モノトーンでのときめき

ときめかなくなって久しいことに気づいた私は、ときめきの探検を始める。

その17:フェルメール「地理学者」より気に入った1枚の絵

2011-05-20 19:40:18 | フェルメール
フェルメールは、男を描ききれなかったと感じた。
同じ構図での女の描き方には魅入られるほどだが、この「地理学者」には何故かワクワクしない。
というのが前回<その16>での謎かけだった。

やはりあった。というか存在していた。
フェルメールに影響を与えたと言われているカーレル・ファブリティウス(Fabritius, Carel 1622-1654)

彼は、フェルメールに写真的な写実ではなく、心を写し取る“写心”を教えたのではないだろうかと思ったが、その弟、バーレント・ファブリティウス(Fabritius, Barent 1624 -1673)の絵にもやはり惹きつけられた。
 
(出典)
バーレント・ファブリティウス「自画像」
1650年作、油絵、キャンバス
シュテーデル美術館蔵

バーレント・ファブリティウスは、兄のカーレル・ファブリティウス同様にレンブラント(Rembrandt Harmensz. van Rijn、1606-1669)に師事したようだ。

兄はレンブラントから離れ、フェルメールと同じデルフトの町で自分の色彩を捜し求めた。長生きしたら後世に残る画家になっただろうといわれているが、残念ながら32歳という若さで亡くなった。

弟はレンブラントだけでなくこの兄の影響を強く受けている。
自画像が似ているので見比べて欲しい。(でも、兄のほうが上かなと思ってしまうが。)

さらに“でも”だが、フェルメールの「地理学者」よりもこの弟バーレント・ファブリティウスの「自画像」の方が男を描いているような気がする。

こんな比較が出来たのだから、満足いく展覧会だったかもわからない。

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