

この事態は短期間では終わらず、長期化すると私は思います。とても困難で、血にまみれたものになるでしょう。何日かではなく、何週間も続きます。
ガザの住民はまだ抵抗を支持しています。ハマスに対する不平・不満はなく、イスラエルと彼らがやっていることに対して激しい怒りを抱いています。またイスラエルを支持するアメリカやヨーロッパなどの立場と対応に怒っています。
2008-2009年、また2012年のガザ攻撃で犯した罪によってもイスラエルは何の罰も受けなかったので、自分たちは免罪され、やりたいことは何でも自由に行動できると思っている、と多くのガザ住民は感じています。

ここで起こっていることは簡単です。 ここは法が支配する世界ではなく、ジャングルの掟(おきて)が支配している世界なのです。一般市民を保護する基本的で原則的な法さえ欠落しているのです。
私は今国際的な組織と接触をとっています。彼らは住民が標的にされ、多くの人が殺され、負傷していること、ガザ全体に医療品が不足していること、また病気や負 傷した人が封鎖によって治療にエジプト側に出られないことをとても心配しています。
あらゆるガザ住民が不安に震えていま す。まったく展望が見えないからです。イスラエルはここでは「全能」です。住民は苦しみ泣いています。
それは道理にかなったことです。私は最悪の事態が起こることを恐れています。時間が経つごとに、前よりさらに事態は悪化し、今日は前日よりもひどい状態になっています。

(Q・夜は動くものが標的にされる中、救急車は動けるのですか)
爆撃は四六時中続いています。24時間ずっとです。夜に動く物体や人は全て爆撃されます。


(Q・もし夜に負傷した場合、どうやって負傷者を病院に運ぶのですか)
とても難しい状況です。動くのがとても困難なのです。昨夜、ハンユニスの海岸で爆撃がありました。住民はただカフェに座っていただけです。電気もなく、テレビも見られない状態でした。
それに対してイスラエル軍は海上の艦船から砲撃したのです。5人が死亡し、20人が負傷しました。病院に駆け込むことができなかったからです。
その1人は脚が切断され、本人がその切断された脚を抱えてジャーナリストたちに見せたのです。とても困難な状況です。まったくイスラエルはガザ住民の被害など気にかけない。女性や子どものこともまったく気にかけないのです。

続く

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明日に向けて(891)イスラエルは無差別殺人を止めよ!ピーススタンディングビジルにご参加を!

2014年07月17日 17時00分00秒 | 明日に向けて(801)~(900)

守田です。(20140717 17:00)

パレスチナ・ガザにイスラエル軍が猛烈な空襲を繰り返しています。

16日未明、イスラエル軍はガザ北部と東部の住民約10万人に対し、16日午前8時(日本時間同午後2時)までに退避するようにとの警告を行いました。
実際に夜が明けるやガザ全域の数十か所への空襲が行われる一方、海軍艦艇からの海岸地区への砲撃も強化されました。このため16日午後には、ガザ中心部の浜辺で遊んでいた子ども4人が砲撃で殺害されてしまいました。
イスラエル軍の猛攻による16日までのガザ側の死者は225人、負傷者は1800人に達しています。その大半がたくさんの子どもたちを含んだ一般市民です。犠牲者はますます増えつつあります。

イスラエルが行っていることは、明らかに戦争犯罪です。一般の市民を標的にした無差別な戦闘が繰り返されています。たくさんの人々が一方的に殺されています。
このジェノサイド的な行為をなんとしても止めさせたい、子どもたちを救いたい、亡くなった方たちを弔いたいと考えて、僕が参加している「ピースウォーク京都」と「つばめクラブ」主催で、ピーススタンディングビジルを行うことにしました。

19日午後7時に、祇園祭などで沸いている京都の三条大橋に集まり、キャンドルとメッセージボードを持って立ちます。
静かに人々の死を悲しみ、イスラエルの戦争犯罪に抗議します。こうした声が世界中で高まることで、パレスチナへの攻撃が止まり、もうこれ以上、命が奪われないことを祈り、願って立ちます。
お近くの方、ぜひご参加下さい。またこの情報をどんどん拡散してください。一緒になってイスラエル政府への批判の声を上げてください。全国でさまざまな形で声を上げましょう。

以下、ピースウォーク京都とつばめクラブから発せられた呼び掛け文を貼り付けます。転送転載大歓迎です。

(なおビジルvigilないしキャンドル・ビジルとは、日没後に野外でろうそくを持って行われる集会のことで、ある人々が受けている苦痛への抗議として行われたり、疾病、災害、虐殺などで失われた命を悼むために行われてきたものです)

*****

みなさん

パレスチナ・ガザが大変なことになっています。
イスラエルによるすさまじい攻撃が続いています。
白昼堂々、住宅が密集した市街地にミサイルを撃ち込み、無差別に市民を殺戮しています。

2006年来続く違法な封鎖によって、ガザに閉じ込められた180万もの人々が、
逃げる場もなく、攻撃にさらされているのです。
たくさんの子どもたちを含む200人以上の人々が殺されてしまいました。

2008年暮れの攻撃以来、この5年半の間で実に3度目の攻撃です。
目の前で、理不尽な人殺しが繰り返される。

こんなことはもうたくさんです。
私たちは「イスラエルは無差別殺人をやめよ」、「封鎖をやめよ」
という声を街頭であげることにしました。

19日午後 7時から8時半まで、京都の三条大橋の上で、ピーススタンディングビジルを行います。

犠牲になったすべての人々に弔いの意を表すとともに、
イスラエルのジェノサイド的行為に抗議します。
キャンドルとメッセージボードを持って立ちます。
どうかご参加下さい。

参加にあたってはできるだけ黒っぽい服をご着用ください。
出来る限りご自分で作ったメッセージボードをご用意ください。

キャンドルは用意しますが、可能ならご自分でもご持参ください。
雨天でも行います。

ピースウォーク京都
つばめクラブ

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明日に向けて(890)原発新規制基準の虚構性を批判する・・・川内原発再稼働を止めるために

2014年07月15日 18時30分00秒 | 明日に向けて(801)~(900)

守田です。(20140715 18:30)

人の言うことにまったく耳を貸さず、何でもかんでも強引に推し進めつつある安倍内閣ですが、今度は原発の再稼働に踏み切ろうとしています。
最初の再稼働が狙われているのは鹿児島市にある川内原発です。明日16日に、九州電力から提出された1、2号機に関する「安全対策」が新規制基準に適合していると認めるとのことです。
ただしこのことで再稼働が決まってしまうわけではありません。その後に「国民から意見を募集する」とされています。本来はここから国民、住民による再稼働をめぐる検討が始まるのです。
さらに「残る審査項目の確認」あります。まだこれらの課題が残っているのであって、原子力規制委員会が「合格証」を出したから再稼働が自動的に決まるわけではないし、決めさせてはなりません。

再稼働の強烈な推進派の読売新聞など、あたかも秋には再稼働が始まるかのような記事の書き方をしています。
再稼働に反対する世論を操作しようとする恣意性のこもった表現ですが間違っています。記事のアドレスを紹介しておきます。

川内原発に事実上の合格証…早くて秋にも再稼働
読売新聞 7月14日(月)20時8分配信
http://www.yomiuri.co.jp/science/20140714-OYT1T50126.html

この再稼働への動きにおいて、最も批判されるべき点はなんでしょうか。それは原子力規制庁が打ち出した「新規性基準」が、プラント設計思想の常識に該当する安全思想の要件を満たしていないことです。
基準そのものが安全思想にのっとっていないのですから、それを満たしているかどうかなど本来、論外なのです。
僕はこの点を繰り返し指摘してきました。主要な点は、元東芝格納容器設計者の後藤政志さんが繰り返し説明してくださっていることから学んだものです。
川内原発への「新規制基準」の「合格」が明日にも出されようとしている中で、今一度、これらの観点のポイントを押さえておきたいと思います。

「新規制基準」のあやまっている点は、たくさんあげられるのですが、一番、分かりやすいのは、格納容器を守る「フィルター付きベント」の設置を義務付けている点です。
ここが最もおかしい。にもかかわらずマスコミの批判もしばしばこの点をスルーしてしまっていることは大きな問題です。
ベントとは、福島第一原発事故で俄かにクローズアップされた、格納容器が圧力が高まって危険な状態になったときに、中のガスを抜くための装置です。
この際、当然にも中のガスは大変な高濃度の放射性ガスですから、その放出にあたって、フィルターもつけろというのです。それが新規制基準の一つの山になっています。

しかしこれはそもそも原子炉のプラントとしての自己破産を物語るものでしかないのです。なぜなら格納容器とは炉内で事故が起こった時に、放射能を閉じ込める装置だからです。
ベントはその格納容器を内部の圧力から守るために、放射能を外に逃がして、容器を守ろうとするのです。つまり格納容器としての任務放棄なのです。設計者は「格納容器の自殺」と呼んできたそうです。
したがってベントを付けることそのものが、格納容器がもともと放射能を閉じ込める装置として確立していないことを如実に表すものなのです。
原発再稼働を許して欲しいというのなら、当然ですが、格納容器を設計し直し、何があっても壊れないものを作るべきなのです。絶対にベントなど必要のない格納容器をです。

現実にそれが可能なのかと言うと、僕は不可能だと思います。そのことに、原子炉は確立されていない技術体系であり、社会が使ってはいけないものであることが現れています。
だから原発から撤退すべきだというのは純技術論的に出てくる当然の結論なのです。
もちろん原子力村の人々は「撤退」を認めようとしないでしょう。でもそうであるならば、絶対に壊れない格納容器を作って見せなさいということなのです。
少なくとも技術論的には、壊れない格納容器ができるまで、原発は稼働させてはならないのです。

にもかかわらずベントを付けるのは、格納容器という、推進派の人々が「放射能を閉じ込める最後の砦」が壊れる事故が発生しうることを意味します。
だとしたら「安全」なのではなく、「過酷事故は十分に起こりえます。それを覚悟で運転しますので、事故が起こった時の対策を新たに加えました」と明言すべきなのです。
「万が一」などではない。福島第一原発では実際にそれが起こってしまった。しかも稼働中のすべての炉で起こったのです。現実に事故の起こる可能性はこれまで想定されていたよりもずっと高かったのです。
だから「ベントを付ける」とは、過酷事故を覚悟の上で動かすということなのです。このことをマスコミのみなさんはもっときちんと書いて欲しいです。

