ぼちぼち日記

大切な日々のこと

『檸檬のころ』

2006-10-26 06:29:22 | わたしの読書

『檸檬のころ』 豊島ミホ

書評ブログで見つけた本。
それにしても、ブログのライターさんは、どの方も、読みたくなるように書いてくれるから困りモノ。だって、次から次へと、読みたい本が溢れてくるんだもの!
そんな、たくさんの読みたい本の中から、いざ選ぶとなると・・・決め手は、装丁だったりする。そう。私は、めっぽう装丁に弱いのです。

この本も装丁が気に入った。
淡い色使い。なんとも、殺風景な風景・・・。なんとなく惹かれた。

これは、高校生を主人公(あるいは、高校の先生)にした短編がつまった、一冊だ。
物語同士には、全く関連性がないのだが、ふと気づくと、主人公同士は、同じクラスだったり、友だちだったりして繋がっている。
あ、この子、さっきの話に名前が出てきた子だ。なんて、思いながら、読み返す。
大事件が起こる訳でも、決定的に傷ついたり、傷つけられたりする訳でもない。友だちのことだったり、彼氏のことだったり、将来の夢だったり、そんなことを、高校生たちが、色々と考えている。そんな物語たちだ。

私にとっての高校時代は、何故か、とても印象が薄い。
クラブの友だちと楽しく過ごした日々は、嫌なことの方が多かった中学時代に比べたら、ずっと心地良い場所だった。今でも付き合っている友だちは、ほとんどが高校時代の友だち。
ついこの間までは、高校時代が、一番の思い出だったはずなのに・・・
年をとったせい?
不思議なことに、傷つきやすかった中学時代の私の方が、懐かしく、愛おしくなってしまう。今にも壊れそうだった自分が、愛おしくてたまらなくなる。
(だから、最近、毎日のように流れてくる、自殺のニュースには、とても胸を痛めているのです)

そんな訳で、この本を読み始めたときの感想は、「ああ。そうだね。そんなこともあったね。」なんていう、ちょっと冷めたものだった。
友だちとの距離関係、異性への興味、将来への漠然とした希望。どれも、どこかで自分の思い出と重なるのだけれど、熱くはなれない。
でも・・・・・いつの間にか、夢中になって読んでいた。

胸がキュンとなったり、そんな激しい感情はないのだけれど、なんだか、懐かしくて、ほろ苦い感じに、夢中になっていた。
まさに「思春期」真っ只中!目の前のことで精一杯!の中学時代に比べて、結構、すべてのことに距離をおいて、冷静に自分を分析できる(今思えば、まだ青臭い分析だけれど)高校時代。そんな頃を思い出していた。

「著者紹介」によると、著者は、まだ大学生。だからかな?
そんな青臭い頃の心模様が、リアルに迫ってくる。淡々とした文章が、さらに、その頃をリアルに表現しているのかもしれない。
自分が、進学のために家を出たときのことも、久しぶりに思い出したりしてね。

本を閉じたとき、無償に、外の空気が吸いたくなって、窓をあけた。びっくりする位、空気が青臭く感じて、何度も、大きく深呼吸した。
あの頃の夢は、かないましたか?なりたかった自分に、なっていますか?
自分に問いかけてみた。


最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
豊島ミホさん (るる)
2006-10-26 09:36:27
最近同じ作者の『夜の朝顔』を読み終えたばかりだったので、とっても反応してしまいましたよ

こちらは、小学生が主人公なんだけど“子供といえどもいろいろあるのよね…”というような内容で、面白かったです。設定は違えど、似たような気持ちを経験したことが想いだされ、ほろ苦い気分になります。もし未読でしたら、ぜひ
返信する
るるさんへ (こもも)
2006-10-27 08:59:00
豊島ミホさん。私は、はじめての作家さんだったので、すごく新鮮でした~

そうですか、小学生が主人公の作品もあるんですね(もちろん未読です!)。

素敵な情報をありがとうございます!って、また読みたい本が増えたじゃないですか~(笑)

我が町の図書館にも、あるといいな~♪
返信する
檸檬のころかぁ~ (kotatsumikan)
2006-10-28 01:00:02
「檸檬のころ」って言葉が30代後半のおばさんにはこっぱずかしいですが、確かに高校生にはぴったりかもしれませんね。

高校生たちが主人公の小説を読むのは好きです。

忘れかけた気持ちを 思い出させてくれる気がします。

今の私はあのころになりたかった私かしら?

う~ん、半分は叶っていますが、残り半分はちがってるなぁ~

返信する
kotatsumikanさんへ (こもも)
2006-10-28 10:51:57
あの頃なりたかった自分。私も、半分はなれてるけど、半分はなれてないかなあ。

いつでも、半分だからこそ、頑張れるのかも?なんて、励まして頑張ることにしますっ。

いいの、いいの。もうすぐ40だって。これから、叶う夢もありますよね。
返信する

コメントを投稿