モノトーンでのときめき

ときめかなくなって久しいことに気づいた私は、ときめきの探検を始める。

桜の時期は鯛メシ。だがだいぶ違う「鯛メシ」の新橋「宇和島」

2007-03-13 12:05:34 | グルメ
JR新橋駅烏森口(からすもりぐち)をおり、右手に宝くじ売り場をみて最初の信号を浜松町のほうに左に曲がる。2本目の路地を右手に曲がり直進すると「割烹 宇和島」が見えてくる。

この店のランチA定食は豪華だ。
鯛メシ(鯛のひやじる+ご飯)、魚のあら煮大根、じゃこ天、蟹でダシをとった味噌汁、漬物があり、ボリューム感があるだけでなく、どれを食べても水準を超えている。
特に、「鯛メシ」は名物だ。以前は鯛茶漬けとばっかり思っていたが「鯛メシ」なのだ。


さてどれが鯛メシでしょうか?

宇和島の「鯛メシ」は、鯛の刺身を醤油、みりん、だし汁、ゴマなどでつけ、生卵が落としてある。



これをかき回し卵を汁全体になじませたら熱々ご飯にぶっ掛けて食する。
鯛の切り身の淡白さに卵・ゴマなどのコクがからまり、あっという間にご飯が胃袋に収まってしまう。
お代わりは体重増加の原因となるので我慢し、あら大根にむしゃぶりつく。
ぶりなどの目玉があったりしたら目のまわりのゼラチンをちゅるちゅるとすすり、美しくなったのではないかという錯覚に陥る。
見事なくらいに骨の山をつくり、今度は、宇和島名産のじゃこ天を食べる。
歯ごたえがあり、シコシコしており酒のつまみに最高だと思う。

「割烹 宇和島」は、宇和島からの新鮮な素材をベースに作っており、
宇和島の学習をしておくとさらにおいしさが際だつ。
宇和島はそんな魅力がある町みたいだ。
これまでは単にうまい店とだけ思っていたが、宇和島、大分、宮崎あたりの「ぶっ掛けメシツアー」が魅力的になってきた。こんな旅心を刺激された店でもある。

四国 愛媛県の九州に近いところに位置する宇和島周辺の海域は、
豊後水道(ぶんごすいどう)を挟んで有数の漁場であり、海からの恵みが豊富なところだ。
対岸の大分には、関あじ、関さばとして名高い佐賀関漁協があり、
おんなじ魚が宇和島に上がると単なるマアジ・マサバとなるので、うまいものを安く食することが出来る。

又瀬戸内海からこのあたりは、海賊が活躍したところであり、魚の切り身で酒盛りをし、その後で残り物をご飯にぶっ掛けて食べたのが「鯛メシ」の始まりといわれているようだ。
海の幸豊かなところでのいくさメシ(=その時代のファーストフード)が磨かれてきて、
白身魚の鯛を使った「鯛メシ」、赤身魚・アジなどの青身魚を使った「ひゆうがめし」、
アジなど旬の魚の焼き身をほぐしてご飯にまぶし冷えた味噌汁をぶっ掛けて食する「冷じる」など
魚がうまくなければ出来ない食文化が育った。
海賊さんに感謝しなければならない。

そこで、「ぶっ掛けメシツアー」の食いどころを紹介すると
第一に、宇和島の「鯛メシ」。
第二に赤身魚・アジなどの青身魚を使った「ひゆうがめし」。
これは、対岸の九州は大分佐賀関にあがる関アジ・関さばなどで食べてみたい。(宇和島の鯛メシと同じで、鯛をアジなどにかえる。)
第三は、宮崎の「冷じる」 これは、アジなどを焼き身をほぐして温かいご飯に乗せ、冷たい味噌汁をぶっ掛けて食べるもので、夏場とか、呑み過ぎの翌日に最適な食い物だ。




でも、一般的に「鯛メシ」といったら、
鯛を丸ごと一匹ご飯と一緒に炊き込んだものであり、
桜が咲くやや肌寒いときに、熱燗を飲んだ後に食べると豊かな気分になれる食い物だ。
陸に桜、海に鯛。という季節感があり情緒を刺激するものだが、
取り残した小骨に刺されると大変なことになる。
うまいけど危険なご飯という印象が強い。

このような「鯛メシ」の概念をくつがえす「鯛メシ」が四国は宇和島にあり、
新橋の「宇和島」で食することが出来る。
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