さらに「過酷事故」とは何かもきちんと説明されていません。英語ではシビアアクシデントと言われていますが、事態が深刻になったこと一般をさす、定義のない言葉なのではありません。
「事前の想定がすべて突破されてしまった」のが「過酷事故」なのです。事前の想定とは、設計者が事故が起こったら何が起こるかを予測し、対策を立てておくことです。
ところが過酷事故は、そのすべてが突破されてしまった状態で、設計者としてはもうお手上げな状態なのです。本来、備えておくことができないものだからです。できるならプラントにあらかじめ組み込まれているのです。
新規制基準はこの点を曖昧化し、その「備え」を福島第一原発事故の経験から導き出したとしているのですが、同じことが起こる保障などまったくありません。

だから「過酷事故は起こりえます。これは想定を越えた事故で本来何が起こるか分からない事故です。そこで福島第一原発事故で起こったことを参考に、その場合の対処を行っておきます。」と言うべきなのです。
さらに「もちろん他のことが起こる可能性もあります。また対処がうまくいくかどうかもテストできません。何せ想定できない事態ですから何が起こるかはっきりとは分からないのです。でも電気は有用だから原発を動かさせてください」とも付け加えるべきです。
事実上、「新規制基準」に合格したから原発を動かすということは、こういうことを意味するのでしかありません。
この「ベントを付けることの矛盾」「過酷事故を前提とすることの矛盾」そのものへのマスコミのみなさんからの批判が弱いのが残念です。

そのため各地の再稼働反対運動の中で、ぜひともこれらの視点を身に付け、拡散していくことをお願いしたいと思います。
こうした観点を学ぶためには、後藤政志さんの解説をぜひ読んで欲しいです。身に付けるべきは設計上の安全思想です。
この点をしっかりと押さえて、再稼働に向かう原子力規制庁のものの考え方、発想の仕方のパラダイム(枠組み)をしっかりと批判的に捉えることが大切です。
設計上の安全思想を身に付ければあらゆることに応用が効きます。川内原発再稼働の動きと対決していきながら、こうした観点を身に付けて、私たち自身をより賢くしていきましょう。

以下、これらの点についてまとめた記事をご紹介しておきます。ぜひ今の時期にお読み下さい!
すべて2013年7月上旬に書いたものです。

***

まずは、後藤さんのレクチャーを受けて、新基準の矛盾を端的にまとめたものです。

明日に向けて(705)原発新基準はどこがおかしいのか・・・1
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/bd6b731a0c369c18919464329bcbfd41

明日に向けて(706)原発新基準はどこがおかしいのか・・・2
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/125511040525b722643316d3fa25458e


続いて後藤政志さんのネット上でのレクチャーを文字起こしする中から考察したものです。
ベントの問題に限らず、設計思想、その中での安全思想に迫っていただきたいです。

明日に向けて(698)安全性を無視した原発新基準を後藤政志さんの考察から批判する・・・1
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/f9c18da770d20ca66cafe5f8ba50af27

明日に向けて(699)安全性を無視した原発新基準を後藤政志さんの考察から批判する・・・2
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/4b74e388182e4347fe8682ecf5a4600f

明日に向けて(700)安全性を無視した原発新基準を後藤政志さんの考察から批判する・・・3
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/cc8b64cafed87f1b812a9b88bd5e2210

明日に向けて(701)安全性を無視した原発新基準を後藤政志さんの考察から批判する・・・4
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/42af09f3e2abbfea5b86a7bf586b72f7

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明日に向けて(888)ガザ・繰り返されるジェノサイドー私たちの応答責任(緊急集会in京都)

2014年07月11日 14時30分00秒 | 明日に向けて(801)~(900)

守田です。(20140711 14:30)

兵庫県篠山市に来ています。午後4時から篠山市防火安全協会のお招きで講演を行います。すでに会場に入って準備をしていますが、パレスチナ・ガザのことを考えていてもたってもいられなくなっているところに、友人の岡真理さんから緊急集会のお知らせが届いたので、とりあえず皆さんに紹介することにしました。

 

まさにたった今、ガザで、再びとんでもない殺戮が繰り広げられています。マスメディアはイスラエルとパレスチナ・ハマスの間の「対等」な戦闘のような書き方をしていますがとんでもない。イスラエルは今回もパレスチナの普通の住宅街に空襲を繰り返しています。行われているのは戦闘員同士の交戦ではまったくなく、民間人を意図的にターゲットにした市民虐殺です。すでにたくさんの子どもたちが殺されています。「巻き込まれた」のではなくイスラエル軍によって意図的に狙われているのです。明らかなる戦争犯罪です。

 

それが全世界の目の前で、白昼堂々と行われています。しかもこういうときに限って「テロ」とは言われない。イスラエル軍がハマスのメンバーを殺すと「テロ」ではなくて「暗殺」と言われます。なんなのでしょう。暗殺とは非合法的な殺人のことです。いわゆる自爆攻撃が「テロ」ならイスラエルが繰り返していることは明らかなるテロです。そしてイスラエルをいつもかばっているアメリカこそがテロ支援国家です。いやアメリカは自ら大量破壊兵器を大量に保持し、アフガンでもイラクでも非道な殺人を繰り返してきたテロ国家そのものです。

 

こんな酷いことを黙って見過ごしているわけにはいかない!みなさん。それぞれでできることを行いましょう。ここで無力感に陥っていてはいけない。子どもたちが殺戮され続けていることを黙っていてはいけない。イスラエルは全世界の反応もきちんと見ています。だから抗議をしましょう。イスラエル大使館に電話やメールをしましょう。

 

明日、京都で緊急集会が行われます。この問題を一番良く知り、一番良く行動してきた友人で京都大学の岡真理さんが呼びかけを行っています。僕自身は明日は、兵庫県加古川市で講演のために駆けつけることができませんが、京都のお近くの方、ぜひご参加ください。

 

とにかく絶望にかられて口を閉ざすのはやめましょう。私たちが声を出せば、その分、攻撃が弱まるかもしれない。その分、命を助けられるかもしれない。そう考えて何かをしましょう!!

 

*****

京都大学の岡真理です。ガザ緊急集会のお知らせです。

■■緊急集会■ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ガザ・繰り返されるジェノサイドーー私たちの応答責任

 7月12日(土)午後1:30~(1時開場)
 京都大学吉田南キャンパス 人間・環境学研究科棟 地下講義室

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー■■

ガザ、それは21世紀のワルシャワ・ゲットーです。
ワルシャワ・ゲットーの先でユダヤ人を待っていたものが、アウシュヴィッツにおけるホロコーストであったとすれば、21世紀のワルシャワ・ゲットーであるガザの先でガザのパレスチナ人を待ち受けているものが、ジェノサイド的行為であることは必然の結果です。

今、180万の住民が逃げ場もなく閉じ込められている、この小さな小さな土地に、5年半前と同じ容赦ない空爆が続いています。

先週、イスラエル占領下のヨルダン川西岸地区ヘブロンのユダヤ人入植地で、行方不明となった3名のユダヤ人入植者の10代の少年たちの遺体が発見され、イスラエル政府はこれをハマースの犯行と断定、イスラエル軍は集団懲罰としてガザに対する空爆を開始しました。

7月8日‐10日の3日間の攻撃で、少なくとも88人のパレスチナ人が
殺害されました。うち60名が非武装の市民、18名が子どもです。
負傷者は550名にのぼります。

イスラエルは、パレスチナ人ジャーナリストが乗った車を、「メディア」であることが明らかであったにもかかわらず爆撃、運転手が死亡、同乗していた3名の記者が負傷しました。

国連発表によれば150軒以上もの家が全壊ないし大きな被害を受け、
下水ポンプ場が破壊されたために、2500万リットルもの下水が、
下水処理されないまま地中海に流出しました。

9日、イスラエルの主要紙「ハアレツ」は、イスラエル軍関係者(匿名)の発言を引用、それによれば、今回の攻撃開始以来、すでに400トンの爆弾が投下され、封鎖されたガザ地区に対し750回の攻撃が加えられました。

「人権のための医師団‐イスラエル」によれば、封鎖のため、シファー病院を

はじめとするガザの病院は、麻酔薬や包帯、滅菌縫合糸など必需品が払底しています。各地の病院が、近隣への爆撃により被害を受けています。

(以上、Institute for Middle East Understanding(IMEU)HP Gaza factsheets より。
http://imeu.org/article/occupation-update-israels-latest-assault-on-gaza )

今春、ガザを訪れ、シファー病院を視察した際、救急病棟を案内して下さったお医者さんが、救急用の医薬品の収納棚を見せてくれました。棚はほとんど空っぽでした。

「今はまだ、かろうじて在庫でしのいでいるが、今度、大規模攻撃があったらどうなるか…」とおっしゃっていた言葉がよみがえります。

明日7月12日(土)は、当初、ガザの人権弁護士ラジ・スラーニさんの
講演会が予定されていましたが、ラジさんの来日延期により、代替企画として、ガザの映画上映と、今春、ガザを訪れた岡によるガザ報告会を開催する予定でした。

しかし、ガザで現在進行中の事態を受けて、ガザに対して関心を寄せる皆さまと、ガザについて今、あらためてともに考えるための緊急集会として位置づけ、急きょ、上映予定の作品を2008‐09年の攻撃を描いた「ガザ攻撃」に変更、およびわたくしの話も、今現在の事態に応答する内容に変更し、開催したいと思います。

ぜひ、多くの方にお知らせください。
以下、明日のプログラム詳細です。

■■緊急集会ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ガザ・繰り返されるジェノサイドーー私たちの応答責任

■日時:7月12日(土)午後1:30~(1時開場)
■会場:京都大学吉田南キャンパス 人間・環境学研究科棟 地下講義室
   http://www.h.kyoto-u.ac.jp/access/

*吉田南キャンパスは、時計台キャンパスの南側のキャンパスです。
 東大路に面した西南門(車両用通用門)から入ると分かりやすいです。
 西南門入口に構内地図がありますので、人間・環境学研究科棟の位置を
 それで確認の上、お入りください。門を入ってすぐ左手の建物が同棟です。
 地下講義室は、門を入ってそのまま同棟を左手に見ながら直進、突き当りを左に回り込んで、ガラス張りの建物の部分からお入りください。

■プログラム 
1:00 開場
1:30 主催者挨拶
第1部 映画上映
1:40 土井敏邦監督「ガザに生きる」5部作より「ガザ攻撃」(86分)
3:05休憩
第2部 講演会
3:15 岡真理(京都大学)
   「ガザ 繰り返されるジェノサイドーー私たちの応答責任」
5:00 終了予定

★ラジ・スラーニ氏からのメッセージもご紹介します。

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明日に向けて(887)台風8号接近中!最大の警戒心をもって対応を!

