水徒然

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放射化現象に係る記載を調べました。(その4:プルトニウムの影響)

2011-05-24 | 日記

'11-05ー23投稿、強調
 既報までにて、環境中(主に、海)に存在する放射性物質による放射化現象に係る記載を調べてきました。
 放射化現象の可能性を調べる目的は
環境中に存在する放射性物質の崩壊放射線エネルギーが熱に変換する過程で海水中の共存物質を励起して、紫外線などの有害な放射線を発生させた場合、生態系に数次災害を引き起こす可能性が考えられる為であります。 <<詳しく見る>>

 この仮説は杞憂かもしれませんが、基本的には国を挙げて調べれば、有無の評価可能であることを確認しました。
 
<<詳しく見る>>  

 
現状、起こってしまった原因、是非の議論も今後の防災ために重要でありますが、それ以上に至急対処しなければならないことは、
①今後、続くと想われる環境中の放射性物質による影響を
 取り除くこと、 
②その被災を最小限にするための心構え、
 と思われます。

 
既報にも記載しましたが、紫外線については気象庁などからTVなどで速報、警報されています。この場合、国民はその気になれば対策ができます。
  残念ながら、殊、環境中の放射線の情報(シーベルト)が不明確であることであります。形式的にはインターネットにて調べることはできますが、受け取る側での適切な対処がとてもできてないように想われます。
 
なぜならば、①紫外線と放射能の質が全く異なること、②公開データの測定方法が不明確であること、もしくは非公開、③放射性物質の影響を単に内容が不祥の大雑把なベクレル、シーベルトのみで公開しているためと想われます。 
<<詳しく見る>>  
 
①、②、③について解りやすく言い換えれば、
①紫外線は均質系の電磁波(光)であり遮蔽すれば被災しない。
②測定機種、測定した環境中の位置が明示されていない。
 重要なのは放射線の種類、生体が生存している空間
放射性物質の環境中の鉛直方向に存在している濃度は不均質系であるため、均質系の紫外線とは全く異なり、「防災方法」が全く異なります。
 すなわち、
風向き、降雨、海流などによって環境中の化合物の組成、濃度(%、PPM、PPB、PPT)、粒子径(mm、μm、nm、pm)が異なってきます。

「・濃度が少なくても、長期間環境中に滞留している半減期の長い超微細な水に不溶性の放射性粒子の生体内への吸収については、特に、注意しなければならない。
水溶性のCs化合物などは地下水、土壌中への拡散汚染に注意など。・・・」

⇒戒厳区域内でのサンプリング、試料の保管など担当者の防護に係る心労は大変でありますが、すべてわが国の誇る分析技術にて評価可能であると思います。

 まえがきが長くなりましたが、環境中に存在していると厄介なプルトニウム化合物に係る記載を調べました。

5、大気降下物及び海水中のプルトニウム
(一部割愛しました。)

「プルトニウムは放射能毒性などが高く半減期も長いため、環境で監視が必要な人工放射性核種である。
 気象研究所の大気降下物及び海水中のプルトニウムの研究は、137Csや90Srと比べてやや遅れて開始された。
 ただし、天然のα線放出核種(U、Th同位体)の研究は1960年代の初めに開始されているので、α線測定の技術的研究は1960年代に始まっている。
 大気降下物及び海水中のプルトニウムに関する気象研究所の研究成果は、1968年に初めて公表されている。
  大気降下物のプルトニウムの研究については、1964年に238Puを含む燃料電池を搭載した米国の人工衛星が打上に失敗し、南半球上層大気圏で燃焼し、238Puを大気中に放出した事故を契機として始まった。
 気象研究所でも1967年には、衛星事故に由来する238Puを降下物試料中に検出し、その結果を報告している。239,240Pu降下量については、 1958年3月より今回まで測定結果があるが、世界的にも最も長い記録である。
  239,240Pu降下量については、最近のつくばにおける239,240Pu降下量および天然放射性核種である230Th/232Th比の観測結果を組み合わせて解析した結果から、次に述べることが明らかとなった。春に見られる239,240Pu月間降下量の大きい時期の230Th/232Th比は、つくば周辺土壌の 230Th/232Th比である2.1-2.5よりも小さく、230Th/232Th比が小さい中国大陸起源の土壌の占める割合が大きいことが推定できた。

 このことは榛名山における239,240Pu 降下量および230Th/232Th比観測でも裏づけられた。これらのことは、近年明らかとなってきたプルトニウムの再浮遊が主に中国の乾燥地域起源の黄砂と関連している他、気候変動を伴うアジア大陸の砂漠化の進展が日本におけるプルトニウム降下量の増加の原因となっていることをあらためて裏付けるものである。
  太平洋における海水中のプルトニウム濃度については、気象研究所はすでに1960年代から報告しているが、これは世界的にみても先駆的研究である。その後、表面水に限っては、太平洋全域及びインド洋、南太洋の分布を明らかにすることができた。
 2000年代前半での太平洋全域での表層のプルトニウムは、北太平洋で1.5 mBq m-3 から9.2 mBq m-3 の範囲にあり、南太平洋では0.8 mBq m-3 から 4.1 mBq m-3 の範囲にあることがわかった。
 南北両半球での差は表層では大きくない。また、プルトニウムの鉛直分布をみると、南北両半球ではどちらも生物地球化学過程に支配される分布となっているが、水柱蓄積量をみると北半球の方が大きく、全球フォールアウトおよびマーシャル諸島での核実験による近傍へのフォールアウトを反映した緯度分布を示している。・・・」
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⇒貴重な文献であります。巻末の参考文献など別途調べたいと思います。
ウランと同様なアクチナイド系のプルトニウムの再浮遊が主に中国の乾燥地域起源の黄砂と関連していると言われているように、水に不溶性な元素と推察される。


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