梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

梅之読書日記「カタい話かな…」

2006年01月25日 | 芝居
以前ご紹介しました『昭和史七つの謎』の著者、保阪正康さんの一連の著作に、近頃どっぷり浸かっておりまして、<昭和史>というものの面白さを味わっております。
主に文庫化されたものを中心に買い進めておりますが、講談社文庫「昭和史 忘れ得ぬ証言者たち」「あの戦争から何を学ぶのか」、角川文庫「死なう団事件 軍国主義下のカルト教団」「天皇が十九人いた さまざまなる戦後」、文春文庫「『きけわだつみのこえ』の戦後史」、文春新書「対論 昭和天皇」(原武史さんとの対談集)を読み終わり、今は角川文庫「三島由紀夫と楯の会事件」を読んでいます。

私は中学校しか出ておりませんが、思い返してみると、明治維新以降の日本の歴史は、授業ではそれほど時間をかけて教わらなかったように記憶しております。二・二六事件、満州事変、太平洋戦争、GHQ占領、単語としては覚えていても、それがはたしてどのような世界の、日本の情勢の中から起こり、どのような影響を、当時の人々にあたえたのか、全く理解していないままこの年になってしまいましたが、何千人という当事者たちに直接会うことで、時代、事件の真実を探ってこられた保阪さんの、リアルで生々しく、しかしあくまで冷静、公正な視点で綴られた文章を読み進めるうちに、あまたの人々が異常な興奮につきうごかされて進んでいった、激しく、歪んだ<昭和>という時代の有様をまざまざとつきつけられ、息をのむ思いでした。
当時の人々がどんな思いで日々を生きていったのか、国と国とが争うということはどんなことなのか、まだまだ理解しきれない部分はあるのですが、歴史というものを考えるとき、決して一面的な視点で判断してはならないということは、著作の中の沢山の事例が教えてくれました。
もとより、この場で主義主張や思想を語るつもりはございませんが、いまだに続く<戦後>の諸問題を考えますと、無関心ではいられない! という気持ちです。