梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

<乱歩歌舞伎>体験日記・第一夜

2009年09月27日 | 芝居
歌舞伎座<九月大歌舞伎>千穐楽から休む間も無く、国立劇場十月公演『京乱噂鉤爪』の稽古が始まりました。

私は「プロローグ」の<群衆(女)>、1幕2場「鴨川堤」の<物乞いの女>、2幕1場「町人3(女)」のお役を頂戴いたしましたが、本日はお稽古に先立ちまして、《衣裳合わせ》がございました。
この度の舞台では、場面によって、従来の歌舞伎衣裳とは趣を変えたものを着用するのだそうです。衣裳コーディネートの方がいろいろとお見立てくださり、出演者全員が実際に着たところで、演出であられる高麗屋(幸四郎)さんがご覧になり、色みや形をご修正下さいました。…こういうのを「衣裳パレード」っていうんですか?

本日は<立稽古>でしたが、高麗屋さんがおっしゃられました通り、一週間で新しい芝居を作り上げることは『奇跡に近い』わけで(『野田版研辰の討たれ』は2週間くらいかけましたかね、でもこれだって相当短いですよ)、その奇跡を起こさなくてはならないのですから大変です!
今日は各役各演技を掘り下げるというより、段取りをつけるのが主眼の"荒立ち"という感じでしたが、7時間かかりました…。

これから、さらに動きや音楽を整理しつつ、それぞれのお役の気持ちを掴んで、演技を生み出していくわけですが、楽しみでもあり、不安でもあり…。有り難いことにセリフも頂戴いたしましたので、全くの新作とは申しながら、やっぱり歌舞伎でございますから、その点重々気をつけて、勉強させていただきますので、よろしくお願い申上げます。

ちなみに<プロローグ>の群衆は「ええじゃないか」を踊るのです(幕末ですので)。まさか2か月続けてええじゃないかを叫ぶことになるとは思いませんでした。リズムと歌詞が違うので、ただ今頭が混乱しておりマス。踊りは20名によるテンポの早い群舞。みんなと頑張ろ~!