<大湯ストーンサークル>
青森の森に接しながら思ったのは、
土器も土偶も「森」からインスピレーションを得て
造られたのではないかということでした。
もちろん、海洋生物を象った様々な土製品を
眺めておりますと、縄文の人々が「海」と
深いつながりを持っていたことは確実ですが、
やはり日常生活のベースとなる「森」への思いは、
私たちが想像する以上に強いものであり、
故郷の「森」を見ながら沸き上がるイメージを、
日々の制作の糧にしていたのではないかと、
個人的には夢想してしまいます。
ちなみに、専門家から聞いた話によれば、
現在、公開されている「縄文ムラ」の多くは、
あまりにも整備されすぎているがゆえに、
古代の様相を反映しているとは
言い難い部分があるのだとか……。
縄文時代の「ムラ」の周囲には、
実に多種多様な植生が広がり、
住居の周辺も「草だらけ」だったと
仮定するほうが自然なのだそうです。
そう考えると、現代人が少しでも
「縄文」に近づきたいと思うなら、
縄文遺跡を巡るだけでなく、その周辺を取り巻く
「森」の中に身を置く必要があるのでしょう。