'12-07-31投稿
砂鉄鉱床のある周辺地域では環境放射能の共存下で地震を起こしやすい?と推察していますが、(詳しくは✏その5) そのメカニズムおよび砂鉄鉱床の正体(化学組成、粒度)について個人的にはよく解っていません。
既報(その1、その2、その3-1、その3-1、その4)までにて、諸悪発生要因の考察とメカニズム仮説を提案することを目的として個人的な記録を投稿しています。
当面は環境放射能の地殻に及ぼす影響に着目して、可能な限り、杞憂を払拭することを目的として、妄想を含めながら記録していることを予め断っておきます。
本題に入る前に、参考情報としてわが国の砂鉄が豊富な鉱床の引例を再掲します。
引用文献:日本の主な砂鉄産地 井口一幸著〔古代山人の興亡〕よりhttp://www.geocities.jp/tyuou59/satetu.html
鉱床を理解するために、マントル、マグマ、地殻、火山、熱水のイメージをウィキペディア、Google画像解析から引用しました。
ウィキペディア「地殻」によれば、(一部割愛しました。)
大陸地殻の厚さは地域変化に富むが、30 - 40kmくらいの地域が多い。他方、海洋地殻はほぼ均一で、6kmくらいである。
1=地殻; 2=マントル; 3a=外核; 3b=内核; 4=リソスフェア; 5=アセノスフェア
(google画像検索から引用)
今回は、主として、砂鉄鉱床がどのようにできるているのかに着目して
鉄鉱床に係る記載を調べました。
鉄 地球科学の立場から
鉱床はどのようにしてできたか?http://staff.aist.go.jp/nakano.shun/Jap/tatara/iron/iron4.html
(一部割愛しました。)
「1.マグマ(火成岩)と関係した鉱床
●マグマの結晶分化作用:マグマの冷却に伴って,結晶となった鉱物,たとえば磁鉄鉱が密度差により沈降してマグマ溜りの底に集積する.または,液相の不混和現象により,Feに富んだ液相(重い!)が分離沈降する.
●分化が進み揮発性成分に富むようになったマグマでは,流体相(さまざまな金属元素を溶かし込んだ水溶液)ができる.揮発性成分が周囲の岩石を高温で変成させる(接触変成鉱床.接触交代鉱床,スカルンともいう).または,流体相が冷却し,その中に溶かし込んでいた金属元素を沈積させる(熱水性鉱床).
岩手県釜石鉱山や埼玉県秩父鉱山は磁鉄鉱,和賀仙人鉱山は赤鉄鉱を主とする接触変成鉱床.
熱水:さまざまな金属元素を溶かし込んだホットな水溶液
2.残留性鉱床
地表付近の岩石が,風化作用を受け,新しく生成された難溶性鉱物が残留濃集してできた鉱床.・・・高温多雨の熱帯地域に発達し,その成因にもバクテリアが関与しているらしい.
風化により,2価のFeが酸化されて3価になる(通常,土壌の色の違いは,Feの含有量や酸化の程度により,大きく変わる). 表面水に溶けにくいため, 酸化物または水酸化物として残留濃集する.一般に品位は低く,個々の鉱床は規模が小さい.
石灰岩に起因する鉱床:鉄分に富む赤土(terra rossa)が発達する.本来石灰岩中に不純物として含まれていたFeやMnなどが,コロイド溶液として移動し,赤鉄鉱・褐鉄鉱・硬マンガン鉱として鉱床を形成.または,石灰岩中の菱鉄鉱が風化し,褐鉄鉱として残留.
硫化鉱物に富む鉄鉱に起因する鉱床:鉱床の酸化帯を形成する.
たとえば,2FeS2+8H2O+CO2 → 2Fe(OH)3+4H2SO4+H2CO3
蛇紋岩に起因する鉱床:風化作用により生じた赤鉄鉱を主体とする(磁鉄鉱→赤鉄鉱).
