梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

義経千本稽古・一日目

2007年02月27日 | 芝居
本日より、歌舞伎座3月興行『通し狂言 義経千本桜』のお稽古が始まりました。
師匠は、1日を通しての源義経役。平成15年2月の通し上演と同じでございますが、今回は『四の切』のあとに『奥庭』がつくのが、目新しいところでしょうか。
私は、『四の切』で、腰元役を勤めさせて頂きます。これまで立役として舞台を踏んでおりましたが、3月より、女方として日々の勉強をさせて頂くことになりました。一からの修行となりますが、師匠をはじめ周りの方々のご理解あってこそのことでございます。その有難さを骨身に感じつつ、謙虚な気持ちを忘れず、先輩方から沢山教わりながら、将来を見据えて精進して参りますので、よろしくお願い申し上げます。

さて本日は、『鳥居前』が<附総>、『渡海屋・大物浦』『四の切・奥庭』が<附立>でございました。前回の舞台はつい最近のことですので、弟子としての仕事についてはよく覚えておりますので、今回のお稽古では、そうバタバタあたふたしなくてすみそうです。明日はさっそく『鳥居前』が<初日通り舞台稽古>ですが、これも古典演目なればこそできることですね。
むしろ大変なのは、『鳥居前』軍兵、『大物浦』軍兵、『吉野山道行』花四天、『小金吾討死』黒四天、そして『四の切』荒法師と続く、目白押しの立廻りでございましょう。荒法師3人のみの『四の切』は別としても、どれも大人数が出て、トンボの数も多うございます。いくら60名の名題下がいるとはいえ、2役、3役と立廻りの出番が続く方が多くなりますし、そのぶん体力的な負担は増えるわけでございます。今日も本稽古の前に立廻り部分のみの<抜き稽古>が数時間かけて行われておりましたが、どうか皆様無事にひと月勤め上げて頂きたいと思います。

今月は日数が少ない月ゆえに、駆け足のお稽古になりますので、どこまでしっかりしたレポートができるかわかりませんが、弥生月の稽古場便り、よきお慰みになりますよう、努力致します。