浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

クーセヴィツキのブランデンブルグ協奏曲

2007年11月14日 | 指揮者
セルゲイ・クーセヴィツキが戦後間もなく録音したバッハのブランデンブルグ協奏曲集から、僕の一番好きな第1番を取り出して聴いてゐる。僕がこの作品を初めて聴いたのはミュンシュの指揮による同響のLPレコヲドだった。バッハの胸像が冷たい表情で座った写真のジャケットだった。

終楽章のメヌエット以下トリオやポラーカ(ポロネーズ)が異常に遅いテンポで演奏される以外は、ミュンシュの演奏と大きな違いは感じられなかった。しかし、弦楽器の美しさが評価されるミュンシュ・モントゥー時代とは異なり、管楽器の素晴らしさと比較して弦楽器の荒っぽさが目立つ録音となってゐるのは意外に感ずる。

クーセヴィツキ、ミュンシュ、モントゥーは、ともに弦楽器奏者出身の指揮者である。なのに、どうしてこうも弦楽器セクションの水準に違いがあるのか僕には分からない。勿論、クーセヴィツキの時代のボストン響の弦楽器が良くないと言ふよりも、ミュンシュ時代になって世界最高水準に達したといふ方が正しいのかも知れない。

クーセヴィツキとミュンシュの演奏から感ずることを一言で言ふなら、ミュンシュの弦楽器にはぬくもりと感動を呼び起こすうねりのやうな表現があると僕は思ひ込んでゐる。感じ方は人それぞれだが。

ところで、今までずっとやり残してゐた仕事を、今日、やり終えることができた。やることはやったが、どうも、僕はこの土地の人間とは波長が合わない(イ調なら合うかも知れない)。辛抱は次への糧になるのだと信じることにしよう。残念!

盤は、英國PearlによるSP復刻CD GEMS0103。


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