北海道でノンビリと

タブタブの何処かへ行こう を改題しました。
何処かへ行く機会も減ってきたので 北海道を楽しもうと思ったからです

思い出・・・・・希望に膨らんだ胸が萎んだ瞬間

2017-01-12 21:41:40 | 日記
昨日、一つ上の先輩が亡くなったことを書いたが、それに関連して思い出したことがある。

私は病気で修学旅行に参加できず、津軽海峡を渡り受験の為に初めて東京へ行った時には、次々とやってくる電車と人の多さに驚いた。

当時はテレビも普及していなくてメディアで都会の映像が そんなに流れることは無かったので、見るもの全てが驚きの連続だった。


無事 京都の学校に合格し、入寮のため 30時間青函フェリーと電車を乗り継ぎ息も絶え絶えで京都駅に降り立った時、街中を洋服を着た人が普通に歩き、人力車ではなく沢山の車が走っていることに愕然とした。

絵葉書の世界しか知らなかったので 舞子さんのような和服の女性しか歩いていないものだと勝手に思い込んでいたのだ。

よく考えてみたら・・・・・京都も同じ日本だった。

ド田舎者の私は、バスと云うものは1時間に1本も来ないと思っていたので、待つぐらいなら歩くと云うのが自分にとっての常識だった。

だから距離はわからなかったが地図を記憶してから重いバッグを 二つぶら下げて駅から2時間歩きヘロヘロになって 西院にある寮へ辿り着いた。

この寮と云うのが 古都には似つかわしくない 鉄筋3階建ての立派な建物で、これが何棟も広い敷地の中に並んでいた。

こんな立派な所に住めるのかと思った途端 疲れは吹き飛び期待で胸が膨らんだ。

夕暮れの中、テニスコートまである敷地の中を管理人に導かれて 敷地の奥にある瓦が一部剥がれたような物置につれて行かれたので 新入生の私の為に何か取りに行くのだろうと思っていたら、その物置の入口から奥へ向かって叫んだ。
「新入生はんが来てるえ~~」

えっ、えっ、何?・・・・・この物置に人が住んでいるの? と驚く間もなく 薄暗い奥の方から「はーい」と云う声がして 小汚い先輩が顔を覗かせた。

この時 初めて知ったのだが 学生寮は ある大会社の独身寮が並ぶ敷地の一部を間借りしていたのだ。

鉄筋3階建の独身寮と物置とのギャップに驚き、これからこの 小汚い建物に住むのかと思った途端、目の前が暗くなった。

それでも何とか失神せずに 不安いっぱいで靴を脱ごうとしたのだが、先輩に止められた。
「靴 脱がなくて良いよ、靴下汚れるからね。」

よく見たら 先輩も靴を履いたままだ。
それに、家の中の方が 外より汚いのがわかった。
昔のバンカラの名残りなのだろうか。

(おいおい、マジかよ) でも驚くのはまだ早かった。
これはまだ序章でしか無かったのである。
(続く)