梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

あっという間のような気がしました

2009年09月26日 | 芝居
歌舞伎座さよなら公演<九月大歌舞伎>、無事に千穐楽を迎えることができました。有り難うございました。

『竜馬がゆく』の<ええじゃないか>の女、『桔梗旗揚』「馬盥」の腰元。かたや2分、かたや40分余という、両極端な出番の2役でしたが、つつがなくひと月勤めおおせることができました。心より御礼申し上げます。

このたび、「馬盥」の腰元を勤めさせて頂くにあたりましては、先立って『先代萩 御殿』の腰元に出させて頂いたことがとても役に立ちました。
「御殿」は義太夫狂言のなかでもとりわけ格の高い作品、その中の、八汐対政岡、そして千松の死という緊迫した場面に身を置くという経験を、至らぬ身ながら、ひと月勉強させて頂きました。そのおかげで、今回、おなじような緊張感をたたえた「馬盥」の場に臨むにあたっての気構えと申しましょうか、雰囲気の掴み方がわりあいと自然にできたように思います。

もちろん「御殿」は義太夫狂言、「馬盥」は南北翁の作品ですから、全く同じ雰囲気にはなりませんが、もし「御殿」を経験しないでいきなり「馬盥」に出ていたら、緊張の度合いはかなり違っていたんじゃないかなぁ(しかも長いしねェ…)。
これからも、少しずつでも前進して行ければと思います。とにかく経験、経験! 女形になってからたった4年です。いろんな作品のいろんなお役を勉強して、早くみんなに追いつかなくちゃ!

<ええじゃないか>は毎日楽しく演じることができました。三味線を弾きながら歌うのは、最初は大変でしたけど(どっちかがわからなくなる!)、慣れたらより面白く、浮かれた感じで「乱入」できました。台本には男装した女とございましたが、他の方との兼ね合いもありましたので、あまりそのことにはこだわらない化粧・拵えにいたしましたがいかがだったでしょうか? へんにいじくりすぎてはいけないですし、といって物足りなくても雰囲気がでませんから、「ご自由に」というのは難しいですね。

師匠19年ぶりの『鈴ヶ森』に携わることができましたのも勉強になりましたが、タイトルにもいたしましたが、なんだか今月はあっという間でした。1年も4分の3が終わってしまいました。残りの3ヶ月も、楽しく、真剣に勤めてまいります。