<若桜神社 わかさじんじゃ>
若桜神社の神域は、まさしく「祀りの場」
とでも言い表したくなるような、
「祓いの気」で満ちあふれていました。
恐らく、有史以前よりこの地では、
「古い神」をお祀りするための神事、
そして「鉄の争い」を回避するための攻防が、
絶え間なく続けられてきたのでしょう。
聞くところによりますと、神社のすぐ近くには
「若桜鬼ヶ城」という城跡があり、この城には
「破城」を行った形跡が残っているのだそうです。
「破城」といいますのは、戦を放棄したことを示すために、
城の一部を破壊する行為でして、周辺には人為的に崩したと
思われる石垣などがたくさん見つかっているのだとか……。
若桜鬼ヶ城が「破城」された理由は、
江戸幕府の一国一城令によるものだと聞きますが、
戦の象徴であった城を放棄し、
和平を選んだ近世の若桜の人々が、
他国から「新たな鉄の神」が押し寄せる中で、
この地の古い神を守ろうとした古代の若桜の人々と、
どことなく重なって見えるのは思い込みでしょうか……。