梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

梅之最初のお役

2009年09月03日 | 芝居
高麗屋(幸四郎)さんの河内山宗俊、師匠の松江出雲守で『河内山』がかかっておりますが、私の<名披露目>のお役が、このお芝居の<近習>でしたので、この演目にはなんとなく思い入れというか、ほかの演目には抱かない感慨がございます。
平成11年の1月歌舞伎座ですから、もう10年前のことですか。ハァァ…。
河内山が本舞台に入ってから、菓子を差し出すお役目でした。
初舞台からは半年以上経っていましたが、<中村梅之>としてのスタートとなる演目、お役ですから、違う意味での緊張がありましたね。

前にもお話したとは思いますが、芸名を頂いて初めての興行では、名題下部屋の先輩方をはじめ、関係各位に御挨拶のお品をお贈りし、初日の名題下部屋では、古参の先輩からお披露目の御挨拶をして頂きます。
これからが修行の始まりですから、浮かれてもいられませんが、やっぱり<特別な日>ですから、嬉しくもあり、また恥ずかしくもあり…。
あの月のこと、今でもありありと思い出せますね…。

さて、当月の『河内山』の近習、10年前も一緒に出ていた左字郎さんが勤めています。
あのころは二人で先輩についてゆく立場でしたが、今回彼は<シン>。つまりリーダーです。
それだけの月日が流れ、それだけの経験を積んできたということでしょうか。
私も頑張ろう!