浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

続けざまにクーベリック スメタナの珍曲

2011年05月09日 | 指揮者
クーベリックの演奏は生で聴いてみたかった。何度かチャンスはあったはずだが、仕事のせいにして出不精になってゐた時期がある。丁度、クーベリックやヨッフムの晩年と此の時期が重なってしまったやうだ。今宵もクーベリックの指揮で、スメタナの交響詩「ヴァレンスタインの陣営」を聴いてゐる。

シラーの戯曲を題材とした15分ほどの作品だが、忙しそうな冒頭に続いてハーディーガーディーを思わせるやうな一節や民俗調音楽が盛り沢山である。ヴァレンスタインは実在した悲劇の英雄の名だそうだ。ストーリーがあるのだらうか、どういった話なのかはさっぱり分からず、曲からイメージをつかもうとしたが無理だった。

なにか習作のやうなイメージが拭いきれない摑みどころの無い冒頭なのだが、民族色の聴き取れる部分や低弦のピッツィカートに乗って管楽器が憂いのある旋律を歌う幽玄の世界などは、独創的な味わいがある。

この録音は、クレディットによれば1943年12月に行われたSP録音であり、カーネギーホールで父、ヤン・クーベリックの伴奏を弾いてゐた、協会盤による奇跡の録音の8年後、指揮者として正式にデビューを果たし、堂々と祖国の最高の管絃團であるチェコ・フィルハーモニーと商業用録音を行うまでに成長した、若きラファエル・クーベリックの颯爽とした指揮ぶりが愉しめる。クーベリック・ファンには是非手元に置いていただきたいレコヲドである。

盤は、チェコのスプラフォンによるリマスタリングCD SU3710-2 011。





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