水徒然2

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人口90億の食糧、カギは小規模農業という。

2014-06-16 | 食糧・エネルギー・資源の自給関連

'14-6-16投稿

 物価の優等生である鶏卵価格は相変わらずの上昇したままでいます。

既報相変わらずの卵高値、猛暑でニワトリ減・エサ代高騰という。にて、以前では1個10円程度でしたが現状、倍以上である鶏卵価格の高騰に対して、個人的には世界各地の異状気象による水不足、水の汚染影響で餌の輸入価格が高騰したことが原因か?と推察していますが、ウィキペディアによれば、卵類の自給率は農林水産省の試算では日本の2010年の品目別自給率から、96%であるが、その餌である飼料作物の自給率は約25%であり、大部分を輸入しているようです。

ちなみに、アメリカでのトウモロコシ生産量は約2580万トン、その内日本は1100万トンを飼料用として輸入しているという。>>詳しくは(参考情報)

参考投稿:
鶏卵物価の高騰の原因という鶏の餌である輸入飼料に係る記載(2014-03-10)

 鶏卵価格で象徴される農畜産物の高騰の原因としては餌代が高くなったと思われますが、既報【追加・再掲】 北半球における温暖・寒冷化現象に影響する要因に係る雑感空気汚染より深刻な中国の“水”問題の現状とその対策に係る情報の紹介で記載しました世界各地の異状気象による水不足、水の汚染影響で輸入価格が高騰したことが推察されます。

 温暖化および寒冷化に加えて、人口増加の危機が迫る今世紀においては食料飢饉、価格高騰問題の原因である大規模寡占農業に対する自衛防御手段として小規模な農業が日本でも復活するのであろうか?

 以下、関連情報を調べました。

ナショナルジオグラフィック ニュース May 7, 2014

 人口90億の食糧、カギは小規模農業http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20140507003

「が新たに浮上している。対応策を探る専門家は、家族単位での小規模農家で実践されている農業手法に注目しているという。

2050年には90億に達すると言われている地球の人口だが、増加する20億人分の食料を確保するために、今から何らかの有効な対策を講じる必要がある。先進各国の政策担当者は話し合いを進めているが、その視線は大規模農場を運営する多国籍農業ビジネスに向けられている。

 だが長期的に見た場合、昔ながらの持続可能な技術を用いる新興国の小規模農業こそ、温暖化に対応しながら世界の食料安全保障を実現する手立てとして最適との声が上がっている。

 現在、家族単位で農業を営む世帯は世界で5億戸を超える。大半は収穫量が限られた自給自足農家で、市場で売る作物を栽培する余裕はほとんどない。しかし、全生産量を合計すると世界の食料の56%以上に上るという。

 持続可能な農業の推進団体「Food Tank」が今年3月に発表した家族経営農業に関するレポートによると、小規模農家は持続可能性のより高い農業技術を用いながら十分な量の食料を常時確保しており、世界の食料安全保障に対する貢献度が高い。

 例えば、大規模な農業ビジネスを展開する場合、栽培する作物をトウモロコシや小麦など1品種に絞り込み、肥料や農薬を使って収穫量を最大限増大させるという手法が取られる。一方、土地原産の作物類を栽培する小規模農業は、限られた水資源を有効利用しながら、栄養価も申し分ないという。

 国連は、小規模農業の従事者に対する認知度を高めると同時に、気候変動や食料不足、貧困といった問題に直面する中で彼らが果たし得る役割を世界に訴えるため、2014年を「国際家族農業年」と定めた。

◆小規模農家の農法

 食料の生産および流通は、内戦や政府の腐敗、インフラ整備の遅れなどさまざまな政治状況に妨げられていたが、近年大きく変化しているという。農業生態学に詳しい米国際開発庁(USAID)のジェリー・グローバー(Jerry Glover)氏は、「最近は土地の劣化や気候変動の影響で、十分な収穫高が得られない農地が増えており、多くの地域の食料安全保障を揺るがす原因になっている」と語る。

 Food Tankが最近発表したレポートには、気候変動、食料価格高騰、自然災害、紛争などへの対策として小規模農家が取り入れている「農業生態学的な手法」が数多く紹介されている。

 例を挙げると、樹木の植栽を農作物の栽培や家畜の飼育と組み合わせた森林農法(アグロフォレストリー)、作物の根に直接水を供給する太陽電池式の点滴灌漑、複数の作物を同一の農地で栽培することにより、日光、水、養分を最大限に活用する間作農法、生育の早い植物を使って土壌の侵食を防ぐと同時に土壌中の養分を補給する緑肥農法などがある。

 中米のグアテマラを訪れていた米国農務省の元長官ダニエル・グリックマン(Dan Glickman)氏によると、現地ではさまざまな試みがなされているという。従来はトウモロコシや大豆を栽培していた畑で同時に野菜類を育てる、コーヒーと別の作物の輪作で病気を防ぐ、マンゴーやプランテン(料理用のバナナ)を点滴灌漑で栽培するなど取り組みは多方面に及ぶ。「グアテマラの農家は、肥料と質の良い種子を必要としている。遺伝子組み換え作物など、ここでは無用の長物だ」。

 遺伝子組み換え作物は、肥沃な土地で収穫高の増大だけに目を向けてきた大規模農業の産物だ。

 国連食糧農業機関(FAO)によると、20世紀の100年間で植物の遺伝子的多様性はその約75%が消滅。主な要因は、合成肥料、農薬、遺伝子組み換え種子を大量消費してきた大規模単作農業にあるという。

 またFood Tankは、持続不可能な農業手法により、世界の耕作地の30%は土壌の養分が枯渇し作物の生産性が低下しているとも指摘。ところが、その土地原産の多種多様な作物を栽培する家族経営の農家は、単作農家よりも収穫量が20~60%も多い。

 しかも、小規模農家の主要作物であるキビ、モロコシ(ソルガム)、キヌアなどの“忘れられた穀物”は、水の極端に少ない土地でも栽培可能で、元手をかけて大量栽培されるトウモロコシや小麦、大豆、米などに比べても病気に対する抵抗力が高いという。

 Food Tankのダニエル・ニーレンバーグ(Danielle Nierenberg)氏は、「キビ、モロコシは、“貧者の食べ物”、時に“雑草”と軽視されている。だが、気候変動の影響を受けにくい食料であることは注目に値する」と話す。

◆貧困からの救済

 世界が気候の温暖化や人口増加に直面する中で、十分な食料をどう確保するのか。小規模農家の農業手法にはそのヒントが隠されている。一方で彼らは、気候変動や人口増加のもたらす弊害に最も脅かされる立場にもある。

 米国農務省のグリックマン氏は次のように話す。「新興国の貧困層は、多くが農村部に暮らしている。新興国の小規模農家に、より優れた農法を実現するためのさまざまな道具、品質の良い種子や肥料を提供し、収穫量を増やすためのさまざまな手法を伝授すれば、彼らを貧困から救い出すことができるはずだ」。 」という。

参考情報:
寒暖の差や乾燥に強い南米原産の穀物「キヌア」が世界的な食料問題の救世主になる可能性があるという。(2013-06-16)