今日は定期の診察日。
受付順はかなり早い方なのに忘れられたかのように呼ばれない。
周りの人は次々と血を抜かれ1番早い人は会計している。
もしかしたら私の姿は誰にも見えていないのだろうか。
無理してジョギングしていて、自分でも気付かない内に倒れて死んでしまったのだろうか。
今の私は浮遊霊?
やっと声が掛かった時に看護師さんに「全然呼ばれないから心配になってきてさぁ……。もしかしたら俺の姿は見えていないのか。既に死んでいて体が透けているんだろうかと思っていたんだよ」と云ったら
「怖いこと言わないでよぉ」と云われた。看護師さんもお化けは怖いのだ。
採血後、採尿カップを渡されてトイレへ。
中間尿を採る為、流れの中にカップをサッと入れ、そろそろだと云う頃にサッと流れから外す。
カップの中にある50ccのラインにピタッと一致する量に思わずニヤリ。
プロとアマチュアの患者としての違いはここにある。
さて、あとは約1時間の結果待ち。その間、車に戻って持参した朝食。
診察室に呼ばれて「変わりは無いですか?」と訊かれたので
「不整脈も落ち着いているようなので頑張って運動しています」と胸を張る。
ディスプレイを見ていた先生は(ホホゥ)と云う目で私へ視線を移したので
「5キロウォークしている内3キロをジョギングしています」と少しだけ嘘。
本当は4キロウォークして1.6キロしかジョグしていない。
それも毎日では無いし3キロをジョグ出来たのは一度だけだ。
そうそう、是非聞いて貰いたいのは どうして頑張れるかと云う事。
「最近、巨乳の奥様がジョギングしているんですよ」と話し始める。
「その奥様が前から走ってくるんですが、大きな胸がね こんなに揺れて・・・・」と私の手は胸の前で大きく上下する。
先生は呆れ、私の云うことをデジタルカルテにインプットしている事務クラーク嬢は、もうキーを打つどころではない。
「よそ見して転ばないでね」と云うのが精一杯の先生。
「ところで先生、検査結果はどうだったんでしょうか・・・・」
「あぁ そうだったね」
やっと普通の診察が始まった。