うちの二階の寝室、ベッドに転がって見える窓。

山櫻はすでに落葉し、ヤマツツジの葉っぱが赤くなってて
コナラが黄色い。
春は山櫻の白い花が楽しみで
夏はセミの声とともに青々した葉がざわざわが楽しみで
冬は枯葉のカサカサと、たまに来る真っ白の景色。
できればここでこのどれかの景色を見ながら死にたい。
そう思った初めての場所かもしれない。
それは実現できるかどうかわからないけれど。
前にちょっと入院して麻酔したとき、麻酔がすごいヤツで
意識がなくなってる間、わたしは自分自身が誰であるのかがわからなくなった。
夢うつつの中、つれあいやこどもの顔がちらちら浮かぶけれど
誰だかわからない。
家の断片も見える、でもどこだかわからない。
これはどういうことなんだろう?
老化が進みアタマの中に霞がかかってくるようになり
「ぼけ」っていうのになるとこうなるのかな。
怖いことかもしれないけれど、麻酔がかかっていた最中のわたしは
怖いよりも霞が濃過ぎてなにも考えられなかった。
いつかそうなるときが来るのかもしれない。
それでもこの景色はなにかしらわたしを惹きつけるだろうな。

こちら、トイレの窓。
たまにヨソ猫、うちの猫が横切って
いろんな鳥がさーっと飛びさり
おそらく夜はタヌキ、イノシシなどががさごそ歩く。
わたしやつれあいがいなくなったあとも彼らはここを歩き、飛ぶ。