2014年07月08日 21時00分00秒 | 明日に向けて(801)~(900)

守田です。(20140708 21:00)

非常に大型で、7月のものとしては過去最大の勢力とも言われる台風8号が日本列島に接近してきています。
共同通信が14時34分に配信した記事には次のように記されています。
「気象庁は沖縄本島地方と宮古島地方への暴風と波浪の特別警報を継続。新たに両地方に高潮の特別警報を、沖縄本島地方に大雨の特別警報を発表し、最大級の警戒を求めた。
宮古島市や宜野湾市など12市町村は、計約22万世帯の約53万人に避難勧告を出した。」

台風は今後九州に接近、その後本州を東に進み、広範囲に被害をもたらす可能性があります。
とくに懸念されているのが「記録的な大雨」です。ここ数年の傾向を見ると、1日で年間降水量の何割かにも匹敵するような雨が降ってしまう可能性があります。
そうなるとこれまでの経験では考えられなかった土砂崩れや、川の越流などの水害が起こってくる可能性があります。非常に危険です。
ぜひ各地で最大級の警戒態勢をとられてください。必要を感じたら、ただちに命を守る行動に移ってください。

これまで折に触れて繰り返してきましたが、災害時に避難を遅らせるのは「正常性バイアス」です。
事態の危機的悪化を認めない心理が働いてしまい、事態は「正常に戻っていく」ないし「正常である」というバイアス=偏見をかけてしまうことです。
今回の台風でも「自分のところまで被害はこないだろう」と思うことが一番危険です。
正常性バイアスのロックを解除するのは事前の避難訓練。図上訓練で良いので考えられる事態を想定し、難を逃れる手段を考えておいてほしいです。

台風情報については、たくさんのニュースが出ていますが、状況は刻々と変わっていくので、リアルタイムで状況をつかんで下さい。一つの例として以下のニュースをご紹介しておきます。

台風8号 九州や本州へ 記録的大雨も
tenki.jp 2014年7月8日 15時41分
http://www.tenki.jp/forecaster/diary/t_yoshida/2014/07/08/13281.html

ここにはこう記されています。
「特に警戒が必要なのが、九州南部や四国で、明日から木曜日にかけて多い所では総雨量が500~700ミリ以上の大雨となる恐れがあります。
これはめったにない雨で、記録的な大雨となる可能性があります。土砂災害や河川の増水・氾濫、道路の冠水に警戒が必要です。」

突風にも備えなければいけませんが、とにかく「記録的な大雨」が強く強調されています。この機会にぜひとも行って欲しいのは、それぞれの行政が出しているハザードマップを手に取り、浸水予想や避難所の場所の確認を行っておくことです。ネットからダウンロードできます。
山間部に近いところをはじめ、危険が予想されるところは、晴れている間に散歩などで現場観察を行い、避難が必要になった場合のシミュレーションを行ってください。その際、自宅から避難所の間に、増水した場合に危険になる側溝などないか、確認しておいてください。
昨年の伊豆大島の事例などから、台風が接近した場合、それぞれの行政が早めに避難勧告や指示を行う可能性がありますが、私たちの側も勧告が出てから避難所を探すのではなく、あらかじめ危険個所と避難場所を確認しておき、明るいうちに早めに避難を行うことが必要です。

一方でハザードマップを見る際にも注意が必要です。マップで浸水予想地区とされている地域の住民は、警戒心を高めることができますが、浸水が予想されない地域の住民の場合、「自分のところは大丈夫だ」と考えてしまい、警戒心を解いてしまう場合が多くかえって危険だからです。
2011年3月に東日本大震災を襲った大津波のときにも、釜石市でハザードマップで津波到達が想定されていた地域の人々が高い確率で避難ができたものの、約1000名にのぼった死者のほとんどが、津波の到達が想定されていなかった地域から出てしまったという悲しい実例があります。
災害対策においては「想定にとらわれてはならない」ことを強く頭に入れながら、ハザードマップを活用するようにしてください。「安心」するためでなく、災害に強い心の態勢を作るための事前準備として、行政が出している情報を活用してください。

実際に大雨が降りだした場合はどうしたら良いでしょうか。怖いのは「土石流」「地すべり」「がけ崩れ」ですが、これらにはそれぞれ次のような前兆があることがあります。
「土石流」の場合  
〇山鳴りがする。
〇急に川の流れがにごり流木が混じっている。
〇雨が降り続いてるのに川の水位が下がる。
〇腐った土のにおいがする。
「地すべり」の場合 
〇沢や井戸の水がにごる。
〇地面にひび割れができる。
〇斜面から水がふき出す。
○家や擁壁に亀裂が入る。
〇家や擁壁、樹木や電柱が傾く。
「がけ崩れ」の場合 
〇がけに割れ目が見える。
〇がけから水がふき出ている。
〇がけから小石がパラパラと落ちてくる。
〇がけから木の根等の切れる音がする。
このような兆候が見られた時には、行政からの指示がなくても、自主避難を行ってください。

ゲリラ豪雨についても、目安が語られるようになってきましたので、それを列挙します。
〇天気予報に「所によりにわか雨」「大気の状態が不安定」「大雨、落雷、突風、竜巻、雹(ひょう)」のキーワード。
〇防災気象情報で「大雨・洪水警報」「大雨・洪水特別警報」「周辺や川の上流で大雨」が語られる。
〇川の水かさが急に増えてきたり、濁ったり、木の葉や枝、ごみなどが大量に流れてくる。
〇雷鳴が聞こえたり雷光が見えたりする。
〇ヒヤッとした冷たい風が急に吹き出す。
〇大粒の雨や雹(ひょう)が降り出す。
〇黒い雲が広がり急に暗くなる。
豪雨の場合、近くの川からの洪水などが考えられます。この場合、「土石流」「地すべり」「がけ崩れ」などが考えられない地域では、2階以上に避難していれば安全を確保できる場合があります。この点も事前に確認を行っておいてください。

続いて避難行動に移る際の目安についても書いておきます。前提的に危機の察知においては自分の五感を大事にし、以下に書いたことに当てはまらなくても「避難したほうがいい」と感じたら行動した方がいいです。その上で目安を書きます。
〇市町が自主避難を呼びかけたら。
〇前触れと思われる現象(前兆現象)を発見したら。
〇近く(同じ市町内や隣接する市町)で土砂災害が発生したら。
〇これまでに経験したことのない雨を感じたら。

避難行動に移るにあたっての心得も書いておきます。
〇防災気象情報、防災避難情報に注意。
〇車で避難しない⇒ワイパーやブレーキが効かなくなる。アンダーパスに突っ込むと立ち往生。
〇浸水が40~50㎝になると外開きドアは開かない。歩行も困難。⇒早期自主避難が大切。
〇「遠くの避難所より、近くの2階」。(ただし家屋の流失の危険性がない場合)
〇避難するときは隣近所に声を掛け合う。
〇避難者同士それぞれロープをつかんで避難。
〇荷物は最小限にしできるだけ両手を開けて避難。
〇マンホールや側溝のフタが外れているとすごく危険。傘や棒などで前を探りながら進む。
〇避難時はヘルメット、手袋、雨具、長ズボン、長袖シャツで。懐中電灯も。
〇長靴は水が入ると動けなくなる。脱げにくい紐スニーカーなどで避難。
〇火の元、ガスの元栓、電気のブレーカーを閉じ、戸締まりして避難。
〇半地下・地下室には近寄らない。
〇川、側溝、橋、マンホールに近づかない(絶対に様子を見に行かない)

なおより詳しいことを知りたい方は、防災心理学の知見から優れた啓発を繰り返している「防災システム研究所」のホームページをご覧ください。僕もここから「正常性バイアス」のことなど、重要な点を学びました。

防災システム研究所
http://www.bo-sai.co.jp/index.html

またハザードマップの危険性の問題をはじめ、釜石市などでの実例に学びたい方は、群馬大学災害社会工学研究室のホームページをご覧ください。ここからも僕はさまざまなことを学びました。

群馬大学災害社会工学研究室(釜石市の例を述べているページを紹介)
http://dsel.ce.gunma-u.ac.jp/research/cont-302-4.html

気象庁も災害対策をホームページに載せています。ご参考ください。
http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/ame_chuui/ame_chuui_p1.html


今、私たちに問われているのは、災害に対する主体性、能動性です。命を守ることを誰かに委ねるのではなく、今できる最大限のことを行っていくことが問われているのです。
こうした観点は、すべての災害に対して適用できるもの。原子力災害から身を守ることにもつながっていきます。大事なのは事前にシミュレーションを重ねることです。

命を相互に守りあうためにも、万全の態勢で台風に向かいあいましょう。

(なお、今回の記事は昨年10月に台風28号接近時に書いた「明日に向けて(755)次の台風(27号)が迫ってきている!災害対策の強化を!」を必要において書き換えて作作成しました)

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明日に向けて(886)批判の集中で安倍政権が動揺開始!さらに抗議を!(下)―キリスト教界平和声明特集

2014年07月08日 06時00分00秒 | 明日に向けて(801)~(900)

守田です。(20140708 06:00)

今回は、安倍政権による集団的自衛権行使の動きに対するキリスト教界からの抗議声明を特集します。
早速、それぞれの声明を見ていきたいと思います。
なお抜粋はあくまでも僕の主観によるものですので、可能ならばぜひ全文を読んでいただきたいです。
いずれも憲法の平和主義を聖書のもとに読み込んでこられたことを感じさせる名文です。

