<宇都野神社 うつのじんじゃ>
今回、なぜ新温泉町浜坂にある
宇都野神社を訪ねたのかと申しますと、
それは「麒麟獅子舞」の銅像が
置かれているという噂を聞いたからでした。
しかしながら、さほど広くない
境内のあちこちを探し回っても、
それらしき建造物は見当たらず……。
どうしたものかと途方に暮れていると、
たまたま鳥居のそばにいたご近所さんの姿が目に留まり、
銅像のありかを訪ねてみることにしたのです。
その女性は「麒麟獅子の像……」としばし考え込んだのちに、
「確かにあったとは思うけれど……」と言いながら、
同じように境内をぐるぐると探し歩いてくれたものの、
やはり見つけ出すことができず……。
朝もやに包まれた静かな宇都野神社の境内で、
2人でしばらく思案すること数十秒、
ふいにその女性が背後を振り向き
「あ、これだ」と指さした先には、
想像よりもかなり立派な
麒麟獅子の銅像が鎮座していたのでした。
「長年神社に通っているけど、
見ているようで見ていないのよね」と、
女性も苦笑いしていましたが、
これほど大きな「目的物」を見逃すとは、
人間の目がいかに「大事なものを見ていないか」
ということを証明しているように感じます。
近所の女性にお礼を言い、
改めて麒麟獅子の銅像を見上げながら、
「曇りのない目で世の中を見ること」の大切さを、
肝に銘じた晩秋の朝のひとコマでございました。