梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

千穐楽にして舞台稽古

2007年10月27日 | 芝居
本日、国立劇場10月公演千穐楽。公演前半はどの演目でも色々と変更の連続。後半はそれを練り上げてゆく毎日。なんだかあっという間のひと月でした。(イロイロ催しもありましたしね)
当月の国立劇場賞は、優秀賞に高麗屋(染五郎)さん(『うぐいす塚』の源之助・大仁坊の演技に対して)、奨励賞に松本錦弥さん(『うぐいす塚』の乞食善之助の演技に対して)、そして特別賞は国立劇場音響スタッフさん(『うぐいす塚』での鶯笛の効果に対して)に贈られました。俳優さんや演奏家さんではなく、劇場スタッフの方に賞が贈られるのは珍しいことでございますが、『うぐいす塚』の序幕から大詰まで、いたるところで<ただ吹くだけではない>演技する鶯の鳴き声を担当して下さった3人の音響係の方々のご努力に、心より御礼とお祝いを申し上げます。

さて、終演後楽屋を急いで撤収、タクシーで駆けつけたのはNHKホール。今日は午後7時から『古典芸能鑑賞会』の舞台稽古でございました。
1日に2カ所で違う芝居。しかも舞台稽古とはいえ本番同様に収録するということでしたので、失敗、やり直しはきかない状況。後見のみとは申せ少々気が張りました。おかげさまで無事勤まりましたが、明日も油断せぬよう気をつけます。
今日の稽古で面白かったのは、本番当日のテレビ収録にむけて、本舞台以外の場所で発する台詞や効果音も、しっかり収録するために集音マイクで拾うのですが、上手の竹本さんやツケ打ちさんはもとより、花道揚幕の中からの、百姓一同による『お願い~』、松王丸が下手袖の駕篭の中から発する『ヤァレお待ちなされ しばらく』、そして源蔵が小太郎の首をうち落とすときの効果音まで、集音マイクの調整をしながら何度も何度も繰り返すのです。
百姓役の先輩は「こんなに“お願い”したのは初めてだ」と苦笑いでした。

舞台袖には実に立派なモニターテレビ。それがちゃんとハイビジョンになっているのが天下のNHKですね。すでに決められたカット割りで映し出されるので、一足早く放送を見ているようでした。