***

日本カトリック正義と平和協議会

続いてキリスト教界の声明を紹介します。
はじめは日本カトリック正義と平和協議会が6月27日に出したものです。
声明にあたっては1981年に来日された当時の教皇ヨハネパウロ二世の言葉を引用しています。
「戦争という人間がつくり出す災害の前で『戦争は不可避なものでも必然でもない』ということをわれわれはみずからに言い聞かせ、繰り返し考えてゆかねばなりません。」
力のある素晴らしい言葉だと思います。

安倍晋三内閣の集団的自衛権の行使容認の閣議決定に反対します
日本カトリック正義と平和協議会 2014年6月27日
http://www.jccjp.org/jccjp/home_files/Prot.SC-JP%2014-02%202014.6.27.pdf

(抜粋)
「集団的自衛権行使の容認は、経済利益重視の日本による、国際紛争への武力参加の意思表明と見るべきであり、日本国内と周辺国を恐怖に陥れ、東アジアを一層不安定にするものです。
世界の恒久平和を訴える日本国憲法に背き、これまで積み重ねられ形成された、立憲国家としての日本に対する国民、および国際社会からの信頼を覆し、踏みにじる行為です。
 1981年に来日した教皇ヨハネパウロ二世は、広島を訪問した際行った「平和アピール」において、次のように訴えました。
「戦争という人間がつくり出す災害の前で、「戦争は不可避なものでも必然でもない」ということをわれわれはみずからに言い聞かせ、繰り返し考えてゆかねばなりません。
人類は、自己破壊という運命のもとにあるものではありません。イデオロギー、国家目的の差や、求めるもののくい違いは、戦争や暴力行為のほかの手段をもって解決されねばなりません。
人類は、紛争や対立を平和的手段で解決するにふさわしい存在です。」
 わたしたち日本カトリック正義と平和協議会は、いかなる条件下においても集団的自衛権の行使を断じて容認できません。集団的自衛権の行使容認の閣議決定には断固反対します。」


日本バプテスト連盟

続いて日本バプテスト連盟理事会の声明です。7月1日に出ています。
戦争放棄をうたった日本国憲法の理想は「戦争・紛争の防止にとって最も現実的な道であり、世界に拡げ、世界の人々と共有できる有効な手段です」と説いています。
集団的自衛権だけでなく、あらゆる戦争と武力行使に断固反対と書かれています。僕もまったくそう思うのです!!


安倍晋三内閣による「集団的自衛権行使容認」の閣議決定に抗議します。
日本バプテスト連盟理事会 2014年7月1日
http://www.bapren.jp/uploads/photos/709.pdf

(抜粋)
「戦争の放棄」を宣言した日本国憲法の理想は、決して非現実的なものではありません。
戦争・紛争の防止にとって最も現実的な道であり、世界に拡げ、世界の人々と共有できる有効な手段です。今こそ、日本国憲法の平和主義を生きるべき時なのであり、また平和憲法の力を生かすべき時代なのです。
日本が引き起こした悲劇的な戦争からわずか70 年にも満たない歴史にあって、日本国民自らが、これを捨て去ることはゆるされません。
私たちは、キリストの平和に立脚します。『暴力、武力によっては平和を生み出すことはできない』という聖書の指針に堅く立ちます。
私たちは、『集団的自衛権の行使』にとどまらず、あらゆる戦争とすべての武力行使に断固反対します。」


日本キリスト教婦人矯風会

つぎに日本キリスト教婦人矯風会の声明を紹介します。7月1日のものです。この会は「戦争を阻止できなかった反省に立って、戦後は日本国憲法の三原則と女性の人権確立のために活動してきた団体」だそうです。
「政府がすべきことは外交的に、アジア諸国との信頼関係を促進し、武力によらない平和の創造に力を注ぐこと」と説いています。これもその通りですね!

安倍晋三内閣の憲法解釈変更による集団的自衛権行使容認に反対する声明
日本キリスト教婦人矯風会 2014年7月1日
http://kyofukai.jp/wp-content/uploads/2014/07/430e831c7cc5fee6a78176d267aba2d0.pdf

(抜粋)
「これまで日本政府は60 年にわたり、憲法の原則である平和主義を具現化した憲法9条のもと、自国への攻撃がないのに武力を用いることはできない、と集団的自衛権の行使を禁じてきました。
集団的自衛権の行使にひとたび道が開かれれば、「戦争をする国」へと突き進み、次世代へ禍根を残すこととなります。政府の提示例は常識的にありえない事例をこじつけ論理的に破綻しています。
政府がすべきことは外交的に、アジア諸国との信頼関係を促進し、武力によらない平和の創造に力を注ぐことです。」


日本キリスト教協議会(NCC)

続いて日本キリスト教協議会の7月2日の声明です。
「剣をさやに納めなさい。剣を取る者は皆、剣で滅びる」という聖書の言葉を力強く響かせてくれています。
「剣をさやに収めなさい!」・・・なんと良い響でしょう。世界のあらゆる紛争の場にいる人々の心の中に響かせたい言葉です。

憲法九条についてのNCC議長声明
日本キリスト教協議会 20140702 11:47:59
http://ncc-j.org/modules/bulletin/

(抜粋)
「◎剣をさやに納めなさい。剣を取る者は皆、剣で滅びる。(新約聖書:マタイによる福音書26章52節)
このイエスのみ言葉は、単なる理想や教訓ではなく、ましてや政治的スローガンなどではない。「天と地の一切の権能を授かっている」(マタイ28章18節)お方の施政方針、すなわち現実の世界の歴史を貫いている真理です。
憲法第九条はまさに「剣をさやに納める」誓いです。この誓いを守り続けることが、世界を「剣で滅びる」ことから救い出す最も現実的な道です。」


日本基督教団 西東京教区

日本基督教団 西東京教区の6月20日の声明です。
「日本国憲法も聖書の教えのもとで十分に従うことができるものとして尊重し、大切に守っていかなければならないものと考えています。
しかし、立てられた権威が自ら、従うべき憲法からはずれていくことを見過ごすことはできません」と説いています。日本国憲法の平和主義を聖書の教えの下に読み込んできたことがよく伝わってくる声明です。

集団的自衛権の行使容認に反対する声明
日本基督教団 西東京教区 2014年6月20日
http://www.uccj-wt.org/wp-content/uploads/2014/07/集団的自衛権の行使容認に反対する声明.pdf

(抜粋)
「私たちキリスト者は、聖書の教えによって、神が立てた世の権威に従い、地の塩・世の光として神と人とに仕えることを日々祈り求めています。
日本国憲法も聖書の教えのもとで十分に従うことができるものとして尊重し、大切に守っていかなければならないものと考えています。
しかし、立てられた権威が自ら、従うべき憲法からはずれていくことを見過ごすことはできません。」
「我が国が、この度の集団的自衛権行使容認案の採用へと踏み出すことは、世界の平和への道を遠のかせるばかりか、我が国が戦争のできる国となる道を開くことになります。
それは、キリストの平和に反することであり、神の御心に反することです。
どうか、一方的な解釈変更を行い、集団的自衛権の行使容認へと踏み出すことは止めてください。
私たちは、このような集団的自衛権の行使容認に断固反対します。」


カンバーランド長老キリスト教会日本中会

カンバーランド長老キリスト教界日本中会の6月26日の声明です。
憲法の平和主義、中でも9条に基づいて武力によらない平和を追求する道の中でこそ「世界の先端をゆく名誉ある地位を占めることができる」と説いています。同感です。

集団的自衛権の行使容認に断固反対します
クリスチャン新聞 20140626
http://jpnews.org/pc/modules/mysection/item.php?itemid=871

(抜粋)
「他国が武力攻撃を受けたことをもって攻撃した国に日本が反撃することは、武力攻撃した国に対しては日本の先制攻撃となり、日本は敵国となって反撃を受けることは必至であり、戦争状態に入ります。
安倍首相は「国民の命を守る」ことを強調されますが、根強い対話による解決を放棄して集団的自衛権を行使することは、日本国民の命だけではなく、世界の人々の命さえ危険にさらすことになります。
日本が進むべきは、人間の命が戦争によって失われることがないよう、憲法の平和主義、中でも9条に基づいて武力によらない平和を追求する道であり、それでこそ世界の先端をゆく名誉ある地位を占めることができると考えます。」


日本カトリック司教協議会 常任司教委員会

日本カトリック司教協議会の7月3日の声明です。
「対話や交渉によって戦争や武力衝突を避ける希望を失ってはなりません。たとえ、それがどれほど困難に見えても、その道以外に国際社会に平和をもたらす道はないのです」と説いています。
そうです。戦争を避ける希望を失ってはならないのです!

集団的自衛権行使容認の閣議決定についての抗議声明
カトリック新聞オンライン 2014年7月3日
http://www.cathoshin.com/2014/07/03/s-committee-statement/

(抜粋)
「わたしたちは集団的自衛権の行使容認の閣議決定に断固として抗議します。
安倍内閣がこの不当な閣議決定をもとに、集団的自衛権行使を前提にして同盟国との協力を約束するようなことは絶対にあってはなりません。即座に閣議決定を見直し、撤回してください。」
「わたしたちカトリック教会は、現代世界の状況の中で、軍備増強や武力行使によって安全保障が確保できるとする考えは誤っていると確信しています。
それは国家間相互の不信を助長し、平和を傷つける危険な考えです。また今ここで、平和憲法の原則を後退させることは、東アジアの緊張緩和を妨げ、諸国間の対話や信頼を手の届かないものにしてしまいます。
平和はすべての人間の尊厳を尊重することの上にしか築かれません。また、過去の歴史に対する誠実な反省と謝罪、その上でのゆるしがあってこそ成り立つものです。
対話や交渉によって戦争や武力衝突を避ける希望を失ってはなりません。たとえ、それがどれほど困難に見えても、その道以外に国際社会に平和をもたらす道はないのです。」


宗教者九条の和

最後に仏教を含むさまざまな宗教者が集まって作っている「宗教者九条の和」の6月19日の声明です。
今回の閣議決定が「米国主導の戦争への事実上の参加」であることを的確に指摘し、「犠牲を伴わない戦争はありません。若者の犠牲の上にある平和的生存権などありえません」と説いています。
深く共感できる言葉ばかりです。

