彦四郎の中国生活

中国滞在記

城郭考古学者・千田嘉博さんと会う―NHK歴史番組「英雄たちの選択」でやってほしいテーマ

2021-12-16 19:19:43 | 滞在記

 京都府南丹市の園部文化会館で、この12月5日(日)に千田嘉博(せんだよしひろ)さんの講演会が予定されていると知ったのは11月中旬頃だった。千田嘉博さんといえば、NHKのBSプレミアムの歴史番組「英雄たちの選択」や、同じくNHKの「歴史探偵」、そして「最強の城スペシャル」などの番組のメインゲストとして数多く出演している人で、城郭研究者としてかなりの有名人だ。そんな人の講演会なので参加希望者はとても多いだろうと思われた。

 インターネットで「NHK文化セミナー"日本の最強の城スペシャル"」の開催要項パンフを見ると、やはり申し込み希望者を抽選、抽選に当たった人は参加できると書かれていた。とりあえず、参加申し込みをした。11月下旬にハガキ(入場整理券)が来ていて、なんと抽選に当たっていた。

 南丹市は、京都と兵庫県にまたがる丹波山地にある。旧園部町・旧八木町・旧日吉町・旧美山町の四町が合併してできた市だ。山地とその間の大小盆地がいくつもある町だが、城址がなんと80箇所以上もある町でもある。中でも、丹波三大山城の一つ"八木城"は規模も大きく、城の落城悲話などの歴史説話的にも有名な城址。この町の山城の城址に、私は40箇所あまりは行ったことがあった。

 京都縦貫道路(高速道路)を使うと、自宅から会場の丹南市園部町までは1時間15分ほどで到着した。午後2時開演だが1時20分くらいに会場に到着したので、会場近くの園部城に行ってみることにした。城門を入ると今は京都府立園部高校の校舎となっている。門や櫓(やぐら)が美しい。

 特に11月下旬から12月上旬にかけてのこの時期、城の塀の周りの紅葉が実に見事、美しいのだ。

 狭間(はざま)のある城壁の白壁と、紅葉の配色がとても映える。園部城を見て廻っていると、マスク姿の男性が二人、足早にやってきた。そのうちの一人が千田嘉博さんであることは、いつもテレビ番組で千田さんを見ているので、すぐにわかった。偶然に会えた千田さんに話しかけてみた。そして、「講演終了後に千田さんに渡したい資料があるので受け取っていただけますでしょうか」と話してみた。「はい」と返事が返ってきて、「もう戻らないと怒られますわ」と言いながら、足早に会場の建物に向かって走り去っていった。

 園部藩の居城である園部城は、徳川幕府成立直後の1619年に築城されたのだが、その後の約240年間は、天守や櫓のない、陣屋仕立ての城郭だった。幕末の動乱期の1860年代のはじめ、櫓を造ることを幕府に申請し許可された。京都の「帝都守護」を築城目的とし、動乱の際に、京都にいる天皇が御所より一時的に移動するところとして、城郭の規模を大きく拡大し櫓も造られた。「日本における最後の城郭」として1864年に造られたのがこの園部城だ。

 この園部町(南丹市)の国際文化交流会館や南丹市歴史資料館、そして講演の会場ともなった「南丹市園部文化会館」などは、すべて天守閣や櫓のような形をした建築物だ。まあ、なんと城好きの人の多い、城跡を誇りに感じている人が多い町なのだろうか…。

 講演は午後2時から始まり、3時45分ころに終了した。終了前に席を離れ、受付場所にいた丹南市の職員やNHKのスタッフの人に「千田さんに会いたい」旨(むね)の話をした。相当にガードが堅いが、NHKスタッフは私が会う目的を了解してくれて、講演者控室の部屋まで案内してくれた。

 控室にいた千田さんに、私が見てもらいたい資料について話しをし渡した。その資料とは、「なぜ日本には、中国にあるような農民の城はできなかったのか」というテーマで書いたブログ記事。中国と日本の歴史の最も大きな違いを、その城郭構造、農民の城の有無から考察するという記事だ。2016年3月下旬から4月上旬にかけて、3回シリーズで、この「彦四郎の中国生活」で書いたものだった。この資料が千田さんの関心をひき、NHKの「英雄たちの選択」でもこのテーマが取り上げられたらいいなあという思いがある。

 特に、東アジアや東南アジアにおける、中国という国の最近の動向を考える際に、この中国と日本の歴史の根本的な違いを理解しておくことは、中国民族を知る上でとても重要と考える。ならば、この「英雄たちの選択」でもこのテーマを取り上げることは、今日的には必要ではないかと思っている。千田さんから名刺をもらった。名刺には、「奈良大学文学部文化財学科教授/城郭考古学 博士(文学)」と書かれいた。千田さんは、数年前までは奈良大学の学長職にもあった。1963年生まれで今年58歳とまだ若い。日本だけでなく、世界の城にもたびた研究に出かけ、日本の城と世界各国の城との比較にも関心を持っている研究者だ。

 12月10日(金)には、文化セミナー「京都丹波の中世城郭」というテーマで、中居和志さん(京都府教育庁文化財保護課)の講演が、京都丹波高原国定公園ビジターセンターで開催されていた。残念ながら、これには参加はできなかった。まあ、丹波地方の山々や小さな盆地などにある城址には、おそらく200箇所は行っているだろうが、興味の尽きない地域ではある。

 12月5日の千田さんの講演の数日後、NHKBSプレミアムで、「絶対行きたくなる! ニッポン不滅の名城—天下人たちの天守スペシャル」が放映されていた。出演者は、千田嘉博さんと"お城大好き女優"の村井美樹さん。

 織田信長の小牧山城や岐阜城、安土城、豊臣秀吉の大阪城、石垣山城、徳川家康の江戸城や名古屋城、二条城や丹波篠山城などが紹介されていた。他に、丸岡城や明智光秀の福知山城も紹介されていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


1 コメント

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Unknown (大阪▪枚方市、小野賢一)
2022-01-13 09:56:04
おはようございます🙋。日本では何故、中国のように城内に町屋地や農地が殆ど無いのか、というテ╴マは興味深い研究課題ですね。豊臣大坂城は武家屋敷、町家、農家、寺社が十分な町割りなしで混在していたようです。周囲8kmで南は空堀、北は旧淀川、西は東横堀、東は猫間川▪平野川の湿地に囲まれていました。豊臣政権は一定の縄張り=都市計画を持って、城下町を建設しています。この点で豊臣大坂城と中国の城の比較は研究対象になるでしょう。大阪城天守閣元館長、渡辺武(たける)氏は第一人者です。良かったら紹介します。
2022年1月13日(木)
小野賢一 拝

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