<気比神宮 けひじんぐう>
「額に角」という言葉からまず連想するのは、
昔話に登場する「鬼」という妖怪かもしれません。
ただし古代、額に角を持っていたのは、
伝説上の鬼と呼ばれる存在だけでなく、
ある職業に従事していた人々も含まれていたといいます。
ずばりその職業とは「製錬技術者」でして、
主に大陸からやって来た鍛冶やタタラ民を示す「印」が、
額にある角だったといわれているのです。
以前、イタテ神・兵主神について記した記事内で、
中国の神話に登場する「蚩尤(しゆう)」という神が、
兵主神と同体であると書きましたが、
聞くところによりますと、この蚩尤も頭に角を生やし、
血の色である赤をシンボルカラーとしているのだそう。
兵主神はアメノヒボコとも同一視されていますし、
ツヌガアラシトの特徴的な容姿を絡めて考えれば、
兵主神が額に角を生やした韓鍛冶だった
可能性も高いのでしょう。そしてさらに、
アメノヒボコと「浅からぬ縁あり」と目されているのが、
同じ「矛」をトレードマークとするある有名な神でした。