“時代はまさに戦前” 宗教者九条の和、「集団的自衛権行使は戦争」と警告
Christian Today, Japan  2014年6月19日01時43分
http://www.christiantoday.co.jp/articles/13537/20140619/interfaith-article-9-japanese-constitution.htm

(抜粋)
「憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使には、1. 立憲主義に対する挑戦、2. 専守防衛に徹するという日本の基本政策の変更、周辺諸国との関係の不安定化、3. 米国主導の戦争への事実上の参加、という重大な3つの問題が指摘されています。
私たち宗教者は、今日、あらゆるいのちを尊ぶものとして、とくに第3番目の問題について、断固反対の声をあげなければなりません。
犠牲を伴わない戦争はありません。若者の犠牲の上にある平和的生存権などありえません。
加えて、日本国憲法の前文がうたうのは、全世界の国民の平和的生存権であって、自国と自国の利害に一致した国だけのそれでもありません。私たち宗教者が望むのもまた、敵味方の対立のない、絶対普遍の世界平和です。
私たち宗教者は、安倍政権の戦争参加の決断である集団的自衛権の行使容認をすべての人々と協働し、全力で阻止します。私たち宗教者は、さらなる祈りと行動で、いのちと憲法9条を守り抜きます。」

以上

 

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明日に向けて(885)批判の集中で安倍政権が動揺開始!さらに抗議を!(中)―仏教界平和声明特集

2014年07月07日 21時30分00秒 | 明日に向けて(801)~(900)

守田です。(20140707 21:30)

77年前の今日は盧溝橋事件があった日、日中戦争が開始された日です。この日以降、旧日本軍は中国侵略戦争を本格化させ、全面展開に移り、何千万人もの方を殺害しました。
現中国政府はこの77年目の7月7日に際して安倍政権批判を行い、今後旧日本軍人の侵略に関する証言45人分を、毎日一通ずつ公開することを明らかにしました。重要な内容です。
公開が進んだ段階で検討し、この場で日中戦争の振り返りをしたいと思いますが、今日のところは「明日に向けて(884)」で行った各界からの集団的自衛権行使の動きへの批判の紹介の続きを行いたいと思います。
今回は仏教界からの声明を取り挙げます。

前回と同じように、声明のタイトルとアドレスを記し、本文の一部を紹介するか転載しますが、記事を作りながらそれぞれの声明を読んでいて、深く感動し、かつ心を温められました。
僕が一番、共感したのは、ほとんどの宗教団体が、仏教界、キリスト教界を問わず、集団的自衛権行為への抗議にとどまらず、あらためてここで戦争放棄こそが私たちの国の進むべき道であることを主張していることです。
すべての戦争は悪であり、戦争をもって日本の平和を守ろうとすることが間違いであると批判をしているのです。その意味で「個別的自衛権」に対する明確な批判にもなっています。
そうなのです。そもそも「個別的自衛権」なるものの放棄をうたったものこそ、私たちの国の憲法なのです。「陸海空軍およびその他の戦力はこれを保持しない」と書いていあるのですから。

ところがいつしかアメリカの強い要請の下に「自衛隊」という言葉の遊びのようなネーミングの部隊が生まれました。明らかに「陸海空軍およびその他の戦力」なのに「軍」という名を使わないですり抜けようとしたのです。
これを強引に行ってきたのが歴代の自民党政府だったのであり、自衛隊の存在を認めぬ道を歩もうとしたのが、これまでの日本の平和運動の歩みでした。
日本の多くの宗教団体が、今もこうした非戦の心を非常に強く示してくれています。そうです。この原点に私たちはすべての「集団的自衛権反対」の声を合流させていく必要があります。個別的自衛権の放棄に立ち戻る必要があります。
この点で創価学会という仏教の教えに支えられた人々に支えながら、公明党が安倍自民党に屈してしまったことは象徴的です。なぜそうなってしまうのか。公明党が「個別的自衛権」を認めてきたからです。自分を守るためなら戦争をしても良いとしてきたからなのです。

こうした点をしっかりと学ぶためにも、それぞれの声明から抜粋を行いましたが、あくまで僕の主観で行ったので、大事なところを抜いてしまっているかもしれません。どうかぜひ全文を読んで欲しいと思います。
私たちの国で宗教者として祈りを続けられてきた方たちが、平和憲法を信仰の中に深く取り込み、条文の間に熱を宿そうとしてこられたことが温かく伝わってきます。私たちの国にこうした豊かな祈りがあることはすべての私たちにとっての幸いであると僕は思います。
これを日中戦争開始から77年後の今日、7月7日にご紹介できるのは喜ばしいことであり、何かの縁を感じるものでもあります。
以下、まずは仏教界からの声明をご紹介しますが、まだ網羅できてないものもあると思います。他にもこんな声明があるよという方、ぜひご連絡ください。

*****

全日本仏教会

先頭は「全日本仏教会」です。齋藤明聖理事長の談話です。
「このたびの集団的自衛権の行使を容認する閣議決定には、人間の知恵の「闇」を垣間見るがごとき、深い憂慮と危惧の念を禁じ得ません」と結ばれた声明です。
人間の知恵の「闇」・・・その通りだと思います。

集団的自衛権の行使を容認する閣議決定に関する理事長談話
ニュースリリース 2014(平成26)年7月1日
http://www.jbf.ne.jp/news/newsrelease/1495.html

(抜粋)
「本日、集団的自衛権の行使を容認する閣議決定がなされたとのことでありますが、これが実行されれば、日本人が国外で人を殺し殺されるという事態が起こり得る可能性があり、日本国憲法に示される戦争放棄を捨て去ることになりかねません。
戦争は最大の暴力であり、無辜(むこ)の人々に犠牲を強いる愚行そのものであります。いかなる理由であれ、自己を正当化して、かけがえのない「いのち」を武力で奪いとることは、何人にも絶対に許されることではありません。
この厳粛なる事実こそ、平和に生きようとするすべての人々にとっての燈火であり、寄る辺であると、私たちは教えられてきました。主張や利害の対立は、武力行為によってではなく平和的な話し合いによって解決されなければなりません。
仏陀の「和の精神」を仰ぐ者として、このたびの集団的自衛権の行使を容認する閣議決定には、人間の知恵の「闇」を垣間見るがごとき、深い憂慮と危惧の念を禁じ得ません。」


東本願寺

続いて東本願寺の声明です。6月10日に出されています。
非戦の願いをかなえるためには「『人のいのちを奪う戦争を絶対に許さない』と言い切るところからしか始まりません」と説いています。
なお昨日7月6日夕方か5時から、京都では降りしきる雨の中、秘密保護法や戦争に反対するデモが行われましたが、たくさんの東本願寺の法衣を着た僧侶の方たちも参加し、雨に濡れながら歩いてくださいました。

集団的自衛権の行使容認に反対する決議
東本願寺 2014年6月1日
http://www.higashihonganji.or.jp/news/declaration/6054/

(抜粋)
「私たち念仏者は、地獄・餓鬼・畜生という三悪道に他ならない現実に立ちながら、浄土を願うものです。
その私たちに対して、「仏の遊履したまうところ(中略)、国豊かに民安し、兵戈用いることなし」と不殺生を呼びかける教えの言葉は、三悪道たる現実に対する悲痛な叫びであるとともに、非戦への深い願いであります。
その願いに応えることは、「人のいのちを奪う戦争を絶対に許さない」と言い切るところからしか始まりません。
親鸞聖人は、念仏を誹謗する人々に対して、「念仏せんひとびとは、かのさまたげをなさんひとをば、あわれみをなし、不便におもうて、念仏をもねんごろにもうして、さまたげなさんを、たすけさせたまうべし」と述べられております。
さまざまな意見、立場の人たちと丁寧に対話していくことをいとわず、私たちは「不戦の誓い」の具現化に努めてまいります。」


立正佼成会

念仏門の東本願寺に対し、法華三部経に立脚する立正佼成会も声明を出しています。
真の平和のためには、「寛容と互譲の精神で相手の違いを受け入れ、認め合い、信頼を醸成し、他者と共に生きる基盤を整備していかねばなりません」と説いています。

閣議決定「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」に対する緊急声明
立正佼成会平成26年7月1日
http://www.kosei-kai.or.jp/infomation/070/post_493.html

(抜粋)
「人類の歴史を顧みるとき、諸国民の間での疑惑、不信そして猜疑によってしばしば戦争が引き起こされました。私たちは、武力と戦争では「国民の命と平和な暮らし」を守れないことは学んだはずです。
今こそ、この歴史の教訓を想い起こさねばなりません。真に平和と安全を構築するためには、寛容と互譲の精神で相手の違いを受け入れ、認め合い、信頼を醸成し、他者と共に生きる基盤を整備していかねばなりません。
今、私たちに問われているのは、宗教はもとより、政治、経済、産業、メディア、学問、教育、文化、観光など多様な分野で信頼醸成の基盤を強化し、これを世界の平和と安全を実現するための最大の戦略目的とすることであり、ここにこそ日本の国際的役割があると信ずるものです。」
「本会は、これまで仏教の説く「不殺生」「非暴力」そして「慈悲」の精神を平和実現の第一義とし、国内外の諸宗教者はもとより、国境や地域の別を超え、あらゆる分野の人びととの交流と対話を深め、世界平和の実現に努めてまいりました。
私たちは、今後ともこの努力を重ねるとともに、日本国憲法のもつ平和の力を信じ、世界に向けて発信していく決意を新たにしております。」

続く・・・次回はキリスト教界からの声明の特集です!