3.堆積性鉱床
●砂鉄鉱床:磁鉄鉱を主体とし,その他,チタン鉄鉱・褐鉄鉱・赤鉄鉱を含む. そのほか,輝石・角閃石などさまざまな鉱物を含む.岩石中に含まれていた鉄鉱物が,岩石の風化・分解の結果,河川などにより運搬され淘汰・集積したもの.場所により,山砂鉄・川砂鉄・湖岸砂鉄・浜砂鉄などと呼ばれる.
もともとの鉄鉱物は火山岩(安山岩など)起源または深成岩(花崗岩など)起源. 酸性岩(SiO2成分が多い.たとえば花崗岩)起源の砂鉄は,不純物が少ない.塩基性岩(SiO2成分が少ない.たとえば玄武岩)起源の砂鉄は,不純物が多く,特にTiや Pが多い.
山地の表土中の砂鉄は“残留砂鉄”といい,風化により生じた土砂中に産する.昔,山陰地方で花崗岩が風化したものがたたら製鉄に用いられたが,数%程度のFeを含むにすぎない.
●先カンブリア時代の縞状鉄鉱層(BIF: Banded Iron Formation )
・・・
BIFの成因は,大気-海洋系を含む地球表層の環境変化を反映しており,地球科学上の重要な研究テーマである.連続したBIF帯は,なにと関連した地帯なのか? プレートテクトニクスと関連か? 鉄に富む層とチャート(微細な石英の集合)が縞状に繰り返すのは,Feの供給量の季節変化を表すのか? それとも,バクテリアの活動が変わる季節変化か? なお,現在ではこのような堆積物は形成されてはいない.
Feの起源は,大陸の岩石の風化により水に溶けて運搬されたのか? それとも,海底火山活動に関係した熱水活動によりもたらされたのか?
熱水:さまざまな金属元素を溶かし込んだホットな水溶液
●カンブリア紀以降の鉄鉱層(Ironstone)
浅海性で陸源物質を含む鉱層. 砕屑物の起源である岩石の風化・分解によって生じたFeを含む溶液から,化学的沈殿により堆積したもの.BIFに比べ局所的で小規模である.約6億年前より新しい.
●バクテリアによる褐鉄鉱鉱床
鉄バクテリア Iron bacteria による化学的堆積鉱床
Fe2+→Fe3+ この反応の触媒として働く.鉄バクテリアにはいろいろ種類がある.
●沼鉄鉱鉱床
寒冷地の湖沼では,沼鉄鉱(不純物の多い鉄の沈殿物の総称.一般に水酸化鉄Fe(OH)3の沈殿物の集合:褐鉄鉱)が生成する.
腐植土により還元的環境 → 水中のFeはFe(HCO3)2 → 酸素が供給されると,褐鉄鉱Fe(OH)3として沈殿する. 」
⇒砂鉄がどのようにしてできるか記録しました。詳細組成については次報。さまざまな鉄化合物の種類があることと、バクテリア、PH、温度などが鉄化合物(酸化物、硫化物、・・・)の物性(色、コロイド粒子径、磁性)に影響していることが解ります。
昔,山陰地方で花崗岩が風化したものがたたら製鉄に用いられたが,数%程度のFeを含むにすぎないという。
各種の砂鉄鉱床および高温超伝導効果を示す鉄化合物のより詳細な化学組成については次報にて検索可能な限り記録したい(前報との比較: 詳しくは✏その5-2)
参考:鉄や磁鉄鉱はなぜ磁石にくっつくか?引用:http://staff.aist.go.jp/nakano.shun/Jap/tatara/iron/iron6.html
反磁性:磁場を加えると,磁場と反対方向に磁化される.岩塩,方解石,石英,長石などの大部分の鉱物.磁石にくっつかない.反磁性の結晶を構成する元素は, 閉殻の電子殻を持つ元素で,磁場におかれてはじめて磁気モーメントを持つようになる.
常磁性:磁場の強い方に引き込まれる.常磁性を示すのは, 不完全な電子殻を持つ元素(FeやMnなど)を含む結晶.黄鉄鉱,菱鉄鉱,輝石,角閃石など.
強磁性:小さい磁場で飽和し,飽和磁化が常磁性体に比べてけた違いに大きい.自然鉄,磁鉄鉱,磁硫鉄鉱など.