浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

メニューヒン&エネスコによるモーツァルト 天上の音楽

2008年06月25日 | 提琴弾き
かのアインシュタインや大御所レオポルド・アウアーが絶賛した提琴協奏曲、モーツァルトの第3番をメニューヒンの提琴で久しぶりに聴いてゐる。世の中の煩わしい人間関係に嫌気がさし、本当に心休まる音楽が聴きたくてマレシャルに続いてこのCDを手に取った。

モーツァルトは不思議な作家だ。なんの悩みもなく、自然体でこのやうな美しい音楽が泉のやうに浮かんでは楽譜に書き留めたと思はれがちなモーツァルトだが、実は彼も貴族社会に迎合することに嫌気がさし、生地ザルツブルグを離れた反骨の人だった。持てる才能と周囲の凡庸さに耐えられるだけの少々の忍耐力さへあれば、もっと幸福な人生を歩めたであらう。そのモーツァルトが、このやうな天真爛漫な音楽を書いて残したことを不思議に思ふ。

メニューヒンとエネスコによる演奏は昔から名演と名高いレコヲドだが、何度聴いてもいいものだ。嫌味の無いメニューヒンの提琴独奏にエネスコも実に品の良い伴奏を付けてゐる。録音の古さをまったく感じさせない素晴らしい演奏だ。

明日の晩から仕事のついでに再び旅に出る。久しぶりに娘のところに泊まるが、このCDを携帯電話に録音して持って行くことにしやうと思ふ。

盤は、英國Biddulphによる素晴らしいSP復刻CD LAB004。

現在、Biddulph盤は入手困難とのことだが、下のNaxos盤で聴く事ができる。
モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第3番/パガニーニ:ヴァイオリン協奏曲第1番(メニューイン)
モーツァルト;パガニーニ;ヴァーチェク;ショーソン
Naxos Historical

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