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明日に向けて(884)批判の集中で安倍政権が動揺開始!さらに抗議の輪を繰り広げよう!(上)

2014年07月06日 08時30分00秒 | 明日に向けて(801)~(900)

守田です。(20140706 08:30)

安倍政権の憲法違反の閣議決定の強行に対し、各界からさまざまな批判が巻き起こっていますが、さっそく安倍政権の動揺が始まっています。
さらに抗議の輪を広げるために、各界からの批判の声をまとめておきます。それぞれの記事のアドレスを示し、内容については一部のみご紹介しますので、余裕があればリンク先をご参照ください。。
まず安倍政権の動揺ですが、読売新聞の以下の記事がよく表しています。

***

内閣支持率、5割切る…政府・与党に衝撃
読売新聞 2014年07月04日 07時17分
http://www.yomiuri.co.jp/politics/20140703-OYT1T50197.html

読売新聞社は2~3日、集団的自衛権の行使を限定容認する新たな政府見解の閣議決定を受け、緊急全国世論調査を実施した。
安倍内閣の支持率は48%で、前回調査(5月30日~6月1日)の57%から9ポイント下落し、2012年12月の内閣発足以来、初めて5割を切った。
不支持率は40%(前回31%)。政党支持率は自民党40%、民主党6%、公明党4%などの順だった。

安倍内閣の支持率が初めて5割を切ったことに、政府・与党はショックを受けている。
集団的自衛権行使の限定容認に関する国民への説明が不十分だったとみて、「国民に理解をいただく努力をしていく」(高市自民党政調会長)構えだ。野党は「反転攻勢の機会が訪れた」(民主党)と勢いづいている。
菅官房長官は3日のBS11の番組収録で、報道各社の世論調査について「(集団的自衛権行使に関する)閣議決定をすれば、それなりに支持は下がると思っている。
だが、一番大事なのは、国民の生命と財産、国の安全に責任を持つことだ」と述べ、安全保障政策の転換の必要性を強調した。
自民党の萩生田光一総裁特別補佐は記者団に「ネガティブな報道をされたのが影響した」と語った。

***

何か失笑してしまう記事でもあります。あれだけ正当性を欠いた強引なことを行いながら、批判が集まらないと思っていたのでしょうか。
いや「政府・与党に衝撃」とありますから、実際に思っていたのでしょう。この政権を担う人々が、いかに主観的で対話不能なのかがよくあらわれてもいます。

政府が衝撃を受けた理由は、政府べったりの姿勢でいつも政府が有利になるように世論調査を行ってきた読売新聞の集計でも、支持が5割を切ってしまったからでしょう。
集団的自衛権行使を批判している朝日新聞では、6月の段階で内閣支持率が43%まで下落したという記事も出ていましが、安倍政権は批判者の声には無視を決め込んでしまいます。
ところが「お友達」のはずの読売新聞にこのような結果が掲載されたので「衝撃」を受けたのでしょう。

地方190議会

しかし批判は世論調査とどまりません。6月28日までの集計で、全国で190議会が集団的自衛権に「反対」「慎重になどの声を上げています。この点は東京新聞の以下の記事が詳報しています。

地方190議会批判 集団的自衛権 広がる「反対」「慎重に」
東京新聞 2014年6月29日 朝刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014062902000124.html

この記事によると、都道府県レベルでは長野、岐阜両県議会が六月に「慎重審議を求める意見書」を可決。
また福島県南相馬市では、自民党系会派を含む全会一致で「震災と原子力災害で助けられた自衛隊員が海外に出て武力を行使することは容認できない」との訴えが6月19日に発せられたそうです。
記事には「反対」「慎重に」という意見書を可決した議会の一覧も載っています。ぜひご自分の住まう自治体が載っているかどうかチェックしてみてください。

全国の首長からも声が上がりだしています。その中で最も鮮烈な声をあげているのが三重県松坂市長です。NHKの報道を紹介します。

松坂市長

集団的自衛権 松阪市長が反対行動へ
NHK WEBNWES 7月3日 22時37分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140703/k10015729731000.html

記事では市長が閣議決定に対して「抗議をしたい。憲法前文、9条、13条に基づく平和的生存権が侵されているという基軸において、国を提訴していく、または国の違憲状態を直していく行動に結びつけていきたい」
と述べたこと、憲法9条への違反に対して違憲確認を求める訴えを起こすことも検討していることなどが紹介されています。

静岡県知事

静岡県知事もはっきりと安倍政権を批判しました。静岡新聞の報道を紹介します。

<集団的自衛権>川勝知事「国民に信問うべき」
静岡新聞NEWS 2014/7/ 2 08:42
http://www.at-s.com/news/detail/1093603124.html

記事では知事の「世界に例のない平和主義を掲げる憲法9条の理念にもとる決定で、基本的に主権在民を忘れている。
国民的議論が十分に尽くされていないというのが、多くの国民の気持ちだ。ワンイシューとして直ちに(解散総選挙で)国民に信を問うべき」という言葉が紹介されています。

札幌市長

この他、札幌市長も批判を鮮明にし、北海道での5000人集会に参加して声をあげています。同集会の自治労北海道のサイトによる報告を紹介します。

集団的自衛権行使容認反対!戦争はさせない!5500人が結集!=戦争をさせない北海道委員会大集会
自治労 北海道 2014年07月01日(火)
http://www.jichiro-hokkaido.gr.jp/archives/4072

記事の中では上田文雄札幌市長の「安倍政権は当初、憲法96条改正を掲げて取り組んだが、多くの国民の反対にあい、解釈変更方針に転換した。
武力で国際紛争は解決できない。行動を阻止するために立ち上がらなければならない」との発言が紹介されています。

各地の新聞も社説で批判を掲げています。これらを集計したブログ、「ニュース・ワーカー2」を紹介します。

地方新聞社説

ブロック紙、地方紙社説は批判が圧倒~集団的自衛権容認の閣議決定の報道
ニュース・ワーカー2 2014年07月04日
http://d.hatena.ne.jp/news-worker/20140704/1404436847

各紙の見出し一覧が載っているのでご覧下さい。
また琉球新報の一部が紹介されていますが、共感したので転載します。

***

「解釈改憲閣議決定 日本が『悪魔の島』に 国民を危険にさらす暴挙」

ベトナム戦争当時、米軍の爆撃機は沖縄から飛び立ち、沖縄はベトナムの民から「悪魔の島」と呼ばれた。米軍占領下にあり、日本国憲法の適用外だったからだ。
米国の要請によりベトナム戦争に加わった韓国は、ベトナム国民から根深い怨嗟(えんさ)の的となった。当時、日本は憲法の歯止めがあったから参戦せずに済んだが、今後は日本中が「悪魔の島」になる。恨みを買えば東京が、原発が、ミサイルやテロの標的となろう。それで安全が高まると言えるのか。
安倍晋三首相は「イラク戦争や湾岸戦争に参加するようなことはない」と強調するが、日本は戦後ただの一度も米国の武力行使に反対したことはない。徹頭徹尾、対米従属だった国が、今後は突然、圧力をはねのけるようになるとは、まるで説得力を欠いている。
運転手がどこへ行こうとしているかも分からず、口出しもできず、助手席に乗るようなものだ。
他国からすれば無数の米軍基地が集中する沖縄は標的の一番手だろう。米軍基地が集中する危険性は、これで飛躍的に高まった。

***

『ニューヨークタイムズ』

報道関係ということでは、海外の新聞も安倍政権の憲法違反の姿勢を激しく批判しています。
少し前(5月8日)ですがニューヨークタイムズに鮮烈な記事が出ました。翻訳されているものを提示したいので”Peace Philosophy Centre”の記事を紹介します。

ニューヨーク・タイムズ社説、安倍首相の解釈改憲への動きを批判
The New York Times Editorial Criticizes Abe's Move to Reinterpret the Pacifist Constitution
Peace Philosophy Centre Friday, May 09, 2014
http://peacephilosophy.blogspot.jp/2014/05/new-york-times-editorial-criticizes.html

ニューヨークタイムズは、安倍政権の憲法無視の姿勢を批判し、次のように述べています。
「[安倍氏を]批判する人たちが指摘するように、憲法の主要な機能は政府の権力を抑制するものであるということを安倍氏は知るべきである。政府の思い付きで変えられるようなものではない。
さもなければ、そもそも憲法などを持つ理由さえなくなってしまう。」

『フォーリン・ポリシー』など

日本に対する海外の反応を紹介するサイト、NewSphereでは、米外交専門誌『フォーリン・ポリシー』の論説などを紹介しています。

解釈改憲は“クーデター”…安倍首相を米誌が批判 国民投票で改憲問うべきと提言
NewSphere 2014年6月27日
http://newsphere.jp/politics/20140627-2/

記事によると、同誌は安倍政権の解釈改憲を「憲法に反した手法」であり「憲法のクーデター」と指摘し、安倍首相を「不正を働く」人物だと規定しているそうです。
この他、『ウォール・ストリート・ジャーナル』や、ウェブ誌『ザ・ディプロマット』での論評も紹介されています。

スイス主要メディア

スイスの主要メディアでの安倍政権批判を掲載しているサイトの記事も紹介しておきます。

スイス主要メディア、日本の集団的自衛権の閣議決定を批判
swissinfo.ch 20140704 11:00
http://origin.swissinfo.ch/jpn/%e3%82%b9%e3%82%a4%e3%82%b9%e4%b8%bb%e8%a6%81%e3%83%a1%e3%83%87%e3%82%a3%e3%82%a2-%e6%97%a5%e6%9c%ac%e3%81%ae%e9%9b%86%e5%9b%a3%e7%9a%84%e8%87%aa%e8%a1%9b%e6%a8%a9%e3%81%ae%e9%96%a3%e8%ad%b0%e6%b1%ba%e5%ae%9a%e3%82%92%e6%89%b9%e5%88%a4/40486374?rss=true

同サイトはまず「スイスのメディアは全体として、安倍晋三首相が閣議決定するに至ったプロセスが民主的ではない点を批判している」点を指摘しています。
その上で、保守派の一流紙NZZが「国民の反対をかわすために、安倍氏は正式な手続きを経て憲法改正することなしに『法的に姑息な手段に出た』と論じた」としています。
また日刊紙のターゲス・アンツァイガー紙で「安倍氏は日本の麻痺した経済を活発化させることが優先事項だと述べているが、それができるかどうかは貿易相手国の中国や韓国との関係によるところが大きい。
憲法9条の解釈を変更すれば、両国を侮辱することになる」と指摘されていることが紹介されています。


安倍政権への批判はもっとさまざまなところから上がっています。
次回は宗教界からの声を特集します。

続く

 

 

 

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明日に向けて(883)これ以上アメリカの理不尽な戦争に協力してはならない!(集団的自衛権の意味するもの)

2014年07月04日 16時00分00秒 | 明日に向けて(801)~(900)

守田です。(20140704 16:00)

