ぼちぼち日記

大切な日々のこと

『リンさんの小さな子』

2007-04-18 11:43:00 | わたしの読書
『リンさんの小さな子』
フィリップ クローデル(著) 高橋 啓(翻訳)

『子どもたちのいない世界』の不思議な読了感が忘れられずに、借りてきた。
何とも言えない独特の雰囲気が、物語から、文章から漂ってくる一冊。何だろう?この雰囲気は。フランス文学ならではなのだろうか?とにもかくにも、一行目から、その世界に引き込まれてしまった。
あとがきで、訳をされた方がその裏話をしているのだが、一読して、その「簡素で力強い文体」に驚嘆したとか。日本語になっても、その、淡々としているようでいて、グイグイと引っ張っていく文章は、まさに驚嘆です。

戦争で、家族と祖国を失った男・リンさん。残されたのは、小さな孫娘ただ一人だった。
そんな、遠く離れた異国の地に、難民として辿り着いた彼が出会ったのが、妻を亡くしたばかりの大男バルク。
一切言葉が通じない中で、言語を越えて通じ合う二人の男。温かい二人の友情、そして、訪れる悲劇・・・そして

この物語には、具体的な国の名前は、一度も出てこない。ヒントになるようなものもない。作者は、あえて国を限定しないことで、この世界のあらゆる所で起こっている悲劇を描きたかったのだろうか。

ラストに向かうにつれ、悲劇的な予感が頭をよぎる。鼓動が激しくなり、もう、普通に読んでいることに耐えられなくなってしまう。そしてとうとう・・・悲劇でないことを期待して、ラストのシーンのページをめくってしまった。けれど、「いやいや、こんなに、しっかり読んだら駄目。面白くなくなっちゃう」と思い直して、元のページに戻る。
これを、何度、繰り返しただろう?何度めかに、動揺して、ちっとも物語を読み進められていない自分に気づいた。深呼吸。動揺が始まったページに戻って、最初から、ゆっくりと読み始めた。
そして迎えるラストは、もう、涙でくもって、よくページが見えないほどでした。

文体も、国籍のない物語も、何もかもが不思議な本。とにかく、おもしろかった。惹きつけられた。
この作者、もう一冊『灰色の魂』(4・23訂正しました)という、こちらはサスペンスの本が出ているようです。ただ、調べてみたら、図書館には置いてない。ああ、読みたいなあ。

息子くんとのエーミール再読(講談社・青い鳥文庫)は、とうとう、最終巻にやってきました。
長いなあ~。でも、最終巻は、やっぱり特別におもしろい!昨日は、エーミールが酔っ払って、大騒動を巻き起こす物語。大人でさえ、こんなに面白いんだから、憧れの目で読む子どもは、どんなに面白いだろう。あと少し、楽しみながら読みましょうっ!
読み聞かせをしているときは、娘は、パパに抱っこ。いつも、寝グズリ(最低3時間は、さわいでいます)の真っ最中で「ひーひー」泣いている中、息子と集中して読んでいます。
パパが夜勤のときは、最後の手段、オッパイをあげながら作戦。
先日は、エーミールに夢中になりすぎて、終わったときには、オッパイが、すり切れんばかりに痛くなっていました
寝グズリの最中は、何時間でもオッパイを吸っていられる娘。おかげで、一ヶ月検診では、体重が、退院時より1000g以上増えていました。栄養指導問題なし!だそうです。が、どうなんだろう?その増え方の理由は。