浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

伯林國立歌劇場管絃團とアーベントロートによる「フィンランディア」

2012年03月02日 | 指揮者
アーベントロートが此のレコヲドを録音したのは「フィンランディア」が世に出て三十余年の1936年である。戦前の独逸の重厚な響きを持った國立歌劇場管絃團との録音である。非常にゆったりとしたテンポ運びで冒頭のファンファーレが奏される。

昔、カラヤンが伯林フィルを振った際に、此のファンファーレが終わるや否や「ブラヴォー」と叫んだ少々気の早い輩が居たが、アーベントロートの此の演奏なら「ブラヴォー」を発してもおかしくないだけの満腹感が味わえる。

そのあと木管と絃樂による重厚な響きがSP盤半面いっぱい続く。B面に移る際にティンパニーの1小節分が編集ミスで半分以上消えてしまってゐるのは残念だが、大雑把で武骨なつくりの中に素朴な感動を生み出す独逸らしい音楽を聴くことができる。しかし、聴き終わってから「此の曲は独逸の作品ではないのに!」と我に返るのだ。

盤は、国内音楽出版社による非売品CD「Great Conductors on 78's」CPCD2001。


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