今回もまた安倍首相による憲法9条解体、戦争推進政策と対決するための記事を書きます。
前回は、集団的自衛権行使容認の閣議決定後の記者会見にあわられた安倍氏の対話不能の精神構造の分析を行いました。
安部氏が事実関係を無視しているだけでなく、そもそも正視することができない精神構造にあることも明らかにできたと思います。

実際、安倍氏の言っていることと現実がまったく違うことが、他ならぬアメリカからの発言で明らかになっています。
安倍氏は「今回の閣議決定で、日本が戦争に巻き込まれる恐れは一層なくなっていく。日本が再び戦争をする国になるというようなことは断じてあり得ない」と言い放ちましたが、アメリカはより重い軍事負担を日本に担わせることができると喜んでいるのです。

こうしたアメリカの発言を前に、僕は「戦争に巻き込まれるのは嫌だ」という言い方よりも、「これ以上、アメリカの戦争に協力するのはごめんだ」と言う主張を私たちが選ぶべきだと思います。
アメリカの戦争に、実はこれまでも日本が徐々に巻き込まれてきたことをしっかりと自覚し、真の平和を取り戻すために行動することが問われていると思うからです。
こうした点を深めるためにまずアメリカの言っていることを紹介したいと思いますが、安倍政権一連の戦争政策を強烈に支持する報道を続けている読売新聞の記事から参照したいと思います。

***

米、閣議決定を高く評価「地域の平和に貢献」
読売新聞 2014年07月01日 23時36分
http://www.yomiuri.co.jp/world/20140701-OYT1T50142.html

【ワシントン=今井隆】今回の閣議決定を、米政府は高く評価している

国防総省当局者は1日、「米国は集団的自衛権に関する日本政府の新政策を歓迎する。この歴史的な取り組みは、日米同盟における日本の役割を高め、安保協力を強化し、地域の平和と安定に貢献する」とする談話を発表した。
米政府内には、憲法の禁じる「武力行使との一体化」の判断基準を、戦闘現場での行為などに限定したことについて、「日米の作戦検討の幅が広がる」(米軍関係者)などと期待する声が上がっている。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙(電子版)は6月30日、「日本はこれまでより重い軍事的負担を受け入れることになる」と報じた。
アジア太平洋地域の安全保障を維持する責任を、日本に一部肩代わりしてもらうことへの期待感もある。
「法案化作業の過程で、閣議決定の内容よりも協力の幅が限定される可能性もある」(カーネギー国際平和財団のジェームズ・ショフ上級研究員)との指摘もあり、日米防衛協力の指針(ガイドライン)の見直しを通じ、米政府が日本に一層の役割を求める可能性もある。

***

ここにあるように、集団的自衛権容認を、アメリカでは「日米の作戦検討の幅が広がる」こと。また日本が「これまでより重い軍事的負担を受け入れることになる」と報道されているのです。これがアメリカ側の受け取りです。
「作戦検討の幅が広がる」・・・重要なポイントです。なんの作戦でしょうか。単純明快です。アメリカの戦争作戦です。つまりすでにこれまでの段階でも日本はアメリカの戦争に参加しているのであり、今回の決定はその幅を大きく広げることに他ならないのです。
にもかかわらず安倍首相は「今回の閣議決定で、日本が戦争に巻き込まれる恐れは一層なくなっていく。日本が再び戦争をする国になるというようなことは断じてあり得ない」と言い放ちましたが、これもまたまったくの大嘘です。
アメリカ側は「日本はこれまでより重い軍事的負担を受け入れることになる」とも期待しています。どう考えたって、アメリカの戦争政策の一部をより日本に肩代わりさせることが狙われていることは明らかです。

ではそのアメリカが行ってきた戦争とはどのようなものでしょうか。たくさんありますが、今その傷跡がひどい形で表れているのがイラク戦争です。
これまでも繰り返し指摘してきたように、アメリカは「大量破壊兵器を隠し持っている」とのいいがかりでイラクに全面的に侵攻しました。しかも途中で大量破壊兵器などないことが分かると、侵攻目的をフセイン政権打倒に変え、全土を占領してしまいました。フセインは逮捕され、やがて現政権に処刑されました。
その過程でものすごくたくさんのイラクの市民が戦争に巻き込まれて死んでいきました。国内の秩序もめちゃくちゃになってしまいました。あまりにもアメリカ軍の侵攻が不正義だったがゆえに抵抗感は強く、アメリカがバックアップする現政権に対する抵抗も後を絶ちませんでした。
このイラク戦争を日本は全面的に支持し、アメリカ軍の全土占領に自衛隊を出して貢献したのです。直接的戦闘に参加しなかっただけでイラク戦争の一部に自衛隊が参加したことを私たちはしっかりと頭に入れておく必要があります。

イラクはその後どうなったのでしょうか。「国連イラク支援団」は7月1日に、この間の戦闘で、6月にイラク国内で2417人の死者が出たと発表しています。負傷者は2287人。死者数は前の月の3倍で、内戦的事態が激しかったイラク戦争後の2007年の状態に戻りつつあると言われています。
しかもこの死者数には、北方から西方に展開している武装勢力の支配下にあるアンバル州が含まれていません。ここには政府軍が空襲を繰り返しており、もっとたくさんの死者が出ていることが確実です。
死者の内訳をみるとさらに酷い実態が見えてきます。2417人の死者のうち1531人が民間人だからです。兵士たち同士による戦闘での殺し合いよりも、戦闘に巻き込まれた市民の死亡の方が圧倒的に多いのです。
間違いなく両軍ともに市民を殺害しています。抵抗している側も、現政府軍側もです。まったくもってひどい事態です。それがアメリカが起こし、日本が支援したイラク進攻によって生み出された現実です。

アメリカよりの日本の国内報道では、この戦闘がイスラム教スンニ派とシーア派の対立から起こされているように描かれていますが、まったくの間違いです。こういう状態を作り出した最大の責任者は「大量破壊兵器を隠し持っている」といういいがかりで侵攻したアメリカ軍です。
現政権はそのアメリカ軍の全面的バックアップを受けてきたがゆえに、多くのイラクの人々から不信と恨みと怒りを買い続けているのです。
一方ではイラク戦争で「力があれば勝ちだ。戦闘に勝利したら文句を言わせない」という暴力思想をイラクにアメリカが植えつけたがゆえに、暴力にものを言わせて勢力を拡大しようとするグループの台頭も繰り返されることにもなっています。
そうしてアメリカは混迷の中にあるイラクを「コントロール」できなくなっています。不正義に満ちた戦争を繰り返し、秩序を破壊しきってしまったが故です。アメリカは疲弊して兵力を割けなくなっている。アメリカ国内の戦争反対の声も強い。だからこそアメリカは戦争の「肩代わり」を強烈に求めています。

こうした紛争地で求められるのは、和解と相互理解の精神、それを体現できる第三者の存在です。紛争が続くのはとちらもが正義を掲げているから。またその正義に乗っかる形で、武力こそが正義を実現する要だとする人々が幅を利かせているからです。
こうしたところに和平のために介入できるのは、アメリカと距離を置いた第三者だけです。本当に中東の和平を考えるのならば、アメリカの友好国である日本がアメリカを戒め、こうした和平勢力の登場を促すか、自らが担うことこそが必要です。
ところが集団的自衛権行使で、世界からは「日本軍」としか見られていない自衛隊がアメリカ軍とより露骨に共同作戦を行使してしまえば、日本は和平を取り持つ位置などもはや全く持てなくなります。
日本が今なすべきことは、イラク戦争後のアメリカ占領政策への自衛隊の協力を世界に向かって謝罪し、アメリカの非をただし、中東での平和の再構築に協力することです。

このことは日本の私たち自身のためにもなります。私たちの国が高い平和の精神とモラルを示すことで、私たちの国への信頼感が高まるからです。正義と公正と平和を凛々しく掲げるものほど強いものはない。この精神でこそ私たちは歩むべきです。
もちろん、他者の言うことがまったく耳に入らず、イラクの人々の苦しみなどまったく受け止めようとしない安倍首相がこの道を選ぶはずがありません。
だとしたら私たち民衆の側からこのような声を起こしましょう。私たちの国が戦争に巻き込まれるのは嫌だでは弱い。すでに巻き込まれてきたことをこそ自覚し、アメリカの戦争政策への一切の協力を止めることに私たちは力を尽くしていく必要がります。
そのためも私たちは、イラクの人々の痛み、苦しみ、悲しみにもっともっと強く心を寄せていきましょう。日本がアメリカの戦争に加担したことを心の底から反省し、イラクの、中東の、世界の平和を願って行動しましょう。

それこそが私たちが私たち自身をも守る道でもあります。憲法に書いてあるのはそういうことだと僕は思います。
だからこそ今、私たちは憲法の精神、9条の平和精神をもっと輝かせる必要がある。
その努力を重ねながら、国際紛争の解決の手段から戦争と暴力を排除していくこと、陸海空軍およびそのほかの戦力の保持を放棄していくことこそ、これこそが人類全体の向かうべき道であることを私たちはアピールしていきましょう。
世界平和は、この理想が現実に近づきだした時に、切り開かれていくのだと僕は確信しています。そのとき人類は、戦争に明け暮れた前史を終え、新たな歴史を紡ぎ出していくのです。

 

 

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明日に向けて(882)安倍首相の考え方の中にこそ戦争拡大の芽が孕まれている!(首相会見を批判する)

2014年07月03日 08時00分00秒 | 明日に向けて(801)~(900)

守田です。(20140703 08:00)

7月1日、安倍政権は公明党の一部幹部を抱き込んで「与党合意」を形成し、憲法の解釈を捻じ曲げる閣議決定を強行しました。
私たちの国は、このままではアメリカの理不尽な戦争に全面加担させられてしまいます。そんなこと、絶対に認められません。明確な憲法違反であるこの閣議決定を民衆の力で無効化しましょう。
そのためにも安倍首相が集団的自衛権に対してどう語ったのか、閣議決定後の記者会見内容を分析し、この方の再び三度の大嘘をきちんと批判しておきたいと思います。
会見内容の把握は、毎日新聞に掲載された会見要旨から行います。まず記事をご紹介します。

***

集団的自衛権:安倍首相の会見要旨
毎日新聞 2014年07月01日 21時06分(最終更新 07月02日 10時58分)
http://mainichi.jp/select/news/20140702k0000m010110000c.html

