遺書を書く代わりにファンレター

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■浅田次郎

「だから人生何でも
そうかもしれないけれど、

ここ一番の大勝負って思った時に
外れても諦めちゃダメだね。

大失恋の後に本物がある。
これは非常にある。」

「天切り松　闇がたり」
を出した時に

読者からたった一行だけ
こう書かれた手紙が届いた」

“遺書を書く代わりに
ファンレターを書きました。”

「ガッツポーズがでたね。

僕ね（笑）
わかる人にだけわかれば良い
と言う小説は大嫌い。

それは二流で良い
と言ってるのと同じで

宗教説話の昔から
言葉の力によって

人を治癒するというのが
物語というものの持っている

最も根源的な力だと
僕は思っています。」
「本気で小説を書きたい人のためのガイドブック」
　　　　



■“人の心を癒す！”
そんな文章が書けたらいいだろうな…！

道端の小さな石ころも
生ゴミをついばむカラスも

なにか物語を持って
僕の目の前に現れたのだろう。


ふと車の走行距離表示を見ると
９９９８９ｋｍ
後１１ｋｍで１０万キロに達する。

この愛車と
ドライバーの僕自身が
リセットの瞬間を迎える。

厳かなその瞬間がもう直ぐ訪れる
そう思うとウキウキする。

１ｋｍ毎にドキドキしながら、
満開間近の桜並

福井市内九十九橋付近で
ゼロが五つ並ぶ
１０００００ｋｍだ…。

見事な足羽川の桜に
吸い込まれるように

リセットした僕と僕の愛車を
春の日差しが祝ってくれる…。

そんな気がした。
　早起き鳥







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