たびたび神社

ライターあかりの神社ブログ

若桜と錦絵

2019-07-04 09:51:47 | 鉄の神々2

<若桜神社 わかさじんじゃ>

 

鳥取県へと入ったあたりで降り出した雨も、

若桜神社へと到着するころにはいつの間にか上がり、

鳥居の前の狭いスペースに車を駐めて外に出ると、

薄いグレーの空を背景に、紅色と黄色の木々に

彩られた朱色の楼門が見えてきました。

 

若桜神社が鎮座するのは、鉄道マニアの間で

有名な若桜駅から、宿場町の風情を残す

レトロな商店街を抜けた町の外れあたり。

川向こうの神域の入り口には、

雨露に濡れて地面に折り重なったもみじの葉が、

まるで錦絵を織り込んだ絨毯のように

石段を埋め尽くしています。

 

聞くところによればこの神社は、

「紅葉の名所」としても有名な場所なのだとか……。

小さな禊の川にかかる赤い橋を渡り楼門を見上げると、

秋色に染め上げられた枝葉が、

視界いっぱいに迫ってきます。

 

濡れ落ち葉で足を滑らせないよう

慎重に石段を登り切り、広い境内にたどり着いたとき、

ふいに本殿の方から雨上がりの湿った空気とともに、

心身を洗い流すような清涼な風が吹き抜けて行きました。