<若桜神社 わかさじんじゃ>
鳥取県へと入ったあたりで降り出した雨も、
若桜神社へと到着するころにはいつの間にか上がり、
鳥居の前の狭いスペースに車を駐めて外に出ると、
薄いグレーの空を背景に、紅色と黄色の木々に
彩られた朱色の楼門が見えてきました。
若桜神社が鎮座するのは、鉄道マニアの間で
有名な若桜駅から、宿場町の風情を残す
レトロな商店街を抜けた町の外れあたり。
川向こうの神域の入り口には、
雨露に濡れて地面に折り重なったもみじの葉が、
まるで錦絵を織り込んだ絨毯のように
石段を埋め尽くしています。
聞くところによればこの神社は、
「紅葉の名所」としても有名な場所なのだとか……。
小さな禊の川にかかる赤い橋を渡り楼門を見上げると、
秋色に染め上げられた枝葉が、
視界いっぱいに迫ってきます。
濡れ落ち葉で足を滑らせないよう
慎重に石段を登り切り、広い境内にたどり着いたとき、
ふいに本殿の方から雨上がりの湿った空気とともに、
心身を洗い流すような清涼な風が吹き抜けて行きました。