
『はじめての文学・桐野夏生』
この本を読もうと思ったのは、ただ、単純に・・・
中高生に混じって、読んだことのない(あるいは、あまり読んでいない)作家さんの作品を、読んでみようと思った、ということと、
「桐野夏生の作品で、中高生(あるいは、小学校高学年)が、読めるものがあるのか?」
という、素朴な疑問からでした。
『柔らかな頬』という作品を読んだのは、何年前でしょうか。
最後まで犯人が明かされず、消えた娘の行方も知れないまま・・・という、在りえないサスペンス。
ホラーやサスペンス、推理小説を読むときの(苦手なので、ほとんど読みませんが)、あのドキドキ感や、手に汗握る感が、全くなくて・・・
「人間って、馬鹿で汚くて、でも、なんだか可愛いじゃん。」そんな感想を抱いたのを覚えています。
文章も、きりりと整っていて、私好み♪
でも、あの頃はやった『OUT』には、とても進む勇気がなくて、結局、それ以降、遠ざかっていた作家さんでした。
そんな作家さんの『はじめての文学』。
どの作品にも、鋭く尖った針が、何本も突き立っていて・・・しかも、それには、毒が、たっぷり塗ってある。
もしくは、得たいのしれない邪悪なものが、にじりよってくるような恐怖を味わえる一冊。
そんな感じでしょうか。
だいたい、作者のあとがきの題名が「小説には毒がある」ですから(笑)
毒、ありすぎでしょ!と、思わず、突っ込みたくなったのは、私だけでしょうか。
作者も仰る通り、毒があるから、面白いのかもしれません。
素直に感想を求められたら、はっきり「面白かった」と答えられます。
でも、でも・・・
母親として、これを子どもに勧められるか?と聞かれたら、迷わず、NO!かな。
(母親じゃなかったら、勧められるかもしれませんが)
でも、その頃の子どもたちにとっては、この類の小説は、必要不可欠とも思います。
大人が汚くて仕方なく思えたり、そういう時期に、そういう爆発しそうな感情を抱えているときに、こういう本は、必要かもしれない。
男と女のもろもろも、嫉妬、ねたみ、横恋慕、不倫、殺人・・・その存在を、私に教えてくれたのは、たしかに、物語だったから。
図書館で、友だちから借りて、むさぼるように読んだ時期・・・あったなあ
だから、中高生のみなさん。
どうか、この本は、心配症のお母さんに隠れて、こっそり読んであげて下さい。ね。
毒があるから、面白い
そういう時期はきっと来るのでしょうね。
今は娘の読書を把握している私でも、私の知らない本棚が出来上がっていく…
でも、娘が選び取っていくものを信頼していきたいと願っています。
心配はするだろうけど、信頼できるような関係を今作っていかなくてはならない
時なのかもしれないですね。何だかとても考えさせられました^^
でも、『OUT』は怖くて怖くて、怖いもの見たさで最後まで読んで、面白かったと言えるけど、『グロテスク』は途中でげっそりして暗くなりすぎ、止めてしまったかな。いわゆる桐野さんのブラックワールドか。
『魂萌え!』はホワイトワールドで、毒はそれほど無かったかな。
でも、一度道を踏み外してしまうと、どこまでも転がってしまう怖さがどの作品にもあるような。
やっぱり、「毒」ですねぇ。
なのに、なぜこの人はこんなに清清しく美しい名前なんですかねえ。桐野夏生だなんて。食虫植物に惹かれる蚊になったような気分で名前を眺めてしまいます。
でも、「はじめての文学」シリーズにはすっごく興味があります。
前に教えてもらった村上春樹も、小川洋子もぜひ、読んでみたいです。
母親から子供に?
心配に決まってるじゃないですか~♪
「もうしょうがないわ」といずれ観念するんですが、それまでは、子供の読みかけの本を見ながら、「わかってるのかしら、この子」とつぶやきつつ、当分オタオタすることでしょう♪
桐野夏生さんってそんなに毒のある小説を書く作家さんだったんだ~私はてっきり、中高生の女の子向けの作家さんかと
こももさんの記事や みなさんのコメントを読んでいると、私も怖いのは苦手なのでちょっと自信がありませんが、ブラックじゃないあたりから、挑戦したいと思います。
この「はじめての文学」からなら大丈夫かな?
信頼し、される関係。
今は、それを構築する時期なんでしょうね。
必ず、親を敬遠する時期がくる。
だからこそ、根っこのところは、しっかりとしておきたいなあ。
なかなか、そうはいかないのが、思春期なんでしょうけれど。
そうですか、途中でやめてしまう程なのですか・・・
さすが、桐野さんだ。
>一度道を踏み外してしまうと、どこまでも転がってしまう怖さ
その通りですよ!!
それですね。桐野ワールドは!!
この怖さを、どう表現したらよいのかと思っていましたが、まさに、それだと思いました。
なんだか、スッキリです(笑)
うふふ。私は、桐野さんから入ってみました。
ホラーとかとは違う、怖さなんですよー。
桐野ワールドは。
娘さんが、読んでいたら・・・かなりドキドキするかも。
息子よりも娘に読んで欲しくないと思った母なのです(笑)
私が、「柔らかな頬」を読んだきっかけは、ぱせりさんの仰ったことズバリでした。
あんまり、綺麗な名前なんですものー。
同じようなことを考える人がいるんだ!って、嬉しくなりました(笑)
中高生には、読んで欲しくない作家さんなんですよー
怖がらせる話では、決してありません。
人間なら、誰でも持っているはずの闇を描く作家さん?かな。
どうでしょう。
なんとなくですが・・・
kotatsumikanさん、好きかもしれません。
なんとなくですが(笑)
私は・・・・・
ちょっと、好きかもしれない・・・と、思っちゃいました。
自分でも意外なんですけどね。
読み終わってから、ジワジワと・・・
私は「OUT」を読んであまりの内容に気持ち悪くなってきてしまいました。でもけっこう夢中で最後まで読みきりましたが、これで本当にアウトでした。
「柔らかな頬」を挑戦したくとも、あの気持ち悪さを再び・・・と考えるとどうにも手を出せなくて。
元々ホラーがダメなのですが、この方のはそれに近いお話です。
小説で字を追っているだけで気持ち悪くなるというのもすごいことですよね。その文章力は。
そ、それは、厳しい選択でしたね(笑)
「柔らかな頬」は、殺人などは起こらないので、気持ち悪いところは、なかった気がします。
ぞわぞわとした怖さですので、安心して、読んでみて下さい!なんちゃって。
それにしても、桐野さんの文章力は、本当にスゴイですね。
「はじめて」シリーズでさえ、何回か、本をとじて深呼吸しました。