梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

いい体験でした!

2008年03月24日 | 芝居
日頃から親しくお付き合いさせていただいております、『劇団偉人舞台』の鹿島良太さんによります、<鹿島亭プロデュース その壱>公演『BANK BANG(!)LESSON』のお稽古場にお邪魔させていただきました。

これまで、鹿島さんご自身のみでの一人芝居や落語、手話歌などがメインだった<鹿島亭>が、初めての複数人数によるお芝居上演。しかも、ひとつの戯曲を10人の俳優が日替わりで7通りの配役で見せるというのですからスゴい企画です。
出演の皆さん、お忙しい中での稽古ということで、全てのキャストが揃うという日もなかなかとれないそうなのですが、今日拝見したお稽古、私には実に実に濃い熱いものと見えました。

歌舞伎興行のお稽古では、稽古場に行く前までが勉強といわれるくらいですから、古典演目におきましては、<附立><総ざらい>では、個々の役柄の掘り下げ、感情表現の是非とか演技演出の変更、ダメ出しなどはほとんどないわけです。
ところが今日私が目にしたお稽古は、登場人物の居所や動きの段取りといったことが、この芝居におけるキャラクター表現としてふさわしいのかそうでないのか、そういうところからまず吟味をしてゆく。納得のいくかたちになるまでの小返しは当たり前といったもので、セリフのトーンや動作の軽重という、私どもに取りましては<ごくごく>細かいところまで、その場で修正してゆく。そういう作業が実に新鮮にうつりました。

おそらく歌舞伎の演出も、このような緻密な作業が先人の名優方によって行われてきたからこそ成立したのでしょうが、<今、芝居が作られる>という現場に携わることが少ない私にとりましては、改めて、役に向かい合う姿勢や、指導者の言葉を聞く態度、謙虚に舞台作りに参加する心構えを教えていただいたように思えてなりません。
本当に刺激的な一夜を過ごすことができ、有難い気持ちでいっぱいです。

鹿島亭プロデュース その壱
BANK BANG(!) LESSON


は、新宿はSPACE雑遊にて、2008年4月22(火)~27(日)まで。
詳細は鹿島亭ブログを御覧下さい。