安倍晋三首相が1日、集団的自衛権の行使を容認する閣議決定後、記者会見で発言した要旨は次の通り。

いかなる事態にあっても国民の命と平和な暮らしは守り抜く。内閣総理大臣である私にはその大きな責任がある。その覚悟のもと、新しい安全保障法制の整備のための基本方針を閣議決定した。自民党、公明党の連立与党が濃密な協議を積み重ねてきた結果だ。
抽象的、観念的な議論ではなく、現実に起こり得る事態で現行憲法のもとで何をなすべきかという議論だ。
例えば、海外で突然紛争が発生し、そこから逃げようとする日本人を、米国が救助、輸送している時、日本近海で攻撃を受けるかもしれない。わが国への攻撃ではないが、日本人の命を守るため、自衛隊が米国の船を守れるようにするのが今回の閣議決定だ。
日本国憲法が、こうしたときに国民の命を守る責任を放棄せよと言っているとは私には思えない。この思いを与党と共有し、決定した。

ただし、こうした行動を取る場合でも、他に手段がないときに限られ、必要最小限度でなければならない。憲法解釈の基本的考えは変わることはない。
海外派兵は一般に許されないという原則も全く変わらない。自衛隊が、かつての湾岸戦争やイラク戦争の戦闘に参加するようなことは決してない。
外国を守るために戦争に巻き込まれるという誤解があるが、あり得ない。憲法が許すのは、我が国の存立を全うし、国民を守る自衛の措置だけだ。外国の防衛を目的とする武力行使は行わない。
むしろ万全の備えが、日本に戦争を仕掛けようとするたくらみをくじく大きな力を持つ。それが抑止力だ。

今回の閣議決定で、日本が戦争に巻き込まれる恐れは一層なくなっていく。日本が再び戦争をする国になるというようなことは断じてあり得ない。
閣議決定を踏まえ、関連法案の作成チームを立ち上げ、国民の命と平和な暮らしを守るため直ちに作業を開始したい。国会に法案を提出し、審議いただきたい。私は今後とも丁寧に説明を行いながら、国民の理解を得る努力を続けていく。

***

分析に入ります。この会見は安倍首相の思考パターン、大嘘の連発にいたる政治家としての致命的な欠陥をよく表してもいる会見です。
まず彼は冒頭に「抽象的、観念的な議論ではなく。現実に起こりうる事態で現行憲法のもとで何をなすべきかという議論だ」と説き始めています。
これは集団的自衛権行使に関する安倍首相のこれまでの説明が、「抽象的、観念的ではないか」と言われていることに対する反批判・・・というより「逆ぎれ」です。この方は極めてよく「逆ぎれ」する。
こういうとき安倍首相は、自分が批判されていることには絶対に触れずに、ただ相手に言葉を投げ返すことだけを繰り返します。その結果、冷静に考えれば、かなり滑稽な回答が続くことになります。

安倍首相は語ります。「例えば、海外で突然紛争が発生し、そこから逃げようとする日本人を、米国が救助、輸送している時、日本近海で攻撃を受けるかもしれない。」
・・・その内容自身がこれまで抽象的で観念的ではないのか、あまりにありえない想定なのではないかと批判されているものそのものなのですが、安倍氏は同じことを何の修正も論理的整合性もなく繰り返すことを常としています。
しかもこうした安倍氏への批判には、そもそもアメリカ軍が、危機に際し他国民の救助など行わないと明言していることも含まれているのです。「抽象的、観念的」な話どころか、ありえないと米軍が明言しています。
しかし安倍首相は、自分の主張に都合の悪いものは一切、「ないものとして」しか考えることしかできない。そのため批判にまともに答えていないし答えられないのです。自分の都合に悪いことはまったく考えられないのでしょう。

ここに現れているのは、安倍首相が根本的に対話能力が欠落している人物だということです。相手が「それは抽象的、観念的なのではないか」と指摘しているのに「いやこれこれしかじかだから抽象的、観念的なのではない」と答えることができない。当たり前の対話的な発想が欠落している。
むしろ「そう質問することこそ、抽象的、観念的だ」と言い返すばかりなのです。まさに「逆ぎれ」です。
安倍首相の「逆ぎれ体質」を指摘するのは、この欠点は政治家として、とくに外交を司るものとして致命的だからです。この方を首相の座に付けていること自身が私たちの国の大きな危機です。
何せ安倍氏には相手の批判がまったく耳に入らない。当たり前ですがそんな態度でいれば相手が怒ります。事実、安倍氏が首相になって以降、中国、韓国との関係は悪化するばかり。紛争を収めるどころか拡大することしかこの方にはできないのです。

だから「外国を守るために戦争に巻き込まれるという誤解があるが、あり得ない。憲法が許すのは、我が国の存立を全うし、国民を守る自衛の措置だけだ」などとも言えてしまいます。
言葉を正確にとっていくのなら「戦争に巻き込まれる」というのは、こちらの側が戦争する意図を持っていないのに、相手の側が戦争行為に及ぶ場合のこと、つまり相手が戦争行使の意志をこちらの意図に反して持ってしまう場合のことです。
この時、大事な点は、相手の側がいかにして戦争の意志を持つにいたるかであって、その場合には往々にして双方の意図の誤解もあります。もともと猜疑心を持って、武装して睨み合っているからこそ、こうした衝突は起こりやすいのです。
ところが安倍氏は「憲法が許すのは、我が国の存立を全うし、国民を守る自衛の措置だけだ」などとこちら側の論理だけを言っている。そんなこと、相手がそう思わなければ何の意味もない。「米軍と一緒に攻めてくるのだ」と思われたら、相手の側の「自衛権」が発動される可能性だって十分にあるのです。

安倍氏はこうした「現実に起こりうる事態」の想定がまったくできないし、批判や指摘を受けても、耳を傾けることができない。だから一方的に自分を「善」の立場におき、相手の「悪」の立場においてしまいます。
それが良く表れているのが「むしろ万全の備えが、日本に戦争を仕掛けようとするたくらみをくじく大きな力を持つ。それが抑止力だ。」という言葉です。
安倍氏にとっては「日本に戦争を仕掛けようとする」のは悪辣な「たくらみ」なのです。しかもはじめから相手を憎悪し、自分が善だと決め込んでしまっている。ここにはこちらが意図がないのに攻めてくるものは悪だ、倒せという恐ろしい発想が現れている。
繰り返しますが「戦争に巻き込まれる」のは、日本によるアメリカなどへの「助太刀」の際に、相手が日本の意図を攻撃的で侵略的なものであると判断し、日本がそうは思ってなくても反撃が開始される場合です。それが「巻き込まれ」なのです。しかし安倍氏はそうした客観的なものの見方ができない。

その上で安倍氏は再び「今回の閣議決定で、日本が戦争に巻き込まれる恐れは一層なくなっていく。日本が再び戦争をする国になるというようなことは断じてあり得ない」と繰り返します。
ここでも安倍氏は、自らが信じている、ないし信じたいことを語っているだけで「戦争に巻き込まれる恐れは一層なくなっていく」根拠を何ら論理的に説明することもできない。
このような根本的に対話のできない体質、自分に都合の悪いことをまったく受け付けられない体質の中で、言われたことを相手に言い返すことしかできないので、結果として次々と大嘘をついてしまうことにもなる。
その典型が「原発は完全にコントロールされている」ではないかと思えます。彼には「原発がコントロールできていない」現実が受け入れられないのしょう。現実の危機に目を向けられない。自分の都合の良いように解釈を変えることでしか心の平静を保てない。

そのために、まともに考えればありえないような支離滅裂なことを語り、破たんした論理を平気で使い、事実を強烈に捻じ曲げても自分の言いたいことを押し通そうとする。その結果、倫理的呵責もなしに大嘘をつく。
このように分析してみると、意図的に嘘をついているというよりは、常に自分を絶対善におき、相手を悪辣な意図を「たくらむ」ものに貶め、「何があろうと自分は正しい」と自分に言い聞かせないと精神が持たない構造にこの方があることも見えてきます。
個人としては哀れでもありますが、このような方を首相の座になどつけていてはまったくいけない。にもかかわらず、これほど政治的資質に欠けた方を交替させられないところに自民党の、機能不全もよく表れています。
私たちの政府はまともな会話もできない組織になってしまっています。それこそが恐ろしい。世界に迷惑をかけ、さらには敵ばかりを増やしてしまいます。安倍首相自身「敵が増えている」妄想に取りつかれて怯えているからこそ、軍備増強に走っているのではないでしょうか。

国と国の争いに軍事を用いることを禁じた私たちの憲法は、このように戦争が猜疑心からも起こり得ることをきちんと踏まえ、だからこそ、諸国民の公正と正義に信頼して、武器を持つ権利=自衛権の放棄をうたったものです。
自衛権を放棄するのは、相手に対して疑いをもつことを止める宣言でもあります。「私たちはあなたたちを心のそこから信頼します」という人間的な豊かな心を持った宣誓です。
また武器に頼ることができないがゆえに、対話力=外交力を磨かねばならないことも、この憲法が私たちにもたらしてきた効果です。そうして日本は実際にこれまで70年近くも、その精神で歩んできたのです。
私たちの憲法は、あれほどの侵略戦争を行った私たちの国に、平和トレーニングをももたらしてくれたのでした。そのことがOECD各国の中で、一番、殺人事件が少ない、穏やかな国へと私たちを成熟させてもくれました。

この平和の奇跡を覆そうとする閣議決定後の記者会見を分析するならば、安倍首相の対話不能のあり方、自分に都合の悪いことには一切、耳を傾けることのできないあり方こそが、諸国とのいさかいを強め、戦争を拡大させる芽であることが分かります。
私たちはこの危険な芽を今のうちに摘み取ってしまわなければなりません。そして中国、韓国をはじめ、諸外国との対話的な関係を回復して信頼を取り戻し、互恵的な発展を目指すことに尽力する必要があります。
そのために今後、集団的自衛権行使を法制化する動きと対決していきましょう。対話不能な安倍氏に退陣を迫りつつ、同時に私たちの国の中でも海外との間でも対話的・互恵的な関係性を復活させ、温めていきましょう。
今日も各地でさまざまな行動が準備されています。連日ですが頑張りましょう!

 

 


 

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