これまでは、国指定の、有形文化財、民族文化財、記念物、国認定文化財・重要美術品,、国登録文化財を、つづいて岩手県指定文化財を載せています。岩手県指定文化財には有形文化財、無形文化財、民俗文化財、記念物があります。有形文化財として建造物、工芸、考古資料を載せ、前回は無形文化財をのせました。 今回は、 民俗文化財です。民族文化財には、 有形民族文化財 、無形民族文化財があります。
岩手県指定民俗文化財
1. 有形民族文化財
(1)南部絵暦 盛岡暦 版木 金澤コレクション 岩手県立博物館所蔵
南部絵暦・盛岡暦版木・金澤コレクションは文字の読み書きができない人でも理解できるように、文字を使わず絵だけで表現した暦です。 図柄を1枚の版木に彫り、一枚刷りしたものです。 写真の暦は、右半分が暦で、左半分は年齢早見表になっています。 これらの暦のうち、嘉永6年(1853)から明治3年(1870)までの14枚について、一部欠落はありますが連続性が認められ、盛岡暦の変遷を理解する上で貴重な資料として、有形民俗文化財に指定されました。 なお、岩手県指定民俗文化財の 有形民族文化財は次の通り8件あります。
岩手県指定有形民族文化財
種 別 文 化 財 所 在 地
1 民族文化財 南部絵暦 盛岡暦版木 岩手県立博物館
2 民族文化財 南部絵暦 天明三年田山暦 岩手県立博物館
3 民族文化財 南部絵暦 天保十三年盛岡暦 岩手県立博物館
4 民族文化財 雫石地域の野良着 岩手県立博物館
5 民族文化財 玉山地域の野良着 岩手県立博物館
6 民族文化財 南部絵暦 盛岡暦 金澤コレクション 岩手県立博物館
7 民族文化財 紫根染 八重樫家関係資料 岩手県立博物館
8 民族文化財 盛岡藩操座元鈴江四郎兵衛関係資料 岩手県立博物館
2. 無形民族文化財
(1) さんさ踊り 盛岡市(写真は黒川さんさ踊り)
お盆の時期には、各地で盆踊りが踊られていました。 盛岡で踊られていたのが「さんさ踊り」です。 さんさ踊りの発祥としては,盛岡市名須川町の三ツ石神社にまつわる「三ツ石伝説」に由来します。 昔、人々を苦しめていた鬼が三ツ石の神様によって退治され、降参の印に手形を石に残して去ったとき、喜んだ人々が三ツ石のまわりで「さんさ、さんさ」と踊り囃したのが、さんさ踊りの始まりと伝えられています。 現在も、市内各地に歴史と個性を持った「さんさ踊り」が大切に伝承されています。県指定の「さんさ踊り」は、盛岡市の黒川・三本柳・大宮・山岸のさんさ踊り4点で1件の指定です。 なお、写真は「黒川さんさ踊」りです。
(2) 大宮神楽 盛岡市本宮
大宮神楽は盛岡市本宮に鎮座する大宮神社の奉納神楽で、地域住民の信仰の対象として崇敬され、氏子の地域は現在も本宮・向中野・下鹿妻で、広範囲に信仰を集めています。 来歴は、現在の鈴木宮司家の祖先により神楽が創始・奉納されたと伝えられており、神楽は「大宮神社鈴木家の神楽」と認識され、その後も代々鈴木家が庭元となり、その血族により引き継がれ守られてきました。 大宮神社に対する地域住民の信仰は篤く、戦後舞手が不足してからは神社周辺の住民が加わり神楽を守ってきており、神楽を通して信仰を基盤とした大宮神社と地域住民の繋がりをみることが出来ます。 なお、岩手県指定民俗文化財の 無形民族文化財は次の通り4件あります。
岩手県指定無形民族文化財
種 別 文 化 財 保存団体
1 民俗芸能 上鹿妻念仏剣舞 上鹿妻念仏剣舞保存会
2 民俗芸能 さんさ踊り 三本柳・大宮・山岸 さんさ踊り保存会、黒川参差踊連中(4団体)
3 民俗芸能 大宮神楽 大宮神楽保存会
4 無形民俗文化財 盛岡八幡宮祭りの山車行事 盛岡山車推進会