<宇倍神社 うべじんじゃ>
鳥取県東部(因幡国)と
兵庫県北但西部(但馬国)には、
「麒麟獅子(きりんじし)舞」という
この地独特の伝統芸能が伝わり、
該当地域の祭礼行事などで盛んに舞われています。
何でも、この地を治めていた鳥取藩主・池田光仲が、
徳川家との強いつながりを示すため、
「麒麟」をシンボルとする獅子舞を考案したことが、
この唯一無二の舞が誕生した発端なのだとか……。
麒麟獅子の古式が受け継がれる
因幡国一の宮・宇倍神社には、
代々のお祭りで用いられたと思われる、
使い込まれた獅子頭が保存されていました。
ちなみに麒麟獅子舞が、
他の獅子舞と決定的に異なるのは、
胴幕に大人二人が入って舞う
「二人立ち」の様式を取るということです。
関東から東北地方にかけて分布する
「一人立ち」と呼ばれる獅子舞が、
日本の山野に住む「鹿」や「猪」を模した
日本固有の芸能であるの対し、
「二人立ち」の獅子舞は西洋の
「ライオン」を祖型とするなど、
外来文化の影響を色濃く残す様式だと聞きます。
また、赤い面・赤い衣装・赤い髪・赤い棒……等々、
全身を赤一色で覆った「猩々(しょうじょう)」
と呼ばれるあやし役がコンビを組み、
麒麟獅子を先導したり、
獅子と共に舞ったりするなどの点も、
この地域の獅子舞でしか見られない
ユニークな特徴かもしれません。